《ルー》   :良く晴れた或る日のこと――― 《ルー》   :  《ルー》   :【ルー】「ふむ、店主はまた腕を上げたようじゃな。」 《ルー》   :  《ルー》   :店の前にあるオープンテラスでパンやケーキを食べている2人組の少女の姿。 《ルー》   :そのうち、金色の髪に銀色の瞳をもつ8歳の少女はクリームがつまったコロネを食べつつ満足そうに笑みをうかべていた。 《ルー》   :他にもテーブルにはクロワッサンやロールケーキなども乗っており… 《ルー》   :とても、見た目には子供の食事に見えてしまっている。 《ルー》   :  《ルー》   :【ルー】「どうじゃマルディナ。やはり人間の作るパンは美味いだろう?」 《ルー》   :  《ルー》   :同行者である少女に、にこりと笑みをうかべてジュースに口をつけて… 《ルー》   :  《マルディナ》:【マルディナ】「……ああうむ、欠片が一つ手に入ったお陰かこの前より味覚が数段マシにはなった所為もあるだろうが……美味しいぞ」クロワッサンを食べた後にオレンジジュースを飲んでは答え 《ルー》   :【ルー】「今日はその白いドレスも似合っておるぞ。」 にや、と笑みを浮かべてこの前仕立て屋に作らせたドレスを着ているマルディナを見て。純白のドレスは日を反射し煌いており、輝かしく見える。 《マルディナ》:【マルディナ】「その言葉は額面通り受け取っておくとしよう、気にはいってるのでな」と佇まいを正して「……それより聞きたい事が有るのだがこの前の、館探しの余禄……あれは何だ?」漆黒の黒真珠の様な光沢を持つ艶やかな髪がドレスの背にさらと流れ 《ルー》   :【ルー】「妾の属性は黄金。煌くモノは全て愛いモノぞ。」 言葉通り、その白い輝きが気に入っていると頷いて。 「余禄?…何のことだ?AAAのメンバーに渡したものは、ただの屑宝石と妾の魔力片だろう?お主とて、人間に戯れに力の一部を与えたりするだろうに」 本当に、あの程度の何が『余禄』なのかと首をかしげて、金の髪を風にながし。 《マルディナ》:【マルディナ】「言葉が悪かった余興といってもいい……精霊船のコアの事だ、一体何を企んでいるか……気にはなる」と首を傾げ尋ねる……その動作は傍から見ればそれこそ額面通り愛らしい仕草で 《優希》   :【優希】「……」ほんと、ゲームみたいだなんて思いながら、やっと慣れてきた街の石畳を歩く少年。服装は上下黒ずくめのパーカーとズボンに大きなヘッドホンで周囲を遮断する。……誰があんな服着れるか。たぶんあいつは面白がってるんだ。……ほんと、ムカツク 《ルー》   :【ルー】「精霊船か?あれは…ふむ、企んでなぞおらぬぞ?ただ、我の破片がこの異界侵食とでも言える現象の最中、第八世界の外にも飛び出したようでな。効率よく集めるために、第四世界の精霊界を渡る技術を欲したまでよ。AAAにはそのために、力を貸してやっているだけだ。」 イェルドの事には触れないようにジュースをのみつつ、あっさりともくろみをバラしてみせて。 《優希》   :【優希】「……」喉が渇いた。目に入るのはオープンカフェ。混んでるのはすきじゃないんだけど、まあ、いいか。足をそちらに向ける 《マルディナ》:【マルディナ】「……ふむ、たしかに外の世界に出たのであれば……理には叶っているが……」ルーの言葉を吟味しつつ答えると「……まあ良い、世話になってる手前その言葉で納得しておこう、深く考えすぎるとパンが不味くなる」はぐはぐとチョココロネを食べて 《ルー》   :【店主】「はい、いらっしゃいませ。ご注文はなんでしょう?」 人好きする笑みを浮かべて、優希に店主が近づいて。 《優希》   :【優希】「……」さすがに注文のときははずさないとか。溜息ついてヘッドホンをはずす「キャラメルラテと…ブルーベリーのクレープ」男の子らしからぬ注文。さっさと注文を済ませば席を探し店内に視線をめぐらせる 《ルー》   :【ルー】「お主のもこの外の世界にあるかもしれんぞ?その場合は精霊船の技術は助かるはずだ。そうなれば妾に感謝するだろうな。」 にこりと笑みをうかべたつもりで、にやりとした笑みになってしまいつつ。だが、続く言葉にはすこし顔を顰め。 「馬小屋など世話をしているうちにはいらん。」 はぁ、この金色の魔王ともあろうものが…と、何か矜持を傷つけられたような顔で。 《ルー》   :【店主】「キャラメルラテとブルーベリークレープですね。少々おまちください」 店の中には人気はまばら。ただ、オープン席には八つほど席があるが、そこには2人の少女がやけに多いパンを机に積んでるのみ。 《優希》   :【優希】「なんだあれ……」思わず口に出る。礼儀とかわきまえてたら出ない言葉。その相手の会話の言葉のキーワードがどうしてもゲームにしかおもえない「ほんと、異世界……ウィザードとかめんどくさい……」でも、それが仇を討つ術。否定できるはずもない 《マルディナ》:【マルディナ】「生憎私は義理堅いからな感謝なら既にしているのだぞ」かと言って相手は金色の魔王油断できない相手には違いない「大であれ小であれ借りたいときに借りれる貸しは尊いものさ……ん?」入ってきた人物を認めて振り返り 《ルー》   :【ルー】「感謝をするくらいなら妾の館の中に入れと何度も言っておるのじゃがな…」 苦々しく唇をゆがめながら、はぁ、と諦めるように息を吐き。 「裏界第一位の魔王ともあろうものが客人を馬小屋に入れているという噂があの真昼の月にでも届いた瞬間がそら恐ろしいわ…んん?」 ぶつぶつ呟きながらマルディナの言葉に気づいてその方を振り向き。そこにいた少女は、たしかAAAの… 「名前までは覚えておらぬが、異能を住まわせているウィザード、だったか?AAAのメンバーだったと覚えているが、どうだ?」 と、優希に軽く声をかけ。その声にはある程度強いモノならば畏怖を感じる力を込めているが… 《優希》   :【優希】「誰アンタ?」なんだこの偉そうなの?目の前の少女に憮然と返答する。ある程度の強いもの、はその影にいる。当人自身は一人では何もできない娘。故に、そこにこめられたものを感じるほどの感覚もなく。ただ、影の中がざわついた「……ほんとに誰?」 《マルディナ》:【マルディナ】「本質自体は理解しても笑顔で皮肉るな」と言ってから優希の方に身体を向けて「如何した少女?自分が誰かと言うことすら判って無い少女が問い掛ける言葉では無いな」 《ルー》   :【店主】「お待たせしました…おや、お知り合いでしたか?」 トレイにキャラメルラテとブルーベリークレープをのせた店主がやってきて、ルーとマルディナ、優希を見て笑顔を見せて。ならば、と余計な気を回して2人席をくっつけてマルディナの隣に優希のトレイを置き。 「ではごゆっくりどうぞ。」 そのまま店主は店の中へと帰っていって。 《ルー》   :【ルー】「おい聴いたかマルディナ。この女、ウィザードのくせに妾にたいして『誰アンタ』だと。」 くつくつ、と笑みを浮かべて優希の問いには無視し、マルディナに声をかけて。 「まぁ座れ小娘。妾と同席する幸福を許してやるぞ。」 見た目には8歳の少女。だが、その仕草は堂に入り、貴族の雰囲気をかもし出しており。 《優希》   :【優希】「AAAっていうんだっけ、あそこ」自分のためにいるだけ、だから興味も薄いらしい「はぁ?ボクはボクだ。誰かって何さ?」二人を怪訝そうに見て「……何?この辺の金持ちとかそんな?」店主の反応と二人の物言いにそんな誤解をする 《優希》   :トレイがその席に置かれれば、拒否する必要もないか、と相席する 《マルディナ》:【マルディナ】「無知は罪ではないが知ろうとしないのは罪だぞ……少女。答えはまあ自分で知るのが良かろうて」意地悪そうに優希を見ると「さてまあ少しは縁が有ると言う事だろうなそれは、言葉の端々がよちよち歩きの子供と差ほど変わらぬ印象を受けるが……」 《ルー》   :【ルー】「お主はこの小娘に会ったことはないのか?どうやら名前は『ボク』というらしいが。第三世界のゲボクに似た名前だ、貧相な体つきに似合った名前だな。」 マルディナの言葉に、横入りしながらマルディナへと声をかけ。視線だけは優希にちらりと向けていて。 「この辺の金持ち…ふはは、気に入ったぞ小娘。その呼び名は少しばかり『面白い』。」 にやぁ、と歴戦のウィザードならばそれだけで身構えるような笑みをうかべ、ぱくり、と目の前のチョココロネに手をのばし。 《優希》   :【優希】「何偉そうに言ってんだ。ボクより全然子供が」二人の頭をてしてしと痛くない程度に叩く「あのね……どこをどうとったらソレを名前って思うのさ?っていうか誰がゲボクだ!?ちゃんと優希って名前あるよ!」思い浮かんだのはクソムカツクどっかの誰か。「っていうか貧相なのはそっちのほうだろ!?」ぺしぺしぺし 《ルー》   :がたがた。と店の中から響く音。みれば、店の中に残っていた客が全員、我先にと店から外に『逃げて』いく。残されたのは店主と、オープンテラスの3人のみ。 《マルディナ》:【マルディナ】「生憎と私は無いな……」会っていたとしても顔には欠片も出さないだろう、そんな顔でルーに答えると「なあ少女老化の程を言っているのではないのだがな、脂肪の塊が誇らしいのか?」ぺしぺしと叩かれた手を面白そうに見て 《マルディナ》:貧相と言う言葉に優希の身体を眺めて尋ね 《ルー》   :【ルー】「そうか、残念だ。この小娘はおそらくAAAの中でも『常識知らず』として扱われているだろうに、その様子を知っているならば教えてもらいたかった所だがな。」 てしり、と頭を叩かれ。普通のウィザードなら触る事すらできぬ場所を何度も叩かれながら、にやにやと笑みをうかべて。 「あぁ、すまなかったな小娘。優希、なるほどいい名前だ。ならば妾も名を名乗ろう…ルー=サイファーだ。覚えておけ小娘。」 あまり自分の名前をこういう事に使うのは好ましくない。また、見かけと相まってニセモノと扱われることにもなれている。それならば力を見せてやればいいかと、少女がどんな反応をするか楽しみそうに見つめて。 《優希》   :【優希】「う、うっさいな」それは、行方不明の双子の姉と常日頃比べられてきたコンプレックス。マルディナに噛み付くように答え「へぇ?ボクのこと女ってわかったんだ?へぇ」ちょっとうれしい。コンプレックスの裏返し「ルーね?ボクは壬土優希」改めて名乗り「そっちは?」気付かない。もしかするとそもそも知らないのかもしれない「すると、二人ともAAA関係?」 《ルー》   :【ルー】「なぜ娘扱いしたことで喜ぶのか妾には理解できぬが…」 その後、普通に名前をさらりと流されるときょとん、としてしまい。珍しく、本当に珍しく驚いた顔をしてみせて。きっとマルディナにも、こんな顔なんて1度たりと見せたことはなかっただろう。 「…小娘、お主ウィザードなのだろう?このラビリンスシティに居住しているのだろう?…それでいて、妾の名前を聞いて何とも思わんのか?」 《マルディナ》:【マルディナ】「マルディナだ……今の無冠だ、それ以上名乗るべき物は無い」少しだけ不満そうに言うと「確か…性別など染色体一つの差らしいな人間の科学的な見地は……つまり私が間違えて男と言う可能性も有ったのか…」 《マルディナ》:【マルディナ】「ああ優希、お前のお陰で珍しいものを見た、褒美を取らせよう」ルーの顔を存外な表情と見て、ポケットの中から飴を取り出すと優希のトレイに乗せて 《優希》   :【優希】「いいじゃん、そんなの」指摘されれば、恥かしいことらしくちょっと頬を染めてぷい、と横を向く「ん、まあ。成り行きとかそういうので、ね」原因の事件を思うと苦い顔になる「へ?やっぱすごい金持ち、とか?」首をかしげる 《優希》   :【優希】「……ボクのほうが年上だと思うんだけどさ?」子供じゃないんだけど、とその飴を眺め 《ルー》   :【ルー】「マルディナ、妾はコレにどう対応すればいいのかわからなくなってきたぞ。」 むぅ、と真剣に困った様子で頭に手をあて眼を閉じて。その仕草は少女がこまったー、としているようにも見えて。 「妾が生まれ出でて、今まで一度たりとこのような輩と話したことがない。怒ればいいのか?」 飴をみてすこしふてくされているような事をいう優希に、視線を向けて。 《マルディナ》:【マルディナ】「流通してる金貨でも見せたら如何だ?たしか裏の刻印が何枚かはその顔だったと思ったが」無論転生以前の……では有ったのだが、そう提案しつつクスクスと面白げに「この程度で怒っていては身が持たぬし……そもそも尋ねて怒るのでは怒る意味が無いと思うぞ」 《優希》   :【優希】「???何話してんのさ?」クレープをはむ、と食べる。うん、美味しい「っていうか二人もウィザードなの?」 《マルディナ》:【マルディナ】「優希、では尋ねるがどうして自分が年上だと思うのだ?」と尋ねながらミルクをたっぷりと使ったクリームパンを口にして 《ルー》   :【ルー】「金貨…金貨、なぁ…」 しぶしぶ取り出した、ちょ●くちょきんぎょから1枚の金貨幣を取り出し、机において。確かにそれには顔がついているものの…それは妙齢の女性であったマジカルウォーフェア以前のモノ。正直面影がまったくないので、困っていて。 「お主の言うとおり、妾から声をかけて怒るのは筋違いだな…しかし、すこしばかり不愉快だ。珍しくもあるから、気の転換にはなるがな」 ふぅ、と息を吐きつつチョココロネをもぐもぐ。 《優希》   :【優希】「へ?みたままじゃん?」何を言ってるんだろう、この目の前のちっちゃいのは「金貨?」ソレを見て「あー、まさかあれ?ここの王様の娘とかそんな?これお母さんの顔とかで」面影がないのであれば気付きようもない。王様。日本人にはなじみがなさすぎた 《マルディナ》:【マルディナ】「では聞こう。優希、お前が落とされた世界は今まで見たままと変わらず穏やかな世界であったか?その眼で見たままを信じれるそれはとても優しい事では有るのだが……」謎かけの様に尋ねると 《ルー》   :【ルー】「人間は実に表面にこだわるイキモノだからな…優希、ためしに聴くがここで一番年上は誰で一番年下は誰だと思う?」 金貨をちょちくちょ●んぎょになおしてから、んー、と悩みながら聞いて。 「そもそも王様とは誰だ。『皇帝』のことなら既に封印済みなのだがな。セレスめ、簡単な事も説明していないのか…?」 《優希》   :【優希】「へ?」マルディナの問に考える「んー……穏やか?」周りを見る。考えてみれば実戦関係に関与したこともなく「奇妙なところだけどそうなんじゃない?」戦いを知らねば実感できない事実「年上?」自分を指差し「年下、はマルディナ?」と首をかしげ「王様って、んー、一番偉い人?ほら、イギリスとかの」 《マルディナ》:【マルディナ】「奇妙と感じる世界の裏を知った、では見た侭が全てで無いということも知ったのではないのかな?」あむとシロップたっぷりのパンケーキを食べながらさらに尋ねて 《ルー》   :【ルー】「お主も実に悪い聞き方をするな…」 パンケーキに口をつけるマルディナと、まったくもって表面で考える優希を見てからため息をつき。 「あぁ、優希。お主に聞いた妾が阿呆だった。許せ。…今度、お主の知り合いのウィザードに、『魔王』と『ルー=サイファー』について聞いておくといい。」 もうだめだ、はやくなんとかしないと、という感じの表情になりながらコロネもぐもぐごくん。今度はポン・デ・リングのようなドーナツに手をのばし。 《優希》   :【優希】「どういう意味さ、それ」むー、と二人を見る「まぁ、ディルクは吸血鬼だっけ。そういうのもいるし、ね」見たままではないことには同意しつつ、しかし今の会話と何が繋がるんだろう「魔王?」そんなとっぴな言葉を聞いて首をかしげる。思い浮かぶのはRPGのラスボス「魔王?」二人を見て 《マルディナ》:【マルディナ】「なに、私は努力する物が好きなのだ、そこに敬愛の情を持つとさえ言って過言では無い」だからあの駄犬は駄目なのだとぶちぶちと小さく文句を垂れながら 《ルー》   :【ルー】「妾は煌くもの、成長するものは好きだな。お主の今後の成長に期待させてもらおう、というところか。」 吸血鬼の存在を知ってなお、魔王の存在を知らぬ様子に頭を悩ませ。 「あぁ、魔王だ。妾は魔王だぞ。」 といっても、きっとまた「へー」とか「ふーん」のような反応なのだろう、と期待薄く応えて。 《マルディナ》:【マルディナ】「優希が何を想像したかわ……」大体理解したような顔で「……まあよい、魔王だとなにか不都合な事でも有るのか?」 《優希》   :【優希】「え?まじ?」驚きの顔「魔王って、そんな……」わなわなとふるえ「いや、まって魔王ってあの魔王?」その反応はおびえとかではなく「マジでいるの?そんなの?自称ってやつ?」 《ルー》   :【ルー】「む、む…」 最初の優希の驚きの声。ぴくりと反応し、優希の顔をみて。震える様子、それはまさにウィザードが魔王に直面したときのあの顔であり。にやり、と。やっと自分の偉大さを理解させたか、と納得した瞬間―― 「だからなんでもうお主はそうなのだッ!?」 あまりの持ち上げてからの落としっぷりに、思わず大きな声を上げてしまい。 《マルディナ》:【マルディナ】「……珍しいものを見た、私にはその方が楽しくは有るな」ルーの様子ににやりと笑みを浮かべて「理解が半端だな辺土に落ちる前に師に付いて良く学ぶ事を進めるぞ優希」やれやれと言った風情で 《優希》   :【優希】「え?なに?」わかってない顔。どうしたの?ってマルディナを見れば楽しげなマルディがいた「もー、日々ウィザードについてべんきょーちゅー。アタマおかしくなるっての」思い返しぐてー、とテーブルに突っ伏す「これみてよ」専門用語を書いた単語帳を見せる「ソレ全部覚えろとか、キチクだと思うんだ」 《ルー》   :【ルー】「許せマルディナ。今日の妾を記憶するな。忘れろ。」 はぁ、と息を吐いてから優希が差し出した単語帳を見て。ちらちらと見て、下した結論は… 「なんだそれは。あまりに基本的すぎて話にもならんのだが、お主まさかその程度のことも知らずにこの街にいるのか?」 プラーナの性質や特性、ウィザードの組織関係などを書かれた単語を見て、また頭をかかえ。 《マルディナ》:【マルディナ】「ふむ、その程度も知らぬとは……成る程、先程の答え様と合わせるとまだ回りは優希にとって優しい世界なのだな」一瞥するとそう答え 《優希》   :【優希】「だってウィザードなんてついこないだ知ったばかりだし」突っ伏したまま「それに“覚醒”っていうんだっけ?そのせいでこっちに弾かれてきたみたい、だし」苦い記憶をにじませながら「戻れるんだかも、わかんないしね」 《優希》   :【優希】「そう、なのかな?」 《マルディナ》:【マルディナ】「そうだろう?知らぬままこの世界に来て、未だに身体も心も損なう事無くこうして食事を取れるのだから……見よルー=サイファーの嘆きようを、これを引き出せたのはそうだからこそだ」 《ルー》   :【ルー】「本気で『なりたて』か。お主。…なるほど、ならば、まだ先ほどの無礼もありうる話か…まったく、お主の教育係は誰だ?妾の事を教えていないとはどういうことか、話をつけねばならんな。」 はー、と。もう何度目になるかわからないため息をついてから、頭を抑え。 「マルディナ、お主先ほどから…妾をネタに楽しんでおらんか?」 じ、とマルディナの言葉に反応して視線を戻し。 《優希》   :【優希】「じゃあ、前の世界のほうが優しくないのかな」マルディナの言葉に一人ごちる「……成り立て、もそうだけど…ボクのチカラって、珍しいって?」 《ルー》   :【ルー】「お主がどんな目にあってウィザードに『』」 《マルディナ》:【マルディナ】「食事は楽しんでするものだろう?この街での知名度を考えると当然な」ルーの言葉にそう答えてからテラスより外を見る……此処からでも見て取れるルー=サイファーの館を見てから「……それは優希の在り様次第だろう?」 《ルー》   :【ルー】「お主がどんな目にあってウィザードに『なった』かは知らん。だが、少なくともお主のいう前の世界のほうが幸せだったのは確かだ。…もし何か得体の知れぬ悪魔のようなものに襲われたのなら、それこそ『こちらの世界』の存在が表の世界に手を出した事が原因なのだからな。不運な被害者、というところか。」 前の世界というのを真実を知らぬ世界だと考えて、ふぅ、と息をついて話し。 「お主の力が珍しいか珍しくないかは知らん。優希、手をかせ。」 もういっそ、『刺激』してやるかと思って手を伸ばし。 《優希》   :【優希】「在り方?」んー、と考える。ぴんとこないや「それ、どういうことさ……つまり、アイツはこっちにいる、ってこと?」ざわ、と物騒な気配を放つ。感情の起伏にあわせて、影の中のソレがざわついている「手を……?」そうだ、目の前の二人は関係ないんだ。ルーの声に我を取り戻し、言われるままに手を出す 《ルー》   :【ルー】「お主は本当に、性が悪いな」 はぁ、と息を吐きながらマルディナの視線の先、自分の館を一度見て。そのまま優希の手を握ると… 「知らん。本当に表の世界の狂った人間が犯した凶行かもしれん。詳しくは自分で調べてみるがよい…それ、いくぞ?」 重なった優希の手に、金色の魔王の魔力を流し込み。普通の人間ならそれだけでパンクしてしまうような魔力が、そのまま優希の体を通って影の中へと流れていく。 《優希》   :【優希】「何?」いくぞ、にわけがわからず首をかしげ…その直後に流れ込む強大な魔力。「!?」それがなんなのかはわからない。ただ強烈で圧倒的な力が、自分を通路として影に、影に潜むそれに流れ込んでいく 《優希》   :【優希】「や、あ……っ!?」アタマが真っ白になるほどの奔流、それを受けて、影の中のそれは… 《優希》   :【狂ウ想イノ詩】『――――!』ソレは、影から勢い良く起き上がる 《優希》   :ソレと同時に、歌う。詩ではない。旋律。それを奏でるのではない。確かに、歌った 《優希》   :歪な人形のようなソレは、名の通り、張り裂けんばかりに歌う。     優希の制御を離れて 《ルー》   :【ルー】「ふむ、これがお主のウィザードとしての力か。なるほど、未熟ゆえに制御が利かぬようだな。」 優希の手を握ったまま、魔力を注ぐ量を限界まで小さくしてしまいつつ、メディウムと優希の2つに魔力を流して。 「ほれ、優希。ちゃんと制御してみせよ。それがお主の『力』なのだろう?」 にやにやと、少しばかり気が晴れた、という風に優希の顔を見て。 《優希》   :【優希】「あ、ぅあ……?」小さくなる奔流、それは意識を取り戻させる「あ、ぅわ……」首にかけてたヘッドホンを咄嗟に被る「ら…《狂ウ想イノ詩》(ラプソディ)とま…れぇ……っ」耳から入ってくる音を意識の媒介にして、必死に呼びかける 《マルディナ》:【マルディナ】「自分こそ随分と……」その様子をと見守る様にしながら 《優希》   :【狂ウ想イノ詩】『―――……』そうしてそれは、その詩をかすれさせ、曲がフェイドアウトするように影に埋もれていく 《優希》   :【優希】「はっ、は…っ」胸を押さえ息を整える「な、何いきなり、して……っ!?」上ずる声のままルーを見る 《ルー》   :【ルー】「何、妾はただこのもの覚えの悪い小娘に少しばかり教えてやっただけだ。感謝ことされど、非難されるような筋合いはあるまい?」 暴れるメディウム、震える優希。それに対して、まったくの平静を保つ魔王の2人。 「いきなりも何も、刺激を与えてやっただけだ。自分の力も満足に使えないウィザードは、この街から出ると死ぬ可能性もあるからな…ほれ、もう1度だ。」 といって、再び優希を介し、影に魔力を注ぎ。今度は先ほどよりわずかに多い量。 《優希》   :【優希】「きゃぅ!?」先ほどのでもアタマが真っ白になるほどだった。ソレを超える圧倒的な量にラプソディは吼え、歌い……それは破壊を伴う力を撒き散らし始める。「ああああああ!?」そう、それは…完全に制御から離れた……! 《優希》   :【狂ウ想イノ詩】「――♪」転調し情熱的に奏でられる歌は、宿主から注がれる力を得ようと貪欲に吸い上げ歌う。宿主の負担も考えずに 《ルー》   :【ルー】「おっと。」 優希の手を離れて暴れ始めたそのメディウムを、こともなげに優希と重ねた手とは別の手を差し伸べ。ただ、それだけで影は動きを完全に封じられてしまう。 「食事の時間に音楽はいいが、埃が立つのは好きではない。暴れるのならばおとなしくせい。」 優希から手を離し、その手でジュースを取りながら強引に優希の影へとメディウムを押し戻して。 《優希》   :【優希】「ぁぅ…」影が押し込まれ、開放される。椅子にぐったりともたれかかり「アンタ、何、して……」原因は間違いなくコイツだ。圧倒的な力で、弄ばれたのがわかる「……っ」悔しくって情けなくて唇を噛む。目じりに思わず涙が浮かんだ 《ルー》   :【ルー】「大丈夫か?すこし遊びがすぎたようだな。」 ふふ、と満足そうにしながらオレンジジュースを飲んで。 「なぁに、お主が自分の力の限界を把握できるように手伝ってやっただけだ。どうだ、自分の力を理解できたか?」 パンを再びぱくり、と食べて満足しつつ。 《優希》   :【優希】「うぅぅ…後輩いびりかよぅ」虚勢を張ってそう突っ込む。おそらく目の前の二人とは天と地ほどの力量差があるんだろう 《マルディナ》:【マルディナ】「長い目で見れば今の行為も役に立つが……それをどうするかは優希次第だな、泳ぎ方は覚えたのだろう?」 《ルー》   :【ルー】「後輩…?後輩とはまた、違うと思うのだがな。」 ふふ、と笑みを浮かべてパンを食べ終わり。 「優希がちゃんとしたウィザードの力を出せるように、蛇口の錆びをとっただけだ。安心しろ。…そうだな、これですこしは『体感』しやすくなったんじゃないのか?」 《優希》   :【優希】「体感……?」どういうことだろう、とふと意識する。ほんの少し、今まではできなかった微細なコントロールができた、気がした「こういう…こと?」それは魔力に対して過敏になったからか。ほんの少しの動きも感じ取れる気がした 《マルディナ》:【マルディナ】「そして恐れを知るがよい、それは力であり優希の武器……余人と型こそ違えと命を奪い刈り取るもの奢り昂ぶるのではなく自制自律を心掛けよ、さもなければ……」瞬きする暇もなくその居場所を優希の後ろに変えて「辺土の土と帰る……願う事も夢見る事もなくな」 《ルー》   :【ルー】「ようこそ、真実の世界へ。」 仰々しい挨拶をしてから、にやりと悪魔のような笑みを見せて。 「これが、『魔王』だ。理解したか、『ウィザード』?…ここまで妾が力を見せるのも、あまりないのだからな。感謝しても構わんぞ。」 マルディナの目をみながら、震える子羊を見て。 《優希》   :【優希】「……コレならアイツを倒せるんだよね」その実感は危険なものをはらんでいて「……アイツと同じにはなりたくないから」うん、と頷く。この力でどうにかしたいのはあの黒い影ただ一人だから「……え?」そこで首をかしげた「魔王……?」やはり理解が甘かった 《マルディナ》:【マルディナ】「教育よりは調教の方が良かったのかも知れんな」その甘さにカカと笑って 《ルー》   :【ルー】「お主がその力を何に使おうとお主の勝手だ。それがお主の獲物に振るうのも、同族に振るうのもな。ただし、同族に振るえばその瞬間にお前は世界の敵となることを覚えておくといい。」 ふふ、と笑みを見せて立ち上がると…続く言葉に、がくりと肩を落とし。 「先ほどの力は1割すら出しておらん、と言えばすこしでも理解が出来ると嬉しいのだがな。」  《優希》   :【優希】「マジで?すご…」絶句し「ボクもそこまでいける、かな?」臆しない性格は、壮大な希望へと転嫁する 《ルー》   :【ルー】「人間はその思い上がりは本当に好ましいものだ。」 くくく、と魔王である自分と同等になろうとする姿勢に笑みを見せ。 「さて、ではマルディナ帰るとするか。」 そのままマルディナを連れ添い、店主のもとへ行こうとして。 《マルディナ》:【マルディナ】「ああまたな人間、この地に留まれば色々と面白い物が見えるぞ」ばいばいと優希に手を振るのは単なる少女の様な仕草 《優希》   :【優希】「んじゃまた。次は見てろ?目にモノ見せてやる」目を細めて笑って二人を見送る 《ルー》   :  《ルー》   :  《ルー》   :そうして、館へと帰っていく2人。こっそり優希の分の代金も立て替えておいたりと、すこしのサービスもあったりして。 《ルー》   :その後、帰った優希が『魔王』と『ルー=サイファー』に関して誰かに質問した場合にどうなったかは、また別の話。 《ルー》   :