●背景 1923年に起きた関東大震災により、中部地方から地脈にそって真っ二つに割れた日本。 震災によって歪んだ地脈「日本断層」から溢れ出す力は東西の手軽な行き来をほぼ遮断し、魑魅魍魎を生み…治安の悪化した国は自然と二つに分かれた。 社会資本主義を中心に大手企業団体の合議制により経済方針が決められる東日本と、京都に皇居を戻した天皇を中心に民主と朝廷制を織り交ぜた政治を敷く西日本。 そして『平世』10年…西暦1999年、割れた本州を唯一繋ぐ都市…溢れた力に晒され、妖怪や異能者が激増した元東京23区域…「独立自治区・央京」を舞台に、物語が繰り広げられる。 ●組織 ■西日朝廷 1925年に京都に皇居を戻した天皇をシンボルとした従来の日本政治を引き継いで発足した組織。 民主主義で総理大臣も居るのだが、設立された際に天皇にも政治への介入行為が認められたため、今では天皇陛下の補佐、という立場となっている。 ■神秘庁 朝廷によって新しく作られた組織の一つ。央京関連というよりは、主に魔術・妖怪などのオカルト絡みの事案を処理するための国家組織。 地脈の力から「神秘」を確信し洋の東西を問わず様々な術や宗教を公的に導入…現代に多くの魔術師や陰陽師を生み出した。 ■数乃十二【かぞえの12】 東洋の十二神将、西洋の12使徒等にあやかって設立された神秘庁選りすぐりの12人のチーム。 東西を問わぬ魔術のエキスパートで構成されていて、退魔を中心としたさまざまな業務に当たっている。 東方企業組織(EGO):1930年に発足した日本の東側の実権を握る大手企業の連合体。大手企業のトップ会談で経済的な方針が決められるが、実質的には以下の三つの会社が牛耳っている。俗称は「エゴ」 ■江戸橋重工 金属・機械類を専門に扱う工業系企業。昔は車や家電製品のみだったが、体制が変わってからは武器製造も始めて急激に売り上げを伸ばした。現在もその手の業績を着々と上げている。 ■ジェネラル・ネットワーク社 いわゆるネット・電脳に関するIT企業だが、同時に海外との貿易企業としての実績も高い。 独自のネットワーク技術で他の会社を押しのけ、大手ネットワーク会社としての業績を誇る。 ■大宮グループ 旧華族「大宮家」を母体とした大型多経営企業。生活用品から車・兵器に至るまで…専門的な分野は他の二社に及ばないところがあるも、その人脈の広さと経営手腕で世界に名だたる大企業へとのし上がっている。 また、裏でオカルト関係…特に超能力に対する研究も行っていて、超能力覚醒薬などの開発、人体実験なども行っている。 ■G−7th【ガーディアン−セブンス】 EGOの主力三社の共同出資で設立された表向きは警備会社、実体は三社の荒事を担う精鋭部隊である。 任務に対しては主力のエージェントを他の社員がサポートする、という形式を取っていて、エージェントはそれぞれ個別に任務を遂行することが殆ど。 エージェントは超能力者や自衛隊上がり…または特殊なスキルの持ち主で構成されている。 ちなみに、社員の殆どは普通に警備業務をするだけの一般社員である。 ●中央自治区「央京」 第1地区:繁華街、大型デパートや有名店などはここに店を構える場合が多い。 第2地区:東側住宅区、高級マンションや豪邸が並ぶ高級住宅街。 第3地区:東日本への出口がある地区。ビルが立ち並ぶオフィス街になっている。 第4地区:東側住宅区、アパートや今時の一戸建て住宅がならぶ区域。 第5地区:スラム区画、元大型自然公園の跡地。 第6地区:行政地区、市役所等の公的機関や自警団の総本部がある。 第7地区:学園地区。地区が丸々学園の敷地になっている。 第8地区:スラム区画、元々アーケード街だったが、今は夜の店が並ぶ歓楽街、南側自警団拠点がある。 第9地区:西側住宅区、昔ながらの大きな邸宅が立ち並ぶ。 第10地区:西政府側への出口、和風デザインの建物が並ぶ繁華街。 第11地区:西側住宅区、下町のような雰囲気の住宅が並ぶ。 第12地区:スラム区画、荒廃したビルが立ち並び浮浪者が住み付くスラム地区。 第13地区:スラム区画、元オフィス街でビルが立ち並んで居る。自警団の北側拠点がある。 ■区立心央学園 央京第7地区を丸々敷地に持つ巨大な学園。幼等部から大学部まで揃っており、地区内だけでも小さな都市を形成してる。 央京の学生はこの心央学園に通っているか、自宅で通信教育を受けているかのどちらかである。 ●特殊な力 溢れ出した地脈の影響で急増した特殊な力の持ち主。それをきっかけに日本は公的に特殊能力者の存在を認めることになる。 人間が持つ特殊な力は大きく分けて魔術、超能力の2種類に分かれる。 ■魔術 遥か古来から伝え続けられてきた神秘的知識から生まれた技術。魔法陣や触媒、薬などを用いて人為的な「奇跡」を引き起こす力を持つ。 あくまで技術であるので、才能の有無に関わらず学べば誰でも多少の術式を行使する事が可能なのが特徴。 魔術と大別されているものの、西洋魔術のみならず、宗教を基にした儀礼や陰陽術、シャーマニズムなど種類は多彩。 ■超能力 脳の普段使われていない部分を活性化させることで、超常的な現象を起こす能力の総称。 魔術と違い才能に依存する能力ではあるが、薬物を用いて強制的に脳を活性化させて使用する者も居る。 前準備が要らず、テレポートを始めとした他とは一線を画する能力があるが強力であるほど脳神経への負担が大きく、言ってしまえば「燃費が悪い」 無茶な行使を続けると脳神経が焼き切れて廃人化することも十分にありえる。 ●科学技術 科学技術も、「神秘」の存在の公認により大きく飛躍した。魔術を用いた科学技術・医療技術の開発が為され始めたのである。 ホムンクルス技術のクローン培養への転用、カバラを利用したロボットなど…科学ではなしえなかった部分を神秘に求めることで、その技術は格段に上昇した。 ただしそれは、魔術兵器の開発も意味する。今までに無い威力の光学兵器や魔力武装など…今までに無い危険度の化学兵器が生まれたのも事実である。 さらに、日本断層が生まれてからは科学技術そのものも格段に進歩した…一部の科学者の唐突な「閃き」により不自然に進歩した科学は、 サイボーグ・電脳に関する技術を飛躍的に高めた…一説では、それも日本断層から漏れた瘴気の影響だと言うが、真偽は定かではない。 どちらにしろ、今の時代には電脳による仮想現実やサイバーパーツが当然のように市場へと進出しているのだ。