02:43 (minamo_) 年代物じみた蔵の扉を開け、ほこりとカビの匂いのする空間へ足を踏み入れる 02:43 (minamo_) 【怜司】「さて、この中のものは自由にして良いとは言われたんですが・・・面白いものはあるんでしょうかね」 02:44 *iguru quit ("Leaving...") 02:45 (minamo_) うずたかくつもった箱を一つ一つ開け、ガラクタとそうでないものに分別していく 02:46 (minamo_) 埃にまみれながらうんざりするほどの箱を確認したあと・・・奥に大きな箱があることに気がつく。丁度人間が入る程度の大きさだろうか 02:47 (minamo_) 「おや・・・これは・・・」と、その箱に手を伸ばしてみる 02:47 (minamo_)   02:50 (ham_) 奥にあるそれは、表面を拭ってみると黒い漆塗りの箱であることがわかる。上に載ったものの所為で定かには解らないが、どうやら箱の蓋は和紙と膠で硬く封印されているようだ 02:51 (ham_) その上、半ば朽ち果ててもろけてはいるが、その箱は太い縄で幾重にも巻かれているように見える。 02:52 (ham_) この蔵にあるほかのがらくたとは、多少価値が異なるもののように見えた 02:52 (ham_)   02:54 (minamo_) 【怜司】「少し期待しても良いものでしょうかね?」 02:55 (minamo_) 上に乗っている箱を取り除き、それを広い場所へと持っていく 03:00 (minamo_) 膠の封印は年月を過ぎても未だ硬く、手で剥がそうとするが簡単にはいかず取りにくさがいらだたしい 03:02 *nick demonoma_ → demonozzz 03:05 (minamo_) 【怜司】「ああ・・・めんどくさい」別の魔獣から移植した触手を腕から伸ばし 03:05 (minamo_) 箱の隙間へとねじ込み、ベリベリと強引に膠を剥がしていく 03:07 (minamo_) 【怜司】「ふぅ・・・これでつまらないものだったら・・・ただじゃあおきません」紐をほどき、箱をそっと開ける 03:07 (minamo_)   03:09 (ham_) 蓋を開けると、中に篭っていた埃っぽい空気のにおいが一瞬鼻を突いた。 03:11 (ham_) 予想に反して、箱の中には一面綿が詰まっている。 03:11 (ham_) しかし、空気に触れて急速に劣化したのか、綿の一部がもろもろと崩れ、そこから 03:12 (ham_) 目を閉じた女性の顔がのぞくのが見えた。 03:12 (ham_)   03:16 (minamo_) 【怜司】「ん・・・人形ですか・・・ああ、そういえば彼は人形集めが趣味でしたね」 03:18 (minamo_) 人間を扱うかのようにゆっくりと優しく綿を全て取り除き、人形の全てを外へと晒す 03:20 (minamo_) 【怜司】「おや・・・あのじいさんの趣味にしてはなかなか良いものじゃあないですか」そうささやいて人形の頬をそっと撫でる 03:20 (minamo_)   03:22 (ham_) 綿の中に浮かべられるように保存してあったそれは、少女の形を模した人形だった。 03:24 (ham_) 赤い着物を纏い、黒い髪を肩のあたりで揃え、年のころは大体16か7ぐらいだろうか、どこか幼さを残す可憐な容貌が本物の人間とみまごうばかりに精緻に作りこまれている。 03:25 (ham_) 植え込まれている髪はどうやら本当の人毛のようで、驚くほど違和感が無い 03:26 (ham_) いや、手足に人形独特の継ぎ目が無ければ、一見本物の少女が眠っているとしか取れないような 03:28 (ham_) 頬を撫でると、流石に木の感触が残り、首が僅かにきしんだ音を立てて揺れた。 03:29 (ham_)   03:30 (minamo_) 【怜司】「おや・・・?動いた・・・?」 03:32 (minamo_) 中に何かの仕掛けでも入っているのか、興味を引かれ触手を継ぎ目より中に差し入れ体内を探り構造を読み取る 03:32 (minamo_)   03:42 (ham_) 触手を差し込むと、中の感触は サイズも駆動の間隔もさまざまな歯車とばね、そして奇妙に人体のそれに似通った腱や、筋繊維に構造の似た駆動器官 03:45 (ham_) できのいいからくり人形であると判断できたが、首筋から入れた触手が丁度心臓のあたり、肋骨に似た形に作られた部品の辺りを探ったとき 03:48 (ham_) 魔物から移植した器官が、そこにあった丸い…駆動にはなんの用途も果たさないと思われる部品に触れる 03:50 (ham_) その瞬間、触手から濃厚な奈落の気配が伝わり、同時に、人形に仕込まれていた数多くの歯車が一斉に回りだす 03:50 (ham_)   03:52 *nick hachi_ → hach_slp 03:53 (minamo_) 【怜司】「まさか、これは・・・!心魂機関!?いや・・・それ以上の」 03:54 (minamo_) 奈落の気配に押され一歩後じさるが、研究者としての性がその現象から目をそらすことを許さない 03:56 (minamo_) 思わぬ掘り出し物を見つけてしまったのかもしれない、歯車のかみ合うチキチキと言う音を聞きそれがただの人形に生命を吹き込んでいるのを感じ彼は口の端が歪んでしまうのを止めることはできなかった 03:56 (minamo_)   04:01 (ham_) そして、僅かな、しかし彼にとっては長い時間騒音ともいえる音が耳を打った、その後で 04:02 (ham_) 音が静まり、心臓の鼓動にも似た極小さな駆動音だけが残る 04:02 (ham_) そして、人形の指先がぴくりと動いたかと思うと 04:04 (ham_) まるでビデオを早回しにでもしたかのように、人形の関節の継ぎ目が消え、精緻に人間に似せていたとはいえ作り物の木の感触を残していた皮膚が、生気溢れた瑞々しいものへと変わる 04:06 (ham_) そして、胸元が呼吸の形に一つ大きく動いたかと思うと 04:07 (ham_) 【千代】「……」目を開き、ぼんやりと視界をめぐらせる。 04:07 (ham_) 何故ここに居るのか、何をしていたのか把握できないと言う表情で、焦点の定まらない目で蔵の中を見回して 04:07 (ham_)   04:10 (minamo_) 【怜司】「君は・・・自分が何者か分かるか?」心魂機械以外で動いている自動人形は始めてみた、その興奮を抑えきれず少しうわずった声を絞り出す 04:10 (minamo_)   04:12 (ham_) 【千代】「私……は…?」自分に声を掛けた人を見る。自分が何者か、と問われ首を傾げる。 04:13 (ham_) 自分がこれまでどこにいたのか、わからない。何をしていたのか、頭に靄が掛かったようで上手く思い出せない。 04:15 (ham_) しかし、一つ、間違いなく自分自身の中に一つの認識があると感じる 04:15 (ham_) 『自分は「誰か」の役に立つために作られたモノだ』 04:17 (ham_) その認識だけが、曖昧な感覚の中で現実感を帯びている。 04:19 (ham_) そして、その誰かが、目の前にいる人物なのだと、よくわからない感覚が告げていた 04:22 (ham_) 【千代】「私は…貴方の僕です」何者か、と問われるならそれ以外の答えを、持っていなかった 04:22 (ham_)   04:26 (minamo_) 【怜司】「ふっ・・・ふはははは」私は幸運だ「僕か!・・・そうか、ならば僕は君の主人というわけだな!」自らの幸運に笑いが抑えられない 04:27 (minamo_) ロストテクノロジーの産物が自らに従属する、ただそれだけでも素晴らしいことなのに 04:30 (minamo_) 自らの立場と力を使えば、彼女の全ての構造を解明しし尽くすことができるだろう、そう思うだけで自らの知識欲が抑えきれない 04:37 (minamo_) 【怜司】「ならば最初に聞かせてもらおうか、君の名と主人に対する忠誠の言葉を」 04:37 (minamo_)   04:40 (ham_) 【千代】「名―前…」一瞬当惑したが、すぐに 自分の名前がわかることに気づく。 04:41 (ham_) 【千代】「長谷川、千代と申します…」誰かが、昔、覚えていない昔に確かに自分をそう呼んでいた。そんな気がした。 04:44 (ham_) 【千代】「この身を掛けて、お仕えさせていただきます」横たわっていた床から立ち上がると、主人の…主人であったのか、主人となったのか、彼女にはよく解らなかったが…元まで進み出ると、足元に跪いて 04:44 (ham_)   04:46 *Radiowave quit ("Leaving...") 04:52 (minamo_) 【怜司】「千代か、良い名前だ。僕の名は由良、由良怜司だ」 04:57 (minamo_) 【怜司】「君が何ができるのかはまだ知らないが・・・君の生きる意味、僕が与えてやろう」 05:00 (minamo_) 【怜司】「君の歯車が止まり動かなくなるまで僕に使えるが良い」そう言って白衣を翻す、素晴らしい研究素材を手に入れたのだこんな蔵にもう用はない部下にでもやらせておけばいいだろう 05:02 (minamo_) 【怜司】「着いてこい、君の新しい家に連れて行ってやる」 05:02 (minamo_)   05:05 (ham_) 【千代】「承知いたしました…怜司、様」立ち上がりその後を追う。全てがあまりにも曖昧模糊としていたが、主にさえ従っていれば問題ない、そんな思いが彼女を勇気付ける。 05:05 (ham_) それが絆であるのか、エゴであるのか、彼女自身はいまだ気づくこともなく…… 05:06 (ham_)   05:07 (minamo_) Fin〜〜〜