21:00 hikami >―――………カラン、と、耳元で乾いた音が響いた。 21:00 hikami >暗い部屋、であった筈だ……それが今は、暗さにこそなれた目を焼く程に明るく、頬を擽る“風”は久しく感じて居なかったもの。 21:00 hikami >ぼんやりと……はっきりしない意識のままに体を起こそうとして気づくのは、自分の今いる場所と、その状況。 21:00 hikami >倒壊した家屋の下敷き状態ではあるが、如何なる偶然か、妙に頑丈に作られていた柱と梁が互いに噛み合う格好で僅かの空洞を作ってくれていた。 21:00 hikami >負傷は……… 21:00 hikami >そう意識した矢先に走る全身の痛み。 21:00 hikami >鈍いものから鋭いものまで多数、あまり状態としては歓迎できるものではないのだろう。 21:00 hikami >【サラサ】「…………サラサは……生きているのか……」 21:00 hikami >だが“痛い”と思う間は大丈夫だと聞いてもいる。動かせる場所は幸い多そうだ、この隙間から這い出る程度は容易だろう。 21:00 hikami >ずる、と、身を引きずる様な動き、瓦礫となった“住居”でもあった頑強な建物は見事なまでの“瓦礫”であり…… 21:00 hikami >そんな状況で他が残っている筈もないのだろう、どころか、あったはずの木々すらもが視界にはなく、いっそ歪な広場の様な有様。 21:00 hikami >【サラサ】「……生存者は…………期待できない状況だとサラサは推測する」 21:00 hikami >ぽつ、と、零す言葉も少し掠れたもの、ああ……喉が渇いた。 21:00 hikami >ふわ、と、そよぐ風が傷を帯びた半裸の肌には少し痛い、埋れた所為で元々ぼさぼさであった髪は埃と瓦礫屑に塗れ薄白く汚れていた。 21:00 hikami >がらり、と、瓦礫に足を乗せ周囲を見渡す―――浮かぶ言葉なんて、二文字で済む。 21:00 hikami >       全  滅 21:00 hikami >何か……恐らくは低級の病魔か何かなのだろう……の襲撃を受け、蹂躙された跡地。 21:00 hikami >そこで自分は幸運にも助かった、という事なのだろう。 21:00 hikami >ならば………? 21:00 hikami >ひとまず、治療をするのが先、か。 21:00 hikami >ふわりと、風に舞い上がった長い前髪が“素顔”を晒す。 21:00 hikami >【サラサ】「………呪具が欠けている……サラサの仮面は……何処だ?」 21:00 hikami >恐らく倒れた時に何処かに転がってしまったのだろう、それでも直ぐに動ける程に回復しているわけではないのだから…… 21:00 hikami >今はひとまず治療が先だ、そう決めると無造作、積みあがった瓦礫の上へと腰掛け、回復のための“呪い”を組み上げていった。 21:03 goma_miso>【エリザ】「ほんとにこっちでいいのかな。行けば行くほど被害がひどくなってる気がするわ…」 瓦礫を踏みしめ、地面の凹凸について来れない不自然な影をお供に旅をする少女。 視線をめぐらせ、陰にめぼしい物を探索させつつ。廃墟を探索する事にして。 21:06 hikami >【サラサ】「……ん……………」 ひく、と、耳に響く瓦礫の音。一度や二度、散発的な物であれば自然に崩れた、と判断する事もできただろう。だが…… 「……これは人の動きか…?」 ぽつ、と、零す確認の言葉。治癒の合間に日差しに刺されていた視界はそれなりに回復したのだろう。だが… 「……誰か生きているのか?」 声、までは回復していない。水分不足の挙句に埃を吸った喉は、がらりと少し痛みを訴えていた。 21:08 goma_miso>【エリザ】「残念だけど、このあたりで生きてる人は貴方が始めて…大丈夫?」   掠れた声に気を引かれて心配そうにそちらに歩みを向ける。 周囲に動く気配を感じなければかえって警戒を解いていた。 21:12 hikami >【サラサ】「………?村の者ではないか?」 ぼさりと、乱れた髪は元々荒れたものだったのだろう、軽く見上げる形に相手へと視線を向ければそれで前髪が僅かに脇へと流れはすれども依然、表情までは読み取り辛いものだろう 「……つまりサラサを残して全滅したのだと考えて良いな。問題ない、治療は上手く言っているが……水分が足りないとサラサは考える。無事な井戸はあったか?」 21:15 goma_miso>【エリザ】「…山の方の村から来たのだけど、ふもとの村はどこもこんな状態よ…井戸、井戸ね。少し探すわ。待ってて」   目を閉じて影に命じて井戸を探させる。幸い崩壊していたのは表面だけで井戸をすぐに見つかり。影の矢印が丁寧にその方向を指し示す。 21:17 hikami >【サラサ】「そうか………通り道になったのか」 知識、としては知っている……実物を見た事まではないが……恐らくこれは“病魔”の仕業。そこまで考え、けほ、と、軽く咳き込むのは埃っぽい喉のままで喋った所為なのだろう 「……君の影は使い魔か何かかとサラサは推測するが……井戸はそこか?」 前髪にほぼ隠された視界、それでも…見えてはいるのだろう、よろり、と、少しおぼつかない足取りのままにその矢印の方へと歩み寄った。 21:21 goma_miso>【エリザ】「井戸は、うん…そこよ。傷を洗っておかないとしばらく手当てできそうな場所は無いから。大変…。 」   自分の視覚でも井戸を確認すれば自分もそちらの方へ。 「使い魔というより、友達かもね。 他にも付いて来れそうな人に声は掛けたんだけど、影しか着いてこなかったの。…話し方が悪かったのかな」 21:26 hikami >【サラサ】「サラサの傷は問題ない。“治癒”は終えている。後の残りはただの体の汚れ、湯浴みを必要とする物だ。井戸での洗浄は困難だとサラサは推測する」 カラ、と、瓦礫の一部でも蹴飛ばしたのだろう、軽く響く音が……崩壊、の二文字を脳裏に宿らせる。そう多くない回数であれども“平和”な頃にも外に出たが……どの風景も記憶と合致しない。幸い井戸は淵が大きく崩れた程度、水は幾らか漉せば飲料にもできるだろうか 「……友達……サラサの“蛇”の様なものか。しかし君は旅人か?一人旅とするには随分と無用心だとサラサは思考するが」 ごそりと、ローブの内側に収納してあった簡易器具にて汲み出した水を漉す合間、じ、と……人の事を言えた義理ではないが……無防備な服装へと露骨な視線を向けた。 21:31 goma_miso>【エリザ】「いちおう村の祭祀なんでね。私はいつもこの服装で通しているわ。…襲ってくるような元気と度胸のある奴は今のところいないから大丈夫だとは思うけど」   いつもは気にしないが指摘されれば流石に少々気になる、袖を握りざっくりと脇の開いた衣装を強調してみれば、袖の中の影も零れ落ちてくる。 21:37 hikami >【サラサ】「成る程、サラサと同じようなモノだったか」 祭祀、の言葉に返すのはそんな反応となるのだろう……その頃合には異物の除去がなされた水がそれなりの量確保できていた。 「……ん………」 ひょい、と、水を煽る様にしつつ、数度口内を濯ぎ、喉の痛みをなくすべくと洗い、吐き出す。ふるり、と、軽く首を振り…… 「……ふう……これで喉の問題は回避できた。改めてサラサは貴女に礼を言おう」 21:40 goma_miso>【エリザ】「どういたしまして。 私はエリサニア・ツクヨハラ…えぇと、他にも名前があったけど覚えてないわ。 エリザでいい。よろしくね。 ところで…サラサにはこれからどこかに行く宛はあるのかしら?」  小さく頷けば、影を服の中にも収納。 どこまで行っても荒廃していそうな気配を見通して、小さくため息を吐いた。 21:46 hikami >【サラサ】「エリザか。サラサは、サラサ=アシャラ、行くも何も、サラサはここの術具だ、他の場所など知らない」 けほ、と、それでもまだ喉にナニカがつかえて居たのだろう、いがらっぽいそれを吐き出し……咽た反動で前髪が脇へと流れる。肉体的に判断し得る年の頃としては童顔気味、大きめな濃紫の瞳が僅か覗き……顔を上げた際には戻る 「……その前にサラサはシィーンと探さねばならない。何処かに転がってしまったと考えるが、見つかっていない」 21:48 goma_miso>【エリザ】「とはいえ、他の村人は逃げたが潰されたかね。…探しものなら手伝う。どうせ暇だしね。特徴はあるのかな?」   お返しとばかりにその顔にまっすぐに視線を向ける。 魔力のあるものか、食料の類を影に捜索させているうちに幾つかの目星は見つけたようだ。 21:52 hikami >【サラサ】「生存の様子はないとサラサは思考する。幾つかだが死体も確認した、逃亡した者がいるかまではサラサには判らない。建物内にいた所が目覚めてみればこうなっていた」 淡々とした言葉、ではあるのだろう、内容は悲惨なものだが、語調は平坦に響く 「特徴……文様の描かれた仮面だ。濃い、紫、サラサと同じ色をしている。」 ふる、と、軽く首を振り……視線の意味は図りかねたのだろう、僅かに首をかしげる形、どうした、とばかりに 21:55 goma_miso>【エリザ】「仮面、ねぇ。防具というわけでもなければ普段はつけないほうがいいんじゃない?、そういやあんまり悲しそうじゃないけど…家族は村にいないのかしら」  念じて特徴を影に伝えれば。仮面らしきものを瓦礫の影に発見。 くるくると巻き取って、回収させる。 「とくに用事が無いのだったら私と一緒に来ないかなって誘ってみるところではあるけど」 21:58 hikami >【サラサ】「否、仮面はサラサだ」 知らぬものが聞けば歪な解答になるのだろう、ふらり、と……まだおぼつかない足取りは恐らく失血と、相応の期間何の防寒もなしに気絶していた所為での四肢の強張りだろう 「…家族?術具に家族はいない。サラサはサラサであり、アシャラの銘を受けたものは単一の存在として祀られるとサラサは聞いている。村の全てが所有者であり、また村の全てが隷属者であるとも聞いている。……縁を結んだ者もいないとなれば不便には思うが、寂寥の感覚は感じない」 巻き取られ行く影、その矛先を眺めていた。 22:05 goma_miso>【エリザ】「……とにかく、大切な物ってね。わかった。取ってきてあげる」 影を使って瓦礫から回収できれば自分の手で仮面を取って。 直接手渡しに傍に向かう。 「同じ祭祀でも随分風習が違うのね。私は…いいお告げを聞いたのだけど、誰も信じてくれないから自分で確かめに行くところだよ」 22:11 hikami >【サラサ】「そうだ、サラサにとっては必要なものだ。……ん……助かる」 結局…長く歩く事は諦めたのだろう、手頃な位置にしゃがみ込んでしまえば……ローブの前あわせは肌蹴、それなりには育った胸元と腰元を布で巻き隠す以外、歪な文様が刻まれた肌を晒してしまうのだが……気にする様子はなかった 「……成る程、お告げ、か……構わない、エリザの旅に同行しよう。何せエリザは同性のサラサから見ても随分危うげな格好をしている。サラサも瓦礫の中に埋れるだけでは無意味だからな」 22:14 goma_miso>【エリザ】「占いをはずしてばっかりで半ば厄介払いみたいに出て来たから…服がこれしかないの、私に近づくような男は村にはいなかったけど、この先じゃあぶないかな?…」   少しばかり顔をしかめ。隙間をそっと手で押さえてみたり。 「うん、だいたい北の方…だったかな、病魔と闘ってる城砦みたいな街があるそうだわ。影が教えてくれた…ひとまずはそこまで行ってみるといいと思う」 22:17 hikami >【サラサ】「占術か、巫女の役割としては有り得るものだとサラサは聞いている。サラサとは役割が少しばかり違う様だが、それはエリザも言っていたか」 言う合間にちろりとずれる視線、手でさえぎられる寸前に覗いたのは…… 「成る程…判った、少し休ませて貰えれば支障なく動けるだろう。だが……せめて乳房に布を巻いた方がいいかもしれないとサラサは提案しよう。桜色のものが見えていた」 了承の返事、ではある、あるのだが………ろくでもない提案まで一緒、であった。 22:21 goma_miso>【エリザ】「もともと影とお話できるから、巫女になったようなものだしね。…勝手に押し付けておいて気味悪がるなんて困った奴らだけど…」  村の事を思い出せば悪態をつきながらも、気楽な笑顔。自分も瓦礫の上に座って休憩する事にした。 「え、えぇ!? ゆ、緩んでたかな…ちゃんと帯締めておいたのだけど」  提案には素直に戸惑い、背中を向けて巫女服の帯を締めなおす。 …たまに見られてるらしい。 22:26 hikami >【サラサ】「エリザの術具は影、か。否、影は闇に属するもの、人は闇を恐れるものだとサラサは聞いている。サラサも13番目であるが故に不吉の名を賜った、そうした代物思想がある事をサラサは否定しない。」 言いつつ…軽く前髪を上げる形にと姿勢を動かし、再度僅かに顔の全てを晒す……が、直ぐに手にした歪な仮面でその上半分は覆い隠される事となるだろう。 「……帯を締めるだけではその構造では無理であるとサラサは推測する。如何せん隙間が大きい、見られて問題のない場所ならば構わないが、発情した者がみれば襲われる事もある状態であるとサラサは聞いている。女の肌は欲情を誘う、と」 22:34 goma_miso>【エリザ】「そういうものかな…いろいろ便利なものなのにね。ねぇ?」   袖の内側に入れた影にも話しかけ同意を求め。勝手に頷いて見せた。次に少女の顔をわずかに見つめ。… 「サラサも人の事はいえない服装だと思うけど…男って布一枚下くらいなら簡単に想像で見透かすのよ。…触ってきたら影で噛み付いてやるんだけどね」 22:38 hikami >【サラサ】「便利であることは否定しない。サラサの属も“呪い”であり“不吉”となる。人の忌避を集めるのも巫女の側面であるとサラサは聞いている、そうでなくば神聖視、処女性を保つものであるともサラサは聞いている。無論例外、異例は存在し把握できていないとも重ねて聞いているが」 指摘の言葉に返すのはきょとりと、いっそ無防備な仕草ともなるだろうか 「問題ない、布は二枚ある。普段は手を使う事はないからローブの前を捲る事も少ないとサラサは考えている。重ねて、これ以上の着衣はサラサの呪の妨げになる、必要な装いであり、この装いで過ごしてきたならば不便も問題もサラサは感じていない。もっとも、欲情された経験もあるが下種の接触を許す程安いとも思っていない」 22:46 goma_miso>【エリザ】「祭祀にもいろいろいるのね。」  無防備な仕草には少しばかり困ったように目を細めてしまう…。 「二枚、ね。まぁ…しばらくは街も無いみたいでし、寒くなければ問題ないとは思うけど。 私は次にまともな街を見つけたら上着ぐらい買おうかしら」 22:51 hikami >【サラサ】「……否、まずは胸元に布を巻く事から始めるべきだとサラサは提案する。上着を纏ったとてその装いになればまた見えかねないとサラサは推測する。寒さについては問題ない、生来この装いを続けてきた、支障があるならば過日に既に出ているだろう」 最も、屋外に出た頻度、といえば随分と少ないもの、ではあるが……何かを感じる事でもあればそれでいい、傍らへとあっさり片付けてしまった 「互いに最低限自衛が出来るのならば暴漢の類は問題ないだろう。さて………―――支障がなければ一晩ここで休みたい。重ねて言えば睡眠をとり体力の回復を図りたい所だ。急ぐのならば出立できる程度には足の萎えも回復したが?」 どうする、とでも問うつもりなのだろう、淡々とした言葉の割りに仕草だけはかわいらしく、ちょこ、と、首を軽くかしげてみせた。 22:55 goma_miso>【エリザ】「あぁ、ん…布かぁ、どうにかしてみる。 こういう服を着てるのは私だけだったから。勝手がわからなくてね」   その方向性を思いつけば、納得した様子で小さく頷いて見せた。 「病魔の気配も遠くに行ったみたいだしね。…急がなくても大丈夫だと思う。あの家は比較的無事だから、使わせてもらおうかな?」  影で探れば見つかるのは屋根の残っている家。 23:03 hikami >【サラサ】「布の巻き方ならば後程サラサが教えても構わない。予備も幾つかある、回復次第瓦礫の中からサラサの荷物も探らなければならないが」 手持ちのものはローブに仕込まれた幾らかの道具類と……術具である拘束具の類に、代えの布、十分、ではあるが少し心もとないものではあるのだろう。 「成る程、無事な屋根があるのならば仮に雨に見舞われても支障はない、井戸の近くでもあることだし好都合だろう」 ふらり、と、やはりまだ少しおぼつかない足取り……それでも先程よりましであるのは確かだが、正直……休みを取れるのならば取るべき状況には違いなかった、故に 「……道行を遅延させてすまない、その分は以降の手伝いとして返礼しよう。宜しく頼む、エリザ」 言い、宣言の通りにローブの前を合わせる形にて立ち上がり―――いこう、と、一言。 いっそ揃って危うい姿の女が二人、野宿の続くであろう旅の空―――……こうして、抗いの庭へと向かう珍妙な即席パーティーが、完成していた… ――――――数日の後、矢張り珍妙な二人組みが抗いの庭の門を叩き………新たな“運命”の中に身を投じていく事となるのだろう―――……