21:43 rouge >長い一日が終わった。 21:43 rouge >王城の窓の廊下から庭を眺める。  静かな月明かりに小奇麗に整えられた庭園が照らされる姿が見て取れる。 21:43 rouge >そういえば、庭に下りることなど久しくなかったな。 そんな事を考えながら窓から視線を離す。 21:43 rouge >  21:43 rouge >夜明けと共に戦が始まり、夕暮れ前に戦いは終わった。 21:43 rouge >此度のメルガ平原での戦いは、これまでにない規模のものとなった。 21:43 rouge >犠牲も少なくない。 何十体もの飛龍が死亡、その乗り手たちも帰らぬ人となった。 21:44 rouge >4機しかないフォースメイルの1機が中破。 修復には多大な時間を要するだろう。 21:44 rouge >  21:44 rouge >切り札であるフェイムツェールとフェインナルドの両機は無事だ。 21:44 rouge >パイロットであるフェルミザアーミィ=ランブレイは今、死んだように休息を取っている。  21:44 rouge >アルメリア=リーフェントにしても、平静を装ってはいるもののいまだ病みあがりなのは隠しきれていない。 21:44 rouge >  21:44 rouge >兵達を労い、客人であり英雄である彼らの宿を整えさせる指示をして、様々な報告に耳を通す。 21:44 rouge >……そんな事をやっていれば、このような時間だ。 21:44 rouge >  21:44 rouge >【シンセシア】「………はぁ。」 21:44 rouge >人の居る前では絶対似つかないようなため息を、ついた。 21:44 rouge >……何もかもが、ぼろぼろだ。 21:44 rouge >運命がこの国に味方することがなければおそらく、今頃はこの城にエスフィリスの旗が建てられていた事であろう。 21:44 rouge >スリーエース。  彼らが、この国に味方することがなければ。 ……そんな、奇跡みたいなことが起こらなければ。 21:44 rouge >  21:44 rouge >【シンセシア】「………」 21:44 rouge >今は、眠ろう。 眠気は訪れては居ないけれど、明日もまだ……やらなければならないことがある。 21:44 rouge >寝所への廊下を歩き始めた時、不意に視界がぐらついた。 21:54 hikami0 >大規模の合戦……そう何度も経験した事では、ない。 21:54 hikami0 >そもそもが、単一戦力の“サイズ”が文字通り違うのだから……勝手が判らない、と言う意味では初陣にも近い物があった。 21:54 hikami0 >策敵も、斥候も、陽動も……その流儀が変われば用兵も変わる、と言うのを実感できた分、皮肉な事だが……実のある戦だったのは確かだろう。 21:54 hikami0 >結果としても先方の撤退、十全では無くとも満足の行く戦果は上げられた。 21:54 hikami0 >こちらの主力フォースメイル2機を護ったまま、敵方の将クラスのフォースメイル3機を中破、撤退に追い込む事が出来たのだから。 21:54 hikami0 >最も、軽微、とは言い難い被害は互いに、出ている―――……持ち直せるか? 21:54 hikami0 >判らない、と言うのが正直な感想、だった。 21:54 hikami0 >となれば…………そろそろ、陛下には明かしておくべき、だろう、エスフィリスとの“邂逅”の話を。 21:54 hikami0 >そう思い、時間を請うべく謁見の間へと向かう。 21:54 hikami0 >その道中…… 21:54 hikami0 >【 カルミア 】「っ…………!」 21:54 hikami0 >たん、と、王城の廊下に響く鋭い踏み込みの、音。 21:54 hikami0 >丁度角を曲がった所で見えた、傾ぐ女王の体…………危急を悟り身を走らせ、彼女の身を軽く抱きとめた。 21:54 hikami0 >【 カルミア 】「……間に合った、と言うか、良いタイミングと言うか……ご気分が優れませんか?シンセシア女王陛下」 21:54 hikami0 >問う言葉は間近、腕に感じる重みを悟り、ほぅ、と、小さく安堵の吐息を零した。 22:00 rouge >【シンセシア】「ぇ……あ……。」                  一瞬、意識が途切れていたらしい。 目の前のカルミアを確かめるように見詰めると、                  「………すみません。 少し、気が緩んでしまったようです。」                  苦笑いのような表情で、言葉を発した。 22:04 hikami0 >【 カルミア 】「……無理もありません。立てますか?」                 非力、とは言っても剣を震える程度の膂力は、ある。……女性一人をこうして支える程度ならば、そう苦でもないのだ。                 最も……抱きかかえろ、と言われたら流石に無理があるかもしれないが                「私達は来訪からの短時間、電撃戦ではありましたけれど、陛下は……―――エスフィリスの進行開始時から、ろくに休めて無いと思いますし。                 一安心して一気に疲れが出たとしても不思議ではありませんもの。偶然、とは言え通りがかって良かったです」 22:11 rouge >【シンセシア】「ええ……大丈夫です。 ご迷惑をおかけします。」                  支えられてふらふらと立ち上がると、ゆっくりとカルミアの手を離し、再び自身の力で立ち。                  「それでも、情けないものです、この程度で音を上げていては。 他のものには、内緒にしておいてくださいませね。」                 少し困った表情を続けながら。 22:15 hikami0 >【 カルミア 】「この程度なら、迷惑でもなんでもありませんよ、陛下。……偶然通りかかっただけですし、そもそも……」                軽く支えながら、立てる、のを確認し……                「断り無く、陛下のお体に触れてしまいましたから。……内緒はお相子、と言う事で」                そう、困り顔に向けるは軽い、悪戯げな笑み。ほんの少しだけ“猫”を外し、素の悪戯を覗かせた                「しかし……ちょっとお話を、とも思いましたが……休んで頂く方が先決、かもしれませんね。……勝利を、と、喜べる状況―――とまでは行かないでしょうし」 22:20 rouge >【シンセシア】「私に、そこまで気を使ってくださらなくても、結構ですよ。 あなたたちスリーエースは、ランブレイに属するものではない。                 あなた達と私は、同じ立場の人間。 そう、考えていますから。」                 その笑みに向けて、小さくうなずいて。 そんな気遣いは無用、というばかりに。                  「話、ですか? 私に…?  ……構いませんよ。 丁度、眠れないところです。 此方から、お願いしてもよろしいですか、カルミアさん?」 22:25 hikami0 >【 カルミア 】「……とは言えど、王族は王族、この地に居る間はきちんと立場を弁えねば、と。……一応私も、エルスゴーラ……異世界では王族の立場にありましたので、そう言う訓えは、かなり」                 そう、帝王学やら、王宮作法やらと……恐らくはどこもが通る道。軽く眉を潜め、そんな言葉を漏らす。とん、と、半歩。                 ……身を外し、それでも何かあれば動けるようにと視線は相手の肩口の辺りに向いていた                「そう言う事でしたら喜んで、陛下。それと……カルミア、で良いです。さん、付けはちょっと、くすぐったいですから」 22:32 rouge >【シンセシア】「今、この場には私とカルミアしか居ませんよ。 …………どうも、いけませんね。  言っていることは、あなたのほうが正しいというのに。」                 すっくと姿勢をただし、カルミアの横を通り過ぎる。                 「廊下で話というのもなんです。 部屋へ参りましょう。」 22:35 hikami0 >【 カルミア 】「……―――王族、の枷、やっぱり重いですか?」                浮かべるのは苦笑、そう……                「……私も同感です。実際、私も故郷に居た時は年中がこの喋り方を強制されてたに等しいですから。……正直、肩が凝りました」                そんな戯れの響きと共に相手より半歩遅れ、歩みを進める。                「ええ、陛下が宜しければ、是非。……立ち話にできる話題でもありませんし、そもそも、立ち話を強いては陛下の疲れも取れそうにありませんから」 22:40 rouge >【シンセシア】「どうでしょうね。  覚悟は、出来ていましたよ。」                  同じ王族、ということもあるのか、そう答える言葉には、感情が混じっていた。 わずかな疲労。                 「ここまで速いとは…思いませんでしたけれど。」                  廊下の先にあった一つの部屋。 シンセシアの私室の隣にある、小さな書庫。  幾つかの本棚と、大きな机と3つの椅子。  そんな部屋の扉を開いて。 22:42 hikami0 >【 カルミア 】「……心中は、お察しします。正直私も……エスフィリスがこれだけ速攻をかけてくる、とは思いもよりませんでしたし。……お邪魔します」                そう、短い言葉と共に部屋の扉を潜る。……くるりと、先ずは視線を惑わせる―――異常の有無、を確かめる自衛本能。もはや、癖、ともなっていた 22:46 rouge >【シンセシア】「少し、埃が溜まっているかもしれませんが、そこはご容赦ください。」                  言葉とは裏腹に、最低限の掃除はされているようだったが。 掃除以外に人の出入りがなかったような、そんな生活臭のなさがあった。                  「ああ…いえ。 エスフィリスのことではなくて。  …私が、一国の顔になる、という事態の事ですよ。」 22:49 hikami0 >【 カルミア 】「ん……此処は普段、使って居ない場所……と言う事、でしょうか?」                そう、感じるのは静謐な空気。強いて言えば……人の香りよりも、書物の香りの方が強い。―――そんな、雰囲気。嫌いではない、寧ろ……こんな気分の時には、落ち着く、かもしれない                「ああ……―――深入りした事をお伺いしますが……シンセシア陛下の即位は……急なもの、だったのでしょうか?」                早い、と聞いて……勘違いしていた。継承が“早まる”事は基本的に、凶事に関する場合が多い訳で…… 22:55 rouge >【シンセシア】「昔は、読書が趣味で。 父に部屋を貰ってからは、好きな本を集めていました。」                  多趣味だったのだろう、集められている本は、取り留めのないジャンルのものだった。 辞書から、術式本、娯楽小説様々なもの。                 「その父が他界したのは……6年前になりますか。  …病死でした。 とはいっても、徐々に悪くなって言ったのではなく、流行病に倒れての急逝でしたが。」 22:59 hikami0 >【 カルミア 】「成る程……読書趣味、でしたら―――まだ先王様も安心だったのでは無いですか?」                幾つかは読めるが、幾つかは読めない文字。……テラの文字を習い覚え始めた所、ある程度不都合の無い程度には習得できていたが……まだ、時々怪しい。その知識レベルでも、その広範な様子は見て取れる。                「私とは大違いですね。……私は、寧ろ心配させるような趣味ばかりでしたから、良く叱られてました」                そんな言葉、軽く口元を歪めての自嘲。最も、続く言葉には軽く、目を伏せた                「…………と、なると……心の準備の暇も無さそう、ですね。」 23:04 rouge >【シンセシア】「カルミアは、フェルミィと同じく外に興味を持つタイプだったのかもしれませんね。 あの子も、何度もお城を抜け出そうとしては、小言を貰っていましたっけ。」                 遠くを見るような仕草、何かを懐かしむように。                  「カルミアは、今、幾つになりますか?  ……6年前、私は20になったばかりでした。 右も左も分からない、そんな子供の。」 23:10 hikami0 >【 カルミア 】「……と、言うよりも……こっち、ですね」                 そう、指を指すのは腰に帯びた剣                「私たちの世界は、言わば全ての民が“神の尖兵”を名誉とする様な世界でしたから。……王宮暮らしの姫暮らしよりも、戦中に立って武勲を挙げられる戦士に。                 ……そんな理想で、困らせてました。結局は神に候補者として選んで頂いたので―――今度は逆に姫騎士としての私が重宝されるようになりました、ね。                 ……もっとも、真正面に立って敵の刃を受け止める行為を好む所までは流石の父様も予想外だった様子ですけれど」                 同時に、それ、に適正を持っていた事にも、かもしれない。……そういえば最近、あの頃と同じような雰囲気を感じは、していた                「今は……17歳、ですね。当時で私よりも三つ上、とはいえ……三年後に王位を継げ、などと言われても私も困ってしまいますね。                  ……それで今、となると―――やはり、休むに休めないでしょうね。少しでも軽減出来れば、とは思いますが……」                妙案、は……無い。 23:18 rouge >【シンセシア】「神の尖兵……ですか。  鋼騎、ものすごい力です。」                 世界全体に闘争が広がっている…のだろうか。 此方…テラでの神は、伝承だけのものであり、信仰の対象でしかない。 神、たる存在が直に介入してくることはない。そのようなものは…居ないのだから。                 「その心配は、判る気がしますね。 私達は、けして倒れてはいけない存在。 本来なら、戦場にではしても、本陣から動くようなものでもない。」                 だが、苦笑い。 フェルミィを戦場に出しているのは、自分だ。                  「17ですか。 私とは一回り違うことになるのですね、それならば。」 23:23 hikami0 >【 カルミア 】「ええ。鋼騎は、私達の世界での主力兵器ですから。……それこそ、テラの地におけるフォースメイルの様に。―――幸いにして聖石は産出困難な事を除けば太古の鉱石、神に授けられた力の一端。                 ……扱うのも、少しは気楽です。フォースメイルを相手にする度に―――……エルダーの事を思って、少し心が痛みます」                それは、事実。今日も幾多、崩れたフォースメイルを見てきた。……つまり、それだけの命が“過去に失われていた”証なのだから                「敵弾から庇って貰うのが本来で、自陣の騎士を背後に最前線で自分の機体を弾痕塗れにしますからね、私は。……良く、苦い顔をされました。」                戯れにと零す、昔の思い出。今となっては……―――いや、最近、された、か。……思い返し、とくん、と、鼓動が一つ。その意味は、まだ、自覚に遠い                「……ああ、そう、なりますか。―――……失礼、こう言ったら酷い話しですけれど、今の今まで、そう離れて居ないと思ってました。」 23:30 rouge >【シンセシア】「中々、無茶もしてきたようですね、カルミアは。 似たことをする身内がいるせいか、どう言っていいかは……悩みますが。」                 自身の金の髪に触れながら、そっとティアラを外す。                 「……歪な兵器でしょう、あれは。  ……二重三重の苦しみを、痛みを振りまく。」                 フォースメイルのこととなると、目を伏せて。 彼女の額にある、赤い宝玉。 エルダーである、ということの証。                   「ふふ、どちらの意味にとっていいのかしら。 ここは、いい意味で取っておきますね。」 23:37 hikami0 >【 カルミア 】「これでも、戦士、ですから?シンセシア女王陛下の若さは、勿論、良い方、ですよ?……寧ろ、一回りとなると私の兄様の方が年下になりますけれど、兄様の方が随分年上、と言う気がしますし」                そう、軽く笑みを浮かべ……それでも、直ぐに、その笑みすら潜められる。……それほど、フォースメイルの事は軽い存在、だとは思って居なかった。                「……色々と迷った末に、ご報告してなかった事が、一件。                 実は―――……エスフィリスの大統領と、会食の機会が以前ありました。此方に初めて伺った時と同様、ゲートの事故によるもの、でしたが。……AAAの数名、一度エスフィリスの大地を踏んでます。勿論、私も」                そこで、一度言葉を区切り……                「それで少し迷いを持った者も居る、と言うのは事実です。エスフィリス大統領の掲げるプロバガンダは、人道的ではありませんが耳障りは良い物、でしたから」 23:45 rouge >【シンセシア】「これでも、女性ではありますからね。 そういってもらえるのは、嬉しいです。」                 瞳を閉じて、口元に笑みを浮かべて。                 「兄ですか……。」                  そこでまた、何かが引っかかったような表情。 だが、直ぐに振り切り、話を戻す。                  「………フィオン=アスティア=エスフィリス。  …彼と、出会いましたか。  ………あなた個人は、彼を見てどう感じましたか?」 23:51 hikami0 >【 カルミア 】「魅力的、だと思いますよ?……姉妹そろって美人、ランブレイの民は幸せだと思います。実際……旗頭が“美姫”と言うのは、士気を鼓舞しやすいらしいですから。……ん……?」                その、些細な引っ掛かり。踏み込むべきか……そう悩むも今は、踏み込まぬままに居て                「―――……率直に言えば偽善者、ですね。偽悪者、の方が相応しいかもしれませんが…………アジテーションと鼓舞、扇動、そんな辺りのポジションは随分な巧者だろう、と。                 ……それだけに真意が探り辛く、やり辛い相手、とも、言えますか。……好感は、余り持てませんね。外交上は兎も角―――プライベートでご一緒するなら、陛下との方が何倍も楽しい時間を過ごせそうです」 00:00 rouge >【シンセシア】「そんなものでしょうか。 そのあたりは、余り考えませんでしたね。」                どちらかというと、必死であったことが多くて。                 「いえ、私にも兄が居た。 という、それだけの話です。」                 カルミアの向けた視線に、そう答えて。                 「………偽善者…ですか。」                 その言葉を聞いてから、椅子に身を沈ませて、眼を閉じて深く瞑目する。                  「………私にとっても、いたい言葉ですね。 それでも、カルミアは私のことをそう評価してくれる。  …難しいものですね。」 00:08 hikami0 >【 カルミア 】「でなければ、私が前線を赦される事も無かったと思いますし。                 ……うちの国は、私が今扱っている鋼騎が“量産型”……つまり、あのぐらいのレベルの物が騎士団の制式品、ノンカスタム、に近い程度には量産機、ですから。                 ……私の本来求められた役割はそういうマスコット。……見事に、裏切ってますけど」                そう、軽い笑みを浮かべ、言葉を返す。ふざけた様な調子……事実、今まで此処で取ってきた戦法も最前線、敵弾に自らを“壁”として晒しているのだから。                「……私は、エルダーも“人”だと思っています。…………大多数を生かすために少数民族を生贄に。―――そう放言するエスフィリス側の主張は一面では正しくても、その実、自分達人間が可愛いだけ、だと思ってますから。                 ……エスフィリスの側には、私の故郷の技術者、鋼騎のメカニックも在籍している様子ですから。……人命を奪わぬ、歩兵でも、フォースメイルでもない、第三の抑止力を共に模索する。                 ―――そんな方策を採る事も出来た筈です。そういう意味では、エルダーを庇護しようとなさってる陛下の主張の方が、私としては、んー…………」                何と表現したものか。……浮かぶのは、エルシアの、あの笑み。                「……スキ、ですね。護り甲斐は、あります」 00:16 rouge >【シンセシア】「………優しいのですね、カルミアは。 きっと、皆があなたのような優しさを、他者を護ることを考えることが出来る強さを持っていたなら、この世界にどのようなことがおこっても、乗り越えていけるのでしょうね。」                 その言葉を聴き、小さく頷く。 真っ直ぐな言葉。 久しぶりのような気がした、優しい人の言葉をきいたのは。                  「でも、その強さは、心は、誰もが持てるわけではありません。 ……ですが、私の目指す場所も間違いなく、そこにあります。                 自らがエルダーであるから護りたい、というのではなく。 この世界に生きる命の一つとして、エルダーも、護っていきたい。」 00:21 hikami0 >【 カルミア 】「……優しいんじゃなくて、私こそ偽善者、なだけですよ。ただ……」                とん、と、軽く、背を書架へと付ける。……目にしたエスフィリスの技術、幾種もの世界が混ざり合った、文明。……まるで、今の自分達に近い                「……エスフィリスは、それ単体で私たちスリーエースと同じく“可能性”を幾種も持っていました。                 鋼騎だけでなく、エルフレアの技術も、ウィザードの存在も……ランブレイにも私たちは協力者として介入していますけれど、エスフィリスは国家中枢に抱えて居ます。                 ……ならばこそ、余計に―――勿体無い、と思うんです。これが、一番私がエスフィリスに賛同できない理由で…………不利、と判っていてもご自身の理想を掲げる貴女に味方をしたいと思う理由です、陛下。                 ……一つの命、一人の存在。…………エルダーも、私達も、変わりなく等しい“種”だという事は実感していますから。―――でき得る限りの協力と、お節介。                 ………まだ、続けさせて頂きますよ?私の友人も、この世界に―――この世界の“ともだち”の事を凄く心配していましたから」 00:31 rouge >【シンセシア】「なるほど…。 カルミアは、信じているのですね、勝利を。  いえ、自らが、何かを為せる、ということを。」                  エスフィリスへの憤り、それは、やれるかもしれないのに、安易な方法に走っている事だ、と、目の前の…一回りは下の少女が告げてみせた。                  「…………私は、正直なところを話せば、何処か諦めかけていた。 ……もう限界だ、と。 これ以上、抗えない、と。 どう生き残るかを…考えていた。                 ………でもそうじゃない、為さねばならないことは何か。 それを、ひとときたりとも、忘れてはいけない。」 00:36 hikami0 >【 カルミア 】「信じるものは、なんとやら、と言うか……自分の事を信じれない者に“勝利”なんて、遠い話しだと思っていますから。それに、こっちには告死天使の加護もありますし?」                 そう、先程の“友人”を思い返し……今頃、やっぱり“ともだち”の事を案じているのだろうな、なんて思い。                 ……寧ろ、今頃は一人になったのを良い事にフェルミィ王女の所に行ってる可能性もある、か。……内心思い、楽しげに笑みを零した                「危うい戦況なのは、否定しません。ですが……出来得る限りの助力はします、陛下。いえ。……個人的にも、この国の主張に勝利を願っています。                 ―――エスフィリスにも引き抜きのお誘い貰いましたが、今日ので盛大に蹴りましたし。流石にあれだけやって、まだ引き抜きかけようって程、無謀な事はしないでしょうし」 00:43 rouge >【シンセシア】「神の次は天使、ですか。  中々、バリエーション豊かで頼もしいですね。」                 その笑みにつられてか、こちらも思わず、笑みがこぼれた。                 「ありがとう、カルミア。 ……力を、分けてもらったような気がします。 …この戦いを乗り切り、新たな道を見出す。                 その為には、感傷に浸っている暇などありませんね。 ……一緒に歩んでもらえますか?」 00:49 hikami0 >【 カルミア 】「ええ、私が神の尖兵、ヴァルツァが告死の使徒…………卓越した守護術士のリディに、規格外の槍兵のクード。……フォースメイルにより近いサイズ、と言う意味では敏腕剣士のクリスも、ですかね。                 ―――未だ此方の任務には就いてませんけど、私の従者もAAAには控えてます。陛下をほんの少しだけでも軽減できるだけのメンバーは揃っていると思いますよ?                 ……感傷に浸って、自分の感情を見つめる時間も必要です。―――勿論、喜んで。私のグランデが戦場で陛下のお役に立てるのであれば。……欲を言えば……」                 こほん、と、一つ、咳払い。―――にぃ、と、悪戯げな笑みを、浮かべて                「……あたしが、シンセシア女王陛下の“感傷”の聞き手になって、精神的なケアも出来れば言う事なし、ってトコ―――…………ですけど、ね」                 途中まで、猫、を剥いで見た。―――直前までとのトーンとの違和感が我ながら強かったのか……後半は、元の口調に戻っていた。 00:58 rouge >【シンセシア】「どれだけの切欠と出来事があって、それだけの方々が一同に集まることになったのか、実に興味深いですね。 勿論、あなたの従者にも。                  カルミアの従者であれば、さぞ立派な騎士殿なのでしょう。」                  身体に感じた疲れは心なしか、軽くなっているように感じていた。 気持ち一つで、ここまで違うものなのか、と、思う。                 「このような場です。 陛下は、いりませんよ。  同じ人間として、言葉を交わしてもらえたほうが、より、言葉の吐き出しどころとしては…いいと思いませんか?」                 その様子に、くすりと笑う。 年頃の娘らしい、活発なところが見えた気がして。 01:03 hikami0 >【 カルミア 】「…………いや、ええ、と、その―――……ただの側仕え、なんですよね、イオ」                そう、何か気まずげに視線を反らす。……そろそろ、そのポジションも不味いのでは無いか、とも思い始めている―――戦力的にも、個人的にも、だ                「同じ神に仕える者、として言えば立派な戦士になってくれたとは、思っていますけど」                そう、少し誤魔化すような言葉。……騎士、ですら無い者を頼る王族、と言うのも……体面的にだけ言えば少しだけ、格好がつかない気が、した                「……では、シンセシア。……て、事で。……あたしは、元々、こーゆー方が素、なんです。御転婆で跳ね返り、見た目に合わせる為におしとやかっぽくしてるだけ。                 お神輿役の外交癖って奴です。―――じゃ、シンセシア。……悩みとか、迷いとか。……どんな愚痴でも聞きますよ。出来るだけ救えるように、エルダー全体を救う重責、って。                 ……一人で背負うには、ちょっとばかり重すぎますから」 01:12 rouge >【シンセシア】「……それはまた…。」                 騎士でもないものが、戦闘も出来る、と信頼されている…のは、中々彼女にも事情があるのではないか、という事をうかがわせてくれる。                 「でも、カルミア。 今のほうが生き生きしてますね、なんだか……妹がもう1人出来たような。」                 そっと、自身の額に触れながら。 目を細めて。                 「大丈夫、今は愚痴より……明るい話を聞きたいですね。 こうして話しているだけで、力を分けてもらえるんです。 あなたたちのことを何でもいい、教えてくれませんか?」 01:17 hikami0 >【 カルミア 】「妹……―――」                 ああ、確かに歳の差、と言う意味ではそうなるか。……フェルミィ達の方が自分達とは年齢が近かった筈。……久しく聞かなかった評価に、不意に頬が緩んで居た                「あはは、そりゃそーです、あたしは、元々が世話を焼かせるぐらいには跳ねっ返りが強いタイプですから?―――じゃあ、そーですね、明るい話し……」                 思い浮かぶのは……もう一人、テラに同行した狼少女。……寧ろ、犬、っぽい気がするのだが、きっと禁句                「……大きな熊さんが屋台を引いて、その屋台を食い尽くそうとして―――なんて、可愛い子の話しとか、どうですか?」                 そう、彼女と初めて出会ったのはあの子達……騒がしくも姦しく、ソレでいて頼もしい双子の工房。                 …………あの時も巨体に向かって平然と飛び乗っていたか、野性味溢れる魅力と愛らしさ、そんな情景を思い浮かべつつ―――……暫し、迷宮街にて起こった“異界の交わり”による思い出話を語る。                 ……異なった民族、異なった文化。……それでも手を取り合い、笑い逢える、そんな“現実”を共有してもらおうと―――……