21:19 hikami >その日、いつもの如く皆が帰った頃合、人の減り始める時間帯から開始された夜の訓練。 21:19 hikami >切欠はふとした思い付きから、その思いつきを容にすべく築き上げられていく修練の日々。 21:19 hikami >元より近接には向かぬ体躯であり、そう長けているとも言えぬ技量ではあるが……それを補う能力が己にはあった。 21:19 hikami >それを恃みにと、知りうる中では最も剣技に長けた少女へと教えを請い、数日。 21:19 hikami >“どうにか”と言った程度、能力を使わずとも剣を振るう事は出来るようになっていた―― 21:19 hikami >―――最も、小太刀程度の長さ、実戦に用いるには聊か以上に心許ない程のものではあるが。 21:19 hikami >そんな日々。 21:19 hikami >それがある日を境に微かに、軋んだ。 21:19 hikami >切っ先の冴えは何処か鈍く、その剣戟に能力を繰る頻度が増えた。 21:19 hikami >ほんの些細、小さな違和感。 21:19 hikami >それでも数日、連日となれば―――明確な齟齬として映るだろう。 21:19 hikami >そして今日。 21:19 hikami >相変わらず剣の練習をするとも思えぬゴシックロリータの装束のまま、仕上げにと刻んだ打ち込みを終え、鞘へと刃を納めた。 21:19 hikami >【燐】「……駄目、か。そろそろ風華も出ないと、不味い時間よね。私の方も……そろそろ寮長が煩くなりそうな時間になってきてしまったけれど……」 21:19 hikami >―――言うも、時間はまだ少しある。 21:19 hikami >己でも無自覚ながらその不調は悟っていたのだろう…珍しく、こちら側から切り上げの提案を向けていた――― 21:19 hikami >  21:23 ballock >【風華】「あ、もうこんな時間なんだ」 ふと時間を見て答える。燐からそう切り出すのは珍しいな。 と思いながら、時間はあれど、此処のところどこか動きがおかしく感じている。何かしら最近あったのだろう。だから… 「そうだね。それじゃ今日は此処までにしよっか」 21:25 hikami >【燐】「ええ。助かるわ。―――本当、自分で言い出した事ながら慣れない事ではあるし……風華の練習、随分と邪魔してる気がしてくるわ」 少なくとも己が身では相手のように闇に紛れての修練、など気の早い事であろうし、となれば…十全な訓練とは行かないだろうとの言葉。 汗ばむ手の平を軽く振り…痛めたのだろう、その表情が僅かに歪んだ 21:28 ballock >【風華】「そんな事はないよ?」 その言葉にくすっと微笑み 「邪魔だと思ってたらとっくに断ってるって」 そう言って月衣から応急処置用の筋肉傷めたときに使う塗り薬を出して、傷めてる場所見せて。と膝をついて燐の手を取ろうとする 21:32 hikami >【燐】「そう言って貰えると気楽だけれど……」 言うも、矢張り笑みを見るのはまだ少し…きつい。 尚也ですらそうなのだから、全て偽ったままの相手の前、となれば余計にではあるか。 だから反射的に…触れられそうな距離、びくりと、手を、引きかけた。 その事実には自分でも気づいた、だが……偽る。痛みの所為にでもして、誤魔化せば―――…… 「……大丈夫よ、ちょっと捻っただけだもの、明日には治るわ」 …思う前、先に言葉が零れ出ていた 21:35 ballock >【風華】「そう言わないの。まだ日が浅いんだから痛みは引きにくいんだよ?」 手を引きかけた動作、痛みからというのは若干不自然に感じる。それでも何も気にしたようなそぶりもなく優しく手を取って。治療を行う 「……何か、あった?」 器用に治療を行いながらぽつりと呟く 21:37 hikami >【燐】「―――……………別に」 ―――違う。これでは不味い。言葉を紡いでから気づく失態がどうにも…増えていた。 再度とられた手は一度目の経験上で引く事はしなかったものの…その情景から微か、視線を反らす様にと…どこか拗ねた態度 21:40 ballock >【風華】「嘘」 優しげにそう呟く、確実に何かあったのは確信し、治療を終えて立ち上がる 「動きにも、最近迷いが多かったから」 どこか心配そうな語調で 21:42 hikami >【燐】「……―――不器用になったものよね、本当。思った以上に動揺した、ってことかしら」 流石にこれだけの失態、下手に誤魔化せば墓穴だろう。 手際のよさは相変わらずだが…そろそろ夏日、袖の無い衣服では治療跡が目に入り、少し…居心地が悪い 「―――報告書、風華は読まない性質?それとも…―――出していないから伝わってないだけ、かしら。妙なね、罠に掛かったのよ」 21:45 ballock >【風華】「報告書…この間の?」 罠に掛かった、そういえば報告書に最近あった気がする、そしてその時に居合わせた人間の中には、確かに燐が居た。 とはいえ罠の詳しい内容までは見当たらなかったので何があったかまではわからなかった 21:49 hikami >【燐】「そ。学園に仕掛けられていた罠……罠、というか、仕掛けられていたのは良くわからない転送装置、なのだけどね。 二宮金次郎像、なんて平凡なモノに転送機構が仕込まれていたわ。 その行き先が連中…魔王の巣にとって何か意味を持つ場所、なんだとは思う。 ―――その移送の最中にね。“夢”を見させられたのよ。其々にとって嫌な、夢。 ―――思い出したくないものだったり、覚えても居ないものだったり、疲弊させるか惑わせるか …狂わせるかの意図だったんでしょうね。 夢使いとしては常套とは言わないけれど、あまり不思議じゃない技法だもの、そんなのに引っかかった、ってのが―――腹立たしいだけよ」 此処へきて尚も偽りを、紡ぐ。本音、本心、真実…そんなもの、己とは遠い位置にあると…その自負と、自縛が自然とそうした言葉を紡がせる。 21:52 ballock >【風華】「……それは、本当に腹立たしいだけ。だったの?」 どこか違和感、動きの迷いはイラ立ちとはまた違うような気がする。どこかもっと深い部分。太刀筋を見てもそれはわかる。 「私には、言えないことだった?」 そう、静かに問いかける 21:57 hikami >【燐】「……“言って無い事”よ」 それこそ今更なのだ…彼にだって、件の事が無くば持ち出す事もなかった名前、 件の事で……柄にも無く“嘘”の引き出しがさび付いた所為での突発的な“嘘”と…―――それが招いたらしき先日の邂逅。 なんとも、判断のつきづらい事柄でもあるか 「―――誰にだってそうだから、別に風華だけ、ってことじゃないわ。私は嘘吐きだ、ってだけ。 ……“言ってない”だけじゃない“偽者”で接してる。だから今更よ、これは“燐”の問題で……―――愚痴か懺悔にしかならない事だもの」 22:02 ballock >【風華】「愚痴でも懺悔でも、一人で抱え込むよりはマシだと思うよ――だって、辛そうに見えるから私は」 どこか閉じこもっている目の前の少女。こんな生き方は寂しいはずだ、どれだけ自分を偽ろうとしても 22:05 hikami >【燐】「…“それ”が嫌なのよ」 言うも…零すのは嘆息。慣れた、以前…“飽きた”反応なのだ。 それでも背を向けぬ辺りが未練なのだろう、それほどまでに以前の衝撃は大きかった 「―――“同情”も“哀れみ”も、飽きたのよ。愚痴にしかならない、って言うのは言えば“哀れに見える”からだもの。 …それで寂しそう、とか、大変でしょう、とか。……聞き飽きたわ、オマケにこんなナリだものね。 排他的なのは別にどうでも良いけれど…それに“哀れっぽい”ものが加わっただけでやたらと騒ぐものだもの」 22:09 ballock >【風華】「だから…自分を傷つけてでも嘘を貫くの?」 同情…確かに今の自分の言葉はそう聞こえるんだろう。だが、だからと言って放っておくつもりも無い、力になりたい。 それが本心である、ゆえに退かず 22:12 hikami >【燐】「―――“今更”よ」 ソレも慣れた感覚、己が身に請けて来た、己が続けてきたモノ。故に…混ざるのは嘆息の響き 「見積もって10年、と思ってたけれど、どうやら12年だったみたいだもの、私が“嘘”を吐いてきた年月。 呼吸するように嘘を吐ける人間が、傷つく、なんてただそれっぽっちの理由で止めるつもり、無いもの。…―――ただ、まぁ……」 常ならばそこで止まっていた台詞、継いでしまうのは… 「……随分、下手になったわ。こっち来てから、やけに構ってくるのが多いんだもの」 …未練、何だろう、やはり。 22:15 ballock >【風華】「私は…それで良いと思うよ一華さん」 下手になったという言葉にそう応えて 「”嘘”は時には必要かもしれないけど…やっぱり、自分に正直になった方が楽だから」 目を閉じて、そう優しく 22:21 hikami >【燐】「詭弁よ」 言う言葉は嘆息、キツく切り捨てるものではないが…内容は辛辣。切り捨てる、と言うに近い、諦めたモノ 「“正直になる事”なんて、出来もしない幻想だわ、ソレこそ。 ウィザードとして生きている以上嘘を纏うのは当然、それに―――“嘘”のない私に意味なんて、無いわ。 正直になることなんて―――無いわ」 それに、と、言葉を継ぐ。振り向く視線は探り、狙うように真っ直ぐ、相手の瞳へと向く 「―――“嘘”で誤魔化す私じゃない私は“此れ”じゃ、ないわ。―――それを暴かれたのが癪、 もっとも、あの夢の内容は向こうには見えていないみたいだから……ま、レイセニアに目をつけられてる尚也よりは楽よ。 あれで見えているとすれば、尚也の負担がもっと増えた所だもの」 22:26 ballock >【風華】「詭弁でも良いの」 斬り捨てられる答えは予測の範疇、相当闇は深いとも再認識して 「なるほど、それが原因だったんだ」 嘘を暴かれた。ただ、それだけではなさそうではあるが 「三崎先輩の負担…ね。三崎先輩の事も、心配なの?」 22:28 hikami >【燐】「っ―――……!そ、そんなんじゃ無いわよ」 負担、の意味。それが先だっての―――己が仮面の元を僅かに曝した所以となった時の“理由”に僅か、被った。 無論そんな意味ではなかろう、己の言葉の確認でしかない、そうとったのは…少し、遅かった。 「―――…尚也の事情は、多少知ってるでしょう。“エルシア”の事、とか。 …見たくも無いものを見せられた、って意味じゃ思い当たるのはそこだもの、あれを利用するのはレイセニアだけで十分間に合ってるわ。 ……それだけの事よ。私の事情とは無関係だわ」 22:32 ballock >【風華】「うん、私も三崎先輩からも聞いた」 少し前に会話した大切な人、それがエルシアなのだろう。そして目の前の少女は話し方から、知っているのだろう 22:37 hikami >【燐】「…なら、そう言う事よ。尚也の件はただ、それだけ。―――関係、無いわ」 動揺はその一瞬、己の誤解に気づけば…修復できる程度の範囲だ。嘆息に紛れ、呼気を落ち着け―――元通り、この程度の事、だ。 「連中がやったのはレイセニアのアレと大差無いコトよ。私のユメと、尚也のユメ……この二種しか、判らないけれど。 聞くつもりも、無いわ。深入りするつもりも、ない。―――風華、言うのも難だけれど……」 そこで一度言葉を区切る。手にした剣、借り物のそれは矢張り重く…だが、相手の獲物はもっと、重いのだ。 それが己の“嘘”と同じ武器なのだろう、それを見越して 「―――“自分の過去”…私が“昔話をしましょう?”って言って、素直に、喋れる?私に」 22:44 ballock >【風華】「どうだろうね」 その言葉に若干迷う、とは言え嘘をついても仕方ない 「一華さんが聞きたければ、話すよ」 言葉を濁さずに、そう答えを返す 「勿論、一華さんが話したくない。と言い切るんなら聞かないことにする」 22:47 hikami >【燐】「―――……意外ね」 この言葉で大体の相手は、引く。誰しも、些細であれそうでなかれ、話しづらい事はあるものだ。 拒否の言い訳、手っ取り早いものだったというのに 「…これで私の読み間違え、だったら馬鹿みたいだけれど…―――なんで、そこまでして知りたいのよ。 私なんかのこと。数回一緒にミッションに出た程度だし―――最近はこうして私が迷惑をかけてるだけ、だわ。 何となく、なんてのならそれこそ尚也みたいだけれど。―――お人よし。思ったより、甘い性質だったのかしら、風華って」 22:53 ballock >【風華】「……どう思われてたのかな。私」 思ったより、と言われ微妙にマンガ汗垂らしつつ苦笑し 「なんで。って言われれば…放っておけないから。じゃ答えになってないよね」 んー、と考え 「うん、私がやりたいから。難しい理由なんてないよ?」 そう、微笑む。やっぱり単純に甘い性質なのかどうか 23:02 hikami >【燐】「“鉄壁”かしら。“完璧”でも良いけれど。そういう質を元から持ってる“ヒト”はそう、居ないわ。 単純に甘いだけなら脆いし、貫き所はたくさんあるもの。……そうでないのは自分を鎧っているから、だもの。 そうすれば…―――弱みを見せない、弱みなんて無い、そう、見えるようにする。 意識してるか、無意識かは兎も角ね。…だから…“自分”を話せ、なんて交換条件、頷くなんて思わなかった」 向けられる言葉は…不快、ではなくなっている。理由を探してはみたが―――ふと、一つ。 明確な“モノ”に思い至り…それに気づき僅か、自嘲。なんだ、そもそも… 「―――良いわ、話してあげる、でも、それは今度、ね。 でも“何をみたか”だけなら今教えてあげないでもないわ?―――…一つ、条件を呑んでもらえれば、だけれど」 23:04 ballock >【風華】「あはは、なるほど」 完璧であり鉄壁。確かに周りからすればそうかもしれない。ある種そう、自分も偽ってはいるのだ。それは否定できない 「条件?」 その言葉に首をかしげる。 23:07 hikami >【燐】「そう言う事、だから―――お互いの暴露話は確実に長くなるもの。 こんな、帰宅を急ぐ時間でする話じゃない―――ま、これも予想、どこまであってるか、なんて判らないから的外れって事もあるけれど―――」 言いつつ……手にした借り物を相手へと、差し出す格好、それで一歩。相手の側へと距離を、詰めた 「――……そ、条件」 言うも、そこまでは勢いだったが……少し、言い淀む。嗚呼…言うにしたって少し―――言い難い、か。 23:09 ballock >【風華】「あはは、そうだね」 確かに暴露話しは長くなりそうだ。それはこの機会じゃなくてもいいだろう。そして刀を受け取りながら 「どうかした?」 どうしたんだろう、と 23:12 hikami >【燐】「―――………………撫でて」 空手になると…ぽつりと、そう呟く。此れで…少なくとも手は一本、自由に使えまい。そうする事が先ずの、逃げ。 ―――とん、と、一歩。踏み込むというよりは…軽く体当たりか。己の表情を隠すようにと相手にぶつかる形をとる 「―――撫でて。そうしたら……話す」 23:14 ballock >【風華】「――ん」 その言葉に優しく微笑み空いた方の手で、優しく燐を撫でる、柔らかな温もりを与えるかのように…優しく 23:18 hikami >【燐】「っ―――……」 矢張り、慣れない。びく、と背を震わせるのも常の反応。慣れぬもの、それでも求めたもの。 …不味い、顔が紅い……ねだった、と言う事実がそれを加速させてしまうのが…なんとも、不味い 「―――……“鈴音”」 そんな中、独り言の様に紡がれた言葉が…それ。一度零せば後は…思った以上にすんなりと、続いた 「それが、私の名前よ。……産まれた時に名づけられた、ってだけ。 今の私とは違う…と、思ってたんだけれどね。…―――“鈴音”に、逢ったのよ。 私は親からも、その後の保護者からも捨てられたに近いけれど…―――産まれる前に“世界からも捨てられた”って、言ってた。 ―――それが見たもの。…そんなだから、ね―――こうされたの、この間が始めてだったのよ」 23:26 ballock >【風華】「そう――だったんだ」 優しく、その言葉を受け入れるように…話すのも辛い事、本当なら言うのも戸惑うであろう本音を聞いて 「私は”此処”に居る。だから、大丈夫」 何が、とかそういうわけでもない。ただ自分は決して切り捨てたりはしない。 そんな決意もあってそっともう抱くようにしながら温もりを与え続ける 23:31 hikami >【燐】「―――……変な気分になるわね、その言葉」 火照った頬が零させた戯れた言葉、からかう意図を持ったものだが……妙に、面白い。 実際これは落ち着くのだから―――仕方ない、か 「私は…元々“外”に行くつもりで居たわ。何があるのか、なんて判らない衝動。 それで尚也に興味を持った―――でも、その衝動が帰巣本能みたいなものだって“あの子”は言っていた。 生まれた世界で不要になって切り捨てられ、その結果異端児として“親”に捨てられて…… 腫れ物扱いで孤児院で過ごして……捨てられっぱなし、邪魔者にされ続けた。 ―――それが言い分。“鈴音”の。―――別に捨てられてるのは何時ものコト、だもの、どうでもいい、 ただ……“世界に拒絶された”のが…気になるのよ。私が本当は…ううん、本当に“この世界の存在じゃなかった”かもしれない。 そうであれば、なんて夢想をしなかったとは言わないけれど、それが現実だとして… “私が、私の知らない記憶として1度目に捨てられたこと”を経験しているかもしれない。 ―――言っていたのが“自分”だからね。……それが気にかかってた、のね。言われた迷いは多分…それ」 23:39 ballock >【風華】「それは迷っちゃうね」 それだけの事があれば、迷いは誰しも持ってしまうだろう。だから 「私に出来る事あったら教えて、ね」 この子の力になってあげたい。そう思う 23:41 hikami >【燐】「…今まで通りで、良いわよ」 頬の熱は…僅か、引いた。とは言えこれ以上は何か……不味い。だから一歩、自分から遠ざかり拗ねた表情を浮かべ…そっぽを向いた 「―――戦いかた、教えて。後……―――今度、ちゃんと教えて、風華の事も。私だけじゃ不公平よ、やっぱり。 ……私も、話すわ。残ってること、ちゃんと。まぁ―――面白くもなんともない事だけど」 23:44 ballock >【風華】「ん、一華さんばかりに話させるのもずるい、ね。」 自分から遠ざかれば、特に退きとめもせず 「私の話も、そんなに面白いものでもないかもしれないけど、それでよかったら。勿論戦い方もね…そろそろ帰ろっか」 そんな様子の燐に微笑みかけて。そして時間も時間である 23:48 hikami >【燐】「―――“識る”事は私の能力と相性が良いんだもの。…援護するにも、相手をきちんと知っていた方が繰りが安定するのよ」 詭弁だ、不公平、と言う拗ねた理屈に強引に理由を与えただけのもの。間違っては居ないが……深入りとそれは同義ではない 「だから、教えて。……片方だけ知られてるの、物足りないもの。後……」 ―――やはり拗ねた言葉か。手を伸ばす先は相手の服の袖口、手を取る、所までは無理だ 「―――…“燐”よ。……撫でたんだから、名前。苗字じゃなくたって、良いでしょ」 23:50 ballock >【風華】「ん、そうだね――よろしくね”燐”」途中まで延びた燐の手を優しく取り、微笑を向ける 23:53 hikami >その言葉には俯く、に近い頷きを返す。慣れない―――本当に、なれない事だらけだ。 此処へ来て随分と甘く、脆くなったものだと思う……握られた手は訓練後の汗を僅かに残すものの、 それで不快、と思う程ひねた思考には至らず、ぎこちなく握り返す様な格好で後へと続く。 思えば―――名を、此方から求めたのも初めてか。なんだか本当――― 23:53 hikami >【燐】「…調子、狂うわ。尚也と良い、風華と良い……」 23:53 hikami >―――ぽつりと、そんな、呟きが零れた。機嫌よく、少し―――弾んで聞こえた―――