19:57 hikami >―――夏特有の夕立は、それその物の概ねの性質によってか短時間で上がってくれていた。 19:57 hikami >何処を如何飛んだか、なんて覚えていない。 19:57 hikami >知覚だけはされぬよう、万が一にも――ソレを望んでいたからこそ―― 追ってこられた時のためにと速度を上げ、でたらめに曲りながら迷走していたのだと思う。 19:57 hikami >雨上がりの中で濡れ鼠、滅多に着ないワンピースは肌にぺたりと纏わりついて煩わしく、 羽織ったカーディガンがその軽やかさを全く失ったかの如く腕の動きを阻害する。 19:57 hikami >それでも、構わない、今は……―――構っている余裕なんてない。 19:57 hikami >最初の転倒の所為で薄汚れて仕舞っている事も振り捨てたまま、漆黒の翼を懸命に羽ばたかせ―――次第に、夜へと移る時刻。 19:57 hikami >重い雲に包まれていた夏の夕暮れが深い朱に色づき、その日の終わりを告げ行く変遷の時。 19:57 hikami >ばさり、と―――少女は空を駆る。 19:57 hikami >目的、なんて意識した覚えは無かった、それでも、其処以外に己の、今の“逃げ場”はないようにも思えた。 19:57 hikami >基地に、なんて、行けない。 19:57 hikami >それでも、嗚呼……居てくれると、いいな、なんてささやかな願望。 19:57 hikami >混乱した思考は飛翔の合間に多少とはいえ落ち着いていたものの―――姿を見てしまえば、そんな余裕なんて一瞬で消し飛ぶ。 19:57 hikami >寮の一室、教えられていた位置。 19:57 hikami >折りしも窓が開き、その奥にと姿の見えた……―――求めた、ヒトの姿。 19:57 hikami >【燐】「ふう、かっ―――……!」 19:57 hikami >ばさり、と、窓の隙間から滑り込む様な強引な軌道。身長以上に大きな黒翼は進入の最中に窓の淵へと打ち付けられ、響く妙な打撃音。 19:57 hikami >それでも、構わない―――“目的の場所”には、辿り着けたのだから。 19:57 hikami >ここなら……良い、安心できる、頼れる、んだ、頼っても―――… 19:57 hikami >【燐】「風華っ…わた、し……笑え、なかった……だめ、わかんない………どう、しよう…っ……!」 19:57 hikami >濡れ鼠、土足、そんな事も構っている余裕は、無かった。 19:57 hikami >ただ、ただ、その温もりを求め、子供の様に身を震わせ、しがみ付き、嗚咽。不器用な泣き方の所為で言葉は詰まり、時折、咽るようにと響く、音――― 19:57 hikami >……………… 19:57 hikami >………… 19:57 hikami >……… 19:57 hikami >…… 19:57 hikami >… 19:57 hikami >―――…暫し後、ぽつり、と、先に待ってて、なんて部屋へと戻った少女の装いは常とは全く違うもの。 19:57 hikami >湯上り独特の紅潮を残す頬にかかる湿った髪、借り物のタオルを肩へと羽織りその上に生乾きの金糸を垂らし、 19:57 hikami >その持ち主にとっても少し大きいであろうシャツ一枚を纏い部屋の隅、所在無げに蹲る。 19:57 hikami >漸く……少し、落ち着いた。 19:57 hikami >つい、見てしまったモノの所為でもあるのだろう、何と……言って良いのか。なんて、説明しよう、なんて――― 19:57 hikami >遠くに響く水音、何かの作動音を遠く、ぼう、と、聞いていた。 20:12 ballock >  20:12 ballock >突如部屋に飛び込んできた燐―― 20:12 ballock >様子がおかしいなんてものじゃない、此処まで取り乱した燐は初めて見た 20:12 ballock >嬉しさとかでもない、ただ、悲しげな…負の感情で構成された涙―― 20:12 ballock >あぁ――きっと…聞いてしまったんだ…そして…きっと―― 20:12 ballock >落ち着かせるため、それに風邪をひいてしまいそうしましそうだから、と 20:12 ballock >シャワーを浴びさせようとして――”一緒がいい”そんな言葉も聞いてしまえば 20:12 ballock >共にシャワーを浴びることになって…ただ、シャワーの中では何も聞かなかった 20:12 ballock >ただ、泣きじゃくる子供をあやすかのように優しくして… 20:12 ballock >自身の身体についた大きな傷も、隠すことなく…いや、気にする事もできないくらいに 20:12 ballock >燐は取り乱していて…シャワーから上がり、燐に着替えを渡し先に待たせて 20:12 ballock >膝まで伸びた髪を乾かすのに時間がかかる、そんな理由―― 20:12 ballock >【風華】「……やっぱり――聞いたのと…ぶつけたんだろうな…それできっと…逃げてきた」 20:12 ballock >大体は予想できる、一人になってから呟いて――そして、尚也先輩はきっと…燐を傷つけないように、って―― 20:12 ballock >同じ女性として――優しさも時には残酷だなぁ――そう思った 20:12 ballock >  20:12 ballock >そして若干の時間の経過の後、髪を下ろし、シャツにショートパンツという寝間着で燐の前に姿を現して 20:12 ballock >【風華】「お待たせ、燐――落ち着いた?」 20:12 ballock >優しく微笑み、声をかけた 20:12 ballock >その手にはホットミルクがあって、机の上に置いた 20:12 ballock >部屋の中は必要な生活用品がある以外はぱっとせず、竹刀入れがかけてあったり、その程度の場所で 20:18 hikami >【燐】「……ぁ……―――」 ぴく、と、蹲っていた肩が震え零れる小さな言葉。常の気丈さなど微塵も無く、見上げた視線は最初は寂しげなものであり、次いで、安堵。 総てを隠すには少しばかり動くと短い裾を軽く手で引っ張るようにして机の脇へと這い進む。 「……うん、ごめん、いきなり。…窓、とか…平気だった?」 打ち付けた翼は……幸い痛覚が無い。 故障、の響きはちらっと浮かんだが修理の必要など得てから今まで経験も無い故此方は問題ないのだが… 寧ろ濡れ鼠の飛び込んだ部屋の方が問題でもあるか、と 「……何も、その、考えないで…顔、見えたからつい…勢い、あまっちゃった」 20:21 ballock >【風華】「幸い、そんなに物置いてないし気にしなくて大丈夫だよ」 何時も通りの優しげな声、軽く燐を撫でて。大丈夫、というのを伝え…ただ、風華から何かを聞こうとはせず 20:25 hikami >【燐】「そ、っか。………良かった」 半ば擦り寄る様な動き、やっぱり…落ち着く。もぞり、と、危うい格好の遠慮か挙動こそおとなしいものではあるが 「―――………今日、さ。……デート、してきたんだ、尚也と。―――最近逢ってなかったからどうしてるか、って、気にさせちゃったみたい。 日曜日にさ、一緒に、待ち合わせて―――そんなの、初めてで、浮かれて。普段着ないような服、着てさ。 ……それが失敗だったのかもしれないわね、上手く……嘘、つけなかった」 雨に打たれた冷え、湯にあたっても指先には少し残っていたのだろう、ホットミルクの温かさは嬉しく軽く手を伸ばした 20:27 ballock >【風華】「……結果、聞いたんだね」 嘘がつけなかった…そう、おそらく尚也は燐の気持ちを知らなかったはず、当人が気づいたのがそもそも ――極最近だ、気づかせたとも言うが―― 20:31 hikami >【燐】「……風華と尚也が護衛、変わった日だったんだって。」 こと、と、一口ミルクを飲み、テーブルへと戻す。思い返せば…膝がまるまる、 抱え込むように腕を伸ばし…その危うさにも気を配る余裕が、ない 「―――襲われて、迎撃して……一緒に、って、尚也から。…嬉しそうに、さ、世話になったな、って。」 ああ、まずい。…声が、湿る―――ぽつ、と、つぶやく音が少し、掠れた 「笑って、おめでとう、って一言言えばよかったのに、さ。―――……駄目、泣いちゃった。我慢、できなかった。 だって―――……妹、って、妹みたいに、って……判ってても…辛かったよ…」 20:32 ballock >【風華】「うん…」 そう、だったんだろうきっと―― 一つ頷いて話を静かに終わりまで聴こうとして 20:35 hikami >【燐】「どうしたんだ、って、私が泣くと、尚也…辛い、って。心配してくれちゃってさ?馬鹿、みたいよね。 ―――絶対違うって判ってるのに、そんなので、嬉しくって……っ―――!」 ひく、と、喉が震える。それでも顔は伏せず、一度は切れた雫が盛り上がるのを留める事もできぬままに 「触って、くれたんだ、尚也。いつもみたいに、撫でて……そし、たら、もう、駄目―――…………」 ぎゅ、と、言葉が、途切れる。細まり、掠れる様な声音、何、泣いただけならまだ良かっただろうに… 「―――し、ちゃった………キス……」 20:38 ballock >【風華】「――燐も、本当の気持ちを伝えたんだね」 少し予想外な事…でも、それでも動じず優しげに語り掛けて 20:41 hikami >【燐】「……黙ってるつもりだったのに、駄目…だった。嘘なんていくらでも吐けるつもりだったのに…っ――― ……撫でられた手が嬉しくてそれで、なんて…馬鹿みたい…そんなこと、だけよ? …おめでとうって、ちゃんと言えなかったのに、心配させたのに……なで、て……嗚呼、好きなんだ、って、やっぱ、だめなんだ、って。」 零れる言葉の響きは途切れ、沈み…掠れる。嗚呼、自分でも上手く説明できていないだろう事が判るほど、それでも……――― 「…気づいたら…してた、好きだ、って、叫んでた。……馬鹿、よね、本当…」 20:43 ballock >【風華】「………」 ただ、黙って燐の告白を聞いて――本当はもう、そんな事は無い…って言いたい…でもきっと――この話には続きがあるような気がして 20:47 hikami >【燐】「それで……抱きついて、叫んで、それでも…―――やっぱり、尚也は支えてなんてくれなかった。 頭は撫でてくれても……っ―――抱きしめては、くれなかった。当然、よね。なのに、さ?」 ぐ、と、言葉を詰まらせ、逡巡――― 「……怒らない、んだもん。嬉しいけど、って、優しく、て………っ―――……あんな、こと、したのによ? だから…どうしようも、なくってっ―――………振り払っちゃった。…ごめん、も、言えなくって、 怒ってくれないことに、怒って……―――くるな、って、逃げて……駄目、ほんと、私……どうしたら、いいのか…っ ……結局、どこにも、いけなくって、ふうか、って、ただ……それだけ。…ひとりで、どうにか、って、思ってたのに…… ―――甘えてる、のよ、あんなこと、しといて、まだ…」 20:52 ballock >【風華】「――」 そういう事だったのか、自身の本音をぶつけて…それで尚也先輩の優しさに耐えられなくて…拒絶して…そして逃げてきたのか… 黙って、話を聞き 「……燐は、どう思ってる?」 拒絶して、逃げた事に関して――何を思って…今の燐の考えを聞きたかった 20:57 hikami >【燐】「―――……耐えられ、なかった」 ぽつ、と、零す呟き。どう、か……考えの纏まらない中の暴走、思い返せばそう、なのだろう 「優しいの、に…辛いっ―――それが、妹、だから、だもの、私は……好き、なのに。 あんだけ言ったのに―――……言い、足りない……だから、怖い…どう、すればいいのか、嫌われたく、なんて―――…… どうしようも、なかったのかも……―――怖い……」 自分が、なのか、相手が、なのか―――どう、なってしまうのか、という事が、か 20:59 ballock >【風華】「……」 言葉を聞き終わり若干の間を置き――燐の頬に軽い衝撃…部屋にパシン…という軽い音が響いた 21:01 hikami >【燐】「っ―――……」 きょと、と、何が起こったのか…一瞬悟れずに、固まる。数秒…正確な時間など悟れぬままに――― 感じる鈍い、痛み。じんわりと頬に熱が伝わり 「っぁ………!」 それが切欠、か。堪え、押さえていたモノ、あれほど叫んだと言うに…ぽろぽろと、再度零れる、涙。 21:03 ballock >【風華】「――だから…尚也先輩を”傷”つけて…”逃げた”の?」 その瞳は優しげ…というよりも真剣見を帯びた瞳で燐を正面から見据えて 21:06 hikami >【燐】「っ―――……ぁ……」 そう、か…―――そう、なんだ。そんなの…… 「っ……あ、ぁ………や、だ、うそ、そう、か……う、ぁ……」 ―――何を、してしまったか、なんて、そんな… 「そんな、つもりじゃ……なかった、のに……!ただ、う、ぁ……駄目、だ、私―――っ!」 …自分の事で手一杯である前に……暴れただけ、じゃないか――― 「どう、しよう……どう、しよう……!」 涙の質は若干、違う。零れ、溢れ…あぁ、だめだ、留められない、時間、なんて…戻らないのに―――… 21:11 ballock >【風華】「――燐」 自分の行動を自覚し、取り乱している燐をそっと優しく抱きしめ―― 「自分が、何をしたのか――わかったなら…大丈夫だよ――それなら…自分に”非”があるって”思う”なら…どうすればいいかは、ね?」 そう、優しげに語り掛けて 21:14 hikami >【燐】「っ……わか、った。―――判ったけど、う、ぁ………」 ぞわり、と、鎌首を持ち上げる不安と―――恐怖――― 「あやまら、なきゃ、尚也に―――……ごめん、て………」 ぎゅ、と、抱かれる温もりに身を委ね、しがみ付くようにと相手の服を少し強く引っ張る。 泣き顔を隠すいつもの癖でと胸元に顔を埋め、しゃくりあげる様にと時折肩が震えた 21:15 ballock >【風華】「怖いかもしれないけど…でも、逃げちゃダメ…今逃げたら――一生それを尚也先輩も…燐も…きっと引き摺られるから、ね」 そっと、優しく燐を撫でて、抱いて…諭すように 21:19 hikami >【燐】「っ―――う、うん……ぅぁ……っ……!」 常よりも薄い、服。感じる鼓動にも……触れて貰う手の動きにも、そのどちらもがいつもよりも、近い。 ―――嗚呼、だめだ、一生、なんて、そんなの―――背負わせる訳、いかないじゃないか 「っう……わか、った。今度、は……がんばる、から。―――でも、ぅ、ぁ……―――」 ひく、と、喉が引きつる。泣き声だけは零さぬようにと…芯に染み付いた習性、ぎゅ、と、ただ縋る腕だけが、強い 「―――……好き、だよ、やっぱり。好き―――好き、好き、どうしよう、判っても、傷つけたって、あやまらなきゃ、って。 ―――そんな、なのに、逢うの、怖いのに―――…あわなきゃ、って思うと…駄目、嬉しい―――… 嫌われた、かもしれない、のに。また、逢うんだ、って―――っ…!」 21:24 ballock >【風華】「燐の”気持ち”は…誤魔化しようがないのはしょうがない事だよ?」 人の気持ちは誤魔化せる物じゃない、だから、嘘をついていれば何時か絶対に無理が来る―― 「それでも――ね」 お互いそれを知りお互いがそれを吹っ切っていかないと行けない事だ――これからも、友人としても親友としても仲間としても… 21:27 hikami >【燐】「うん……でも、どう、すればいい、のかな……」 ぎゅ、と、零れる声音は細く、幼く、脆い。恐怖と―――歓喜と―――そんな相反する感傷に掻き回され、それでも… ―――自覚と、相手の温もりに嗚咽は止まった。 「だって、う、ぁ―――……」 それでも、その、言葉を浮かべると――― 「……忘れ、なきゃ、って。―――どう、すればいい、の……?」 …胸が、詰まる。嗚呼、そうだ、だって“イケナイ”んだから、こんな…横恋慕のような感情。 21:31 ballock >【風華】「そんなにすぐには…きっと忘れられない――というよりも、忘れられる事じゃないよきっと」 ほんと、人間は器用にできていない。でも 「時間をかけて…何時か”思い出”になるように…ね。こういうのも一つの”経験”だよ」 どうすればいいか、なんてわからない。だから忘れずに思い出にするしか…きっと無い。 それが当人に取って一番良い事かもしれない、と 21:35 hikami >【燐】「そ、っか………うん…じゃあ、さ…」 こく、と、喉が鳴る。聞いて良い物か、どうか―――焦れ、それでも… 「…風華、は……?失恋、とか……した、こと……ある、の?」 ―――少しでも、と、手がかりを、探る。誰にも、どうしようもないこと、だろうに。 自分が…一番得手としていた事、だろうに。感情も、言葉も、存在も、総て偽ること、なんて。 ……ただの一度、制御できなかった所で、それでも―――次、の自信なんて…ない。 21:40 ballock >【風華】「……失恋…っていう経験は多分無い、のかな」 失恋では、きっとない。初恋は実って居て、結ばれても居て…ただ… 「ただ――好きな人は…もう、居なくなっちゃった」 小さく、さびしげに笑みを向けて 21:42 hikami >【燐】「ぁ……―――」 じくり、と、響くのは鈍い痛み。その表情に気づき……―――思い、至るそう言えば…… 「……ご、ごめん、そう、だよね。…………みんな、いなくな、って……」 そんな話を、聞いたじゃないか。でも、だったら―――?自分よりもいっそ、辛い事、だろう、だったら……? 「……風華、も……?忘れ、られないの…?」 …嗚呼、これも“傷”つける行為、だろうか。 21:47 ballock >【風華】「うん、忘れられない――今でも…たまに”夢”で見ちゃうくらいだし…」 ただ、その表情は…見ている”夢”は”悪夢”の類なのだろう、と寂しげな表情は物語っているかもしれない 「それでも、もう…ほんとに取り戻せない事――でも…私にとっては大事な思い出…だよ。以前の生活は」 気にしないでいい。とでも言うように、燐を優しく撫でて 21:51 hikami >【燐】「そ、っか……う、ご、ごめん………変な、事、きいた……」 それでも撫でて貰えるのが……まずい、うれ、しい……この温もり、だけでも…と、きゅっ、と、抱擁の腕を強く。 しがみ付く勢いは薄れ、抱き寄せる、という方が相応しく、歳相応の非力さで、小柄を摺り寄せて居た 「じゃあ―――好き、でいても、いいの、かな……もう、少しだけ…―――想っても、いいの、かな。尚也の、こと……?」 そんな姿勢のままに見上げ、じ、と、その寂しげな表情を―――…ちく、と、胸に何かが刺さるオト、嗚呼、そうか… ―――思わず抱擁の手は相手の髪へ。はじめてみた下ろし髪をそっと梳くようにと、撫でた。 21:53 ballock >【風華】「うん――でも、暴走しないようにね?」 優しく、少し冗談味を帯びた口調で…少しくすぐったい気もするが、黙って撫でられて 21:58 hikami >【燐】「……暴走…―――っ……」 はた、と、あわてて己の唇を片手で隠し…かぁ、と、染まる、頬。嗚呼……まずい、思い出した――― 「う、ぁう、そ、っか、しちゃった、んだもんね……キス……う、うん、がんばる、わよ、それは……」 悪いし、以上……寂しい、じゃないか。こんなの―――きゅぅ、と、胸の締め付けられる様な、感触は 「……風華…寂しい、って想う事って、ある…?」 故に零れる言葉、見えた表情の所為でもあるのだろうけれど…撫でる手つきはやはり、不器用。時折何かに引っかかるかの様に戸惑い、ずれる 22:00 ballock >【風華】「うん――やっぱり…たまに、ね。今は皆が居るからそう思うことは減ったけどね」 小さく微笑む。そういえば燐は本当に根っこは歳相応の女の子だな、とも思い 22:02 hikami >【燐】「……そ、っか……じゃあ、これでいい、のかな……」 もう、一時の様な激情は、ない。ただ…きゅぅ、と、締められる様な寂しさと―――……後悔。 こっちは…落ち着き次第晴らさないと、だろう。こんなの、いやだ。気まずいのも―――嫌われるのも。 でも、と、言い訳。嗚呼、なんだか最近…多いな、なんて、淡い思考 「―――…まだ、好き、だから…?」 それでも、問う。これでいいのだ、と、救いが、欲しい。―――我侭、でしかないというのに。 22:04 ballock >【風華】「――うん」 燐の言葉に頷き――やっぱり未練なのかな、これは…とも思う。本当に…後悔してもしきれない気持ちもあった 22:08 hikami >【燐】「………ん、ごめん…」 なら、辛いだろう。己と違って…触れる事も、出来ないのだから。髪をなでる指はそのまま念入りに―――自分が、そう、されたいから 「―――だったら、うん。……がんばる、風華でもそう、なら。―――私なんて、綺麗に出来なくって普通、よね…」 ぎゅ、と、服を掴むような抱擁、それでふ、と目に入る―――嗚呼……まずい、そう、いえば… 「…傷……―――」 見たし、見られた、肌。一端を目にすればそれで、つい、と…零れる。これもそう、なのかな、なんて。ぽつり、と、独り言の調子 22:10 ballock >【風華】「人間――そう上手くできてないんだから、仕方ないよ」 燐の髪を優しく撫でて… 「……やっぱり、気になる?」 ぽつりと聞こえた独り言に気づいて 22:12 hikami >【燐】「うん…」 上手く、か。…出来るつもりでいたし、やれる、と……否、やっている、と、想っていた事。 そんな事ですらも強がり、だったのだろう。じく、と、胸の奥が痛んだ 「あ―――…う、え、と………少し。その、ん―――“昔の”かな、って。 ……上手く、その、言えないけど……亡くしちゃった時の、なのかな、って。…肌の傷、なんて…触れられたく、ないよね」 じく、と、鈍い、痛み。嗚呼、なんだか本当…今日は墓穴ばかりだ―――… 22:14 ballock >【風華】「ん、気になるなら…話せるけど。私、自分で言い出したことだし」 お互い、話し合おうなんて言ったのはこっちだったりするのだから 22:17 hikami >【燐】「………良いの…?」 きょと、と、見上げる視線は少し、怯えた。 なんせ数時間前にはやらかしてしまっているのだから―――どこまで脆くなれば気が済むというのか、と… 「―――……知りたい、風華の、こと。結局、この間……泣いちゃったし。―――ごめん、わがまま、だけど。 ………っ―――も、っと、近づき、たい…」 密着の距離のこと、ではない。心が…寂しい、から。相手も―――寂しい、と、そんな時がある、と、言ってくれたから… 22:20 ballock >【風華】「ん――」 その言葉に頷いて 「燐の予想通り…だけど…魔王との戦いの時に受けた傷…なんだ。 魔王との戦いまでこぎつけた時にその場に居たのは私とあの人を含めて…三人だったの」 22:23 hikami >【燐】「あのひと……風華の…彼氏……」 ぽつ、と、零す小さな呟き。復唱するつもり、というよりも混乱の残る中、意識に認識を滑り込ませる確認作業 「―――…治らなかったん、だ」 ぽつ、と、零すのは己が癒し手であるからこその感傷だろう。試す、というのも考えたが―――やめた。今、は上手く使える気が、しない。 22:24 ballock >【風華】「うん――魔王の力の残照が強すぎて、これが限界だったんだって」 軽く説明して 「特に…強い攻撃だったから」 22:25 hikami >【燐】「そ、っか……」 ならばいっそ呪い、という事もあるのだろう。 それなら―――どうにか、してあげたいかな、なんて。恐らくは驕り、してあげたい、じゃない。 ―――したい、んだ。…少しでも、傍に、誰かの―――そんな、理由なんだろう、多分。…少し、寂しい 22:27 ballock >【風華】「でも…これでもマシな方だったんだよ?本当なら…庇われなかったら、きっと私死んでたから」 小さく、笑みを浮かべて。余波での傷…つまりはそれがどれほどの魔力だったのか。想像するのも難しくないかもしれない 22:30 hikami >【燐】「―――……え……?」 庇う?亡くす?―――余波、なんて、それじゃあ…直撃、なんて…―――? 「……………彼、が…?」 なのかな、なんて、もし―――……だめだ、想像しようとして、折れる。そんなの…キツいなんてものじゃ、ない… 22:32 ballock >【真奈】「その攻撃に晒されたのは二回――あの人と…それに最後には親友にも庇われちゃって――それで最後の隙にようやく、倒した。って感じ」 できるだけ落ち着いての告白…落ち着いて話せる内容でもないはずなのだが 22:36 hikami >【燐】「―――………そ、っか………」 ぎゅっ、と。両手を伸ばしての抱擁、少しでも、と―――ほんの、少しでも―――自分と同じく、相手も…楽に、なってくれれば、と…… 「……その時の、なんだね。じゃあ……ずっと……?」 傷は、遺るものなら…?なんて、折れそうになる、心。駄目だ、そんなの勝手すぎる、せめて、と…ただ、身だけは離さずに抱きしめていた 22:40 ballock >【風華】「多分――ずっと引き摺ってる事になるのかな…我妻市には、私の心が耐えられなくて逃げてきたようなモノだから」 懐かしい思い出話、とはいえそんなに前のことでもない 「……そのおかげで皆と出会えたって考えるとちょっと複雑かも?」 少し落ち着いて、少し冗談含みに 22:43 hikami >【燐】「……―――ごめん」 ならば、言葉にさせるなんて…酷かったんじゃないか、なんて想い。そんな事を言えば―――…尚也も、だけれど――― 「…複雑、といえば私も、よ。………親に捨てられて、施設でも弾かれて…… おかしな力がある、なんて人達についていって―――色々教えられて……初任務みたいなもの、だもの。 来てまだ、1年どころか半年も……なのに。こんな、好き、な人も、できて…こんな、風に甘えられて…… ―――12年間、なにやってたんだろ、ってぐらい。」 ぎゅ、と、抱擁の腕背に回し、擦り寄る様にと頬擦り。じゃれ、甘える…子供、か。 22:45 ballock >【風華】「あはは、人生何が起こるかわからないね」 軽く、撫でて…ほんと何が起こるかわからない 「ほんと…」 と、言葉を切る 22:47 hikami >【燐】「うん………―――判んない…」 ぐず、と、微かに鼻を啜る音。また、少し…寂しさが、戻ったか 「……ね、風華…?―――私、で…少し、ぐらい……役に、たってる…?寂しい、って、想わないで、済んでる?」 22:49 ballock >【風華】「うん――勿論、燐にも支えられてるよ」 微笑を浮かべ優しく撫でて 22:52 hikami >【燐】「よか、ったぁ………」 ふわ、と、零れる淡い、笑み。険の取れた淡さ、歳相応よりも少し幼く、淡く…見せたことのない、柔らかさ 「―――……私、風華がいて、よかった。…このまま、一人だったらきっと……ずっと、尚也の事…避けてた。 傷つけたまま、ずっと……―――そんな子に、ならないで…良かった。」 22:55 ballock >【風華】「やっと、笑えたね」 その歳相応よりも少し幼げな笑み、だがきっと燐の本当の笑み――それに微笑を向けて 22:57 hikami >【燐】「う……―――あ、う、い、いいじゃない………うれし、かったんだもん…」 少し、拗ねたように言葉が漏れる。ぎゅ、と、抱擁の腕を強めて… 「―――……もし、さ。もし、でいい、から。……風華、寂しかったら…呼んで欲しい。 ―――お礼、ってわけじゃないけど、出来ることなら、したいし。…一緒にだれかいるの幸せ、って―――嫌って程、思い知ったから」 22:59 ballock >【風華】「うん、わかった――でもあんまり無理はしちゃダメだよ?」 微笑んで、優しく撫でて 23:01 hikami >【燐】「無理、なんかじゃない。―――だって、ぅー…………―――居たい、んだから、いいの」 ―――まずい、と、自覚した時には、遅い。かぁ、と、照れたように頬を染め、戸惑いにと視線が伏せられて… 「―――でも、ん、無理、しないから……―――また、こう、しにきても、いい…? 結構……一人、つらいこと、多くって。…―――馬鹿みたい、よね。殆ど毎日…起きてから、泣いてる、なんて…」 23:04 ballock >【風華】「うん、私は大丈夫だよ」 くす、と微笑み 「それじゃ、当面の目標もできたし――燐、もう夜遅いけど、どうする?」 とりあえず、洗濯中にもなってるから着替えも自分のサイズじゃ合わないし…とふと考えて 23:07 hikami >【燐】「………………我侭、言って、良い…?」 まだ聞こえる音は遠く、響き……乾くのにも時間がかかるだろう。少しの距離、棟も違わないのだから多少は我慢、だろうけれど… 「―――………かえりたく、ない…」 柔らかな胸元へと顔を埋め、裾の危うさ、捲れるのも構わず擦り寄ってしまって…ぽつり、と 「…今、一人になりたくない。……判っても、やっぱ、その―――………辛い、から、まだ…」 23:10 ballock >【風華】「ん――」 軽く撫でて、頷き…もう時間も遅い 「ベッド一つしかないし、一緒に寝よっか」 きっと、一人で寝るのはイヤだろうとも思い、そう言って 23:12 hikami >【燐】「いい、の……?」 きょと、と、振り向ける視線。こく、と、頷き…――― 「………嬉しい……うん…ありがと―――…一緒が、いい」 今更強がる事なんて、できそうにない。でも、今は―――……ここで、だけは、こう…させて、ほしい。 少し、我慢、少し、がんばる、すこし―――…あと、少し―――……いつもの、自分に、すこしでも、早く――― 23:19 hikami >―――ぱちり、と、明かりが落ちる。 23:19 hikami >寮に備え付けの少し狭いベット、もぞり、と、身動ぎ、少しでもと相手のスペースを作るべく壁際へと寄る。 23:19 hikami >入り込んでくる暖かな、温もりを、そ、っと、抱きしめて―――撫でてくれる掌が、心地よくて――― 23:19 hikami >嗚呼、まずい、もう、駄目だ。 23:19 hikami >“つよい”自分になんて―――なれなくても、いいや。 23:19 hikami >“よわい”自分が……こんなにも―――しあわせ、だなんて。 23:19 hikami >おやすみ、なんて、言葉の響きに、こんなにも、嬉しく返せたこと、なんて。 23:19 hikami >すきで、いてもいい、なんて。 23:19 hikami >こんなに悩んでいたのが、泣いて、暴れて…そんなのが、ばかみたい。 23:19 hikami >それでも―――だいじな、おもいで。 23:19 hikami >手に入れることも、縋る事も、浸る事もできない“かこのゆめ” 23:19 hikami >そんなものに、いつか。 23:19 hikami >―――きちんと、できます、ように――― 23:19 hikami >その時の自分が、どんな風にわらえるかな、なんて。 23:19 hikami >                   ―――そんなこと、想う日がくるなんて… 23:19 hikami >しあわせ、で、いいのかな。 23:19 hikami >失恋はしちゃったけれど。 23:19 hikami >こんなにも、あったかい人がまだ、いるんだから。 23:19 hikami >一人じゃない、って、尚也、だって―――… 23:19 hikami >まだ……大事、だ、って、いってくれたから。 23:19 hikami >きっと、大丈夫。 23:19 hikami >             ―――しあわせ、で、いいの、かな……?