21:29 ShiSyo >ラヴィスパレスのとある階層。誰もいない廊下に立つ、一人の娘。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「ふむ……当然といえば、当然ですけれど……誰もおりませんわね」                 これでは条件が多少不足はしている、が。今回はあくまで起動実験なので、それほど問題はないだろう。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「火のリゾーマの形質……おそらく、これで間違いはないはず、ですわ」                 呟き、元素に働きかける魔力を編み上げていく。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「火のリゾーマ、活性……サーチ」                 言葉と共に、目の前に十字に組まれた小さな炎の塊が浮かぶ。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「……成功、ですわね」                 ほぅ、と息をつく。生命に連なる4元素のエミュレートまではどうにかいった。しかし、自分の求める先はまだ遠い。生命の神秘は、この程度では終わるモノではないだろう。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「さて、実験は完了しましたし……そろそろ」                 この炎を消そう、そう思った瞬間。4つの塊で出来た炎の一つが強く揺らめき始める。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「これは……何かが、近づいてきますの?」                 本来は危険察知の為の術ではあるのだが……要するに、探知の術でもあるわけで。故に、何かの気配を察知した、ということだろうか。 21:29 ShiSyo >【アルテール】「後ろ……ですのね」                 思い切って振り返る。そこには…… 21:34 hikami0 >【ディルク】 「……―――ほう?」                 こつ、と、響く微かな靴音。それまでは“意図して立てられていなかった”音を、発覚への賞賛の証と立て、一度足を止める                「知的な女性、とは思っていたけれど、カンも良い様だね、アルテール。何、特に意図した用事と言うモノはないのだけれどね。」                 視線の先は一度、くみ上げられた炎へと向かい……直ぐに女性の側へと戻す                「……これでも“火”の気配には少々過敏でね、異界への興味もあっての事、悪く思わないで欲しい」                  21:38 ShiSyo >【アルテール】「別に……謝罪には及びませんわ。」                 あれは、見知った顔。確か、ディルク=トレアドール=マールブランシェ……『キュウケツキ』といったか。そこにまずは警戒を解き                「取り立てて何かがあったわけではありませんし。それに、異界への興味、であれば私にもありますもの」 21:42 hikami0 >【ディルク】 「ふむ、そういえば学者、だったか……物事を捉える視点と良い魔力の扱いと良い、人間の身であれ程、となると珍しい程とは思ったがね。まさか気配にまで敏感とは思わなかったね」                 それが魔術によるもの、と言う事実までは知らぬ身、廊下の端へと自然と寄る様に歩み……つまりはそのまま立ち去る意思がない、と言う事                「それは重畳だね、ならばお互い、世界についての意見交換―――と言うのは如何かな。第三、エルネイシアの少女とは話す機会を得たが未だ他の世界、となると疎くてね」 21:47 ShiSyo >【アルテール】「魔法のお陰、ですわ。」                 気配察知はあくまで魔法実験の副産物。自分を過大評価されても困る。そこは否定しつつ                「そう、ですわね。私も、背中から羽根を生やす『キュウケツキ』なる存在について伺いたいところがありましたのよ」 21:51 hikami0 >【ディルク】 「探索の魔術……か?しかし、火の気配を感じたが、アルテールの世界では“火”を用いる事で探知を行う術があるのかな?」                 コレについては初耳、である。幾百の隠遁を経た後ともなれば未知の技術が増えていてもおかしくはない―――どころか、既に“未知”には遭遇している。そうした辺りが燻っていた好奇心を動かす事となったのだろう                「吸血鬼に、か。ふむ……かといってそれは俺にとっては“人間とは何か”を問われるに等しいからね、君を満足させられる答えを返せるかは別問題だが、それでも構わないかな?」 21:54 ShiSyo >【アルテール】「火のリゾーマを活性化して、力の流れを読み取れるようにしただけ、ですわ」                 軽く原理を説明して 21:54 ShiSyo >【アルテール】「そうですわね、確かに…自らを語るのは難しいことですわね。ですけれど……『人間は普通空を飛べない』程度には、言うことは出来るのではありませんこと?」 21:59 hikami0 >【ディルク】 「リゾーマ……ふむ、Elementumの事を君達の世界では“リゾーマ”と言うのかな?」                 言葉の流れから汲み取るのはそんな意識、緩く首を傾げる形にしてみせつつ……                「確かに、それは正論だね。ならばある意味では問題がない……が、さて、何処に場所を移したものかね。俺の部屋に向かうには少々難な位置ではあるし、                 そもそも……君を連れ込むには華を用意していない。美女を招くには調度も持成しも不足してしまう、と言うのは余り喜ばしい事ではないからな」 22:06 ShiSyo >【アルテール】「第八世界にも、元素の研究はありますの?」                 ぴくり、一言をと聞き逃さずに                「なるほど……第八世界、とはなかなかに奥深い世界のようですわね」                 ディルクの言葉に興味を示す。 22:06 ShiSyo >【アルテール】「部屋の美醜など、さほど問題ではありませんのに。大事なことは、そこが部屋としてどのように機能するか、ですわ」                 とはいったものの                「それがあなたの矜持では仕方ありませんわね。では、私の部屋があちらにありますから……そちらでお話しいたしましょうか。お茶くらいでしたらご用意できますわ」                 言って手で一つの部屋を指す。 22:12 hikami0 >【ディルク】 「古来……―――と、言う言い方をする程大層なもの、ではないがね。古来、錬金術と言うものは物質元素の探求解明を至上命題としていたからね。                 最も、俺にそこまでの造詣はないがね、現代の錬金術は……此処に来て少々驚愕したのは確かだな、以前と違い鋼の原理を用いた機構探求になっていたからね」                 隠遁の、これはある意味ではデメリット。時代の変遷を見届けられず数百年の“ブランク”が現代科学、と言うものへの認識を薄れさせていた                「美女を招くには相応の持て成しをすべき、と思うからね。折角の華も活ける器がただの瀬戸物では華に失礼と言うものだよ。                 それに、ふむ―――ならばアルテールの部屋に行かせて貰おうか。となれば手土産の一つも用意したい所だが……それは“土産話”という事にしようか。種の本質までは兎も角、君の疑問にもある程度は答えられると思うからね。」 22:18 ShiSyo >【アルテール】「あら……それは残念ですわ。ではいずれ別の機会を探すとしますわね」                 造詣がない、という言葉に多少の落胆をみせ                「鋼の原理、ですのね。A−Kにでしたら応用は利くかも知れませんけれど……そちらは、私の専門外ですわね」                 さらに、多少の落胆をする。 22:18 ShiSyo >【アルテール】「用の美、というものもありますわよ、ディルクさん」                 先に立って案内の歩みを始め                「過度の装飾は還って華を台無しにする場合もありますわ」 22:25 hikami0 >【ディルク】 「当世風の知識、には、だね。何分俺の“錬金術”の知識は300余年程前のものになる、当世の“錬金術”とは語彙も様式も随分と違うものだからね。                 魔術についても同様、旧来箒と言えば床を掃き掃除する道具だったが今の“箒”は多段機構を搭載した細工物である事が殆ど、聊か以上に驚かされた物、A-Kと言うものは……ふむ、また知らない言葉だな」                 未知、への興味はさらに深まりはしたのだろう、口の端に浮かぶのは微かな笑みの形                「一理あるね、単一の用途の為に磨き上げられた素材の美しさ、も理解はしているが……こと美女、となると“単純なもの”では無いだろう?」                 向けるはどこか楽しげに、それでも探り、の響きをもつ言葉。こつ、こつ、と、相手の案内に従う様にと半歩遅れる形で追従していた。 22:32 ShiSyo >【アルテール】「当世……?」                 はて、と。ディルクの物言いに違和感を感じた。                「ディルクさんの知識は300年前のモノ、ですの?」                 単に勉強不足、というのとは違う、何か妙な違和感。 22:32 ShiSyo >【アルテール】「なるほど、確かに人間というのはそれぞれに事情も違いますわね。それを単一にくくることは間違いなく愚かしいことですわ。」                 しかし疑問もそこそこ、自らの言葉の不明は訂正せねばなるまい、と                「そこは訂正いたしますわ」 22:32 ShiSyo >        言ったところで、扉の前まで辿り着く 22:38 hikami0 >【ディルク】 「ふむ……そうか、今の姿、今の状態で数百の時を持ち出した所で違和感があるかな。先に言うべきだったか、俺、は見た目通りの年齢ではない―――人間として換算するならば20そこそこ、人体にとっての最盛期で体成長が静止しているからね」                 フォロー、とするには幾分も判り辛い響きだろうか                「その通り、単一の器にそれぞれを活ける訳にもいかないからね。君を招くのと理緒を招くのと、イルリードを招くのと、そのどれもが同じ趣向では失礼と言うもの、                 それぞれに即した持て成しを以ってそれぞれの魅力を堪能できればこそ、美女への礼を尽くす事になるだろうからね。……ふむ、此処、かな?」                 足を止めたのを見てとってか己も動きを止める。とは言え……半歩、と、同伴するにしても聊か距離は近い。 22:42 ShiSyo >【アルテール】「第八世界の人々はそのように長寿なんですの?」                 驚きつつ                「もの凄い生命力ですわね……それは興味深いですわ。となると、元素の仕組みが既に解明されているのでしょうかしら……」                 後半は軽く呟き 22:42 ShiSyo >【アルテール】「なるほど……なかなかの趣向ですわね」                 言いつつ                「着きましたわ」                 距離にはさして気にした風もなく、扉を開ける 22:49 hikami0 >【ディルク】 「いや、アルテールの世界……エル=フレア、だったか?そこの“人間”の寿命は判らないが、此処ファージアースの“人間”の寿命は確か50……いや、今は80年程だったか、100、に至る者も居ると聞くが稀有な例であるはず、だね」                 この辺りも補完知識、である。伝聞形式となってしまうのは“実感”を伴う知識の古さが故か                「では、邪魔をするとしようか。失礼」                 相手の誘いに応じ、此方も室内へと踏み出す。さり気無さを装い近すぎる距離のまま、アルテールの腰元を引き寄せようと手を伸ばして                「先程からの前置きに“人間”と言っているが……以前も言ったように俺は“人間”の括りではない。種としては別のモノ、長寿、ではなく……不老にして不死、天命と言う枠からは外れているのでね。                 無論、殺傷されればこの身は灰と返るが、老衰、と言う死因は俺には有り得ない。“我等吸血鬼には”と言いたい所だが……生憎と原種ばかりではない、人から成ったモノも居れば中途で目覚めたモノ、混血や従者、と―――随分と多種になった様だからね」 22:55 ShiSyo >【アルテール】「ふ、む……なるほど。人間、という種ではない、と」                 ふむ、と考え                「となると……やはり、天使のようなもの、と理解するのが妥当ですわね、現状では」 22:55 ShiSyo >【アルテール】「途中、から? ……『キュウケツキ』というのはどうやら私の知るあらゆる種とは異なるようですわね」                 と、さりげなく回された手に気がつき                「ここまで来れば、エスコートは無用ですわよ?」                 特に気にした風もなく、入ってすぐに見えるテーブルに誘う                「流石に、研究室つきの部屋では一部屋を多機能にするしかありませんでしたわ。これはこれで満足していますけれど」 23:01 hikami0 >【ディルク】 「天使、か……いや、天使は寧ろ我等の対極の存在、とも言えるね。神聖にして不可侵、言わば“神”の威光を持って権能と成す天使とは違う。                 “逆”というのが相応しいだろうね、純白の白き鳥の翼を持つ“アレ”等とは違い我等の翼は黒にして蝙蝠等の翼膜を用いたものが殆ど、稀に霧化等の芸当を身に着けたモノもいるがね。―――何、君の腰の細さを味わうのも……」                 いう言葉は中途で途切れる。テーブルへと座るのも忘れ、僅かの間を、あけた「                「ふむ、エル=フレアでは未だ俺の知る側の錬金術、が有用な技術と成っているのかな。リゾーマ、だったか……四の元素を用いた研究と探求、それが俺の知る“錬金術”だったからね」 23:06 ShiSyo >【アルテール】「神聖にして、不可侵……なるほど、こちらの世界の天使はまた、違いますのね」                 思い浮かべるは、故郷の戦場。なにがどうあろうと、あれは神聖かはともかく、不可侵とは異なる存在であろう。 23:06 ShiSyo >【アルテール】「私自身は、第八世界のことはまだ存じ上げませんのでそれはなんとも……ですけれども」                 ディルクの言葉に応え                「……どう、なさいました?」                 流石に様子が少しおかしいのには気がつく 23:11 hikami0 >【ディルク】 「ふむ……?となると“天使”の語彙にも齟齬が出るか。此方は神の眷属、天界の下僕にして真理の代行者―――と言った所かな、最も、俺、としては余り快い響きでは無いがね。                 どちらかと言えば俺は……そう、誤解を招く事を承知で言うなれば“闇の眷属”に属するモノ、だからね。そういう意味では真逆、となるが……ふむ、天使、までもが語彙としてずれるとなると説明にも窮するね、最も、それだけに話甲斐もありそうだがな。                 異界の文化文明と言う物はどうにもまだ知らぬ美しさが眠っている気がしてね」                 最初に、ある程度深く触れた“異文化”がエル=ネイシアであった、と言う事も大いに関係があるのだろうが……                「……いや、君にこう言うのも難、だがね。良く見れば微細な部分は違っているが……研究室、だったか、その“研究”の術が、そう……懐かしい、と思ってね」 23:20 ShiSyo >【アルテール】「おそらく、関わり方の違い、ですわね」                 天使の解釈を聞いて                「この辺りは、私の世界では歴史に関わるお話ですから時間をかけて話すしかありませんわね」                 言いつつ、部屋の隅にいき 23:20 ShiSyo >【アルテール】「懐かしい、ですの?」                 かちゃかちゃとお茶の用意を始めつつ、問う。その一々が調度品としての価値も在りつつも、実用に耐える代物であるところがらしいと言えば、らしい 23:26 hikami0 >【ディルク】 「そうなるね、此方も同様……否、神、の捉え方はやはり“世界”によって違うらしいね。エル=ネイシアの少女は“神”ではなく“人”をこそ至上と考えて居る風だったからな。                 さて、話がずれたが……俺はその“天使”とは違うモノだね。寧ろ“悪魔”と―――いや、この語彙は君の世界にあるかな?さておき、人とは異なった進化系統を辿った種、来歴の違いも含めれば別物、と……まぁ此処では細かい事だと釘を刺されはしたがね」                 その合間も思わず視線を奪われるのは“研究室”の設えに、アルテールの用意する茶器の造詣、意図も企図もずれ始めたそれらは、美への欲求が種々の事柄を超えてしまった結果か                「―――……ああ、君の繰る技術が俺の知る“錬金術”と似たものだろう、と言う予測が出来る程度には、だね。無論異界のモノ、これがそのまま俺の知る用途になる、とまでは思わないがね」 23:33 ShiSyo >【アルテール】「まあ……そうですわね。ここには様々な種が集まっていることもそうですし」                 ここで出会っただけでも文化の違い、のようなものから世界の違い、まで様々なモノを見てきた。 23:33 ShiSyo >【アルテール】「何より、大事なのは本質、ですわ。その意味では呼び名の差異や種別など、些細なことではありますわね」                 知的かと思えば、なんとも豪快な理論をぶちかます。 23:33 ShiSyo >【アルテール】「”錬金術”……少なくとも、四大元素をあつかったモノ、のようですわね」                 火をつけ、湯を沸かす 23:39 hikami0 >【ディルク】 「ふむ……区分や分別、分類、といった辺りは探求や調査には必要なもの、とは思っていたがね」                 そうやらそう、と言い切る事も出来ないのだろう。その反応に向けるは感嘆とも言える響きであり                「ならば俺の知りうる“錬金術”とは多少なりとも近いもの、なのだろうね。こうして見ていると少々昔を思い出す―――まあ、些事、だな」                 それこそ過ぎ去った“平穏”な日々。思いを馳せるにも遠すぎる時代、か。思えばそのまま椅子へと腰を下ろして                「……“吸血鬼”は傍目には人、とは変わらないがね。不老にして不死、不変、といった特徴を備えるモノも多い。通常の方法で殺傷可能、と言う所までは変えられぬが、人、と比べれば十分に頑丈な部類だろうね。                 そしてもう一点、摂取不能と言う訳でもなく、無意味、ではないが―――……通常の飲食によって“栄養”つまりは生命にとっての糧、とする事が出来ない。                 昨今確認されているハーフや混血種の類であれば人、としての器官を用いる事が出来るのだろうがね、吸血種、その名の通り“血を吸う”事でその生命の維持を行う種、となる。―――“天使”のイメージとは遠い、という事がこれで判って貰えるかな?」 23:47 ShiSyo >【アルテール】「無論のこと、差異を認めて分けることにも意味はありますわ」                 前言を撤回するかのようにいって                「ですけれど、差異ばかりを追い求めて本質を見失うのであれば、無駄に過ぎませんもの」                 あくまで軸をぶらさないことが優先、という言外の意志。 23:47 ShiSyo >【アルテール】「不老に、不死……」                 繰り返して                「……流石に永遠は望めませんのね。そこまでは望むべくもありませんけれども」                 ふむふむ、と考える 23:47 ShiSyo >【アルテール】「血……ですの?」                 そんなものが栄養になるのだろうか、と考え                「……ああ。血液による活性化、は……戯れ言でもありませんわね」                 自分の至った生命への道の一つを思い出す。 23:54 hikami0 >【ディルク】 「成る程、さすがは探求者、か。いや、そういう意味では君の思考が正しいだろうね。―――言わば貴族主義、血統主義、と言う意味で捉えても差し支えない程度に独善的な意識である、程度の自覚はあるからね。                 無論、俺は自らが“吸血種”である事を重んじ生きている、まぁ、今の生活は聊かその矜持には反するものだがね。―――永遠、の存在等はほぼ有り得ぬよ。真祖の姫君とてその維持に数百に眠りを欲するほど、事実上永遠にして不滅なモノは存在しない、とは思うがね。                 飢えに苦しむ、と言うだけでは死ねぬのがこの身の厄介な所ではあるが……―――厳密には血中の生命力、残存する“精気”を喰らっているとの解釈で問題ないだろうね。肉体の活性に付与賦活、そういった作用を“食事”として他者の血液から得ている。                 最も“相手を食う”に等しいとは言えど実際に必要な量は数百ミリ程度、コップ一杯程度で十分活動可能だがね、流石に早々喰らう訳にも行かぬから今は代替品を用いている所だね、不満はあるが……人間と同席する以上譲らざるを得ない妥協点、といった所か」 00:02 ShiSyo >【アルテール】「なるべくしてなった者が貴族……ですけれど、受けた地位に甘んじて何事も成さなくなった者は、貴族に非ず、ですわ」                 そんな自分の矜持を語り 00:02 ShiSyo >【アルテール】「餓えで死ねない、というのはそれはそれで苦難、ですわね」                 想像して、多少の同情                「まあ、見も知らぬ相手から摂取するようでは、敵と思われても仕方ありませんわね。特に、血液などであれば」                 見知っていればいい、と言ってるようにも聞こえるそんな言葉。 00:02 ShiSyo >【アルテール】「……血液の代用品、などありますの?」                 それはそれで興味深い話である。思わず食い付く 00:09 hikami0 >【ディルク】 「その通り、だな。故に俺は、我等吸血種が済む“世界”を救いに来た。……と、言えば少しばかり大げさ、だがね。                 幾度か見たとは思うが“忘却世界”と呼ばれるものの一つに我等、夜闇の一族が住まう世界がある。……其処の危機を救う事が“世界を救う”事になるのだそうだ」                 それこそ伝聞、実感すら沸かぬ言葉なのだろう、どこか軽く装った響きを漏らしつつ                「ああ、そして知己とて気楽に“血をよこせ”といえるモノでもない。……吸血種は言わば伝染病の様に思われる事もあるし、それそのものは完全に間違っている訳ではない。                 節度を越えて無闇に喰らえば眷属としてしまう事もあるのでね、俺はそういった意味からも自制する事にしている。―――折角、常命であるが故の美しさ自ら手折る事程罪深い事はないからな」                 そこで一拍、差し出された紅茶を一口含み喉を湿らせて                「……否、治療用のものを拝借している。元はと言えば“他人の血液”だがね、輸血、と言う手法で血液を補充する医学技術が確立しているらしい。……どうにもパック詰めされたものは不味くて適わないが、妥協のしどころ、といった所だな」 00:18 ShiSyo >【アルテール】「なるほど……それがあなたの目的ですのね、ディルクさん」                 じ、と眼を見て                「では、私の方も言わなければ不公平ですわね」                 こちらも紅茶に口をつけ 00:18 ShiSyo >【アルテール】「私は、自分の術の研究……貴男の言う”錬金術”を深めようと思っていますのよ」                 淡々と語り始める                「ですけれど、リゾーマの研究だけでは足りないピース……特に、生命の神秘については分からないところがまだまだありますのよ」 00:18 ShiSyo >【アルテール】「ですから、異界が混じり合うこの地は、私にとっては非常に良い研究の場、ですわ」                 ここで一息                「その意味では、不老不死、というのも興味深い、ということも確かですわ。無論、知己を実験材料にするような横暴なことは考えてはいませんけれども……不快でしたら、謝りますわ」                 不快にする疑いを思いつつも、きっぱりと考えをいう辺り、潔いと言えば潔い。 00:18 ShiSyo >【アルテール】「血液の保存、ですのね……そのようなことも出来るとは、凄いものですわね。」                 意外な答えを聞き                「……味は、落ちてしまいますのね」 00:29 hikami0 >【ディルク】 「いや、研究や実験の類ならば俺とて同様、元より君を含む美女は“愛でるべきモノ”―――つまりは美術、芸術として感じる所がある事も否定はしない。                 最も“人間相手”である以上、触れる事も含めこうして会話し、意思を感じあう、一人の人格を認めた上でソレを含めての“美”だがね。                 そうした意味ではアルテール、君は聡明で、尚且つ美しい。懐かしいモノまで見れたのだからね、たかがその一言で不興と感じるほど器は狭くないよ。寧ろ俺の方こそ“捕食対象”としての引き合いに人間を出しているぐらいだからね」                 こちらとて悪びれた様子はない、手にしたカップ一つとて精巧でありつつも質、の伴う代物、これ一つでも相手の意思に共感こそすれど否定を感じる意味は、ない                「まぁ、長持ちするものではないらしい。本来治療に適さないギリギリのモノであっても俺の摂取には十分―――まぁ行軍用携帯食で糧を繋ぐようなモノだが、この際致し方ないからね。                 さて……君の探求が“人の枠組みから外れる事”ならば、俺の知りうる種の話を聞かせる事は出来るだろうからね、楽しい時間の礼も兼ねて“土産”代わりにもう少し、話を続けようか?」 00:52 ShiSyo >【アルテール】「ふむ……貴男の信念は”美”にあるようですわね」                 短い間ではあるが、目の前の人物が再三話題にしていることだ、間違いはあるまい、と分析し                「全てではないにしても、私もそこに共感する部分はありますわね」 00:52 ShiSyo >【アルテール】「それと……誤解があるようですけれど。あくまで、私は人を越えた存在になることに興味はありませんわ。」                 首を横に振って                「そのような技術であれば、エルフレアにもいくつかありますのよ。抑制剤や疑似天使核など……まあ、言っても詮無いことですわね」 00:52 ShiSyo >【アルテール】「貴男の種を貶めるわけではありませんけれども。人として産まれた以上求めて人の器を捨てることは、自己否定に過ぎませんわ。超常を求めること自体に問題はありませんけれども、超常を求めるあまり、自己の本質を捨て去ることはすなわち、本質の遺棄、ですのよ。                 それだけの行為ですから、そこには葛藤があってしかるべきですわ。ただ、自らの考えの答えのためだけに安易な道を安易に選ぶ、そのような過程では許されないことだと思いますの。で、あれば。                 相応しい言葉を『人生は道路のようなものだ。 一番の近道は、たいてい一番悪い道だ。』ですわ。アルテール・アジタケーサ・カムバリンはそういった人間ですのよ」                 一息に捲し立てて 00:53 ShiSyo >【アルテール】「……失礼いたしましたわ」                 言葉の弾丸が嘘のように、一息入れて                「よかれと思っての提案かと思いますのよ。ただ、立場ははっきりさせておかないといけないと思いまして」 00:53 ShiSyo >【アルテール】「勿論、お話自体は喜んで聞かせていただきますわ。そうですわね……」                 ん、と考えて                「先の失礼のお詫びも兼ねて。私の血液を対価として差し上げますわ」                 そんな、爆弾発言を 01:01 hikami0 >【ディルク】 「無論、世界を護る、などと大層な題目を掲げては居るが戦時においての刹那、目的とすべくは美の保存、となるね。イルリード嬢程の堅牢さであればまた別だが……アルテールにまで刃を届かせぬ様に、とは聊か気を揉む所だね。                 当たり所が悪く君の美貌が損なわれたとあっては任務が成功したとて心安らかとは言えぬよ。同様に、道中で異界の美を見、愛で、手に入れ蒐集する事が出来るならば至上、とも思う、それが故に俺は“トレアドール”の名を借り受けたのでね。                 ……この家名は我等が種の中で最も“美”への造詣の深い原種の一派、共感と賞賛に値する存在でね。」                 相手の認識への補填、推察に相違ない事を認めた上での言葉。頷き、次いで向けられる主張―――暫し聞き及んだ後には                「……くっ……成る程、ならば……いや、この言い方も非礼だね。“アルテール”……貴女ならば俺が多少の干渉をした所で変質する事もあるまい。常に、と欲する程ではないが、そうだね……―――有事の際には是非と、頼みたい所だね。                 今の摂取量でもどうにかやっては行けるが我が身の魔力行使量にかなりの制約を受ける。……そう気軽に受け取れるモノでもないからね。                 負傷させる前提で話せば“流出した血液を貰う”とも出来るが、改めて君の“血を貰う”と成るとどの様な方法であれ傷を与える必要がある。……頼れる場所がある、と、そう思わせて貰えるだけで十全だよ、アルテール」 01:12 ShiSyo >【アルテール】「貴男の信念、聞かせていただきましたわ。」                 優雅に礼をし                「貴男がどう思うかは分かりませんけれども……先の話通り、種の問題などは些細、ですわ。確固たる信念は貴男を"人"の友人たらしめるものですわ」 01:12 ShiSyo >【アルテール】「傷、に関しましては……そうですわね。錬成の一助としてこの身に刃を突き立てることもありますのよ。」                 ごそっと、飾り気のあまりない儀式短剣を取り出し                「これで、ざっくりと、ですわね」                 腕を切る仕草を見せて 01:12 ShiSyo >【アルテール】「その時の血液量もそれなりですし。ですから、大した問題でもありませんわ」                 平気ではないことを平然と言い放つ。                「まあでも、そうですわね。無理強いをするのはおかしいですから……必要なときには言っていただければ良いですわ」 01:25 hikami0 >【ディルク】 「そう、である事を願うよアルテール。俺とて“人の友”ありたい、とも願っている。―――我等では生み出せぬ常命の生が生み出す芸術を愛でる為には忌避と恐怖の対象や支配者であり続ける以上に“友人”であるべき、とも学んだからな」                 古き時代、かつて“トレアドール”に出会い共感した出来事、それらを受けて後数百、過ごした年月と共に覚えた感慨……口元に浮かぶ笑みは丹精な容姿に見合う穏やかなものとなるか                「―――余り穏やか、ではないね。ふむ……傷、と言う意味では俺は再生治癒に長けている。最も“人と比べれば”程度、期待される程に強固なモノでもない、がね。……その点でも手伝える事があれば“話”の一助として手伝う事を約束しよう。                 生命、と言う観点で論ずるなれば我等吸血種を不死たらしめている“何か”がわかるかもしれないからね」                 ―――同様に、己の避ける“眷属”化させ得る理由も。……最も、これは些事、判れば余禄、といった所だろうが                「さて……ならばお互い“協力者”といこうか、アルテール。君と、俺と、知識も代償も交換し合えれば互いの助けともなろう?                 ……もう少し話を続けようか、となれば俺の……否、吸血種の事情も少し立ち入った説明をすべきだろうし、君の側、元素探求の話ももう少し、学ばせて貰いたいからね」                 ―――言うと共に再度、今度こそゆったりと、腰を落ち着ける。手にした茶器を満たす琥珀の風合いも先程よりも心地よく感じられるだろう―――それからどれだけの時間、互いの“探求”への思いを語り合ったかは―――……