21:53 hikami >―――ロイヤルガード内、訓練施設――― 21:53 hikami >常は風華の訓練の隙を伺って訪れるか…それよりも少し前までは門限ぎりぎりの時間に剣の稽古をつけて貰っていたりもした場所。 21:53 hikami >己の今の目的は“シュミレーター”では達成できないモノでもあり、同時に…危険も伴うもの、なのだ。 21:53 hikami >その程度の自覚はあるし、だからこそ……安全装置を起動させ、負荷をかけての訓練としていた。 21:53 hikami >【燐】「違う…こんなんじゃない……」 21:53 hikami >纏う装束は常のゴシックロリータであり“標的”にと選んだのは無機質なただの木偶人形、手に獲物の様なモノはなく、中空に漂う“流れ”を掴むのも平行しての訓練である。 21:53 hikami >【燐】「…やっぱり“翼”よね……いつものアレは慣れたものだけど、あの時はこう、もっと……」 21:53 hikami >生命的、とでもいうべくか、常の“浮いた”感触ではなく、同化、真の意味での体の一部、と…そう、感じ取れたのだから。 21:53 hikami >ならば…? 21:53 hikami >まずは“それ”を掴む所からだろう、そしてもう1点……“あの時”以来感じ続けている腹部の痛みも、無関係とは思えなかった。 21:53 hikami >時折、魔術を繰る際に感じる鈍い痛みと、淡い熱の様な高揚感、それを掴み、掌握できれば、もしかしたら―――なんて、思い。 21:53 hikami >【燐】「もう一回…今度は……」 21:53 hikami >ヒントは、もうひとつあるのだ。“あのチカラ”に近い際に己の唇からこぼれ出る異質なオト、それもおそらくキーワードか何かなのだろう、と… 21:53 hikami >【燐】「―――Εiναι……」 21:53 hikami >ふわり、と、漆黒の翼が、広がり―――…… 21:53 hikami >【燐】「……μoνο―――っ!」 21:53 hikami >身を、浮き上がらせる寸前に感じる、鋭い…… 21:53 hikami >【燐】「ぅ、ぁ………っ、い、た……っぁ………あぁあああああ!!」 21:53 hikami >―――痛み、恐怖―――心のナニカをごっそりと持って行かれるような膨大な…“虚無”の、感覚――― 21:53 hikami >【燐】「まけ、るわけ………っうぁああああ!!」 21:53 hikami >ぶちり、と、ナニカが切れる、オト、同時に、酷く乱れ濃密な…“裏”の気配を漂わせる訓練設備の中、響くアラートは…安全装置の作動した証だったのだろう。 21:53 hikami >【燐】「うぁああああああああああああああああ!!」 21:53 hikami >叫び、吼え、痛みと、ナニカに耐え……ぼとり、と、少女はその身を床へと投げ落とし、荒い息を吐く。 21:53 hikami >翼の具現化に失敗した証拠か、ドレスの背面部分をごっそりと消失させ、白く華奢な背を晒したまま……数瞬の間ではあるがその意識を…落とした。 22:03 ballock_ >【マナ】「はぁ…まったく、疲れましたね今日は…」 22:03 ballock_ >制服姿の少女、どうやら同級生やらに色々連れまわされたりしたせいか大分お疲れの様子 22:03 ballock_ >【マナ】「こんな時間まで出回るのはあまり良くないと言うのに…イノセントはほんと緊張感に欠けますね」 22:03 ballock_ >ぶつくさ文句を言いながら帰路を辿る途中…瞬間微かに背筋がざわついた 22:03 ballock_ >突如感じた気配に目を細め… 22:03 ballock_ >  22:03 ballock_ >【マナ】「この辺り、ですね…――っ!」 22:03 ballock_ >訓練所の一角、突如膨れ上がる気配と聞こえる叫び。思わず身構えるも 22:03 ballock_ >すぐに気配が途切れ…一つ溜息をついて気配のあった場所へと足を踏み入れた 22:03 ballock_ >【マナ】「――予想通りの事になってますね」 22:03 ballock_ >一つ溜息をつき、倒れている少女の下へと歩を進め…しゃがみ込み軽く揺すった 22:08 hikami >【燐】「…っ……ぅ、ぁ…れ……?」             制御の失敗までの記憶はある、やけに背中がすぅすぅとするのも気になるが…今はこの振動の方が気がかりか、もぞり、と、身動ぎにも似た動きに背面の削げ落ちた衣服が若干緩み―――幸いにして肩口は無事だったから脱げ落ちるまではいかないが―――            「っ…!?」             それでも反射、すぐ傍の“人影”に身を竦め、慌てて体を起こした            「貴女…確か……って、何で入れたのよ、此処…鍵、閉めてたのに…」             ―――無論、アラートが鳴る様な事態になってまで“救助”を遅らせる施錠なぞ解除されて当然だろうに…あっさり、失念していた。 22:10 ballock_ >【マナ】「忠告したはずですけれどね――使わないほうが良い、と」             幾分か、呆れを含んだ物言い            「ロックなんて解除されてましたから入るのはたやすい事ですよ、まぁ…私の場合は”気配”に気づいたから足を運んだわけですが」 22:14 hikami >【燐】「……そう、か……迂闊……」             無論、その言葉はロックについてのモノ。ふるり、と軽く頭を振りはすれども……額に浮かぶ嫌な汗までは去る事は無かった            「……“使わない”選択肢は、無いわ。…これが私の“チカラ”なら、掌握できなきゃ嘘ってものだもの、暴走はするつもり、ない、し…っぁ……」             ―――それでも負荷は相応のモノでもあったのだろう、強がり、身を完全に起こそうとした矢先に走る鈍い腹部の痛み、思わず、眉が歪んだ 22:17 ballock_ >【マナ】「それでもやめておいた方がいいですよ――推測ですが貴女の力は”認知”し”把握”して初めて”操る”――」             溜息をつき仕方ないとばかりに肩を貸し…休憩所に運ぼうとする…重い…            「燐、貴女はその”力”が何なのか”認知”していますか?」 22:22 hikami >【燐】「……―――良く、見てるじゃない。一度、だっていうのに私がちゃんとチカラを使ったの、見せたの。…それとも……“夢使い”に慣れてる、わけ?」             それでも体が立ち上がればやはりずるりとずれる衣服と―――ホックどころか肩紐が半ばから消失した下着、なんてものが腹部側へと落ち、慌てて押さえようとし…            「っぁ…った……」             次に痛むのは背筋、無理な翼の顕現を行おうとし…“失敗”した末路、想いにより肉体の変質を行おうとしてできなかった結果…結局はずれてしまうのだろう、かぁ、と、違う意味でも頬が染まった            「……ちょっと休めば立てる、わよ。別に何を無理した訳でも、ないんだし……―――判らないから、探ってるのよ。もう…心配かけるわけに、いかないから…」 22:25 ballock_ >【マナ】「マスターも”夢使い”の部類なんですよ、こちらで言えば…休めば立てる前にとりあえず落ち着ける場所に居たほうが良いんです」             あーもう、面倒くさいですね。なんて小さく言いながら            「はぁ…そういう言い方ですと、此処で念を入れても続けるつもり、ですか?」             何とか入り口を出て、そばにあったソファーに燐を座らせた、ほぼ無理やり 22:29 hikami >【燐】「…“魔剣”を持った“夢使い”…?またずいぶんと珍しいわよね……」             武器とは…言ってしまえば相性のあまり良くは無いチカラ、である。…学び、今の恃みとする自分も余程の変わり者ではあろうし、そういう意味ではいずれは至る選択の一つなのかもしれないのだが…さておき            「……別に、さっきの所だって構いやしないわよ、転がってれば休め…っぅ……」             ―――る、訳でもないのだろう。反動は相応に大きく、腕を動かすのが錆びてでもいるかの様に軋み、煩わしい。結局はソファの上へと座り込み、身を投げ出す格好ともなろうか            「…―――当たり前。“こんなの”放置しておく方が不快よ…それに、チカラが、欲しいんだもの。ある物だったら、なんだって…使ってやるわよ」 22:33 ballock_ >【マナ】「”魔剣”は何も”物理的な物”だけではないですよ。確かに数は少ないですが」             まぁ、珍しいのは否定できないか            「そのくらいには消耗してるって事です、軽く休めばそれで済む代物ではないですよ”ソレ”は」             乱暴めに座らせたのは実情を伝えるためとでも言うかのように見下ろして            「ちなみに、”ソレ”の正体、私は”知ってる”とでも言ったらどうしますか?」 22:38 hikami >【燐】「…そう……生憎とそっちはそう詳しい訳じゃないわ。魔剣そのものも、見たのは貴女で“二人目”だもの」             ほぅ、と、零す吐息も…少し肺が痛む。その苦さに軽く頬を歪め、舌打ちを一つ            「……消耗は覚悟の上、夕方……じゃないわよね、もう…あと2〜3時間以内に回復できればどうとでもなる。…服、が…問題だけどね」             それで、ばれずに済むのだ。いつもの様に振舞えば…そんな“嘘”ぐらい、きっと赦してくれる。そんな思考と共に嘆息しようとした矢先に聞こえた言葉、もはや反射なのだろう、慌てて顔を上げ、相手の姿を見上げた            「……前にも言ってたわよね、確か…“天使”…てっきり私の翼を見てのロマンチストだと思っていたのだけれど……―――“本当のこと”を、知ってるの?でも、なんで……“これ”はアンブラでも判らない、って言われたばかりなのよ…?」 22:41 ballock_ >【マナ】「ちなみに、マスターも”貴女”の正体には気づいてますよ」             視線が合っても怖気づく事はなく淡々と述べて            「まぁ、判らなくても当然と言えば当然ですね。”この世界のモノ”じゃないんですから――最も、世界の守護者も言えば気づくでしょうけど」 22:44 hikami >【燐】「は…?何で……そこまで…!」             思わず自嘲で零したか…?―――否、バケモノ、なんて卑下はすれども弾かれた話はそう、していない筈だ。報告書にも書いた覚えは無い、だったら…―――本当に…?            「……―――知ってるなら、教えて。貴女が言った通りよ、私が必要なのは“認識”して“把握”した後に“操る”事。…“認識”は兎も角“把握”が足りない―――“これが何か”なんて、判ってないんだもの」 22:46 ballock_ >【マナ】「あんまりもったいぶると斬られそうですね」             肩を軽く竦めて一つ息を吐く            「とりあえずは貴女の正体を知る理由から言っておきましょうか――貴女と”同じ世界”の出身です。私とマスターは」 22:49 hikami >【燐】「…味方を斬る程狭い了見じゃないわよ、私は。」             向けられた仕草に少し不機嫌そうに眉を潜め……抜けぬ反動にぢくりと痛む腹部、感情の何かしらの動きに反応する事も掴んでいるが…それが何か、なんて事も判っていない            「…―――“同じ世界”……それこそ……滑稽な理由、か……何よ、その偶然……―――私は…“捨てられた”らしいわ、このチカラと、一緒に。…不用品の“兵器”なんだ、ってね。そのぐらいの事は聞かされた。その世界から来た、っていう白コートに、ね。」 22:52 ballock_ >【マナ】「まぁ、そういう事もありえそうですね」             捨てられた、という言葉には簡単に頷き            「その”兵器”の名称は”人造天使”――紛れも無く”天使”の力を内包している戦うための”兵器”として位置づけられた存在です」             大した感情も乗せずに伝えていく 22:55 hikami >【燐】「…“人造天使”……―――“人造”…?」             ちくり、と、響くそのコトバ、思わずこぼれる復唱は……やはり苦い響き、でもあろうか。己の身がそこまで、とは思わなかったのだろう、軽く…苦い表情が浮かぶ            「…つまり…“戦えるチカラ”だ、っていう私の判断は間違いじゃなかった、って事で良い訳、か……―――せめてもの幸運ね、そう見当違いじゃなかったって事なら無駄足にはならずに済みそうだもの」             それでも一瞬、繕う事にも慣れた物、今は…それでいいとばかり、憂鬱な思考をため息と共に放り出す            「…で、そんな“兵器”の事を…なんで知ってるのよ。貴女……じゃない、か。“あなた達”は」 22:58 ballock_ >【マナ】「さっきも言ったはずです”同じ世界の者”だと…ね。向こうでの素性に関してははっきり言って無意味なので置いておきますが」             その表情に軽く肩を竦め            「ちなみにご心配なく、”人造”とは言っても”元”はマスターや他の方と同じく、少なくとも生物学上は”人間”ですから」 23:03 hikami >【燐】「……同じ世界ってだけで“兵器”の内情、判る物なわけ?少なくともこっちの世界じゃ銃だ剣だなんて区分は判ってもそれが“どういうものか”なんてのは一般的じゃあない。―――こんな物騒なのがほいほい転がってるとも思えないし……だとしたら“何で”を思ったって不思議じゃ、無いわ。」             何せ……つい先日“同郷”の相手に暴走させられた過去があるのだ。…シュナの関係者、なんてポジションなのだからそう悪辣とも思えないし……だとしたらおそらく先刻のでアウトだっただろう、そもそも、所謂“心配されている”様な状況ではあったのだから…浮かぶのは警戒ではなく“疑念”で止まる            「……別にどうだっていいわ、今更……バケモノの素性がどう変わった所で一緒、結局は…バケモノだもの、どこまでが本物の自分か、なんて…そんな郷愁を持つ程愛着があるわけじゃないもの」 23:07 ballock_ >【マナ】「まぁ、何ですか。所謂”王族”というポジションだったんですよマスターは。幼い頃にこちらへと飛んでは来ましたが」             まったく、仕方ないとでも言うかのように説明し            「先ほど自分でも言ったでしょう”認知”から始まると――自身が”何なのか”から”認知”してもらわないと不都合があると思いますが――その”力”が貴女の物であるのは間違いではないですしね」 23:10 hikami >【燐】「……は…?―――また妙な所に出たわね……」             似合わない、と…内心で思うもおそらくは表情に出た。疑念はあれども……王権世界と言うのも不思議ではない、狂信的な部分のある存在を目にしていた事もその判断材料になったのだろう            「……ま、そうね。…私が“人造”―――貴女が言うにはもともとは人間だったものを“弄って”作られた人工的な天使…兵器であった、と。―――そこまでは大丈夫、問題ないわ。…そう、予想と違う訳じゃないもの」             腹部にあると言う“異物”の存在も、自覚済みなのだ、そんなものが自然とあったのならば……ここまでの痛みにはなっていなかったのだろう、これは拒絶反応みたいなものなのか、なんて内心で推測を並べて居た 23:15 ballock_ >【マナ】「”第八世界”からすれば”第五世界”の常識は理解できませんよ…まぁ、人間同士で争ってる部分は大して変わりませんが」             そんな事をさらっと言って            「キーワードはいくつかありますね”エンジェルシード”…”メルクリウス”…”Laputa”…基本的にはこれが揃っています、よく腹部を気にしていますが、おそらくメルクリウスとLaputaは”そこ”にあるんでしょうね」             片目を閉じて燐を見据えて 23:19 hikami >【燐】「“第八”と…“第五”…?何、その数字。―――この世界の外に異なる世界があるってのは確かなのは知ってるし、それでも…そんな統計だったモノだなんてのは初耳よ」             等と。そんなコトバとなってしまえばいっそ…胡乱なものともなるのだろう、訝しむべく存在は目の前の少女ではないだろうけれども            「…その三つが…“天使”の構成要素、って事、か……つまり…」             つぃ、と、向く視線、下腹部にある“異物”は…否、それこそが矢張りチカラの源か、なんて…軽い、嘆息。真実を知らぬものの、予測が当たっていたと言うのに…            「―――なんだ、じゃあ……人の所為、だったのか。私が…」             ―――いっそ“女”とも、呼びきれないのは。 23:25 ballock_ >【マナ】「まぁ、私も知る世界はその二つだけですが――ちなみに”メルクリウス”と”Laputa”の役割は、前者が”天使の魂を抑える役割”…後者は、簡単に言えば”洗脳装置”ですね。誰かが貴女を迎えに来たのにLaputaを持つものが此処に今だいるのは不思議ですが」             随分と説明しているが、なんでこんな事してるんだろう、などとも思いながら話を続けて 23:29 hikami >【燐】「…少なくとも“八”を数えるって事はあと6つはある、って事になるわよね。―――ずいぶんと知らない事が多いの、ここ数ヶ月で何度も思い知るわね」             それが自分に関しての、なんてのもあるのだから……癪、か、矢張り。            「…つまり“エンジェルシード”ってのが何処にあるか…が一番重要なわけ、か。……抑える、は安全装置みたいなモノなんだろうからそれの掌握は当然として……―――洗脳…は…」             ―――覚えが、ある。自分の感覚も、行動も、そのスベテが判らなくなって…暴走した、過去。…だが、まて…―――“もう大丈夫だと思う”と…確か…―――あれは…何故、だ…?            「……“もう大丈夫”って、言われた。…だからきっと“洗脳”の方は…どうにか、なったんじゃないかしら。―――その同郷の白コートにね、良い様に使われそうになったこと、あるから」 23:32 ballock_ >【マナ】「ふむ、”大丈夫”と言った人間が居るという事は、ある程度”事情を知る人間”も居たんですね」             なるほど、と納得する            「エンジェルシードがどこにあるかを探すのは無意味ですよ――すでに貴女と”融合”してるはずです。つまり貴女は今、”天使の魂と人間の魂”を持ってる状態です」 23:35 hikami >【燐】「……―――しらない……知ってたのかもしれないし、そうじゃ、ないのかも……」             …知っていたの、ならば…何故教えてくれなかったのだろう、なんて軽く拗ねた思考が過ぎる、きっと……また“心配させた”んだろうな、なんて…少し苦い            「……魂が…二つ…?つまり…エンジェルシードは概念上の存在で“形”なんてモノはない、のか……それこそチカラの流れそのもの、どんなものか、なんてのを把握すればそれが“エンジェルシード”の概念を掴む事にもなるかもしれない、って事…―――で、いいのよね」             …自分のこと、だと言うのに他人から教わる違和感、それをおいても尚…知らなければならないのだろう、心配されて―――庇われていたとしたら、そんな…重荷には、なりたくない。 23:41 ballock_ >【マナ】「エンジェルシードは元は一応”形”としてありますが、すでに融合しているとするなら、まぁ概念上って言ってもいいかもしれませんね」             この辺りは表現が難しいのか少し悩んで            「そして”天使の魂”というのは”人間の魂”に比べ非常に強い…ただ融合しただけなら”燐という存在”なんて即刻消え去ることになるでしょうね」             此処まで説明すれば…メルクリウスがどれだけ重要な役割かもわかるだろう、と 23:47 hikami >【燐】「……取り込んでなくなった様に見える薬みたいなもの、か。―――どうりで……」             血液検査の数値がおかしい、なんてコトバは時折浴びせられるものの一つなのだ。心当たりも無ければ……異常らしい異常が他に出る訳でもなく放置されがちなデータではあったのだけれども            「……―――“メルクリウス”が失われた途端、私は何とも知れない“天使”になっちゃう、ってわけ、か………思ったよりも厄介な爆弾って訳ね…」             成る程…“バケモノ”であるというのは間違いではないどころか、それこそが正鵠なのだろうと…浮かぶのは苦い意識、軽く首を振り、追い払っては見るものの…            「―――だから“使うな”って言ったわけね。私が…“天使”になると厄介だから…?」 23:49 ballock_ >【マナ】「私の意はともかく、少なくとも”ソレを望まない人間”くらい居るでしょう。特に貴女の事情を知ってそうな人間は、ね」             燐を見据え、そのまま表情を変えずに――少し矛先を反らしたのは”厄介だから”以外の理由だったとも言えるのだが 23:53 hikami >【燐】「…っ……―――」             そんな…初歩の誘導、そんなものにも引っかかってしまうのは“それ”が動揺の原因となり得るだけのウェイトを占めている所為だろう、思わずコトバに詰まり…浮かぶ苦い表情            「……そう、ね……それもそうか……だったら“尚更”よ。私はこのチカラを掌握してみせる。…意図しない所で暴発したんじゃそれこそその…メルクリウスに響く可能性だってあるわけ、でしょう?“痛み”なんてのは…それそのものが異常だとか拒否だとか…何だって良いけれど良いこととは思わない。…メルクリウスさえ掌握してしまえば後はどうとでもなりそうなんだもの―――手を伸ばすべきは、そこって判っただけでも収穫だもの。―――悪いけど…やっぱり、やめる気にはなれそうにないわ」 23:55 ballock_ >【マナ】「そのメルクリウスが”冥界の力”だったとしても、ですか?」             目を細め問う、あまりにも唐突な質問。試すような物言いで 23:58 hikami >【燐】「………何よ、それ」             仮定が…ただの空想、絵空事だとしたら……それこそが無意味だ。故に、問う言葉にも険が混ざるのだろう            「……冥界…って、裏界すら敵に回した存在じゃない、そんなの…―――だって、言うの……?」             流石に…少し怯むか。傍に、なんて思っても…己の嫌うモノのチカラを繰ってしまってはそれこそ―――            「……私は…今までそんなのを…使ってた、って言うの…?」 00:05 ballock_ >【マナ】「”エンジェルシード”は”天界”と呼ばれる場所の”力”です。ならばソレを抑えるには”逆の力”が必要だった――つまりは”冥界”の――ですね…貴女が”想像”しているよりも――簡単な”力”ではないですよ」             厳しい視線、強く、真剣な瞳で語りかける            「貴女がソレを使いこなすと言うのなら”貴女の力の全て”を”貴女が受け入れなければいけない”――生半可な”覚悟”で扱うと言うのなら――どうなっても責任は誰も負えませんよ」 00:11 hikami >【燐】「……それで“天使”か……」             想像したのは概念的な“天界”の様相、種々の宗教で語られるソレは…寧ろ“天使”との括りであればキリスト教義に近いものだろうか、なんて思いを抱いていた            「…かといってメルクリウスを……冥界を手放せば私が天界に飲まれる、って事か……っ…笑い事じゃないって思っても…笑えて来るわね」             ひょい、と、軽く肩を竦める…すっかり移った癖、だが今は格好が不味かったのだろう、後背部の削げ落ちた衣服ではずれ、白い肩がかすかに除く            「…生憎……だからって放棄できる位置に…私は、居ないわ。天界だろうと冥界だろうと…もともと私の相手は“神様”も含まれてるんだもの。だったら……やるしか、ないじゃない。―――もう、あんなの、まっぴらよ。使えるモノはなんだって使ってやる……受け入れる必要があるなら…」             ―――それでも、そんな危うさにも気づかぬままに            「…やってやるわよ」             ―――嘘、だ。己が受け入れられたのは“人に愛される自分”であって…自分が“己”を愛せてなど…居ないのだから。 00:14 ballock_ >【マナ】「――」             しばし、燐の瞳をじっと見据える――まるでその意思を確かめるように――だが            「――やはり、まだ貴女には早い”力”のようですね」             そう、言い切った 00:16 hikami >【燐】「っ―――……そんな事…無いっ…!」             ―――それが、未熟、という事でもあろう……反射で否定し、吼えた。背に感じる寒気は何も外気温の所為ではない事程度、理解できている、それが余計に…癪、なのだ            「…これを、使わないと…せめて満足に制御できるようにならないと…またこの間の二の舞じゃない、挙句…ちょっと引き出そうと―――じゃない、ちょっと“頭にきてチカラを使った”程度で戦闘後に膝を屈するなんて醜態じゃ…隣に、行けないのよ…私は―――やるしか、無いのよ…!」             00:20 ballock_ >【マナ】            「そんな事はありますよ――燐、貴女は”本当の意味で自身を受け入れられていない”――挙句”焦っている”――否定できますか?」             目を細め、言う。外見は燐とそう変わらぬ、挙句、力もこの状態では持ちえない小娘でしかない…だが、その瞳は強く、真っ直ぐに本心を捉えるかのように 00:25 hikami >【燐】「………煩い…だったら、なんだって言うのよ……」             それこそ…否定できる要素なんて、無い。ぎり、と、歯噛みするも…矢張り反論は思い浮かばなかった―――負い目、引け目…バケモノであると断じられ、その証左を手に入れてしまった“今”            「……“好きになろう”とは、してる。“今の自分”は……受け入れてるし、好き、だもの。―――それで十分、先を求める意思だって、ある。…他に、何が要るって言うのよ…!」             …チカラを振るえばこの程度“どうとでもなる”だろうに…できない、視線の圧力に…気圧されている?…なんて、冗談でも笑えない、焦り、なんて…嗚呼、今の“これ”がまさしくそう、か…? 00:29 ballock_ >【マナ】「そうは見えませんね」             どれだけ焦燥しようとも、態度を変えようともせず、怯えも何もない            「貴女は”自分を受け入れてる”のではなく”都合の良い部分だけ”を受け入れようとしてるんじゃないですか?――”力”は”力”で捻じ伏せようとはすれど、ね」 00:35 hikami >【燐】「……うる、さい……貴女に何が判るって言うのよ…たった2度…っ…しかも、確り話したのは今が、初めてで、そんな……!」             ―――否、それこそが戯言だ。己とて観察に要する時間は…所見ならば“そんなもの”であろうし…何より失態が多すぎる。気づいても…遅い、手遅れか。激昂に至る段階で最早―――            「……違う…私は……!」             …何が違う、というのか。偽れ、落ち着け…笑い飛ばせ…―――なんて“嘘”…に縋る生き方が…全てが、手遅れか。 00:41 ballock_ >【マナ】「――はぁ」             一つ溜息をつく、どうやら、よほど”力”に対してトラウマがあるようだ。この様子だと            「”貴女と言う存在を受け入れてくれる人間”は居るんでしょうに――とにかく、”今の”貴女が扱うには過ぎた物だという事ははっきりしましたね」             激昂にも怯まず、必死に取り繕おうとする燐にどこか残念そうな瞳で見据えて 00:43 hikami >【燐】「…………っ…だから、よ…!皆の為にも私は……こんな、程度の事で……!」             ―――その程度、すらも…満足に扱えないというのに―――結局は…最後に立ち塞がるのは“自分”という事か。なんて……滑稽            「……認めないわ、そんなの……チカラの所在も、所以も、意味も判って、その上で掌握できないなんて……私の矜持に障るわ……」 00:45 ballock_ >【マナ】「そうですね――あぁ、おそらく貴女自身が”把握”してない事がありますね。」             踵を反そうとした所でふと、もう一度視線を向ける 00:47 hikami >【燐】「……何よ……」             感じるのは…敗北、か。言葉でも繕えず、返せず…なんて、惨め。知る事には結びつきはすれども、なんて、滑稽。反抗の気力も少し削げたか、向ける視線は明確に険を帯びたモノとなっていた 00:49 ballock_ >【マナ】「一つ聞きましょうか。燐、貴女は”把握”した力のうち”自身が受け入れられない力”を満足に”操る”事はできましたか?」             視線は若干気だるげなモノ、興味が薄れ掛けたような、そんな瞳で 00:51 hikami >【燐】「っ―――……!」             …答えは…“否”だった。返せる返答なんて、あるはずもない。ただ…            「……“まだ判らないわよ”」             …殺意にも似た闘争心、それこそがチカラにチカラをぶつける行為だと言うのに…退く道を…持って居なかったのだから            「……操られるぐらいなら…捻じ伏せてやるわ。“二度は繰り返さない”―――あんなの、まっぴらよ。」 00:56 ballock_ >【マナ】「いいえ、”判っていますよ”――”受け入れられない力”――それはつまり”理解したくない”のですから」             此処まで言えば――それ以上必要がない、理解したくない物を本当の意味で”把握”なんてできるわけがないのだから…この時点で”吟持”から”外れてしまう”――そして今度こそ踵を反す 00:59 hikami >【燐】            「………何が判るって言うのよ……」             その背に向けるべき言葉はついぞ…思いつかなかった。一人取り残されたソファの上、ぎり、と……痛いほどに握ったつもりが、その実…ろくに入ってくれなかった手の力にも…歯噛み、そんな所でまで“この体”は己を裏切るのか、と。……知ることはできた、それが喜ばしいものでなかったのも予想の範囲。―――だから“何”だと、言うのだ、この程度……―――胸に抱くは反抗心、恭順、なんて行為を知らぬ所為での不器用。…脳裏に浮かぶのは先日の…シュナの、言葉。            「……好きに、なってやるわよ……」             ―――言葉にしてもいっそ虚ろ、中身の無いオトになった、なんて……すぐに自覚できる辺りが―――酷く、不快であった。 01:09 ballock_ >  01:09 ballock_ >一応、簡単な着替えだけは置いていき 01:09 ballock_ >一人、施設から出る――まだ生暖かい風を受け帰路へとつき 01:09 ballock_ >【マナ】「所詮は、少し突けばまだまだ子供…ですね」 01:09 ballock_ >ぼんやりと呟き、残念でもあった…そして 01:09 ballock_ >【マナ】「これで折れる程度なら――そこまでですか」 01:09 ballock_ >さて、どういう風になるのか――天使に落ちるか、自滅するか 01:09 ballock_ >それとも、乗り越えるのか――とはいえ今日の感想は結局の所 01:09 ballock_ >残念なモノ…に収まってしまう 01:09 ballock_ >そうして、とりあえずは帰路に着く――あぁ…こんな時間となるとマスターに怒られるかもしれませんね 01:09 ballock_ >等と思いながら歩き続けた