21:08 hikami >あの少女を拾ってより数日、傍目にはさしたる問題とはなり得ぬ物事だが……男に取ってみれば僅かな不満点を残していた。 21:08 hikami >幾度か面倒を見る事になった際に彼女が纏う衣服は男物、と言うだけではなくどうにも……直截に言えば“勿体ない”と感じていた。 21:08 hikami >事実、一度服を損壊させてしまった後に“代わり”として与えた物を纏わせた姿は相応に美しく、愛でるに値する程と思えたのだから。 21:08 hikami >だからこそ、勿体ない―――ならば、どうすればいいか? 21:08 hikami >そう、ただその一点の余事に思案を彷徨わせる事が出来る程度には男の過ごしてきた悠久の時間は余裕、と言う物を与えていた。 21:08 hikami >ある意味では人の時間に合わせて動く事となった今でもそれは変わることなく、美への探究と追及、思索に耽る時間を楽しみの一つとしていたのだ。 21:08 hikami >―――暇なのか、と言われてしまえばそれを否定する術を持たない。 21:08 hikami >ミッションの無い時間など得てしてそう言うものであり、男にとって訓練とはそれそのものにより“己の魔力を浪費する行為”であり、休暇休養こそが旨であるとしていた。 21:08 hikami >―――事実、訓練して変わる物事が男に存在しないと言う事もあるが、自らを鍛え磨くと言う行為そのものにも飽きていた。 21:08 hikami >そんな余事を過ごし、ある妙案が男へと浮かぶ。 21:08 hikami >“着なければならぬ状況”であった際、あの娘は確かに女の衣服を纏ったのだ。 21:08 hikami >ならば同種の状況を、より己が楽しめる状況で作り出せばいい。 21:08 hikami >考え付けば単純な事であり、そう、と決まれば次の“暇”を埋める手段を探せばいい。 21:08 hikami >―――こう言う無駄な所にだけは手際が良かった。 21:08 hikami >………………… 21:08 hikami >…………… 21:08 hikami >………… 21:08 hikami >……… 21:08 hikami >…… 21:08 hikami >【ディルク】「……ふむ……少し時間があるか……」 21:08 hikami >       そんな訳で夕刻を過ぎた頃合い、食事に連れ出すと言う“口実”を元に少女を連れだした道中、迷宮街へと連れだしたものの、予定、としていた場所に向かうまでには余裕がある。 21:08 hikami >【ディルク】「食事の前に買い物の予定もあるが、それにしても少し早いか。……散歩ついでに少しばかり遠回りしていくかね。君の社会勉強にもなろう」                ウィザードとして、世界の裏側の存在として未熟にして無自覚、判り切っていた事柄ながら先日の―――クロエとの“一件”で思い知った男は嘆息と共にそんな言葉を零した 21:12 Ryumaco >【優 希】 「買い物?なんか買うの?」                これまでの係わり合いから相手が金に不自由していないのはわかっている。だから遠慮なんかせずにここにやってきた。そもそも自分に財産が現状ないわけで、たからない手はない。               「遠回り?……そーいえばちゃんと見てなかったっけ」                それは、今することにて一杯で余裕がないから 21:17 hikami >【ディルク】「まあ、少々“必要なもの”があるのでね。食事も買い物も、双方共に先方に時間を伝えてある……つまり早く行きすぎても時間を無駄にするだけだからね」                こうして時間が“余った”のも単純な話、優希の支度時間を計算に入れてのモノであり、企図が企図であるだけに不意打ちでなければ意味はない。                ―――……支度の時間がその見積もりよりも随分早かった、と言うだけの話である               「だろうと思ってね。……少なくとも、そろそろ月衣と月匣の扱い程度は判った頃だろうが…………此処はどうにもそれだけでは足りない様だからね」                踏み出した町並みは石畳、風景、としては中世代と近い区画はある種居心地の良いモノでもあるのか、自然とコースは其方側へと寄る。 21:19 Ryumaco >【優 希】 「ふぅん。大変だなあハイソな人ってさ」                それも金があるゆえなのだろうけど               「んー、まあ」                月衣に手を突っ込み、もらったアセイミーナイフを出してみせる               「これくらいはね。あとは……あのクロエ、スパルタすぎ」                訓練を思い出し、ふぅ、と溜息 21:20 Ryumaco >【優 希】 「言うとおりやってんのに、魔法、発動しないんだよねー」                空を見上げる               「ボクはほかに要因あるとおもうんだけどね」                肩を竦めて見せる 21:24 hikami >【ディルク】「ならば上々、基礎教程としての月衣の扱いは“物を隠す事”だからね。                そのまま強度を高める事が出来れば自分の現実を世界結界から護る……世界結界と言う“枠”から外れた自身を誤魔化せる様にもなるだろう。クロエの教導はまぁ……少々感情的な部分がある事は否定しないが、ね」                目にしたのが先日の、ある種騒動とも言うべき一件だけだった所為もあるだろう……以降、危なくてあまり近寄っていなかった               「基礎教程、と言う意味ではある種正しくはあると思うがね、君は少なくとも“無知”に知識を叩き込まれている状況だろう、直に、慣れる。―――優希の“要因”については……推測、は出来るが確実ではないね」 21:26 Ryumaco >【優 希】 「いやまあ、そうなんだけどさ……アレ、ハードなんだけど……」                アタマをぽりぽりと掻いて               「って、推測?」 21:30 hikami >【ディルク】「何、俺が“人間”に託しただけまだ良いと思うべきだね。俺は早々に放棄したが力の探求を幾百と言う年月をかけて行う変わり者居る。                ……力、に興味を持つ類の“魔王”もこの町には多いからね。其処に頼る……否、辿りつく、と言うべきかな、その前に“人”を挟む方が余程楽だろう」                視線を軽く周囲に向ける、それだけでも“人間ではない存在”は簡単に見つけることの出来る街中……この辺りは現代風から外れるだけにそうした存在が比較的多いだけ、かもしれないが               「ああ、推測、でしかない上に……確証など無論、無いがね。優希、君の魔力形質は“従者”に依存している可能性が高い、と俺は考えている」 21:32 Ryumaco >【優 希】 「ふぅん……」                このゲームの中のような世界。それこそゲームのような人たちがたくさんいるのもそれなりに理解した               「従者ってラプソディに?」                思い返す               「そーいえばボクの魔法みたいなのって全部ラプソディが謳ってるなあ。さすがディルク。年の功ってヤツだね」                目を猫みたいに細めて笑う。その足取りは軽く、少し先行する               「あ、そーいえば」                ディルクの言葉に唐突に思い出すことがあった 21:33 Ryumaco >【優 希】 「ディルク、ルー・サイファーって知ってる?」                この間あったくるくるふわふわな少女。そのことを聞いてみる 21:39 hikami >【ディルク】「ああ、そう名付けたのだったね。……以前、正直に言えば思いつきではあったが……“音”を媒介にするタイプの従者だと判断した事は伝えたと思うがね。                あの一件で実際に制御可能となったのを考えると……重ねて、最初の遭遇もそうだがクロエとの訓練風景でも“ラプソディを使役する事”でならいわゆる魔術、と言う形式を取れているのではないかな。                ……まぁ憶測、だがね。君が月衣をより使いこなしウィザードとしての体質改善が成れば進化する可能性もある」                この辺りは少し道幅が広い、ある程度は大丈夫だろうと思ったのだが……               「―――……ルー・サイファー?有名だぞ、彼女は。……とは言っても裏世界、ウィザードにとっては、だがね」 21:43 Ryumaco >【優 希】 「なるほど。まああのコをしっかり操作できるようになれってことね。つまり?」                後ろから来るディルクを見あげ               「名づけたっていうか、たぶんあのコが教えてくれた、かな?アタマにね。ぱっと浮かんだんだ」                リズムを取るようにシューズの底で石畳を叩く               「らしいね。魔王、だっけ?こないだ会ってさ?」 21:43 Ryumaco >【優 希】 「なんか誰かに聞いてみろってルーに言われたんだ」 21:47 hikami >【ディルク】「率直に言うならば、ね。……目指すべきは大きく三つ“ウィザードとしての基礎教養を身に付ける事”“ラプソディを制御する事”“月衣及び月匣の習熟”といった所かね。                クロエの教導は無駄にはならんだろう、生身での魔力調整はどの分野にも共通して有効だからね。……しかし、教えたか。インスピレーションの類ではなく固有名詞を持つ従者となると―――」                それが一個の生物、自我認識を持つもの、となると少し面倒か……僅かに思索が飛びかけるものの今は脇へと置く。判断材料が少なすぎる               「……まぁ、誰に聞いても率直に返せるだろうね。彼女……“金色の魔王”の二つ名を持つ少女だが……アレは最古に位置する魔王の一柱にして最強の一人、並みのウィザードでは太刀打ちどころか触れる事も適わないだろうね」 21:50 Ryumaco >【優 希】 「基礎教養と、制御と、習熟、ね……なんだか小学校からやり直してる気分」                肩を回して               「ああ、そっか。珍しいんだっけ?あのコ。何考えてるかわかんないけど“考えてる”みたいだよ?」                助けてくれたわけだしね、と付け加え               「ルーが?へぇー、なんか普通のちびっ子だったけどなあ」 21:56 hikami >【ディルク】「間違っては居ない、ね。そもそも“月衣の使い方”などはウィザードにとってみれば基礎も基礎、出来ねばおかしい、程の物だからね。そういう意味では初等過程から入って中等過程に移る辺り、と言う認識でも間違ってはいないね。                ―――その上で君の場合、あの従者はどうやら新種、新しい上にレアケース、と言う条件が重なっているからね、把握出来ている者も少なかろう」                そもそもの意識、目的その他……不明な所が多すぎる。少なくとも“敵ではなさそう”なのが救いか               「―――……ふむ。優希に先の大戦、マジカルウォーフェアの話を持ち出したとて難しい話になりそうだからな」                何せ説明の範囲に専門用語が多すぎる上に己でも把握外、直接参加した訳ではなく、背教者会議からの支援情報の一環程度……噛み砕けるとは思わない               「嗚呼……“金色の魔王”の力の片鱗、ならば今すぐに示す事ができるがね」                唐突にその足を止める……立ち止まったのは頑強な石造りの建物の前、なんてことはない、当世風に言えば陸橋、の一部である。 21:58 Ryumaco >【優 希】 「こー、一瞬で覚えれればいいのにさ。ゲームみたいに」                疲れた溜息で橋の欄干に座る               「力の片鱗?」 22:01 hikami >【ディルク】「まぁ、それが“人間”の不便な所ではあるね。……最も、優希の様な新米の段階で“ラプソディ”程の高質な魔力を保持している方がレアケース、その辺りでは一歩、得してる、とは思うがね」                座り込んだのを良い事にと傍らに、欄干の一部……精緻、とは言えぬ程度ではあるが上質な石の感触へと触れて               「うむ。例えばこの欄干だが……優希には……否、クロエ、としてもいいね。“創れ”と言われたら可能かな?」 22:03 Ryumaco >【優 希】 「得、なのかな?」                ちょっと褒められてる気になる。悪い気はしない               「これ?作れってそんな、ボク建築屋じゃないし」 22:08 hikami >【ディルク】「ああ、少なくとも通常、優希の保有する“ラプソディ”同等の魔術を行使しようと思えば相応の研鑽が必要だからね。……其処に縛られる、と言う欠点はあるが、完全にモノに出来れば更なる発展も望めるだろう」                この辺りが一定の評価、である。無論不安要素はそれ以上にあるわけだが―――口にすれば“今”は逆効果だろうと心の内にのみ留めていた               「……世の中には魔術を用いて武具器物の類を作れるモノもいる。クロエの“水流”もその一種、だね。例えばすぐ下に流れる川の水量を比べてみても良い。」                欄干はほんの1〜2メートル程度のもの、浅瀬を渡る為の歩行手段とも言えるものだが……無論、川は川、水深が深くないとは言えども継続して流れる分には相当な量があるだろう               「この水量を生み出す事、も……まぁ難しいだろう。此処までは判るかな?」 22:11 Ryumaco >【優 希】 「あのコそんなにすごいんだ。へぇ」                実感がないから生返事               「ま、研鑽あるのみってことか。変わりなく」                めんどー、と呟く               「うん……川の?」                座ったまましたを見下ろす               「難しいっていうか無理でしょ?だってこれ、ずっと流れてるジャン?」 22:17 hikami >【ディルク】「うむ、無理、だね。―――さて、今まで歩いてきただけで“建物”も“川”も、無論、森も存在する。                居住地、として使用しているギルドハウスも勿論だが……まぁ建物の幾らかは後々に流れ着くなり、建築されたりしたモノもあるがね。南西部にある学園辺りが“後から出来た”典型例か。                ―――だが、先んじて存在した地理地形を創り、この世界“ラビリンスシティ”を使用可能にしたのは“金色の魔王”ルー=サイファーだ。                実質上この世界の支配者、と言っても過言ではなかろう、裏界勢力の大半を牛耳る存在、幾柱もの魔王を配下に抱える上位の魔王―――まあ、その程度には有名だね。                彼女以上の実力者、となるとシャイマール辺りしか俺には思い浮かばないな」 22:20 Ryumaco >【優 希】 「へ……あのルーが……?」                突拍子も無いことに一瞬呆け               「わ、ぅわ……!?」                あまりのことに止った思考は、身体の平衡感覚すら止めて……そのまま川に落ちる               「わぷっ……痛ぁい!?」                浅いのが幸いしたか。おぼれはしないもの強かにお尻を打ち、びっしょりとぬれねずみになる 22:25 hikami >【ディルク】「まぁ、此処に居る以上どこかで遭遇する可能性はあるが……居住者相手にはそう無碍な事はしな―――」                いだろう、そう告げようと視線を戻すも……居ない。直後に響く水音は真下から、つまり……               「―――……何をしているのかね、君は」                無造作、背中に漆黒の翼を宿すと欄干を跨ぎ水面近くまで降下していった 22:26 Ryumaco >【優 希】 「くそー、冷たぃ……」                悔しさを隠さず呻き               「ディルクが突拍子も無いこというからだろー」                ただの八つ当たりなのだが、睨みつける               「うー、どーしよ……びしょびしょじゃん。コレじゃご飯いけないや……」 22:30 hikami >【ディルク】「……突拍子もない、とは言うがね。ラビリンスシティの住民にとっては常識の一端だね、無論……ただ町を作り維持するだけの魔王ではないがね。                此処を拠点、として用意し活動する、と言う発想にいたる程度には他の能力も総じて高い。注意は必要だが休戦協定もある今、そう好戦的な魔王ではないがね」                そのまま水面、倒れこむ少女へと手を差し伸べつつ               「―――いや、好都合ではあるね。少々早いが“買い物”に行こうか。何、橋を渡れば直ぐにつく距離、そう我慢する事もあるまい」 22:33 Ryumaco >【優 希】 「だって普通の女の子じゃん」                自分の見たルーをおもいだし               「そりゃあすごい魔力もってたけど……」                頬を膨らませる               「好都合?へ……?え、なに?」                話が見えずそのまま?を浮かべたまま手を握られ 22:37 hikami >【ディルク】「……ふむ、そう言う、と言う事はあったのかね、ルー=サイファーに」                ひょい、と、軽く引き上げられる程度の膂力はある。元より吸血種……見た目とその“力”はつりあっていない存在である。引き上げたまま―――つまりは手をとったまま川岸へと向かおうとして               「……食事に行くのに“その格好”ではどうか、とね。俺がわざわざ誘う以上簡素な定食で済ませるツモリはない。……となれば相応の用意は必要だろう?」 22:40 Ryumaco >【優 希】 「うん、こないだカフェでね。マルディナと一緒にいたんだ」                まるで友達のことを言うように軽く               「え、ちょ、まった、どんな食事さそれ!?」                いきなりハイソな台詞。正装のみといえばもう映画とかテレビの世界。 22:44 hikami >【ディルク】「マルディナ?……ふむ、そちらは知らない名だな。しかし、その無知さ加減で良く無事だったな。それだけあの魔王が消耗しているという事か……此処だったから、と言う可能性もあるか」                半ばの独り言、呟くような響きと共に川縁へと引き上げ……そのまま、自らも陸地へと降り立つ。飛行が珍しい訳ではないが目立つ、のは確かである               「無論“食事”だね。何、訓練に真面目に励んでいる褒美、とでも受け取れば良いよ、加えていうなれば優希に相応の格好を一度させてみたかった、と言うのもあるからね」                ―――発端が十割後者、である事はさておき。 22:46 Ryumaco >【優 希】 「普通にチョココロネ食べてたけど、ってうわ」                ひょい、と掬われ川べりに立つ               「え、ボク、フランス料理とか食べたことないんだけど」                ここでフランス料理しか出てこないのは庶民ゆえの発想の貧困さ               「って、相応のカッコってなに!?」 22:51 hikami >【ディルク】「―――……ふむ、少なくとも……俺は見ないで良かった光景の様だね。余り想像し難い」                この男にとって率直に思い当たるのは“以前の”姿であって……無論今の姿も伝聞としては聞いているがその程度、新しい出来事であるが故に少し抜けた分野ではあった               「テーブルマナーを覚えるのも一種の勉強と思えば良い。そう気取ったモノではないが……念のため個室にしてある。ある程度教えながら、でも問題のない様にはしておいて正解だったか」                発想の段階で今後の展開も予測できる範囲、か               「……少なくともスカートは穿いて貰おうかな。それと、夜、である事を考えれば肩と背は出しておく方が似合うだろうね」                言う言葉は策略の予期せぬ成功への道程に軽く笑みの色を含む……                先刻の宣言どおり“直ぐに”着く事となるだろう洋品店は……気取らない、と言っておきながらそれなりの店構えをしていたりするわけだが。 22:55 Ryumaco >【優 希】 「そんな風に見えないけどなあ」                見ている姿が違うのだ、一致もしなかろう。しかしそれがわかるはずもなく               「スカート!?肩!?背!?ちょ、や、何着せるの!?」                その大胆な要求に顔を真赤にして逃げようともがくが、気付けば店の前               「え、ちょ、何この店……?」                逃げることを忘れさせるハイソな雰囲気に、飲み込まれた 22:58 hikami >【ディルク】「無論、ドレス、だね。フォーマルな物だからそう肩肘を張る程でもなかろうが、ね。さて―――少し早いが事情が事情だ、容赦して貰おうか」                そのまま無造作、ぽかんとした少女をそのまま引っ張り込む形……此処までくれば半分成功、である。               「……失礼、彼女の衣服だが……」                入って早々、来意を告げるのみで……名乗り、は、無い。それだけ継続的に利用していた証でもあるのだろう。先方もどうやら判っているらしく数言のやり取りが続いていた。 23:00 Ryumaco >【優 希】 「ド、ドレス!?無理、そんなの無理だってば!?」                しかし抗議むなしく店内へ               「こ、ここ…どこ……?」                並ぶ衣類は見ただけで価格が想像つかないような上等なものばかり。その異世界をきょろきょろと見回し落ち着かず挙動不審。ディルクのやり取りなんて耳に入らない 23:05 hikami >【ディルク】「―――……さて」                無論、此方は己の“策”を完成させるべく段取りを進めていた。……数分と待たずに数名の女性が奥からやってくる事となるだろう               「無理、では無かろう。幾度目かになるが“素材”は良いのだからね。……磨かない方が損と言うものだ。希望があれば聞く、と言いたい所だがこの場合優希の希望を聞いてはタキシードになりかねないからね」                ややの冗談を混ぜた口調、ぬれねずみとなった少女の背を、とん、と、軽く押して               「……事前に幾らか見立てておいた。採寸を受けたらその中から好きなものを選ぶと良い。ある程度の“予測”を元にサイズも整えてあるからね、仕立てに時間が掛かりすぎる事もあるまい」                ―――以前服を用意した際に大雑把な体躯は把握済み、である。―――つまり濡れた所は余禄、それ以外の部分は全て最初から“仕組まれていた”訳で。 23:08 Ryumaco >【優 希】 「いいじゃんタキシード」                膨れるが、とんと背を押され               「え?何?何なの?ちょ、ディルクー!?」                店員の女性にあっという間に囲まれ連れて行かれる               「じ、事前にって…はかったなディルクぅ!?しかもサイズの予測!?」                コンプレックスまで刺激され真赤になったまま連行 23:13 hikami >【ディルク】「……まあ、以前“仮の服”とは言え誰が用意したのか、を忘れないほうが良かったね。―――言ったろう?“社会勉強にもなる”とね。」                クツクツと、ある意味では悪戯の成功を得たかの如く喉を鳴らし傍らへ、最初に話しかけた従業員へと向き直りかけたのだが               「……ああ」                思い出した、かの如く付け足す言葉               「―――“着方”が判らなければ呼ぶと良い」                ささやかなからかいの言葉、男としては此処ならばほぼ従業員の手で“仕立てて”くれる、と言う事実は把握済み、恐らくはその手間までは必要なかろう。                ……加えて言えば“抵抗”もある種予想のうち、女性従業員の手際もその辺りが伝わっていた賜物、と言う事もあるだろうか 23:18 Ryumaco >【優 希】 「すっすけべー!」                そう言葉を残し隣室へ               「え、ちょ、ま…っまだ心の準備が、にゃー!?」                しゅるしゅる、ぺしゃ、と濡れた衣類の脱がされる音               「え、な、なんでそんなものまで!?い、いい、自分で履けるってば!?って今度はそれは何ー!?」                まるでペットをお風呂に入れたような、店の雰囲気に合わないような大騒ぎ 23:23 hikami >【ディルク】「―――まあ、濡れたままで居るよりは良かろう?それに、知っているかね優希。男が何故、女性に服を贈りたがるのか、と言う理由―――聞いたことは無いかな?」                無論、今日の目的はまた別の所にある。からかいの意図を含むが故に軽く……しかし騒がしさを聞けば軽く肩を竦める事となるか               「……―――余程、かね、これは」                経験が“少ない”との見積もりは甘かったのだろう、恐らくはゼロ……―――手間、を感じてか支払い用のカードはそのまま、店側へと預ける事とした。 23:25 Ryumaco >【優 希】 「や、ま、それマジでつけるの!?む、無理、って、つけないとダメ!?にゃあああ!?」                一体何を着せられているのか               「たすけ、ディルk」                と助けを求めようとしたところでのその言葉               「……な、何考えてるんだぁぁぁぁ!?」                中学生といえばそういう話が都市伝説的にティーンズ雑誌で吹き込まれるころ。その意図を知ってさらに騒ぎが大きくなる 23:29 hikami >【ディルク】「無論、食事の事だが?……簡単な話、だね“美しくなった姿を愛でるため”だよ」                予測のつきやすい側、一般に流布されるべく“下心”を連想されるのを見越しての言葉、予想通りの反応に軽く肩を震わせてしまい……                ある意味ではお互いに姿が見えなくて正解だったのだろう、方や大惨事、方や笑いを堪えるのに必死、といった有様なのだから               「……で、助けに行っても良いのかな。行く、となるとその仕切りになっているカーテンを開けることになるがね」 23:30 Ryumaco >【優 希】 「あぅ!?」                ひっかけられた。からかわれたことに壁の向こうで真赤になり言葉が詰まる               「く、来るなー!?」                今は新しい下着に、それに付属する初めての物品装着中。こられてなるものか               「そーゆーことはクロエにしたらいいだろ!?」 23:36 hikami >【ディルク】「さて、優希もクロエに劣らず美少女である事には変わりないからね、誤解がある様だから訂正しておくが俺とクロエは“そういう”関係ではない。」                先日のやり取りを思い出しての言葉でもあるのか、あっさりと断言。その後、微細な変化はありはしたものの致命的な一点が改善された訳ではない               「つまり、優希も“変に遠慮する事はない”と言う事だね。加えて言えば今は君との食事の支度中、他の女性の話以前にまずは君が飾られ、彩られる事を考えてくれると助かるね」 23:39 Ryumaco >【優 希】 「び、美……!?」                いわれなれてない、自分への形容とは思えない言葉で飾られれば自然と頬が熱くなる               「き、気障っ、タラシ、すけべっ」                照れ隠しに言葉を投げつける。ソレを見て着付けしてくれている女性たちがくすくすと笑うものだから余計恥かしい               「なんでそこでクロエ!?それに遠慮って何がだー!?」                恥かしさがきわまって声が上ずってしまう 23:45 hikami >【ディルク】「ま、否定はしないね。実際に君を含めてすべからく女性は愛でるもの、と思っている。人間は移ろうからこそ、その成熟過程を含めた“美しさ”があるからね」                言う此方は平然としたもの、待ち時間もある意味では“楽しめる”物となってくれていた               「―――“クロエにしたら良い”と言ったのは君だよ、優希」 23:47 Ryumaco >【優 希】 「―――っ」                どうしてこいつはいちいち気障ったらしいのだろう。人生経験の差もあるのだろうが、何かが決定的に勝てない気がする。掌で踊らされてる用で悔しい。               「ううううう」                そうしてカーテンが開けられる。                出てきたのは淡いブルーの肩と背を露にしたドレス。フリルのあしらわれたスカートからは白いニーハイソックスと、ちらりと見えるガーター。その足首は可愛い、しかし少し大人びたハイヒールに包まれている 23:49 Ryumaco >【優 希】 「……うー」                まるで映画やテレビの中でしかお目にかかれないような服装。似合わない、と思っている自分には女装をしている男の子のような感覚って、こうなのかな、って思わせてしまう 23:51 hikami >【ディルク】「……ほう……」                零すのはある種では感嘆の吐息、仕立て、の質は己が選んだ店である以上は相応以上をキープしているのは認識済み、である。最も……               「よく似合っているよ、優希。予想以上だったのは俺にとっては収穫だね。さて……―――感想は如何、かな?」                壁面に用意された姿見、その中を覗けば直ぐにでも“今の姿”を見る事が出来るだろう。 23:53 Ryumaco >【優 希】 「恥かしいんだよっ」                感想を聞かれればそう吼えて。真赤になってるのがわかるだけに鏡が凝視できない。そうすればまた女性が一人やってきて               「え、ちょ、まって、なに!?」                目の前でメイクされていく。肌を整えられ紅をさされれば、見違えるほどのできばえで。それがまた羞恥を刺激してしまう 23:58 hikami >【ディルク】「恥じる事は無かろう?―――似合っている、のだからね」                こつ、と、軽く響く足音。硬質な靴音と共に少女の傍へと歩み寄り……見事に“仕立てられた”姿へと手を伸ばして               「……ならばこう言おうかね。“可愛いよ、優希”」                恐らく年頃、としては此方のほうがストレートだろうか。それでも浮かぶ笑みはどちらかといえば“満足”に類するモノだろう……そこで、ふ、と気づいた事実。首筋が大きく露出している割にはその部分が少々寂しい訳で……               「……服、とは思ったが……予想以上に保養になったからね。これも、プレゼントしようか」                無造作、傍らにあったチョーカーを摘み、ホックを外す。まるで抱擁とも見える動きと共に相手の首筋を飾ろうとしていた。 00:01 Ryumaco >【優 希】 「や…バカ、からかうなぁ」                そんなはずないじゃないか、とそう言葉を搾り出し。ストレートな物言いに首まで真赤に染まる               「保養って、何……え?」                何をされるのかわからず、その動きを受け入れてしまい。その首筋を無防備にディルクへとさらし続ける 00:06 hikami >【ディルク】「事実を言っているだけだからね。……謙虚は美徳だが、余り自分を低く見積もる、と言うのも罪悪だよ優希。“可愛い”子が自分を“可愛くない”と言うのは往々にして嫉妬の的となるからね」                そんな言葉、細い首筋を軽く指先が滑り……意図してくすぐったさを与えるようにした動きと共に顔を寄せる。無論そこまでの接近は不要、であるが……               「―――これでよし、と。胸元の彩りが一つあるだけで装いにも花が増えるからね」                選んだのは細めのチョーカー。リボン飾りの着いた真ん中にはドレスと同色になる小さなサファイアが嵌っていた。 00:08 Ryumaco >【優 希】 「……ほんと、気障……」                真赤なままで見あげ               「それに、スケベ」                下着までそろえられてたのだ、言ったってバチは当たらないと思う               「……」                鼻先に触れれそうな距離の相手の胸。香水の香りだろうか?その香りが、鼻をくすぐって、それがすごく大人に思えて、とくん、と胸が高鳴った 00:11 hikami >【ディルク】「下心を何一つ持たずに女性に接する男、と言うのも中々に考え辛いね。                それに、肌の魅力に曲線の美を愛でる事にその言葉が当て嵌まり兼ねない、と言うのも把握しているが…………その姿の時ぐらい、もう少し言葉を選んだほうが良いね、優希」                最後の“仕上げ”を終えた少女から僅かに身を離し、そのまま、と細腰へと手を伸ばそうとして               「……まぁ、それも勉強。纏ううちに慣れる部分かな」 00:14 Ryumaco >【優 希】 「肌、とか、曲線、とか」                なんでこういちいち……頬に手を当て               「こーら」                腰に回そうとされる手を避けようとして……なれないヒールがバランスを崩させた               「ぅわ!?」                そのままディルクの方に倒れていく 00:18 hikami >【ディルク】「事実、だろう?見ただけで判ると思うが男と女では体躯に大きな差があってね。―――となれば無いモノを欲し、愛でようと思う欲求は誰しも持つべきものと思うが……っと……」                緩やかであった動きが一瞬、早まる。エスコート用の軽い動きから、救出のソレへと変わった所為、ぽふ、と、軽やかなカラダを片手で支えて見せて               「……やはり、ね。足元が不慣れだろうと思って支えようとした傍から此れだ。……慣れるまでは、捕まっていると良い、挫いては元も子もないからね」                そのまま軽く、と腕の中へと抱き寄せ……数秒で離す、とん、と、今度こそしっかり立たせる様にしてやりつつ 00:20 Ryumaco >【優 希】 「ああううぁう」                だからどうして目の前のこの男はいちいち絵になるんだろう。こんなHなやつなのに、不覚にも一瞬カッコいいとか思ってしまう。ガイジンってずるい 00:25 hikami >【ディルク】「……さて」                それでも腰から手を離す、までは行かなかった。先ほどの行為と同様にと淡く抱き寄せ、さり気無く支えるような動き。恐らくこういう行為も“慣れて”いるのだろう               「―――では、支度も出来た所で食事に行こうか。濡れた服はラヴィスパレスに届けて貰えば良いからね」 00:32 Ryumaco >【優 希】 「ちょ、まさかこのカッコで、かえるの……?」                不安定なバランスをディルクにしがみついて支え。肩にじかに触れる手の暖かさが少し心地よくて安心して、それがまた恥かしくて 00:37 hikami >【ディルク】「濡れた服を、また着るつもりかな?―――不注意で欄干から落ちたのは君だからね、長くその姿となるのも余禄、だろう?」                軽く撫で、その存在を確かめ……己の姿を意識させるような行為。こうして“女性”としての姿を覚えてくれれば良いのだが―――               「……まぁ、帰り、の前に食事を楽しみにしてもらった方が助かるね。それだけの美しさに見合うだけのモノは用意してある。……思った以上にゆっくり歩く必要はありそうだがね」                傾く重心、此処まで慣れていない、とは思わなかったのだろうが……それもまた余禄。店の外へと連れ出し向かうは夕暮れ過ぎの街―――                ……洋品店からの距離もそう遠くない位置にしておいたのは恐らく正解だったのだろうが…………少しばかり、それでも懸案が残るのはまた事実。無論、それすらも楽しみ、の一つとしている訳だが…… 00:42 Ryumaco >【優 希】 「うー、意地悪だよねディルクってっ」                エスコートされ、お姫様ってこんな感じなのかな、たんて頭の隅で考えてしまって、アタマを振ってそれをかき消す               「覚悟しろー?ボク、ほんっとーにマナーしらないからな」                こうなったら思いっきり困らせてやる、と意地悪なことを考えながらこの店をあとにする。 00:42 Ryumaco >――もちろん 00:42 Ryumaco >優希の思い通りになんて欠片もならなかったのだけれど