【フェルミィ】「ん………」 ぼうっとする頭を振りながら、身体を起こす。 見慣れた光景。  ここはランブレイの病室だ。 自分専用の。 とすれば……   【フェルミィ】「……落とされたー…かぁ。」 無双を誇るフォースメイル、フェイムツェールとはいえ、無敵ではない。 相打ち以上の敗北は今まで経験したことはない。 それでも、無敵ではなければ、落ちることはあるのだ。 あのアルメリアですら、手傷を負うことだってあるのだから。 身体の様子を確認する。  身体のあちこちに軽い火傷と、打ち身といったところか。 何日寝ていたかは定かではないが、落ち着いて寝ていられたという事は自分が駆り出されるような事態はないのだろうと思える。 第二王女ではあれど、その前にフェイムツェールは戦場の象徴。 本格的な戦いがあるのなら、戦えなくても後ろに控えていなくてはならない。   【フェルミィ】「……弱気なってんなー。」 ふと浮かんだ考えを頭を振って打ち消すと、大きく息を吸い込んだ。 【ヴァルツァ】「大丈夫かしら、フェルミィ…」 精霊船を撃滅した次の日、意を決して、フェルミィの病室へ。 王女の病室、本来ならば、余所者には面会など無理ではあろうが、自分達は既に救国の徒達なのだ。少し位は無理も言える。 そんな訳だろうか、病室近くに立っていた騎士からも、医師からも、別段咎めなく、入室を許可された。   【ヴァルツァ】「起きてる…? 構わないかしら…?」 こんこん。病室の扉をノックして。   【フェルミィ】「え…?  ああ…?」  世話係の声、ではなかった。  誰だろう、と、記憶をたどる。 「…ヴァルツァ?」  該当する声は、一つしかなかった。 【ヴァルツァ】「えぇ、私よ。起きてた…? 話が出来る位なら…良かったのかしら…。入るわよ?」そっと扉を開く。今日の服装は、レオタードではなくて、派手ではないが、ドレスのようなワンピース姿。おそるおそるとした様子で入室して。 【フェルミィ】「起きてたって言うか、今起きた感じかな。 鍵はかかってないはずだから、入ってきて。」 【ヴァルツァ】「えぇ、ありがとう…」やがて、顔を現す。目に見えて、心配そうな表情。フェルミィにしても、あまり見たことの無い表情で。 【フェルミィ】「んーと……。  どうなってる?  …なんて、お客様に聞くことじゃないか。 まずは、来てくれてありがとね。」 【ヴァルツァ】「ん…、聴いてないの? 今まで、寝てたとか…?」ゆっくり近付きつつ、フェルミィの様子を見詰める。顔に怪我は…してない。僅かに、ほっとして。 【フェルミィ】「うん、ちょっとね。  最後の記憶は、戦艦っていうの? あれと撃ち合ってたところまで。」 【ヴァルツァ】「そう…。あれは…、私達が倒したから…。もう大丈夫よ…?」そっと、フェルミィの頬を撫でながら、微笑みを魅せる。わずか、撫でる手を震わせつつも。 【フェルミィ】「ああ、そうなんだ…?」  ほっとしたような表情。   同時に、申し訳なさそうな表情が。 「ごめんね、迷惑かけちゃった。」 【ヴァルツァ】「ん…っ、そんな事無いわ。私達は、自分達の意志でした事だから…。気にしないで…?」小さく首を振って。 【フェルミィ】「協力してもらってるのはいいんだけど、こっちから返せるものが本当、ないからさ。  できる限り、は、私たちでがんばりたいものなんだけどね。 だからありがとうと、ごめん。」 【ヴァルツァ】「返せるものって…」フェルミィの手を取って、握り締める。「そんなもの考えなくて良いったら…。それに、謝らないで…? 謝るとしたら、きっと私の方…」両手で手を包み込んで。 【フェルミィ】「ヴァルツァが謝ることなんて、何もない、よ?」 包まれた手、見上げる形できょとんと首をかしげて 【ヴァルツァ】「そんな事無いわ…。私、言っちゃったでしょう…? 貴女はともすれば死に近いかもしれないって…」告死天使の宣言。それで不安にさせた…。 【ヴァルツァ】「それに、私の祝福を上げるっても言って…、そうした。けど…」フェルミィを見詰める瞳が揺れる。効果が無かったのかも、とそんな風にも感じているようで…。カルミアには、そんな事無いとも、言われてはあったのだけれど。 【フェルミィ】「おまじないってさ。 がんばろう、って気分にさせてくれる。 それが、一番なんだと思うな。 実際、私はヴァルツァにおまじないを貰って,元気になったよ。 後でどうなるかは、どうそのやる気を生かすかは、そのひとしだいだって。 ……そういうこと、気にしてる?」  【ヴァルツァ】「えぇ…、気にしてるわよ…」フェルミィのその言葉に、元気になったと言われて、嬉しそうな表情を見せるも束の間。「だって…、祝福って言ったすぐ後…でしょう…?」これが、あの後、3度4度目の出撃と言うのならば気にはしなかったろうが、すぐ後の出来事。 【ヴァルツァ】「私は…やっぱり、死を告げるしか、出来ないのかなって…」ぎゅ…。強く手を握り締めて。 【フェルミィ】「そんなことないでしょ。」 静かに首を振る。 「その前に、ヴァルツァがあの船を撃退してくれたことで、どれだけの人が救えたか、考えてみて欲しいな。 私の狩りに付き合ってくれたことで、私は沢山の人を守れたよ?」 【ヴァルツァ】「ん…、えぇ、そうね…」死すべき運命が変わった人達は、沢山居る。確かに。「けど…、私は貴女を護れてる…?」良いかしら、と尋ねつつ、そっとシーツを捲ろうとする。どんな怪我をしているのかと、確認したそうにして…。 【フェルミィ】「護られているかは、どうかな?」  ううん、と考える。  「後、ちょっと訂正。 私は、護るほうだよ。 そうしなきゃならない立場だもの。  だから、護ってくれるよりはさ。 一緒に立ち向かってくれるのが、うれしいかな。」やんわりと、シーツをまくる腕は止めつつ。  軽い火傷ではあるが、あまり今の彼女には傷、それそのものを見せないほうがいいかな、なんて思ったから。 【ヴァルツァ】「そう…、ね。少し、想い上がってたかしら…? 一緒に…よね?」こくん、と頷いて。「ん…、やっぱり、傷はきついの…?」じっと、顔を見詰めて。 【フェルミィ】「んー、ちょっと火傷かな。  後、打ち身。  100m近くから落ちてそれですむんだから、フォースメイル頑丈だよね、って話だけどさ。」  心配しないで、というように笑って。 【ヴァルツァ】「火傷、傷にならない…?」それを聴いて、やはり心配そうにして。「私ので良ければ、癒そうかしら…?」此れでも癒し手なのだ、と、そう伝えつつ。 【フェルミィ】「後で、ちゃんと傷は消してもらうけどね、できる限り。  ほら、私、これでもお姫様だし。 傷が残るとまずいでしょ。」 ひらひらと手を振って。  「ん……そういえば……?」   むしろ、箒に乗って相手を攻撃するイメージばかりが浮かんでくるであったが。  【ヴァルツァ】「えぇ、そうよね、お姫様。傷が残っちゃって、それを気にされちゃったら、一緒に水浴びも出来なくなっちゃう」此処で、漸く、冗談のようにくすりと笑いつつ。「あら、心外ね。ちゃんと効果あるのよ…?」掌に癒しの魔力を生み出す。死を遠ざける威光。 【フェルミィ】「あ……?」 全身の疲労と、じくじくとした痛みが和らいでいく。  「………ヴァルツァ、上手だね。 姉様にされてるみたい。」  ぐ、ぐ、と、ベッドの中で身体を動かしてみながら。 【ヴァルツァ】「姉様…? あの人もそうなのね、そう言えば…」そっと、手をかざした後、鎖骨に触れるように、癒しの力を込めて。「少しでも、フェルミィの肌を綺麗に出来たなら、幸いよ」くすっと含み笑いを漏らす。 【フェルミィ】「本当なら、フェイムツェールも姉様が動かすほうが、強いんだけどね。  でも……皆が安心して暮らせるのは、姉様が女王をやってるからだから。 っう!?」  鎖骨をなでられると、くすぐったげに身をよじり。 「うん、ありがと。 これで、ちゃんと動けそう。」 【ヴァルツァ】「そうね…。幾ら上手く動かせると言っても、何でもかんでもする訳には行かないわよね…」確かに、上手いからとは言え、女王兼任はとても出来ないだろう。「ん…、今のは、痛かったからじゃないわよね…?」少し余裕が出て来たのか悪戯顔、指先に光灯したまま、すぅっと、指を僅かに下ろして…。 【フェルミィ】「だから、せめてフェイムツェールは、もっとちゃんと動かせるようにならないとね。」 静かに目を閉じ、決意するように頷きながら。  「…ヴァルツァ?」 なにしてるの? とばかりに。 【ヴァルツァ】「えぇ、応援してるわ。此れからは、怪我なんてしないでね…? 出来る限り…」そう願いを込めながら、指を進める。「ふふっ、治療かしら、悪戯かしら…?」楽しそうに笑み。 【フェルミィ】「出来る限り、ねー。」  うんうん、と頷きながら。  「やう、くすぐったいんだけど…」 したからじい、と、唇を尖らせながら見上げて。 【ヴァルツァ】「ん…、流石にフェイムツェール相手だと、何も出来ないけど、今度、フェルミィと訓練したりするのも良いかしらね…?」そんな事を想い付きながら、覗き込むように顔近付けて。「いや…? 今のフェルミィ、何だか可愛いわよ…?」つん。胸元を突付くように。 【フェルミィ】「いろんな人の動きを見て参考にしたい部分はある、かもね。」  ヴァルツァの言葉に素直に頷きつつ。  「ぅああ!?  も、もう、どこつついてるの!? ヴァルツァって結構いたずらっ子…?」  ヴァルツァの指に柔らかな弾力を返しつつ、胸元をかばって。  【ヴァルツァ】「えぇ、それじゃ、約束ね…? 貴女が元気になった時、私がまたこっちに来た時、何かしましょっ?」次に会う時の約束を、少し嬉しそうに告げる。「自分でも判らないけど…、悪戯っ娘なのかもね…?」そんな様子に軽く舌を出して応じる。 【フェルミィ】「はじめてみたときは、結構真面目な人だと思ってたんだけどなぁ。」  ぷう、と、頬を膨らませつつため息をつきながら。  「そういえば、もう少しでお祭りがあるんだよ。 日数にして後3週間後、だったかな。 何日私が寝てたか分からないから、ちょっと日は前後するけど、後で確認してみて。」 【ヴァルツァ】「私も生真面目堅物だって、想ってたわよ」くすくす笑う。フェルミィと出会ってから、随分と変わったように想う。カルミアやクリスにも、そんな風に言われた。「お祭り…? えぇ、楽しそうね。フェルミィは怪我が治ってたら、参加するのかしら…?」 【フェルミィ】「皆、疲れてるからね。 たまにはぱーっとやらないと、って事で姉様が3年ぶりに水神祭を大々的に開催することを決定したんだ。  私は、裏方周りかな。 その日は姉様に楽しんでもらおうと思ってるから。 終わり際に、ちょっと時間貰ってるくらい。」 【ヴァルツァ】「そうなのね…。じゃあ、私は、その終わり際の時間に、立ち合わせて貰うとするわ」うん、と頷きつつ。お祭りを見るのも良いけれど、折角、この世界に来るのなら、フェルミィと一緒の時間を過ごしたいと…そう感じる。 【フェルミィ】「え、ヴァルツァ、お祭り見ていかないの?  水神の宴とか、ヴァルツァ結構いいところいけそうな気が刷るけどな。 私と一緒だと、あんまり見る時間ないよ?」 不思議そうに、ヴァルツァに視線を向けて。 【ヴァルツァ】「一緒だと見る時間が無い…、って言う事は、見てると一緒に居る時間が無いって事よね…? だったら、貴女と一緒で良いわよ…?」その視線を受け止めながら、少し照れたような微笑み魅せて。 【フェルミィ】「もう……」  困ったな、という表情を形作ってから。 「じゃあ、分かった。 お祭りの最後の時間までヴァルツァがどうすごすかは、ヴァルツァの自由だけど。 私が時間を貰ったら、ヴァルツァを探しに行くよ。  それでどうかな?」 【ヴァルツァ】「えぇ、判ったわ。じゃあ、そうする。その時は、時間を空けるようにしておくわね…?」素直に頷く。王女の方から探して貰えると言うのも、気分が良い。 【フェルミィ】「うん、よろしく。 軽く見て回る程度かなって思ってたけど、ちょっと楽しみが出来たよ。」 はにかんで答えて。  【ヴァルツァ】「そう言ってくれるなら、わたしも嬉しいわ。何とか、おめかししてくる方が…良いのかしら…?」今もちょっとはお洒落してるのよ…?とばかり、くるっと回ってみせて。 【フェルミィ】「その服、はじめてみたけれどよく似合ってるよ。 私、てっきりヴァルツァのセンスってあの衣装なんだ、って、ずっと誤解しちゃってたんだけどね。」 ごめんね、なんて両手を合わせて謝りつつ。 【ヴァルツァ】「ふふ、ありがとう。センス…? それって、どう言うことかしら…? 私だって、いつもあの格好じゃないのよ…?」何故だろう、何だか、皆にそう言われてる気がする。確かに、戦いの場以外で、誰かに接触した事は驚くほど少なかったから、かもしれない。 【フェルミィ】「いや、そうなんだけどね……でもなんだか、印象的だった、っていうか…。」 そりゃ、人がその一面しか持っていないことなんて事はないんだけれど、って。 「とはいっても、私だって軍装と寝巻きくらいしか見せてないね。 いろいろ知っていくのはこれから、かな。」 【ヴァルツァ】「ん…、まぁ、あの姿が、私の本質というのは間違いないわ。そうね、フェルミィもあまり王女様らしいところは見てないかも…。寝巻き…、もっと良く見せてくれる…?」なんて言いつつ、またシーツを掴んじゃう。 【フェルミィ】「病人着もかねてるからそんないいものじゃないってばー!?」  決して簡素ではないが、かといって華美でもない、良い布で作られた無地の生地。 そんな寝巻きを露にしつつ 「なんか服を暴かれるみたいで恥ずかしいなあ…」 【ヴァルツァ】「ふふっ、そうね。流石に普段の寝巻きって訳じゃないわよね…?」照れる様子にくすくすと。「でも、可愛いわよ。フェルミィ…?」じっと焼き付けるように見詰めて。 【フェルミィ】「もー……」 その様子に、しょうがないなあ、とばかりの息を吐き出して。 「ま、ありがとう、かな。 可愛いなんて、あんまり言われないしね。」 【ヴァルツァ】「ん…、言われないの…?」不思議そうな顔をしながら、ベッドに手を付いて。覗き込むように顔を近付ける。「本当の事よ…?」 【フェルミィ】「私、王女様。 可愛いよりは美しいが求められるし、それに何より戦士で英雄だからね、私は。」 よし、っと身体を起こし、立ち上がりつつ。 【ヴァルツァ】「ん、そうね。美しい、強いって、言われる方が良い…?」目の前で首を傾げてみせて。 【フェルミィ】「んー……。 たまには違う評価もいいのかもね。」 少し考えた後、そう答えて。  「ちょっと外でよっか。 起きてお腹がすいちゃったから、何か貰うことにするよ。」 【ヴァルツァ】「ん、気を悪くされてないなら、それで良いのよ…」少し安心したような表情見せて。「えぇ、ちゃんと歩ける…?」立ち上がったフェルミィを支えるように傍らに。 【フェルミィ】「ん、だいじょう…ぶ…っ……!?」  回復魔法と睡眠をとったとはいえ、まだ体力が戻りきっていないのか、わずかに足をふらつかせて。 【ヴァルツァ】「ほら…っ、病み上がりなんだから…っ」ふらついたその身体を抱き寄せる。包み込むように、ぎゅっと。向き合う形に抱き締めて…。 【フェルミィ】「うん、大丈夫…大丈夫…」  ふらふらとする足を落ち着けるため、ヴァルツァの身体を支えにしつつ。 【ヴァルツァ】「ん…、フェルミィ…。もう本当に…無理な出撃はしないで。必要な時は、遠慮なく私達を呼んでね…?」その様子に心配そうに。おでこを重ねて、言葉を紡ぐ。 【フェルミィ】「皆を護るための戦いだからね。 無理な出撃なんて、ないんだよ。」 おでこを重ねられたまま言葉を返して。 【ヴァルツァ】「そう…よね。じゃあ…、また、この前と同じ祝福、構わないかしら…? 効くかどうかは…判らないけれど…」少し目を閉じてから、ゆっくりと尋ねて。 【フェルミィ】「じゃ……縁起担ぎに、貰っておこうかな。」 小さく微笑んでから、頷いた。 【ヴァルツァ】「えぇ、それじゃ…するわね。キス…っ」この前は、キスかどうかは、曖昧にしてたけれど…、今回ははっきりと、そう言葉にしながら、抱き寄せて。唇重ねて…。 【フェルミィ】「ん……」  軽く唇を触れ合わせるようなキス。  唇の柔らかさを感じながら、目を閉じて。 しばらくはされるがままに、「祝福」を、受け取って。 【ヴァルツァ】「ん…っ」暫くの間、願いと祈りを込めて、唇を触れ合わせ。包み込むように抱き締めて。「…長く生きてね、フェルミィ…。大好きよ…」唇を離した後、頬を朱に染めながら、そう伝える。どう好きなのかまでは、言わないけれども。 【フェルミィ】「私も、好きだよ。 私の大事な友達。 ヴァルツァのこと。」  嬉しげに、頷いて。 心なしか先ほどより、体力も、心も、楽になった気がした。 これが、祝福、というものだろうか? 【ヴァルツァ】「えぇ…、良かった。それじゃ、行きましょうか…? お姫様抱っこが良いかしら…?」その笑顔に、此方も救われたような気がする。此れが、人付き合いと言うものなのかしらって、そう想う。 【フェルミィ】「そこまで疲れてはないから、平気だよ。  もう」 こつ、とおでこに拳を当てつつ、身体を離して。 手をそっとつなぐように、差し出して。  「行こうか?」 【ヴァルツァ】「ふふ…っ、冗談よ。えぇ、行きましょう…?」優しく手を握り返す。孤独の内に、残酷な死を告げる天使。自分の事をそう想っていた。けど、今はもう、そんな自分は何処にも居なくて…。 ゆっくりと歩いていく。 出会いは誤解からだったけれど、二人の手は重ねられて。  戦争という渦の中にあるこの国だけど、今この場所のこの二人は確かに、平和の中にいた。 強過ぎない程度に、強く手を握り締める。確かに感じる温かさは、生命の証。この温もりを護るのが、自らの、自らで決めた使途としての、もう一つの生きる道。決意を、深めて。