【 翔子  】「それーっ! スピニングバードキックッ! …って言うんだっけ…?」 月衣による飛行状態。それを利用しつつ、逆立ち状態での空中前進旋風脚。 両足を大きく広げ、紅い靴が鋭い軌跡を描く。   スパッツを履いたラフな格好。練習の時まで、あのちょっと恥ずかしい制服姿になる必要は無い…と想う。   【 翔子  】「これなら…、高いところにも届く…? でも…、結構、疲れちゃうなぁっ!」 くるっと回って着地。その後、大きく息を付いて。月衣飛行による精神疲労を感じる。 まだ慣れてない事もあり…、また、どれだけ慣れたとしても、魔法力を使う事に変わりは無い。汗を掻き、呼吸が荒くなる。   【 翔子  】「でも、理緒ちゃんや精花君の話によると、でっかい敵なんかとも戦わないとみたいだし…、何とか対策しなきゃだよね…。んしょ…っ」 地面に手を付き、逆立ちの姿勢を取る。一人で考え事をする時の癖のようなもの。 普通の人には、大変な姿勢だが、翔子にとってはリラックス出来る体勢だったりする。 逆さまに見える青い空には、地球のそれと変わらない雲がゆったりと流れる。   AAAメンバーに加わる事を決めて、約一週間。翔子は自分の戦い方に付いて、頭を悩ませていた。そんな日の、お話。   【セルヴィス】「やれやれ……試験飛行はこんなもん、か……?」悩む翔子の眺める頭上、大型の刀剣タイプの箒にまたがって箒の調整をするセルヴィスの姿 【 翔子  】「ん…っ、あれ…。あれ、なんだっけ? 鳥だ、飛行機だー、とか言っちゃう…?」頭上…と言うか逆立ちなので下だけど、を見上げる。なんか変なのが飛んでる。「ねぇねぇっ! そこの人、それなぁにーっ!?」兎に角、離し掛けてみて。日本語は通じるかな…? 【セルヴィス】「ああ?今、呼ばれた……か?」上空を行く箒が突然停止、その上の男がきょろきょろとあたりを見渡して声のもとを探す。「……ああ、呼んだか?」ふわり、とゆっくり箒もろともに舞い降りていく 【 翔子  】「あっ、降りて来た。何だか、凄い飛行機…?」このサイズでホバリング機動とか、凄いなぁ…、と想いながら見上げる少女。ただ今、逆立ち中。 【セルヴィス】「何って、お前……マジか?」さすがに驚愕の表情。「箒を知らないって、どんなだよ?ウィザードの必須装備っても過言じゃねぇぞ?」 【 翔子  】「むむ…っ、そ、そうなのっ? え〜っとね、わたし、まだ此処に来たばっかりだから、良く判んなく…ってっ!」驚かれ困ったような表情。とりあえず、勢いを付けてバク転。逆立ち状態を中断しつつ。少しは揺れる位のプロポーション。 【セルヴィス】「教えてくれ、っつわれても……まぁ、みての通りだがなぁ」月衣から取り出した別の箒を手渡す。「ウィザードの基本装備、だぞ?形はそれこそいろいろあるけどな」剣、盾、銃様々な箒を指し示す 【 翔子  】「あっ、わっ、こんなにっ!? 凄いねっ? 月衣の扱いも上手みたいだしっ!」出て来た様々を珍しそうに眺める。「触って良いの…? 基本なんだぁ…」そぉっと手を伸ばして。忙しなく動く顔に、おっきなリボンが揺れる。 【セルヴィス】「ああ、まぁ、かまわんけどな」物珍しそうに箒に触る様子を、さらに珍しそうに見つめる。「自律型箒とかもあるし、結構いろいろあるぜ?拡張パーツも豊富だし、な」 【 翔子  】「自律型…? 勝手に動いちゃう箒? お掃除便利そうだねっ?」などなどと、まだ箒と言う名称にも慣れてないのか、掃除用具を想い出したりしつつ。「おっきいねー。こう言うの、振れる様になるべきかなぁ?」んしょ…っ! 剣型の箒を振ってみたりしつつ。 【セルヴィス】「いや、別に箒っつっても掃除するもんじゃねぇぞ?まぁ、掃除できるようにするオプションパーツもあるけどな」とんとん、とメタルサーフィスに内蔵してあるバリア発生装置を叩く。「使えるとまぁ、便利だぞ。武器としても強いし、な。有名どころのメーカーだと、アンブラとかか?」 【 翔子  】「Umbra…? そうなんだぁ。家庭用品のブランド…じゃないよね」同じ名前のカナダのブランドを想い出したりしながら、その良く判らないバリア発生装置とやらを、じーっと見詰める。先程まで運動してた女の子の汗の香りが芳しく。「わたしにも、使えるかなぁ…?」ひょこっと、顔上げて。 【セルヴィス】「ん……さて、どうだかな。俺は逆にあんまり一般社会しらねぇし」ふわりと漂ってきた香りに思わずどきり、として「使うのはまぁ、そう難しくはないぞ?一応俺も製造・調整なんかもできるし、な」 【 翔子  】「あ、そか。こっちじゃ、Umbraとか無いよねっ」あはは、と失敗失敗、と言う感じで舌を出し笑って。「そっかー。作ったりとかも出来るんだ…? わたしに扱えそうなのって、何かあるかなっ?」と、まだ何が出来るかも説明してないが、そんな事聴いてみたり。興味津々。 【セルヴィス】「ん、ん〜……っわれてもな。どんな戦い方してるのかもしらんと、何とも言えんしなぁ」ごそごそと月衣を開くと、その先には微かに工房のようなものが見える。「とりあえず、パンフレットでも見るか?一目ぼれした箒が愛用になる、ってのもまぁ、あるしな」 【 翔子  】「あ、うん。見る見るっ! わたしの戦い方を魅せるのと、どっちが先が良いかな…?」パンフレットに頷きつつ。 【セルヴィス】「まぁ、とりあえず見てみろ。気になったのあったら教えてくれ」はらり、とページをめくり 【 翔子  】「あ、はーい! ありがとうございますっ」ぺこり、頭を下げつつ、恭しく受け取り。「あ、わたしは、逆巻 翔子。宜しくお願いしますねっ」自己紹介しながらに、パンフレット眺め眺め。 【セルヴィス】「ん、ああ。セルヴィス=マークラント、だ。一応箒屋やってるんで、な」 【 翔子  】「箒屋さん。あ、こっちのだよねっ?」また、箒を想い浮かべた頭を可笑しそうに振りつつ。「セルヴィスさん…ですね? 箒…かぁ。何だか、サーフボードみたいだね?」浮揚してる図面とかを眺めながら、そんな感想を述べて。 【セルヴィス】「ん、ああ。サーフボード型なんてのもあるけどな」そんなことを言いながら、もう一枚のチラシをわたす。「一応そこでやってるから、まぁ、持っとけ」 【 翔子  】「あ、お店の場所っ? うん、ありがとっ! あ、こう言うの、格好良いなぁ…」チラシ受け取りながら、めくった先の1枚。刃が地面と水平に設置されたタイプのウィッチブレードを指差し。 【セルヴィス】「ん、ああ。……ウィッチブレード、だな」写真を確認するとその横にあるスペック解説を眺めて「ベーシックだけどいい箒、だな。多少の調整なら、こっちで持つ御?」 【 翔子  】「あ、うん。でも、何だか、結構するよね…?」生家は名門だったけど、今は頼る事は出来ない。お金に付いては、しっかり考えてかなきゃ…。「ちゃんと使えるものかどうか、見てみたいかも…?」と、先程、調整してた箒をちらちら見たりしつつ、兎に角、試乗してみたそうにする。 【セルヴィス】「ん、そりゃまぁ、な」値段の当たりを指さして見せる。「試乗したいなら、してみるか?調整中のなら、確かあったと思う毛ど、な」 【 翔子  】「あ、うん。お願いしますっ! 1回、此処のキュリオさんって言う凄い人と訓練して、それで褒賞が出るって聴いたから、それで買える様になるかもっ?」うんうん、是非是非っ!と頷く。具体的には経験値入ったので伝家の宝刀が取れる、と言う事を言いつつv 【セルヴィス】「ん、ああ……っと、これでいいか?」とりだしたのは未調整のウィッチブレード、この後調整の為に乗ってみようと思っていたもの。「このタイプ、だな?とりあえず基本はここに座る、だな。飛ぶときは」 【 翔子  】「うん、うんっ。座るの…? こう…?」言われた通りにしてみる。短くぴっちりしたスパッツ姿で跨って。ちょこりんっとな。 【セルヴィス】「飛び上がるのは……ん〜、プラーナを注ぎこむ感じ、だな?わかるか?」 【 翔子  】「あ、はーい。プラーナ…こうかな…?」紅い靴をぶらぶらさせつつ、プラーナを込めるイメージ。ん〜っと、力込めて…。「うっきゃぁ〜っ!?」ドン…っ! なかなか高い素質を持ってはいるのか…、加減を知らないだけか、一気に上空高く飛び上がっちゃう。 【セルヴィス】「っと、大丈夫か?いきなり流し込みすぎ、だ。もっとこう、自然な感じで大丈夫だぞ?」あわてて飛行して追いかけると、横を並走して飛びながら声をかけて 【 翔子  】「し、自然な感じ…って。わたた、きゃん…っ!?」ふらふらと暴走。バランスを崩して振り落とされそうになるっ! と、そこでっ、「わわ…っ、っとぉっ!?」持ち手を掴みつつ、逆立ち姿勢に。重心を立て直しつつ、飛行安定っ 【セルヴィス】「そうそう、んな感じだ。無理に力まないで、自転車とか乗る感覚でいればいい」バランスを崩す度にあわててそちら側に回り込んで落ちないように支える。「あとは、軽く前に重心を傾けてみな?」 【 翔子  】「あ、うん。自転車…だね…? そう言えば、ミナセちゃんの走らせる自転車の後ろにこうやって乗った事があったなぁ…」と言うと、逆立ちのままで、爪先を揃えて、重心バランスを取る。流石のセルヴィスも見たことが無いかもな姿勢で飛び始めて。 【セルヴィス】「………」あんぐりと口を開けて放心状態「なんつーか、みた事ない飛び方だな……」 【 翔子  】「あはっ、そう…? 確かに…、普通の人はお前みたいな事しないって良く言われるよっ」あははっと、楽しそうに笑いながら、くるっと箒の上で手の位置を入れ替え回って魅せたりする。「でもね、これ良いかもっ!? さっき聴かれたわたしの戦い方だけど…、これだからっ!」 【セルヴィス】「まぁ、ウィザードそれぞれの戦い方があるだろうけど、な」やれやれ、と嘆息して「しかしそうすると、結構調整が多そうだぞ、さすがに」 【 翔子  】「ん、そうなのっ? 難しい…っ?」尋ねながらに証拠とばかり。両脚を広げてくるくると。箒を足場(手場?)にしての回転蹴り。紅い靴がプラーナの輝きを描き、形の良いお尻を見え隠れさせ。 【セルヴィス】「ん〜、簡単ではないけどな。ま、何とかするさ。一応維持ってもんもあるからな」 【 翔子  】「そっかぁ。じゃあ、お願い出来るかな…っ? 高いところの相手とか、背の高い敵を蹴る方法とか…探してたんだっ」一度、コツを掴めば、動かし易くなってきたのか。逆立ちから前転すると共に踵落とし。「おっとと…っ!」剣先の方に着地しながら、ふらふらバランス取ったりして。 【セルヴィス】「ん、任せときな。一応その辺も考えて、調整はしとくさ」その動きをしっかりと見つめて、箒の重心をどこに置くか、どう動かすかを思案する 【 翔子  】「うん、ありがと…っ! 此れごと回れるなら…、斬ったりにも使えるかもだね…っ?」元の位置に戻るようにバク宙。持ち手を逆立ちで掴みながら身を捻る。剣先で横斬りの動き。この辺りは、もう少し調整しないと動きが鈍いところだろう…、とセルヴィスには判る。 【セルヴィス】「ん〜、わかった。ま、調整は何とかなるだろ。使いやすいように、若干の改造も入れとくかね……」サーフィスに内蔵された小型コンピュータに思いついた点を片っ端から放り込んでいく。なんだかんだでこれでまたしばらく忙しくなることだろう 【 翔子  】「お願いしまーす! 初給料での初めてのお買い物…かなっ?」てへへ、と楽しそうに笑って。ストリートダンサー系の彼女にとっては、面白い乗り物を入手出来た、と言う感じなのだろう。とても嬉しそうで。 【セルヴィス】「ん〜、そうとなれば一層気合を入れてつくらねぇと、な」 【 翔子  】「は〜い! 何かしないとなことがあるなら、何でも言ってくださいね…?」逆立ちで刀身と箒後部を行ったり来たり。 【セルヴィス】「分かった。連絡先だけ教えといてもらえるか?一応一通りできたり、聞きたいことができたら連絡するさ」 【 翔子  】「連絡先…。あ、0-Phoneって奴だよね? はーぃっ!」片手逆立ちでごそごそ。月衣から0-Phoneを取り出しつつ、「此れでー。赤外線とかで遅れるかな…?」と、その無茶な姿勢のまま、操作して。 【セルヴィス】「ん、まぁ、できたと思ったけど、な」こちらもレイフォンを取り出す。「一応行っとくけど、落ちるなよ?ここ結構高いから、な」 【 翔子  】「あ、はーぃっ! 大丈夫。セルヴィスさんは、優しいね…っ?」くるっと回って、箒の上に座る。 【セルヴィス】「あんま言われた事はないけどな。まぁ、手は抜かねぇから期待してな」照れ隠しかそっぽを向いて 【 翔子  】「うんっ! お願いします…っ!?」しゅた…っ。立ち上がって、ぺこりとお辞儀して。元気且つ礼儀正しい娘。そんな雰囲気。上下左右と移動が激し過ぎて、スカートがひらひらと舞うけれど。此れでスパッツとか履いてなかったら大変そうだなぁ、と言う感じ。 【セルヴィス】「あいよ、任せときな。とびっきりの箒、作ってやろうじゃねぇか」 【 翔子  】「あはっ、良かった。セルヴィスさんに会えて…っ!」その言葉に嬉しそうに。後は、出来上がるのを待つだけ、かな? その日を夢見て心待ちにして。 【セルヴィス】「ああ、んじゃ、あとは任せときな!」 【 翔子  】「うん…っ! あ、あれ…あとと…っ?」元気良く返事、した後…、やはり調整中の箒。出力が落ちて、高度を下げる。軟着陸して。 【セルヴィス】「っておいおい、大丈夫かよ?」大急ぎで急降下、何とか軟着陸したのを見てほっとする。「まぁ、調整中の箒だったしな。実際にはまずそんなことないから安心してくれよ」 【 翔子  】「あらら、降りちゃった。うん、前面的にお任せしまーすっ!」そう言うと、地面すれすれで浮揚状態の箒を置いて、その場で、カポエィラのダンスを披露。元気良く美しく。 【セルヴィス】「ああ、んじゃ、な」箒をしまうと背中を向けて「ああ、そうそう。遊びに来るのは歓迎だ。ま、俺が相手できるかは分からんけど、な」ひらひらと背中越しに手を振って 【 翔子  】「はーいっ! お疲れ様っ。今度見に行くね、箒っ!」片手逆立ちでチラシをひらひらして。今度、遊びに行くと約束する。その背中を見送りつつ、箒の上でのカポエィラを、自分流の戦いをイメージトレーニング。踊り続けて――