21:16 rouge >三崎理夢は不機嫌だった。 21:16 rouge >「ったく、今日は溜まったストレス解消のために隣町にでもなんて思ってたのに。」 21:16 rouge >ぶつぶつと呟いて時計を見やる。 午後2時。 21:16 rouge >出かけるには少し遅く、家で暇を潰すには長い時間。 21:16 rouge >  21:16 rouge >「何なのよ、客が来るから一緒にもてなしてくれって。」 21:16 rouge >ぶつくさと口から零れるのは文句ばかり。 休日に無理やり予定を捻じ込まれたのだ、無理もあるまい。 21:16 rouge >  21:16 rouge >「うっわー、無理言ったせいで怒ってんなぁ…。」 21:16 rouge >三崎尚也は、そっと遠くから妹の様子を眺めながらぶるり、と身体を震わせた。 21:16 rouge >  21:16 rouge >「まあ…そろそろ時間だ。 地図書いて渡したんだし、そろそろ燐、きてくれるはずではあるんだが…。」 21:16 rouge >廊下を、所在なさげに行ったり来たりしながら、時間の過ぎるのを唯待った。 21:16 rouge >……ふと、チャイムの音が響いた。 玄関先へと慌てて足を向けるのであった。 21:24 hikami >―――地図を見る、と言うだけならば苦ではなかった。 21:24 hikami >赴任以前から紙面上での“地図”は頭に入れるべく幾度も目を通して居たし、 引越し直後からは可能な限り寮に居ない、と言う目的の為に判りづらい所、メインとなる地域は実際に歩いてもみていた。 21:24 hikami >最近は行動半径も狭まり、行くところも固定化されてこそ居れど土地勘と言う意味ではそれなりについているのだ。 21:24 hikami >それでもドアベルを鳴らした時間は、指定された時刻ほぼギリギリといった頃合。 21:24 hikami >…早めに到着しはしたのだが、来訪の目的を思い返せばこそ“早く着く”と言う気分になれなかったのだ。 21:24 hikami >纏っているのは常の通りのゴシックロリータ。 21:24 hikami >レースを多用し、白いフリルの広がるいっそ夏向けとは思い難く ……それでも“夏向け”にすべくと二の腕から脇にかけての肌が覗いている辺りが極めつけ。 21:24 hikami >この住宅街に溶け込む事はなく―――その違和感と不快感がなければいっそ遅刻でもしてやろうか、と思っていただろう。 21:24 hikami >そんなわけで扉の向こう、開ければ少し、憮然とした表情の少女が佇んでいる事となる。 21:24 hikami >【燐】「―――家、て、本当に“家に呼ばれる”とは思わなかったわよ。」 21:24 hikami >―――逢うだけなら何も、外でもいいじゃないか。 21:24 hikami >そう、不機嫌な視線が語っていた。 21:31 rouge >【尚也】「や、丁度良く両親でかけてるからさ。 態々場所指定するより、こっちのが楽かなって。  他の人の眼が入らないッてんなら、現在のここ以上のものは無いわけだしさ。」  ドアを開ければいきなりの不機嫌、しどろもどろに言い訳をしながら迎え入れる。 21:34 hikami >【燐】「―――我妻辺りに誤解されても知らないわよ。実際……その通りだけれどね」 人払いの必要も無く…“何か”の可能性を考えれば願っても見ない選択では、ある。 それでも……憮然としてしまうのは“ヒトの家に上がりこむ”なんて事実の所為か。 「まあ、いいわ。結局提案を飲んだわけだし。…ひとまず、邪魔するわ。ん…尚也、ちょっと退いて」 指示の理由は簡単…穿いているのが厚底のブーツであるが故。紐とベルトでがっちりと固定された足首は立ったまま脱ぐにはどうみても、向かない 21:36 rouge >【尚也】「やっぱその格好、苦労しそうだよなあ。 いや、見る分にはよろしいんだけどさ。」  素直にどいて、靴を脱ぐためのスペースを空ける。  何時もながらのゴシックロリータを眺めながら、自分には推し量れない衣装のこだわりのようなものを感じて。 21:39 hikami >【燐】「別に、苦労なんて言葉を吐くぐらいならそもそもこんな格好しないわよ。」 言いつつ…玄関先に座り込みいっそ解体作業とも言えそうな手間、ベルトと紐を幾重にも重ねた留め具を外し切り、 レース飾りのついた靴下で框を踏み、上がりこむ。座り込んだ余波で乱れたスカートの裾を直しつつ 「―――で、“妹”は何処に居るの?様子は先に見ておきたいわ」 21:42 rouge >【尚也】「女の子のこだわりは凄いよな、感心する、といわざるを得ない。」  奥を指差して案内しつつ。  「ああ、リビングのほうで待たせてる。…今日もなんか、夢見は悪そうだった。目にくまも出来てるし、本人、かなりイライラしてる。」 話す表情は、憂いに満ちている。 彼は彼なりに、妹の事を心配しているのであろう。 21:46 hikami >【燐】「―――別に、男女関係無いわよ“これ”は」 これ、とは単純、ゴシックファッションについて、である。 所謂普通のファッションセンスとは微妙にズレたものであるのは理解しているからこそ…括りを自ら否定した 「―――なら、少し手荒になるかしらね……まあ、良いわ。 今日は猫被るツモリもないし、見ただけなら兎も角―――いざとなったら“寝て”貰うわ」 案内して、と…いっそ客の態度でもあるまい。そもそも…―――手ぶらだったりするわけだし 21:52 rouge >【尚也】「ん、その辺りのこと、僕は全然力になれないからさ。 少しでも、頼むよ。  …ああ、僕はいてもいいのか? 集中しづらい、ってんなら、席外しとくけど。」 理夢の待つリビングのドアの前まで燐を案内する。  自分には手を出せないこと、何かできることはと探すのだが、見当たらないのがもどかしい。  「後、必要なものが会ったりとかはあるか?」 自分で言って、なさそうだとは思うが。 用意周到な燐なら、必要なものくらい持ってきていそうである。 21:54 hikami >【燐】「―――……必要なものはそうね……特に、かしら。普通で良いわ、飲み物とか、そのあたり。 妹に疑われない程度、適当でいいわよ。それに…」 いてもいいのか、の言葉に…やはり憮然と腕を組み、半眼で見上げた 「―――私、誰の客よ、尚也。“なんでそこにいるのか”の理由が席を外して、会話なんて出来ると思う?」 21:59 rouge >【尚也】「…そりゃそうか。 幾らあいつでも、急にゴスロリ少女が現われたら驚くに決まってるよな。」 何の予備知識もなしに理夢と燐が出会う光景を想像して、その予測のできなさに薄ら寒くなった。  「じゃ、適当に。 りんごジュースでいいか? …っと、空けるぞ。」  そう言い、リビングへの扉を開いた。 けして裕福ではないが、貧乏とも言い切れない中流家庭のリビング。  そのソファに、眼鏡を掛けたショートヘアの少女が、 クッションを抱いてパタパタと足をいらだたしげに動かしながら座っているのが、見て取れる。 22:02 hikami >【燐】「―――そう言うコト。そもそも、私の事をなんて紹介するツモリなのかが気になる所だけれど?“学部も違う、先輩”?」 なんて、扉の前に来た今となって漏らす揶揄めいた言葉の響き。それでも…あけるぞ、なんて言葉を聴けば若干身体を堅くする。 矢張り―――苦手は苦手、なのだ。見えた姿は流石に兄妹か、だが――― 「………尚也、ちょっと。歳、随分近いみたいだけれど…?」 どちらかといえば此方よりの年齢と踏んでいたが……見る限りでは年上、それも相応の、だろう。思わず小声で漏れた苦情 22:06 rouge >【尚也】「あれ、言ってなかったっけ…? 理夢、僕の一つ下だぞ。 ちなみに今は同じ学年。」 ふ、と、一瞬だけ遠い目をして、燐の苦情に言葉を返す。 当然知っているものだとばかり思っていたゆえ、予想外の苦情である。   【理夢】「で、兄さん。 わたし何時まで待ってりゃいいの? もうそろそろわたしの我慢も限界に近づいてきたんだけど…」 ……じとっとした目で兄を見やる。 そして、それから…ゆっくりと尚也の隣の燐に、目を向けた。 22:10 hikami >【燐】「初耳よ…―――」 口の中で言葉を紡ぐ程度の音量、“イノセントの年上”ともなれば対応に迷うところなのだ、先日もそう、である。 …その辺りは確認を怠った所為でもあるのだが。それでも―――まだ、同性なのが気楽な所か。 「―――初めまして。」 名乗りには…迷う。なんと紹介されるかも打ち合わせていないのだから下手な名乗りはヤブを突きかねない 22:16 rouge >【理夢】「わあっ、きゃあ! 何これ、この子かわいいっ…!」  思わず、立ち上がり目を輝かせ、叫んだ。 …そして我に返った。  「あ、っと。 三崎理夢です。 こんにちは、かな。こちらもはじめましてだね。」 にこやかに微笑んだ。 「…この子? 私に合わせたい子って?」  不機嫌そうな表情は消え、どこか楽しそうに尚也に問いかける。  【尚也】「え、ああ、まあ、そんなところ、かな。」  予想外の妹の反応に、少し驚きながら言葉を返した。 22:20 hikami >【燐】「―――っ!?」 名乗り……どころではない。最初の挨拶を一言零した直後に向けられた、叫び。 びくり、と、猫が身を竦めるにも似た風体で肩が縮こまり、首を窄めてしまった。―――慣れないどころではない反応、だった 「元気じゃない……」 これも予想外、小声で憮然と愚痴を零し、こほん、と、小さく咳払い 「―――宜しく、でいいのよね、この場合……イチゲリン、よ。夢見が悪いって聞いたけれど……」 ―――紹介を待つ、と言った待ちの姿勢は…衝撃の所為で崩れていた 22:25 rouge >【尚也】(…あー、そういえば、理夢ってゴシックロリータとか金色の髪とか好きだっけ…。)  そういやなんか色々漫画やら同人やら書いてたなあ、最近どうしてるんだろうなんて考えながら。  「いや何ていうか、特別な事態だとも思われる。」  愚痴に、苦笑いを浮かべながら答えた。ここまでの超反応が起きるなんて、此方も予想外だったのだから。  【理夢】「うん、よろしく。 イチゲリン……、どう書くの? リンちゃん、で、いいのかな?あ、座って座って。」 ソファを進めながら、急いで身住まいを整える。 22:30 hikami >【燐】「―――………何が、どう特別よ」 寧ろ異常事態、ではあるまいか。眠れず、弱っている…どうみてもそうは見えない。 それでも勧められるがままにソファへと向うのは……ひとまず会話を続けなければならないという義務感 「ええと……数字のイチに、中華のカ、燐粉のリン、で“イチゲ リン”」 なんとも色香の薄い漢字の伝え方、である。 ソファへと座る際も位置に惑い……結局はと、相手に近い位置へとスカートの裾整えながら座り込んだ 22:38 rouge >【理夢】「っとなると、一、華、燐、か。 いい名前だね、可愛い。」 満足げに中空に指先で字を描いて。  「…ああ、うん、そだね。 最近はちょっと…かな。でもどうしてそんなことを知ってるの?兄さんが、何かいったの?」 正面の燐に、首をかしげて言葉をかける。   【尚也】「え、あ、まあ、うーん。」  よく考えてみれば、どう説明するかをまるで考えていなかった。  ウィザードであることを隠しつつ最も燐の立場を効率よく説明するにはどんな言葉がいいのだろうか。 …頭がショートしそうだった。 22:42 hikami >【燐】「別に、普通よ。良くある名前だわ」 言うもまんざらでは無いのか、機嫌は回復傾向である。猫被るつもりがない、の言葉の通りに口調もほぼ、いつも通り。 最も……理夢の方を見れずにいるのだが 「―――夢占いみたいな事、しているから。“妹思いのお兄さん”に相談されたのよ、占えないか、って。 素人に何をやらせるつもりなのか謎だったけれど結局押し切られた形―――」 これでいいか、とばかり。…矢張りアテになりそうにもなかった尚也へと視線を飛ばした 22:48 rouge >【尚也】「そ、そうそう。 僕も何度か占ってもらっててさ、た、頼りになるんだあ!」 ぼー、っと、燐の言葉に耳を傾けて…。 暫し、静止。 何を返すべきか思い当たり、かくかくと頷いてその発言を肯定する。  【理夢】「そっか、占いか…。 あんまり信じてないんだけどな…。」  んー、と、顎に指を当てて考える。  「けど、燐ちゃんが見てくれる、っていうなら、お願いしようかな。 確かに、やな夢沢山見るのは…事実だしね。」  燐のほうに、元気なのだが何処か憔悴した笑顔を見せて、答えた。  「しっかし、兄さん、何処でこんな可愛い子と知り合ったの? 同じ学園? 中等部くらいだよね? 何があったわけ?」  出るのも当然の疑問。 兄は、まだどう答えようか思考をショートさせていた。 22:51 hikami >【燐】「―――大根」 ぼそりと、呟く響きはやはり低く抑えられては居たが……こうなってくると何とかしなければならない局面、なのだろう。厄介…でしかない 「―――」 知り合った経緯は…矢張り気にされるものか。そもそも“学校での接点”など存在しないのだ。どうしたものか、なんて思えども結局は――― 「―――……偶然、よ。中等部だし、今年からの入学だから迷ったの」 23:00 rouge >【尚也】(……いやそうは言うけどさぁ…)  自分の演技の酷さには自分でも気付いていた所だ。 シェルファが意識の中で大爆笑していた。  ちくしょう、なんかちょっと悲しくなってきた。  「ああ、そうなんだ。 燐、図書館の行き方がわからないって言っててさ、そう、図書館。 それを案内したのがきっかけ、そう。」  燐は資料室によくいる。 よし、不自然なふりじゃないぞ、良くやった、僕。 自分で自分を褒めてやろう。  【理夢】「図書室に行きそうにもない兄さんが良く案内できたね。 でもまあ、そういうことなんだ。  燐ちゃん、この男に何かへんな事されなかった? 意外と意地悪いのよこの人。」 23:03 hikami >【燐】「―――別に、尚也はへたれだからそんな度胸そもそも無いわよ。じゃ無かったら家にまで来ないわ」 半ば事実ではありそうだが……ちろりと尚也の側を見やっての言葉。理夢へとそこで漸く、視線を向けた 「まあ、出会いなんて如何でも良いわ。―――本題、夢見が悪いのは元来ストレスが原因になりがちだわ。 それを解消してやるのが一番で、それを見出す目安が夢占い。―――と言うわけで、どんな夢を見るのか、教えて貰える?」 23:09 rouge >【理夢】「あっははははは! よくわかってるぅ…っふふふ、でも、いい感じじゃない、燐ちゃん、ますます可愛いなぁ。」  本人の前で堂々といってのける辺り、少しその性格が垣間見られた感じがして。  そういう、遠慮のない人間は割と好みだった。思わず、噴出してしまった。  「…へたれ…」  尚也は何処か虚しげに部屋のカーテンに目を向けて、模様に目を走らせていた。 ちょっと現実逃避したいらしい。  「…あ、うん。 わたしの夢について、かあ。 ……見る夢は、何時も同じなんだよ。  ……知らない女に、切り刻まれて…少しずつ、死んでいく夢。 …なんか、やな感じでしょ?」 23:14 hikami >【燐】「嗚呼……―――それなら問題ないわ」 軽く話しは聞いており……告げられた夢の内容もその予備知識の範囲内である。小さく深呼吸し、暫しの…演技を開始 「―――悪夢に分類されるものだけれど“死”は必ずしも悪いイメージではないわ。悪夢、いこーる、凶兆、ではないのだもの」 そこで顔をあげ、じ、と…相手の瞳を―――その奥を覗き込む。意図は単純、簡単な“暗示”を施す為の準備 「例えば“死”そのものは転じて生れ変りを……新しい自分へと変る転機、とも成るわ。 貴方の中のわだかまりの発散が散らされて、運気が好転する兆し、よ」 23:22 rouge >【理夢】「………そういう、物なんだ…。 ふうん、燐ちゃん、物知り…だね…? 流石、夢占いが得意ってだけはあるかな…」 燐の講釈を、頷きながら聞く。  「ん、と、つまり……そんなに、思い悩むな…ってこと…?」 燐の瞳を見て会話を続けるうちに、瞳が僅かに空ろになって、彼女の会話に、言葉に引き込まれていく。 23:23 hikami >【燐】「別に、趣味なだけ。本を読んで、覚えているだけ―――それに“死の夢”はそれなりに一般的なものだもの。 “切り刻まれる”と言うのも…そうね、体か心か、どちらにせよ成長の兆し…という暗示でもあるし、 古いナニカを切り落とされて楽になる、解放のユメという解釈もあるぐらい。だから―――」 頃合か。蒼の瞳がうっすらと燐光を纏い、周囲の“ユメ”に己の力を通し――― 「―――“そんなありえないこと、直ぐに忘れるわ”だって“いいユメなんだもの、気にする必要すらないわ。 見たらラッキー、ぐらいに思ってゆっくり寝ちゃいなさい”」 前半の“指示”で記憶に蓋をし…後半はおまけ。良く眠れるよう、深層意識に―――死のユメを“怖くないもの”と思い込ませて行く。 催眠とは違い、世界を曲げる魔術。ほんの一瞬、瞬きの後には常と動揺、吊り眼気味の瞳のみが残る 23:33 rouge >【理夢】「…………あ…。そっ、か。 成長の、兆しで…。 いい、事…。」  かくん、と、頭が垂れる。    【尚也】「…!」  大丈夫なのか、と、駆け寄りたいのを我慢する。 何より、燐を信頼したのは自分だ。  …彼女ならやってくれる、と、自分も思っている。 大丈夫だ、と、理夢の観察を続ける。  【理夢】「……ぁ…?」  術が終わった後、ぼんやりとした瞳で顔を上げる。  「…ぁれ? …私今、寝かけてた?…おかしいな…」  一瞬感じた違和感に、首を傾げるも。 兄も燐も、普通の表情。 23:36 hikami >【燐】「―――……安心したら眠くなったんでしょ」 そんな相手の様子に…万が一の失敗も無いだろうと踏んではいたが―――少し、安堵の表情を浮かべた 「大丈夫よ、元々寝付けない貴女を見てくれって尚也に頼まれての訪問だもの、安心したならそれが一番だわ。 眠れそうなら、眠ってくればいいんじゃないかしら?」 ―――そうすれば解放されるだろうし、内心…そんな打算が含まれていた 23:41 rouge >【理夢】「んー…それもそうなんだけど。 …うん、なんか、一瞬でも意識飛んだら、元気出てきちゃった。」  身体を伸ばして、心地よさげに吐息を吐き出し。  「たまには兄さんもいいことするよね、っていうか、燐ちゃんが凄いのかな。  要は気の持ち方だね。なんでもない、なんて思ったら急に気が楽になってきたよ。」  燐の言葉に笑顔を浮かべて応える。 尚也は、安堵の声をあげた。  「だから、そこまで眠くないかな。」  にこり、といい表情。 興味を、燐に向け始めた。 23:43 hikami >【燐】「―――無理する事はないわ。寝不足だった中で安心できたなら、ゆっくりする方が先決よ。元々私は夢占いで来た訳だし………」 向けられ行く視線、出会いがしらの絶叫もあってなのだろう……嫌な予感しか、しない。 こうなってくれば後寄る辺は尚也なのだが……アテになるか、といわれれば――― 「……まあ、長居しても難だし、もう少ししたら帰るつもりだけれど、もう…大丈夫、よね?」 23:48 rouge >【理夢】「あ、兄さん。 前に貰ったクッキー、残ってたじゃない? あれ出してよ。  美味しいんだから、燐ちゃんも気に入るって、ね? もう直ぐおやつの時間だし、燐ちゃんも食べていこうよ、ね、ほらうん、決定。」  そういいながら、ニコニコとしたままてきぱきと指示を出す。 自分も立ち上がり、3時のおやつの準備を始めて。  【尚也】「………いやその、ひっさし振りに生き生きしてるから、つきあってやってくれないかなー…とか、思うわけだが…」  兄としての感情としてはいてもらいたい、燐に向ける感情としては、まあ、辛いだろうな、というのも分からないではないのだが。  だからこそ、こう、申し訳なさげに、引き止めてみたり。 23:50 hikami >【燐】「―――………………………………………判ったわよ」 脱力、こうなってしまっては逃げ出す方が不自然か。 迂闊にボルテージを上げてしまったのが何故なのかは判る筈も無く… 一瞬、女を連れ込んだ所為かとも思ったがそんな反応でもないの、だろう、多分。 そもそも連れ込むならいっそ春奈や我妻のが相応しいだろうし。そんな益体の無さに身を委ね…深く、嘆息を漏らした 23:57 rouge >【尚也】「…なんつーかさ、気に入ったんだと思うよ。 燐のこと。 まあその、仲良くしてやって欲しい、かなあ、とか。」  燐がイノセントを、普通の人間を苦手としているのは、分かっていたけれど。 そんな言葉を、述べてみた。  妹のことも考えてだけれど、何となく、もうちょっと色々、燐には楽しいことがあっていいんじゃないか、なんて思ったから。  【理夢】「ねえ燐ちゃん、ジュースは何がいい? オレンジ、アップル? それとも珈琲とか紅茶のほうがいい? 好きなの入れるよー!」 キッチンのほうから、楽しげな声が響く。 00:00 hikami >【燐】「―――……良いわよ、ちょっとぐらい付き合ってあげるわ」 此方は此方でイノセントが苦手、で苦労したばかりなのだ。 ある種…丁度いい、こういう騒がしい類の相手と付き合うのに慣れればそれなりにメリットもあるだろう。 ―――言い訳は用意できた、ならば……動くとするか。 「―――……手伝うわ。紅茶が嬉しいけれど、淹れ方ぐらいなら慣れてるわ。…だったら手伝った方が効率的、でしょう?」 なんとも可愛げの無い言い方ではあるが…白い、重そうなスカートの裾を揺らめかせつつ―――相手の入り込んだキッチンへと、向う こうして、小さな小さなお茶会が始まった。 理夢は色々と全開だった。  燐をモデルに絵を描きたがったり、もっと様々なゴシック衣装を見たがったり。 とにかく、いたくお気に入りのようであった。  「ねー、また燐ちゃんつれてきてよ。」   この日以降、尚也にぶつけられる様になった理夢の不平の声である。 果てさて、追う方はともかく、追われるほうはどんな物か。  【尚也】「…ま、いい方向に転ぶよなあ…多分。 それが理想だ。」  実際、何かあった場合に突き上げを食らうのは自分だということに、彼はまだ気付いていなかった。