20:09 hikami >……春奈に、逢った。 20:09 hikami >きっかけは何か、といえば恐らくはそれになるのだろう。 20:09 hikami >資料室での逢瀬なんて言う色気どころか……状況的に有り得たかもしれない修羅場なんてものにも程遠い邂逅。 20:09 hikami >至極、なんだか思っていたよりもあっさりと“告白”出来たのはきっと風華のおかげ、なんてのでもあるのだろう。 20:09 hikami >だったら……もう、そろそろ大丈夫だろう。 20:09 hikami >あれから1週間……偶然、と言うには惨いタイミングで出動する事になった“任務”の反動もあって結局は逢えず仕舞いの日々、 20:09 hikami >それでも………偶然、なんてものに頼って良いものじゃあきっと、なかったんだろう。 20:09 hikami >だから、逢わせてくれなかったんだ、なんて柄にも無い思考と共に送信した一通のメール。 20:09 hikami >       「Subject:No Title 20:09 hikami > 明日の日曜、11時ぐらいから我妻公園で待ってる。 20:09 hikami >        これる時でいい、少しで良いから、逢って話したい。 20:09 hikami >                               燐 」 20:09 hikami >送る段階になって…電話がかかってきてしまったらどうしよう、なんて不安に駆られそんな、文面。 20:09 hikami >逢う前から話す、なんて……そんなの、したく、なかったから。 20:09 hikami >少し迷った末に……電源を、切った。 20:09 hikami >確認は朝、出る前にしよう、なんて思いその夜は眠りについた。 20:09 hikami >嗚呼、どんな顔をすればいいんだろう。 20:09 hikami >なんだか、一晩そんな事を考えていた気もする―――…… 20:09 hikami >…………………… 20:09 hikami >……………… 20:09 hikami >………… 20:09 hikami >…… 20:09 hikami >… 20:09 hikami >―――翌朝。 20:09 hikami >結局は30分以上も早く指定した公園についてしまった。 20:09 hikami >装いは薄く色のついただけの白のワンピースに暗色のカーディガン、髪留めにと使うリボンも明るめの色を。 20:09 hikami >手にする鞄は矢張り革張りの、少しこの格好には浮くデザイン。 20:09 hikami >ヒールの低い靴はやっぱり、履きなれなくって…… 20:09 hikami >普段纏わぬ“普通”の格好。 20:09 hikami >常の装束で“嘘”を纏うのはやっぱりずるいんだろうな、なんて思って選んだのだが…違う意味でも落ちつかない。 20:09 hikami >目を惹く、目立つ、なんてのはいつもの方が数倍上だろうに、こんな格好で外に出る事なんて滅多にないから落ち着かない。 20:09 hikami >それでも、今日は“嘘”を纏うわけにはいかないんだから。 20:09 hikami >この間と同じ、素直に逢おう、って―――… 20:09 hikami >  20:41 rouge >その日、帰ってきた兄を見て三崎理夢は思わず顔をしかめたという。 20:41 rouge >夕方から始まった、通り雨にしては長いそれ。 20:41 rouge >洗濯物を取り込みながら思ったのは、兄さん、出かけているけど傘もっていったっけ? 20:41 rouge >届ける気とかはさっぱり無いけど、そんな風に心配だけはしておいた。 20:41 rouge >  20:41 rouge >………しかし遅い。 20:41 rouge >理由無しに帰ってくることが多い兄なので、つい先日父親と母親に連絡を入れろと口をすっぱく説教を食らっていたのを思い出す。 20:41 rouge >   20:41 rouge >まだそれより1週間もたっていない。 学習能力の薄い男だが、忘れるにはまだ早すぎるだろう。 20:41 rouge >流石に、何かあったか、と心配し始めた頃、雨が上がった。 20:41 rouge >  20:41 rouge >【尚也】「……ただいま。」 20:41 rouge >そんな時に、かえってきた。 ……豪雨の中ずっと突っ立っていたとしか思えないほどの濡れ鼠。 20:41 rouge >【理夢】「おう、お帰りー、って、そのままあがろうとすんな! 身体拭けこの! あータオルタオル!!」 20:41 rouge >どたばたと、妹が走っていくのが見えた。 20:41 rouge >  20:41 rouge >【尚也】「…妹、かぁ。」 20:41 rouge >燐に好き、と告げられた時。 自分は、そういった方面でしか彼女を見られていなかった。 20:41 rouge >めんどくさそうに呻きながらタオルを取りに走っていった妹、三崎理夢を眺めて小さなため息をついた。 20:41 rouge >……さっきから、ずっと雨にうたれて考えてみた。 20:41 rouge >結局、どうすればいいんだろうと。 ……自分が取れた、一番良い行動はなんだったのだろうと。 20:41 rouge >   20:41 rouge >【理夢】「はい、タオル。 ちゃんと全部拭くまで家入ってこないでよ。 つか傘持ってけばいいのに、ばっかだね…」 20:41 rouge >放り投げられたタオル、頭を拭きながら考える。 20:41 rouge >  20:41 rouge >【尚也】「なー、理夢。 ……もし僕と理夢が本当の兄妹じゃなかったらどーする?」 20:41 rouge >【理夢】「なに? えっちいゲームの近親相姦ルートにでも目覚めたの? 風呂沸かす前に頭沸いた?」 20:41 rouge >返ってきた言葉は辛辣極まりないものだった。 20:41 rouge >…僕は、ウィザードだ。 …我妻のウィザードには2つのパターンがあるという。 20:42 rouge >…魔王がウィザードが生きられないじだいなのをしのび、ウィザードであった子らをこの時代へと連れてきたパターン。 20:42 rouge >そして、御三家と呼ばれる我妻の血族に連なるものか、そのどちらか。 20:42 rouge >  20:42 rouge >…僕は、それに対しては明確な答えを貰わなかったし、どうでもいいと強がった。 20:42 rouge >………どうでもいいと思うのは事実だが……。 揺らいだのは、事実だ。 20:42 rouge >そういう可能性もあるかもしれない、と、考えた事もあった。 20:42 rouge >ただ………実際にそうであろうと無かろうと……この可愛げのないメガネ女が妹である事は事実であって…。 20:42 rouge >僕は、そう認識しているのだから。 ……何があっても、変える必要のない事実として。 20:42 rouge >  20:42 rouge >【尚也】「……もうちょっと真剣に捕らえようぜマイシスター。」 20:42 rouge >  20:42 rouge >燐を………傷つけないように、言葉を返した。 20:42 rouge >どうすれば、もっと傷つけないように出来たか。 …………それは、やっぱり無理だったんだと。 20:42 rouge >何となく、そう悟った。 ……僕が、燐を妹のように思っているのは、事実だから。 20:42 rouge >…どんな事があっても、変わらないし、揺るがない。 20:42 rouge >  20:42 rouge >自分というものを、下手に誤魔化す手段は知らないし……そんな付き合いは、彼女に失礼だ。 20:42 rouge >どう話したらいいのかはわからないけど、ちゃんと燐と話そう。 20:42 rouge >  20:42 rouge >こんなままで終わるのは、嫌だ。 20:42 rouge >…彼女にとっては虫のいい話かもしれないけれど… 20:42 rouge >僕は心の中で、大事な友人だと、妹みたいに可愛がろうと決めた存在だって、答えを出してる。 20:42 rouge >  20:42 rouge >分かってもらいたいし、そうありたい。 20:43 rouge >……傷つけないように、なんて。 ……逆に失礼で。 20:43 rouge >  20:43 rouge >【尚也】「………もっと、ちゃんと、話すべきだよな。 こんな終わり方は…良くない。」 20:43 rouge >【理夢】「またなんか、ぶつぶついってる……」 20:43 rouge >  20:43 rouge >だけど、なかなか会えない。 20:43 rouge >…期が、どうにも悪かった。 20:43 rouge >……そんな折の、メールだ。 一も二もなく、返事を出した。 20:48 rouge >【尚也】「ぁー……なんか、微妙に緊張する。 何だ、これ。」  11時より30分ほど前、我妻公園前の…数時間、ぶっ倒れていた場所に腰掛けながら、時間に目をやる。  電話は、何度かけても出なかった。 メールを送って、向かう旨だけを伝えておいた。 20:54 hikami >【燐】「……―――ぁ……」 ぷらりと、軽くその辺りを廻って時間を潰そう、なんて思った矢先に目に付く姿。…嗚呼、どこかで読んだ覚えがある。 昼前の時間ともなれば憩いの場と化すこの公園の辺りには人が増え始めるのだが…ふ、と、目が其方へと向く 「…なお……」 ―――好きな人の姿と声なんて、どれだけ人ごみでも見つけられる、と。 軽く頭を振り、こつ、と、常よりも軽い靴音を響かせ彼の、前へと歩み出る 「…まだ時間早いのに。おはよ、尚也。……―――来てくれてありがと」 それでも少し、視線を向けるのが…怖い。珍しく俯いたまま、それでも…今度は逃げないのだと、間近まで、寄る 21:00 rouge >【尚也】「日曜だし、特にすることもなかったからね。」  ちら、と、公園の時計に目をやる。 待ち始めてから、さほどの時間はたっていない。  「そんな、礼を言われるほどの事じゃないさ。 久しぶり……ではあるか、元気だった?」  やはり、この前の最後が連想されてしまう。 …でも、それでも…彼女からこうして機会を作ってくれたのは、本当に嬉しかった。 21:03 hikami >【燐】「そう……」 寧ろ休日なら、なんて思うのは少し…思考が拗ねているかもしれない。 それでも目の前に…居る、きてくれたんだ、なんて思えばほんのりと温まる心 「…あんな急な呼び出しだもの、それも、一方的な、ね。……無視されて当然、ぐらいの気分だったもの。 ―――元気、と言えば元気だけれど、ちょっと、色々あったかも。まぁ…ここでする話でもないし。―――もっと、したいこと、あるから」 そこで漸く顔が、上がる。ここ数日し続けていた薄化粧も今日は無し、本音、で、ぶつかろうと…逃げたらだめだ、と…… 「……こっち、きて」 言い、手を伸ばしかけ…ひっこめられる。触れる、のもまだ早いだろうと。くるり、と背を向け、公園の中へと…… 21:06 rouge >【尚也】「……そっか。」  引っ込められた手。 彼女の中に、まだ迷いというか、わだかまりというか。  ぐるぐるとしたものがあるのかもしれない。  それでも、こうしてここに出てきてくれている以上…何らかの結果は、今日出るはずで。  「僕は好奇心旺盛なんだよ。 ダイレクトメールも一応は全部読んじゃう類さ。  ああいうのはたまに面白いのが混じっているから、侮れない。」  少し、空気を紛らわせるように、あえておどけてみせた。 21:10 hikami >【燐】「私は捨てるわ。……何か、なんて興味が無いわけじゃないけど概ね良く判らないものばっかりだもの…… そんな暇があるとも思ってなかったし」 概ねが習い事だとかの類ばかり、なのだ。そんなもの受けさせてもらった事なんてあるはずもない。 ―――向けられた言葉へは返すものの、こちらから話題を振る事はなく……向う場所なんて、単純 「……ここ。やっぱり、ここ、がいい、って思って。」 たどり着くのは…先週、想いを暴発させてしまった公園の一角。 昼時の所為か今はちらほらと利用者の姿も散見されはするものの、やはり何もない一角の所為か遊具や手洗い場の近い側に人は集中していた 21:13 rouge >【尚也】「ん……」  燐の、ここがいい、との言葉に小さく頷いた。 やはり、今日の邂逅は…この前の続きだ。  彼女も、その話で僕を呼び出したのだという事を改めて確信する。  「……ちょうど一週間前、だっけ。」  ずっと寝転んでいた、その芝生。 それを眺めながら、其の一角を眺める。  あたりに響くほかの人の笑い声や談笑の声が、いやに遠く感じた。 21:17 hikami >【燐】「……―――うん」 遠く聞こえる“日常”の声。羨ましくも、疎ましくも思い遠ざけ、これまでを過ごして来た微温湯の様な世界――― …そこに眼を向けたのは至極最近の事とはいえ、大事に、なんて周囲の語る理由が判りかけていた程度には……求めてしまう、世界 「その、ん…ごめん。…この間、酷い事、した。」 くる、と、相手の側へと振り向き…浮かべる表情には迷ったままに 「―――辛いからって、酷い事したわ。尚也の事を一方的に傷つけて、逃げる、だなんて。 ―――だから、ごめん。…何をするよりもまず、これを言わないと……尚也の顔なんて見ちゃだめなんだ、って気がしてた」 21:21 rouge >【尚也】「………」  傷ついてはいない…、いろいろ考える事はあったけど。  …と、喉のおくまで言葉が出かかったが…きっと彼女の求めるのは、そんな言葉じゃない。  「うん……ゆるす。 ……燐のこと、許すよ、僕は。」  傲慢かもしれない言葉。 だけど…そう、答えを返す。 21:26 hikami >【燐】「……ありがと」 ほぅ、と、吐息が零れるのは…安堵の所為か。微かに強張っていた肩からは力が抜け、ふる、と、頭を振ると相手の傍まで歩み寄る。 表情の強張りもついでに取れてくれたか…―――寧ろ、少し取れすぎた、かもしれない。 常の険は薄れ、僅かに子供っぽい、年相応の笑みを浮かべていた 「―――酷い事だった、って。怒られてから漸く気づくなんて遅すぎるって思ったけど……直ぐに逢いに行く勇気、なくって、さ。 …それを言い訳にしてた―――任務もあったから、しょうがないんだ、なんて勝手に理由つけて、 結局逃げちゃってたのかもしれないんだけど、それでも、って。―――やっと、いえた」 ふわ、と、緩む淡い笑み、何てモノを向けつつの言葉。…此方は、随分と落ち着けた様子でもあろうか 21:32 rouge >【尚也】「燐、さ。」  少し、目を丸くする。 少女は、少しずつ変わっていっていると思っていた。 だけど……  「燐…変わったよな。 凄く、いい顔で笑うようになった。 そういう笑い方のほうが、ずっといい。」  素直に、感想を述べる。 この一週間は、彼女なりの整理の時間。 きっと、いろんなことがあったのだろう。  「話し方も、なんか前より…柔らかい。」 21:36 hikami >【燐】「…っ……」 指摘を受ければ…かぁ、と、思わず頬に熱が、及ぶ。慌てて視線を逸らすものの…手遅れ、か 「い、いいじゃない。別に……―――“服”が、さ。…舞台衣装、なのよ、私の。 ゴシックロリータ、好きだって言うのもあるけどあんな“日常”から浮く服なんだもの、 仮面も被り易いし…嘘だって、吐き易いわ。今日ぐらい、っていうか……謝る時、ぐらい。嘘なんてつかないように、って思っただけ。 あんなの―――……気まぐれよ」 逸れた視線はそれでも彷徨い、照れと羞恥を覗かせる辺りが常の態度からすれば浮く所でもあろうけれど 「…嫌われても、罵倒されても、怒られても、なんだって…受け入れなきゃ、って。それだけのこと、したと思うし。 ……安心、したのよ。まだ…話して貰えるんだって思ったら」 21:42 rouge >【尚也】「そういう意味、だったんだ。 燐がきる服って。 ………はは、確かに…。 燐にはゴシックロリータが良く似合うって思ってたけど…うん。」 燐の表情と、燐の服装。 それは、今までが培ってきたイメージとは全く別の、年相応の少女。  「そういう服もいいよ。 寧ろ、良い。気まぐれでもいいさ、また、そういう服で一緒に出かけたいし、 話すだけじゃなくて、遊びたいとも思うよ。」 21:46 hikami >【燐】「…似合わない服を着る趣味はないもの、それにああいう服が好きだって言うのも事実。 ―――ただ、自己暗示にもなるからって初歩の訓練にも使ったぐらい、だもの」 むぅ、と、少し拗ねて見せるのも…いっそ子供っぽい仕草でもあろう。 嗚呼やっぱり……少し感情のコントロールが上手く行っていないな、なんてどこかで思いながら 「……ば、ばか。こんな服そんな何度も着ないわよ、落ち着かないし、軽いし、薄いし……―――嘘吐くの下手になるんだもの。 滅多にやるもんじゃないわ、こんなの。」 それでも…今日は必要だったのだ。謝る事もそうだが、もう一点… 「―――……それに、ね。まだ、言わなきゃいけない事、あると思うから」 …もう一度、やり直そう、って、決めたからこそ選んだのだ、この服を。 21:51 rouge >【尚也】「そうかな。 滅多にやるもんじゃないっていっても、燐に関わった色んな人には、こういう燐を見せてあげるのも良いかもね。 きっと皆、同じようなこというと思うけどな。 滅多に無いなんてもったいない。」  上から下まで、印象が換わって見える彼女に、からかい混じりのそんな言葉を投げかけてみた。  「………聞くよ。 何でも。 今日は、とことん話したり、話を聞いたりする気できたから。」 21:56 hikami >【燐】「……嫌よ、恥ずかしい。変な顔されるに決まってるわよ―――…棘だらけだったのがいきなり笑ったら普通、ヒクわよ」 軽く肩を竦めつつそんな、言葉。見られる視線は…落ち着かない。普段の布地よりも幾分以上も薄く…しかも今日は白、なのだ。 なんだか、くすぐったい気がして軽く身動ぎ、それでも、と。了承得られれば正面からの、視線。真直ぐ、相手の顔を、見て――― 「……私は、尚也の事が大好き。 …友達としてじゃなくって、異性として、兄、とかそんなのでもなんでもない一人のヒトとしての尚也が、好き。 ……あんな泣きながら叫んだんじゃ、嫌よだもの、ちゃんと…告白、させて欲しかったの。…わがまま、だけど、ね」 ―――このまま放っておけば一生引きずるかもしれない、なんて…怖い、話。 だったら“告白”の思い出もあんな絶叫なんかじゃ……悲しすぎる。せめて、と 「…だから、やりなおし。―――尚也、好きよ」 …綺麗に、フられたかった。 22:00 rouge >【尚也】「…………」  目を閉じて、その言葉をかみ締める。 2回目の……告白。 答えの決まった、告白。  たぶん、これは儀式みたいなものだ。  僕たちが、次に進むための。  だから……誤魔化したり。 偽ったり。 そんな事じゃ、終わらないんだ。  しっかりと……燐に、傷をつける。  それが、今僕の取れる…いや、取ろうと思ってやってきた、ことだ。  「僕は、春奈が好きだ。 だから……燐の気持ちには、こたえられない。」  目を見て、真っ直ぐに。 言葉を返した。 22:06 hikami >【燐】「………うん」 矢張り……刺さる。うっすらと、判りきった答えだと言うのに目じりに浮かぶのは、涙。 自ら…望んだ結果、だと言うのに。勝手だな、なんて、内心で苦く思いつつこっそり、拭う 「…ん、これですっきりした。―――ありがと、こんなのに付き合ってくれて」 何せ相手は“優しい”から。…きっと、こんなのでも……きちんと考えてくれたんだろうな、なんて。…自惚れ、か。 やっぱりまだ―――好きなんだな、なんて…改めて思い知ってしまっていた 22:10 rouge >ふう。 そんな、これからの自分達に必要なやり取りを終えて。 遠くを見るような表情で、感慨深げに息を付いて。  【尚也】「いや……。 なんか…考えすぎだったかなって。 燐、僕の考えてた事、全部やっちまうんだもんな。 凄いよ。」  芝生に、腰を下ろす。 ぽんぽんと隣を叩いて、燐にも座るように促して。 22:17 hikami >【燐】「…ん?尚也の考えてたコト、って―――……何、もっかいフってやろう、って?」 なんて、望んで作った状況だというのに…そんな、強がり。 苦笑気味に肩を竦め、頬にかかる髪を煩わしげに払えば―――よし、いつも通り。 なんて…口元が少しだけ幸せそうなら、そんなのも台無し、かもしれないけれど 「…―――全く、そういう所いつも通りっていうかなんていうか。意識されてないってわかってるけどさ。 …―――そう言うちょっと優しかったり…かっこよかったりするの。もう、あんまり私の前でやっちゃだめよ」 なんて、拗ねたように言うものの…結局は座る。少しぐらい汚れても良いか、なんて、相手と同じく芝へと直接、膝を折る形で隣へと陣取った 22:23 rouge >【尚也】「馬鹿は馬鹿なりに考えたんだよ。  最初はさ、燐を、どういう風にすれば傷つけずにすんだんだろうって、そればっかりをずっと考えていたんだ。」  あの時とは違う、澄んだ空、それを見上げながら。  「……ただ、それじゃ何にも解決しないんだな、って思い至った。  ちゃんと向き合うんなら、ちゃんと向き合うからこそ、誤魔化しちゃ駄目なんだなって。  なあ…燐。 これからは、今までどおりなんては行かないのかもしれないけどさ。  僕は、燐との関係が終わるのは、嫌だよ。 大事な友達で…凄くかわいい妹だ。 …そう思ってる。」 22:27 hikami >【燐】「……やっぱ、優しいわよ。あんなの勝手に暴走しただけじゃない―――気遣う必要なんてないのよ、こっぴどくふっちゃえばそれでオシマイ。 ―――失恋の思い出だけで済んだのに」 それこそ…こんな風には笑えなかったと思うけど、なんて意地でも言ってやらない。 嫌いになんて結局…なれないんだろうから、って。……嗚呼、私も馬鹿、か。 「―――私だって終わらせたくなんて、ないわよ。こうしているの、やっぱ……悪くないし。でも…」 ちく、と、やはり…少し、寂しい。かわいい、なんて、そんな他意がないのなんてわかってるけど 「……そう言う事も、だめ、言っちゃ。―――まだ、好きなんだからうっかり喜ばせないで。」 …“嘘”を纏わないとしばらく尚也の前に出られそうにない、なんて思うのは…やっぱり、嫌だし。嗚呼、本当……戯言、だ 「―――じゃないと、酷いことしてやるわよ」 22:31 rouge >【尚也】「む……」  目の前の少女を女性と認識するのと、照れる言葉を聴くのは、また別物。 流石に、僅かどころではなく照れた。  ごほん、と咳払いをしてあさってのほうを向いた。  「酷い事って何さ、酷い事って。」  そんな感情を誤魔化すように、燐の言葉に乗り掛かる。 22:35 hikami >【燐】「……―――全く…」 嗚呼、好都合、か。幸い、相手の顔はこっちに向いていない。―――軽く、周囲も警戒、問題ない、なんて。 …妙に冷静になっている自分に微か、苦笑。嗚呼……ちょっと、嬉しいのかな、なんて思うと苦いけれど。 「…こういうこと、よ」 するり、と。そんな相手の首筋に抱きつく様にと腕を回し、身を寄せるようにと微か、滑り…ちょん、と、その頬に唇を落とした。 22:41 rouge >【尚也】「……!?」  ああ、暖かい。 そして、柔らかい。 そして僅かに、冷たい。 予想外であっただけに、妙に感触がほほに残る。  「………った、く。 燐。」  目を白黒させると。 自身の近くにいる燐を僅かに抱き寄せると  「びーっくりするだろう、がっ。」  笑いながら、本当に軽いちょっぷ。 そしてそのまま、頭に手を置く。 22:44 hikami >【燐】「わ、ひゃっ……!?」 ―――予想外。そのままだらしなく固まるんだろうな、なんて結果を見越しての奇襲だったのだから……備えなんて、ない。 ふわり、と、外見以上に軽い身は容易に抱き込まれる程度の細さ、 押し付けてしまった身は柔らかさ、なんて物足りない程度だろうけれど…羞恥にかぁ、と火照って、熱い。 そんな中に感じる衝撃に、きょと、と…今度は此方が呆ける番か 「………っ、び、びっくりしたのはこっちよ。っていうか……!……するな、っていったばっかり、なのに。 ―――今度は違うトコするわよ」 むっ、と、拗ねるような半眼、睨んでいる癖に…迫力なんてさっぱり、ない。 22:51 rouge >【尚也】「何するっていや、妹へのスキンシップ……かなぁ?」  暫く首をひねって、燐の頭を軽く撫でながら。 燐の言葉を受け流す。  …今までじゃ、全く持ってありえなかった光景だが…こういうのも、一つの壁を越えた結果かな、と思える。  「理夢だってぐれる前は、おぶってやったり、ほめたりしてやったりしたんだぜ? こーゆー風にさ。」  その金色の髪を、さらさらと指で撫でるのは、悪い感触じゃなかった。 22:54 hikami >【燐】「っ、そ、そういう事じゃなくって…っ……!」 かぁ、と、頬が染まる。間近に見える…“他の場所”…つい、意識するのか睨みつけるように見てしまうのだが……―――やめた 「………話、絶対聞いてないでしょ。尚也……ほんとに、するわよ」 こて、と、力を抜くようにと頭を相手の肩口へと乗せる。撫でられる髪は…くすぐったい、のだろう。 時折むずがる様にと身を捩ってしまって 22:59 rouge >【尚也】「いやいや、話はちゃんと聞いてるって。 ただ、なんか嬉しくってさ。」  姿勢はそのまま。 燐にもさせたいように、させておいて、その身体を支える。  「あの時悲しかったのは、辛かったのは。 僕が答えを告げることで、燐と切れちまうってことだったんだよな。  …でも、そういうことにはならなかった。 ちゃんと、話し合って。 こういう風にも出来る。  …ありがとな、燐。 今日、僕のこと呼んでくれて。」 23:04 hikami >【燐】「だ、だから、っ―――ば、か。…ほんとに……」 しようと思えばそれこそ、いつでもできる姿勢。 抱き寄せて貰い、腕の中、肩口に乗せた頭を上げさえすれば其処に頬も、唇もあるはずだというのに。 …なんだか、ずるい気がした。こんなの――― 「……“身を引く”って言葉があるでしょ。 そんな良いものなんかじゃないけど……距離、とろうとしてたわよ、確かに。 ……今日だって、そう。好きだ、って思うからちょっと落ち着かせようとしたのにさ。 ―――キスなんてされたら迷惑だろうからって牽制に使ったってのに。…今更こんな風にされたんじゃ………うっかりできやしない」 抱き合う光景、なんて…傍からは見えるのだろうか? やっぱり、年の離れた従兄妹とか、兄妹とか、そんな風に見えるのだろうか……真昼間、人気がない、というわけでもない場所。 それでも…離されるまではこのままで居ようかな、なんて欲が出た 「……ほら、またそう言う事……優しくしないでってば。……礼を言うのなんて私の方じゃない」 23:12 rouge >【尚也】「残念ながら頭は良くないぞ。」  なぜか、そこで胸を張った。  「燐が、僕といて辛いなら…色々ぐるぐるして、不快になるなら…そういうのも仕方ないって思う。  でも、僕が春奈の事を好き、って思う気持ちと、燐のことを好きって言う気持ちは、変わらないから。  それで…そういう気持ちは、燐にこうしたいって思ってるから。 大事な妹に優しくしたいって思うのは、当然だろ。  だから、燐が良いっていうなら、撫でさせれ。」 23:17 hikami >【燐】「…………馬鹿……」 ぎゅっ、と、しがみ付く腕は……少し、力が強くなる。伏せた顔は表情なんて判らないだろうけれど…… そんなの、見えなくたって判るぐらい、嬉しくて…緩んだ、って、思った。 嗚呼、暫くこれは上げられないな、なんて思ってしまう程に 「……嫌ならとっくに、振り払ってる。…あったかくって気持ち良いから…… 夏だってのにね、こんなにくっついてたら暑いって思う方が普通なのに。……癖になったらどうしてくれるのよ」 嗚呼、鼓動が早いな、なんて…―――きっと、ばれてる。これだけ薄い服なんだ、体温があがったのだって、きっと。 …それでも不思議と離れる気が、しない。…本当―――… 「…馬鹿、尚也もだけど……私も馬鹿よ。―――優しいのなんて、今更だってのに。 キスしてやる、なんていって……度胸なんてさっきので使い切ってる癖にさ。 …嫌われたく、ないって怖いほうが勝ってる。尚也にも、春奈にも―――嫌われたく、ない。二人とも…好き、だもの」 23:22 rouge >【尚也】「そっか……」  今は、夏。 もう直ぐ夏休みにもなろうかというのに、不快な暑さは一切感じなかった。  日差しの熱と、燐の体温。 不快な要素は、何一つ無いのだから…当然か。  「春奈に、会ったんだ。」  春奈の事だから、きっと燐を包み込むようにしながら、彼女と道を探したんだろうな、何て。  見てもいない光景を想像しながら。  「いいやつ、だろ、春奈。」  少し、誇らしげに。 そういってのけた。 23:28 hikami >【燐】「……うん、昨日、ね。“仕事”の事で話に来てくれたから」 思い出せば……やっぱり、優しいな、なんて…ちくりと、刺さるような感触はあっても直ぐに相手の体温に解けて消えた。 「―――ほんとね、尚也には勿体無いぐらい綺麗だし、優しいし。……馬鹿みたい、のろけちゃってさ。 人のこと抱きながら言う台詞じゃないでしょうに、全く―――あーあ……」 もぞ、と、身動ぎ。それでも勿論逃げるためではなく…ひょい、と、相手の膝の上に乗っかる為の動き。 「……妬いて馬鹿みたい、私。こんな風に撫でられてくすぐったいのが気持ちいい、とか、ばかみたい。……ありがと、尚也。」 23:34 rouge >【尚也】「釣り合いが取れないとはよく言われる。」  事実、信頼の置ける有人に結果を伝えた時の反応はこんなものだった。  「……どういたしまして。」  燐にも、複雑な部分は残っているだろう。 だけど、今こうしてくれていることだけを嬉しく思って。  燐を、抱えるように抱きながら、そうささやいた。  23:42 hikami >【燐】「自分で認めちゃ世話ないじゃない。本当…―――でも。“嘘”よ」 ぎゅ、と、相手の首筋へと頬を寄せる。こんなの…恥ずかしくて言えたものじゃない。 「…尚也はかっこいいし、優しいし……魅力的よ。判んないぐらいさりげなくってそれが尚也の“普通”だから。 ……うっかり見落として気づかないうちに惚れてるんだもん、ずるいったら無いわよ。…馬鹿」 くす、と、僅かに漏れる笑み。吐息に乗る響きは…子供っぽく拗ねたモノ。 撫でられた腕はやっぱりくすぐったくって、幸せで…もぞり、と、身動ぎ。 今までに無い程に密着しておきながら…鼓動なんて、早鐘になりながら、それでも…強がらなきゃ駄目な所なんだな、なんて 「…ね、尚也。―――ちょっとぐらい役得、とか思ってくれてる? 私とこんなくっついてるんだし…―――キスだって正真正銘産まれて初めて、だもの。」 23:49 rouge >【尚也】「………っ…ぅー」  面と向かってそんな風にほめられたことは、そうない。 当然、照れる。 無意味にあちこちに視線をやって時間を過ごす。  何処を向いても、腕の中に収めた燐の後ろ頭が目に入る。  「い、いいい、妹は役得に入りませんっ。」  なぜか敬語だった。 あとちょっとどもった。 だけど、純粋に男性としてだけの思考で考えるなら、図星でもあった。 23:54 hikami >【燐】「…ぷっ……あははっ……照れたでしょ、今」 くすくすと、肩を震わせるのはいっそ子供っぽい仕草、 楽しげに響く声も常に無く明るく、楽しげに…嗚呼、なんだ。こんな風に笑えたんだ、なんて―――ちょっと、新鮮な気分だった 「……それはそれで不本意ね、どっちにしたってちょっと腹の立つ質問だったってのは判ってても。……ま、良いわ。」 それでも、反応のおかげで少しは胸がすっとした、これでなくちゃ、尚也らしくない。 あんな、普通に格好の良いのなんて―――しょっちゅう見たら勿体無くって、有り難味が薄れるってものだ 「…―――大丈夫、そう簡単にしやしないわよ。それこそ……怒らせちゃうから」 23:59 rouge >【尚也】「……て、照れるもんかよ。」  まずい、小言といい指摘といいペースを握られ始めている。  何て思いながら…でも、これっていつもの通りだよな、何て思って。そうしたら、なんだか急に、楽しくなってきた。  「そういや、燐が噴出すところって、はじめてみたな。 正面にまわっときゃよかったな、どんな顔して笑ってるのか拝んでやれたのに。  …でも、ま。 そんな残念がる事も無いか。」 00:07 hikami >【燐】「…“妹”だから?」 なんて都合の良い免罪符、くす、と、そんな…己にトドメを刺した言葉を少し…違った意識で受け止めていた。 こうしていられるのも“妹”だから。 …胸さえ高鳴らなければ…触れられて、恥ずかしいの前に嬉しい、幸せ、なんて思わなければ… そう、なれれば、きっとコレはこれで幸せな筈なのだから 「っ…うるさい、いいじゃない……笑う事ぐらい、あるわよ。 ―――誰の所為よ、全く……笑い方なんてすっかり忘れてたってのに目の前でへらへら笑うから…思い出しただけよ。」 僅かに身を離す仕草をするのも、離れようと思ってのことではない。 何せこのまま顔を上げたら―――したく、なってしまいそうだから。ほんの少しでもと腕の中で距離をとり、顔を、上げた 「……笑うのも、泣くのも……悪いもんじゃないって思えたの、尚也と風華のおかげだもの。 それと、シュナも。“日常”なんて縁とおいものだって思ってたのに、実はすごく身近にあったんだって教えてくれたのは、シュナ。 何度も尚也と風華が与えよう、って引っ張り出そうとしてくれてた事に気づかせてくれたから。 ……だから残念になんて思うこと、ないわよ。…今更笑わない生活なんて出来そうにないから」 良い、少し…恥ずかしそうに、口元を緩める。不器用な形ではあるが意図して作った、笑み。 00:15 rouge >【尚也】「うん、そういうことなんだよな。 これからだって、燐は笑う。  だったら、一回くらい見逃したところで、何の問題もないってことさ。」  燐の言葉に、最初にであったときからは考えられない言葉に、笑みを浮かべた。  「……うん、いい顔だ。 ずっと怒ったり、ぶすっとしたりしたり、色んな表情の燐を見てきたけどさ。  やっぱり、一番可愛いのは、それだよな。」  燐の笑顔を、目に焼き付けて。 ……今は初めてのもの。 でも、これからは当たり前になっていく。 そんな表情を、眺めた。  「…両方、楽しめばいいんだよ。 僕らは。 難しく考えないで、さ。」 00:19 hikami >【燐】「……尚也の前で笑うなんて言ってないじゃない」 む、と、それでも軽く向ける冷めた表情…でもそんなのは一瞬で崩れる、 直ぐに拗ねた風に崩れてしまうあたり…きっと、笑う事だってこんな時なんだろう 「…楽しむ、には随分と―――物騒なセカイだけどね。それでも、やってみせるわ。 …もっと力が欲しい、なんて思う日が来るって思わなかったけど、それも…悪くないって思えたんだもの。だったら…できるわよ」 ひょい、と、軽く肩を竦めて見せる。常ならば不遜なまでの自信と共に放たれるべき言葉も…今ばかりは少し甘えの響きがまざる。 腕から逃れられない、なんて事もあるだろうけれど 「…あと。“かわいい”も、だめ。……そんなするっと言われたんじゃ、落ち着かないわよ」 00:28 rouge >【尚也】「意地悪な事を言う燐だなー。」 つんつん、と燐の頬を突きながら、リラックスした表情で。 燐に僕の肩をすくめる癖、うつったかな、何て考えながら。  「力は、僕たちの分も計算して良いからな。 今更、言う事じゃないけどさ。」  勿論、僕も燐のことをアテにさせてもらうけどね、と付け加え。  「……可愛いは、駄目か? 困ったな。 素直にいっただけだってのに。  それともなんだ、燐は僕にかいのように口をつぐめとおっしゃるか。 うそ苦手だぞ、僕。」  何て、からかったりもした。 00:36 hikami >【燐】「……っ、突付くんじゃないっ」 かぷ、と、頬に触れる尚也の指を軽く、噛む。 …―――やっておいて難だが……すごいアレな行動じゃなかろうか、なんて思ってしまったのだろう。 深く触れる事もなく、直ぐに離れはしたけれど 「…馬鹿、今更よ。そんなの当たり前……フロントに誰も居ないなんてどんな状況よそれ。 それに…―――尚也の支援は一人じゃ足りそうにないものね」 その役目は譲るべきだろう、なんて…勝手に居なくなる事を考えもした、でも考えてみれば―――得手なんて大違い、 なまじっか小器用な分守りは薄い。反面、奇異な状況には弱いのが春奈なんだから、 なんて…欠け、を補う、なんていう初歩の思考、思い至れば今更…白と黒、折角の対称なんだから、なんて。 「―――……………それが反則だっていってんの、ばか。……ありがたみ、なくなるじゃない。 ―――…嬉しいにきまってるんだから、尚也に言われるの」 からかわれてる、なんて判ったからこそ、わざと拗ねる。ぷぃ、と、そっぽを向くようにしてまた、肩に額を預けた 00:43 rouge >【尚也】「!?!!!?!?!?」  ある意味、凄いギャップだった。 キスされたのと同じくらいに衝撃。 燐が、噛み付きに走るとは全くの予想外。  普段視線と口だけで罵倒してくる相手が攻撃してくるのは新たな一面で…きゅんときた。 …いや、きちゃまずいだろう。  …あんたって本当Mいわよね、と呆れ顔のシェルファの声。  「…こほん」  咳払い。 落ち着け僕。  「…なら、これからもずっとよろしくって事だ。」  再び感じる燐の重みに、そう答えを返した。 00:47 hikami >【燐】「…………………………い、いまの、なし」 流石に…照れた。かぁ、と、頬に上る熱…まずい、しかも―――……ちょっと、気持ちいい、とか。 嗚呼、何を考えているのか…―――慌てて片手を口元へともって行き、隠した。…キスと違って無意識にも、過ぎた 「……ん、うん。―――ありがと、まだ…一緒に居てくれて」 …それこそ、何を言っているのか、なんて。 …額を預けたままの身動ぎ、髪が擦れて少し、くすぐったいななんて思いつつも…まぁいいか、と。今…顔を上げるより、良い 「―――こんな役得があるなら妹、でも…我慢してあげる。改めて…よろしくね、尚也。」 ――きっと、すごく…照れくさい顔をしてるから。 00:54 rouge >【尚也】「ん……。 よし。 そんじゃ、折角休日なんだ。 どっか、遊びに行くか? それとも、もう少しここで、ボーっとしてるか?」  燐の髪をなでながら…此方もやっぱり、少し照れくさいのは意識しないようにしつつ。  「どっちにするにしてもさ。 今夜、うちでご飯、食べてかないか? 理夢も久しぶりに会いたがってたし。  燐が一緒なら、あいつも喜ぶだろうしさ。」 00:58 hikami >【燐】「……そ、そうよ。こんな、あ、え、と―――……」 はた、と、己の状況思い返してしまえば……不味い、何をこんな、昼間っから、しかも……公園、じゃないか。 かぁ、と、慌てて…身を、離す。不味い、恥ずかしい、どころじゃ、ない。…膝の上に座ってじゃれ付く、なんて、なにをそんな…… 「い、いくわよ、どこか。どこ、でもいいから。……このままじゃ、不味い、絶対…」 かぁ、と、染まった頬は…最早手遅れか。少し乱れたスカートの裾をぱたぱたと払い、直して 「―――………そう、ね。理夢の顔も…ちょっと、みたい。―――自分が何をする事を選んだのか、って。良いなら…お願い、尚也」 01:04 rouge >【尚也】「はは……」  確かに、往来でするスキンシップにしてはちょっと派手だった。 というより、理夢とでもここまでした事はない。  まあ、一つしか違わないせいも、あるんだろうけど。 それでもやっぱり、可愛い妹であった。  「それじゃ、歩くか。 理夢には伝えとく。 たぶん、腕をふるって限界まで作るだろうから、昼は軽めで良いな。  あいつあれで、結構器用なんだぜ?」 燐が離れたのをみて、立ち上がり身体を伸ばしながら。 01:09 hikami >【燐】「っぅ―――………不覚………」 かぁ、と、頬に上る熱が引いてくれない…何をしていたのかと、思い返せば…恥ずかしくてたまらない、というか…… なんだこれは、なんて思える程。…こんなので大丈夫か、と―――… 「……ん、というか……今から何か食べろって言われても……味わかんない気がするから、飲むだけで良いわよ」 その台詞そのものがテンパってる証左だろうに、そんな…単純な事にも気づく余裕はないのだろう。 ふるり、と、軽く頭を振り、長い金糸を軽く、風に舞わせた 「…それにしてもそっか、理夢の料理…てのも、なんか―――楽しみね。」 孤児院では手料理、なんてものを食べる機会もあったがろくに味なんて覚えていない、アンブラに入ってからなんて言わずもがな、である。 …なんだか新鮮な気分がするのもきっと、悪い事じゃないだろうな、なんて思いつつ 「…いこ、尚也」 …今度は、と。先週は丸一日かけて触れることすら出来なかった掌、 視線を外しつつ、挙句に指先だけを握る、なんて不器用なやり方だが……今日は、触れることが出来た。 01:16 rouge >【尚也】「ん。」  指先を絡め、軽く引き寄せて。並んで歩く。青年と金色の髪の少女。少し過保護な兄と妹。  尚也が燐のほうに向ける表情は、見守るような優しさで形づくられていて。  「それじゃ、行くか。」  たぶん、これくらいの関係が、僕と燐の落ち着くべきところ。  燐が、勇気を出してもう一度近づいてきてくれたのは…とても嬉しかったと思う。 護りたいものが、また一つ増えた。 01:23 hikami >【燐】「…っ……」 引き寄せられる動きに軽く、たたらを踏む。 何も歩きづらいだけじゃない……照れくさくて、恥ずかしくて―――嬉しい、んだろう。 火照った頬の熱がいつ引くとも知れず、向けられる視線は……まだ少し寂しいけれど、くすぐったくて。 “役得”なんて己に理由をつけた先刻の抱擁すらも…相手にとっては本当に唯のスキンシップなんだろうな、なんて――― 己もそのうち、そうなってくれるんだろうな、なんて予感と共に。少しだけ痛む胸の奥、 それでも……これはこれで一つの形なのかもしれない。 「…ん。そうね―――デートのやりなおし。この間は…ちょっと素直に楽しんでなかったかもしれないから」 いこ、と。相手の言葉への同意と共に歩き出す。―――これでいいんだ、きっと。幸せな、初恋だったんだ、なんて。 ―――きっと、これでいいんだ、くす、と、なんとなく…零れた笑い。嗚呼……逢って、よかった。 風華にもお礼を言わないと、それから―――…… なんだ、自分の周りにはまだ、一杯ヒトがいるんじゃないか、なんて。 ―――今更、そんな言葉を使うと怒るかな、なんてヒトの顔まで浮かぶ。 一人じゃない、だったら―――きっと、バケモノなんかじゃない。 愛されていないわけでも、きっと、ないんだ。…怖がる事なんてない、ただちょっと辛いだけ。 ―――だから、がんばろう。…皆と、一緒に。