21:17 rouge >【尚也】「……っと。」 21:17 rouge >廊下を歩いていると、一瞬だけふらついた。 視界が僅かにブレる。 21:17 rouge >言うまでもなく、立ちくらみである。 21:17 rouge >  21:17 rouge >疲れてるのかな…と、自分で呟きながら壁に手をつく。 …まあ、いろいろあったものなと自問自答する。 21:17 rouge >先のカメのような竜のようなエミュレイターとの戦いが直接的な原因ではあろう。 21:17 rouge >…少し、注ぎすぎた。 21:17 rouge >けれどレイセニアのことや、魔王の巣のウィザード、霧崎と交わした会話など。 21:17 rouge >精神的にも疲れる要因は沢山あるように思えた。 21:17 rouge >  21:17 rouge >学校の調査任務が終わり、これから家に帰って風呂に使って眠るだけ…ではあるのだが。 21:17 rouge >  21:17 rouge >「……家までもたんな。 …は…ぁ。 ……ちょっとこっちで寝てくか。」 21:17 rouge >自分の体調管理くらいは出来る…つもりだ。 21:17 rouge >妹に帰りが遅れるとのメールを打って、その足でロイヤルガードの医務室へと向かう。 21:17 rouge >  21:17 rouge >ベッドが見えた。 ……担当者に休む旨を伝える。 21:17 rouge >……直ぐに、意識は闇へと落ちていった…。 21:17 rouge >  21:25 hikami >―――迂闊以前、業腹物、とも言える結果であった。 21:25 hikami >七不思議捜索等とまだるっこしい、それでもいっそ必要性を否定できない調査任務に手間取った事も。 21:25 hikami >それが結局、収穫らしい収穫を得ず、敵の襲撃なんて直截な出来事で終了してしまった事も。 21:25 hikami >その戦闘中……焦りと苦手意識かららしからぬ行動になってしまった事も。 21:25 hikami >                              ―――その結果、一人に負担を強いた事も 21:25 hikami >魔王の巣を名乗るウィザードとの初遭遇に“逃した”時とは違ういっそ、己にとって明らかな失敗。 21:25 hikami >調査中の苛立ちも相まって憤懣を抱えたまま――― 21:25 hikami >…報告と資料整理を終えた足で医務室へと向う。 21:25 hikami >担当者とは入れ違い、目当ての人物が休んでいるという旨はその際に確認した。 21:25 hikami >そして目の前、時折立ち寄る無機質な部屋の扉を無造作に、それでも少女としては気遣った静かさで、開いた 21:25 hikami >【燐】「―――起きてる?それとも、まだ、寝てる?」 21:25 hikami >中へと、そう呼びかけながら。 21:25 hikami >  21:29 rouge >【尚也】「……う…ん…?」  声が掛けられれば、直ぐに目覚める。 …元々寝起きの悪いほうではあったが、今はそうでもない。  "猫のように眠れ"と、同行する戦士から常に言われていたのを思い出す。 直ぐに辺りを見回し声の主を確認する。  「…燐?」  意外といえば、意外な人間がそこには立っていた。 21:35 hikami >【燐】「―――なんだ、起きてたのね」 言う声の響きは常の張りと、いっそ高圧的なまでの自信には薄く疲労の色にも似た何かが滲むもの、である。 起きているのならば遠慮は要るまいと、無造作に扉を閉めると相手の傍ら、 恐らくは担当者が使ってそのままであったのであろう椅子を引き寄せ、腰を下ろした 「―――応急処置だけはしたけれど、まだ何処か負傷でも、残った?」 21:40 rouge >【尚也】「いや、起きてたっつうか、起きたっていうか。」  めがねめがね、と、傍らに置いたはずのそれを手探り。ぱしぱしと机を叩きながら。  「いや、怪我は残ってない。 ちゃんと治ってる。 ありがとな。」  手が眼鏡のフレームを探り当てる。 会ったあった、無いと落ち着かないのだ。 すぐさま装着。  「…珍しい。」  小さく呟いた。 21:44 hikami >【燐】「ああ…」 なら、起こしたのだろうか。言う言葉には珍しく詰まり…相手が眼鏡を探る間、此方は言葉を捜す。 結果的には怪我の容態を聞く、といった根本的な所に落ち着いたわけだが 「別に、“ソレ”は私の仕事よ、大事がないなら問題ないわ、 入院沙汰はいい加減短期的に重なればその事実だけで違和感を覚える人間が出ても可笑しくはないもの。―――全部が怪我、なんてものだし」 言う言葉も嘆息交じり、である。確かにらしくない。だが―――珍しい、とは何事か。そこで漸く目つきが常の鋭さに似たものへと戻る 「―――珍しいって、何がよ。“負傷者の陣中見舞い”ぐらい、だれだってするでしょう」 21:49 rouge >【尚也】「ん、いや、まあ燐が見舞いにきてくれるのも珍しいっちゃそうなんだけど。」  普段の彼女と行動を思い返しながら、ふと口をついて出た珍しい、という言葉の補足に入る。  「いや、なんていうかその。 燐はその、完璧主義みたいなのないか、と思ってさ。  直したら、もう既に治療を終えたことに自信を持ってるかと思ったからさ。 あー、イメージだぞ、あくまで。  こうやってきてくれるの自体は嬉しい事なんだからさ。」 21:53 hikami >【燐】「―――…………持ってるわよ、私は自分がウィザードである事にも、癒し手であるという事にも、自覚と自負を持っているわ。 “ウィザードである”と言う事が私の存在価値なわけだし」 常ならば怒りか反発を向けるであろう場面、だが返したのは嘆息と…いっそ独白にも似た響きであり 「―――それには“傷を負わせない”と言う事も含まれるわ。全力を尽くした上で力が及ばなかっただけなら癒しただけで済むわよ。 でも今回の場合は―――………私は、尚也に防御魔術、飛ばし損ねたわ。他の繰りを維持していたとはいえ、ね」 21:59 rouge >【尚也】「ウィザードである、が、存在価値か…。」  口の中で、言葉を転がしてみる。  …普通の家庭で育ち、そこまでの苦労も一年前までは全くなかった自分には、なんだか悲しく聞こえるような響きではあった。  だが、先ずは目の前の、彼女の気負いについて言葉を返す。  「別に、そんな気にするような事でもないだろ。 僕は生きてる、怪我も治してもらった。 それ以上は、必要か?」 22:02 hikami >【燐】「必要よ」 問いには、漸くの断定。それが己に向いての事だからだろう。 ぎしり、と、安っぽい椅子を軋ませ―――その音に若干の不快を浮かべつつ―――口元に手を添え、若干うつむいた視線 「生きていて、怪我が治せた、は結果論だわ。今の尚也が“無事であった”事実に私の助力はない、貴方の地力が“生き残らせた”だけ。 …失策でしか、ないわ。そもそも遅れた理由が手が足りなかった、なんてものですらないもの。」 22:10 rouge >【尚也】「んー……。 でも、常に確実なことなんて無いだろ。 ミスって当たり前、常に最適解をはじき出し続けるなんて、それこそ神様だろうし。僕なんて、最適なんて言葉とは程遠いしな。」 やれやれ、と首を振る。 喉が渇く…が、近くに水は無い。 サービスの悪い医務室だ、なんて詮無き事を考えながら、言葉を続ける。  「燐、前にわたしは死なない、って言ったじゃないか。  あれだって、何か確実な根拠があって言ってるのか? 気概みたいなもんだろ? …だから、なんていうのかな。  こういうのは、結果だけ見てればいいんじゃないか? そりゃ、反省は必要だよ。底から学ぶ所だって多いし。」 22:15 hikami >【燐】「だから、それと“これ”は、違うのよ―――私は死なない、それは事実だわ。 根拠は私の矜持、そもそも、容易く斃される程脆い造りはしてないもの、約束した以上、果たす義務があるわ。 だから“私は死なない”…これは気概、ではないわ。―――“約束”だもの、尚也との」 喉の渇きに…気づく余裕すらないのだろう。紡ぐ言葉は漸く常の調子、それでも切って捨てる否定ではない辺りがまだ少し気負った残滓か 「―――“苦手意識”を任務と戦場に持込んだ。その結果尚也に負傷させて、苦労を強いた、と言う事が事実。 結果だけを見て妥協できる内容じゃ、ないわ」 22:25 rouge >【尚也】「なんか、複雑で難しいな…」  ううん、と、頭を抑え。  「…約束、はありがたいけどさ。 なんかその、上手く言えないけど…。 燐、なんか…焦ってないか? 焦ってる、とも違うのかな。  なんか、らしくないっていうか。 いや、それも酷い物言いかな。」  一人で首をかしげながら。何を言ったものか、言葉を吟味する。  「僕だって、簡単にやられやしないよ。 …失格もいいとこだけど勇者だってやったさ。  仲間一人のミスで、殺されてやるもんかよ。 誰にだってあることだろ、上手くいかないことなんて。」 22:30 hikami >【燐】「焦ってなんか―――…………無いわ」 断定、ではない。語尾が僅かに掠れ、視線も逸れた。…それはいっそ認めているに等しい行動でもあろうか。 握られた小さな拳がやり場の無い憤りにきつく、力がこめられていた 「……そのミスが赦せないのよ、私が犯したイージーミス。だから容態を身に来て安心していた所。 …約束した癖にその相手が重傷だった、なんてのじゃ意味なんて無いわ。 ―――上手く行かない事だってある、なんてのはやった上の言い訳だもの。今回は“やらなかった”訳だから当てはまらない、 ただのミス、失策だわ。……―――だから認める、尚也が“仮にも”勇者だった、って事。 正直見縊っていたもの、逃げただけ、日和っただけだ、って」 22:36 rouge >【尚也】「…う、ん?」  最後の言葉の意味を考え。 沸いてくる感情はなんだろうか、苦笑いのような甘酸っぱいような。  「まあ…よく言われるって言うか散々言われてきたことだから、いいか。」  強そうに見えない、とか、強さの上で信頼が置けなさそう、なんて評価は、何時ものことだ。  「いや、焦ってるよ。 ほら、僕が燐に言い返してるってのが、何よりの証拠な気がする。」  何時も、彼女が鋭い言葉を吐いて自分が苦い笑みを浮かべつつ言葉を返す、そんな感じだったはずである。 今思えば、こんなのは珍しい。 22:41 hikami >【燐】「っ―――焦ってないわ。………私が焦る必要なんてどこにもないもの。」 証拠…確かに言いえて妙、常にはありえぬ会話の流れでもあり…それをひっくり返せぬ辺りが動揺と負い目、か。 言い返す言葉も貫く視線が伴わず、威勢も欠いたもの、である 「―――…ただ自分の失策が我ながら馬鹿らしい、と言うだけよ。いっそ負い目と言うか…引け目、かしら。 尚也が私に“言い返してる”のもそんなのがあるからついつい下手に出てしまっただけ、だわ。」 22:46 rouge >【尚也】「律儀だな…ホント。 僕は気にしてない所か、治してもらって感謝してるってのに。」 身体をずらし、ベッドから起き上がろうと靴を探す。 「完璧でないと、燐が燐でなくなるわけでもないだろ。 燐が失敗したなんて思ってても、僕のほうからは燐には感謝の言葉しか浮かばないんだからさ。」  靴を見つけ、履く。 立ち上がりながら、らしくない、と思える彼女に告げる。 22:50 hikami >【燐】「―――私はウィザードよ。失敗が惨事に繋がりかねない身分だわ。 …だったら失敗は赦されないし、完璧である必要があるのならばそうすべき。 ―――ウィザードである事が意義だもの、その意義が完璧と結びつくなら…それは私にとって必然だわ」 言いつつも…身動ぎの気配。上げた視線の先、立ち上がる様子認めれば……いっそ座っている方が間抜けか。 立ち上がる空間を空ける意味も含め此方も立ち上がり、スペースを作る 22:56 rouge >【尚也】「完璧…かぁ……。 ん……んー!!」  身体を伸ばし、軽く腕を回す。 少しの仮眠でも、驚くほどに疲労は抜けていた。 身体の調子は戻ったみたいだ。  「…完璧って、人にできるのかなあ。 …出来ないことなんてない、それが意義だ、っていうかもしれないけどさ。」 財布を取り出し、中身など確認しながら。  「…シェル姉だって、4000年を生きた魔人で、出来ないことは無いなんて豪語してる。  けど、完璧でないから、ポカやって剣になっちまったわけで。」  ああん? と、シェルファのどすの聞いた声が聞こえてくるが無視した。 23:02 hikami >【燐】「―――………だったら、どうしろって言うのよ」 立ち上がったまま、相手から向けられる言葉を、聞く。珍しく…低く、抑えたトーン。呟きにも、独白にも似た、微かな反論 「―――だったら、如何しろって言うのよ。私は“それだけ”しかないわ。私はウィザードであって、それ以外の何者でもない。 夢の中でまどろむイノセントに“嘘を吐き続ける存在”、その嘘は完璧でなければならない。 その綻びが―――貴方の妹みたいな“事故”にも繋がるわ。一歩間違えばそれは“悲劇”になるわ。 …ウィザードである以上、それが私である以上―――……尚也が気にしないでも、気になるんだから仕方ないじゃない」 23:12 rouge >【尚也】「…答えを返せるほど、僕は口が上手くないな。どうすればいいか、なんてさ。」  抑えたトーン、彼女からは、初めて聞くような声音。 …残高確認。 これなら問題はあるまい。  「薄氷の上を歩いてるってのは、理解してるよ。幾ら僕でもさ。そりゃ、完璧がいいのも分かる、そうするのがウィザードだってのも。 …でもさ、僕は戦ってきたけど、やっぱり光の勇者でもウィザードでも無くてさ、三崎尚也なんだよ。 …なんか、上手くいえないけど。 燐は、違うのか?」  言葉が、支離滅裂になっているのは分かるが、元々、言葉を纏めるのは上手いほうではない。 感じたままを、口にしていく。 23:17 hikami >【燐】「―――違うわ」 今度は、間が空かなかった。それは常の矜持、己の意識であるからこそ 「…“一華燐”と言うものすら私には記号だもの。 私の存在価値は“ウィザードである事”…―――今更、この生き方を変えるつもりはないわ。ただ……」 そこで、一拍。逡巡するような、間。認めたくは無いが――― 「―――でも“イノセントとの接触を断つ”っていう根本にして手っ取り早い手段は学園なんて所で任務を行うには不向きね。 今回の失策の一つも…それだもの」 23:24 rouge >【尚也】「名前だろ…? ……一華燐って、自分の。そこまでする程なのか?」 自分には、理解できない感触。 彼女は、ウィザードが自身だと言う。 自分は、三崎尚也が、ウィザードをやっていると思っている。  23:26 hikami >【燐】「…………尚也、名前なんてものは記号よ。それが……」 流石にこの続きは、言い淀む。どうしたものか、と…―――沈黙。不自然に途切れた言葉、矢張り…らしくない。 クチが滑りかけた、とでも言うべき―――失態。 23:32 rouge >【尚也】「………ごめん、踏み込みすぎたか。」 自分より、歳若い彼女がこのような考えを持つに至る。 何らかの事情がなければ、そんなことにはならないはずで。  訪れた沈黙に、一つ言葉を返す。  「…ただ、何ていうかさ。 それじゃ、楽しくないだろって、僕は思う。あくまで僕はさ。 」  再び、ベッドのふちに腰を下ろす。 何となく、顔は合わせづらく、天井を見上げながら。 23:36 hikami >【燐】「―――別に、口が滑っただけ。大したコトないし、それこそ―――踏み込みすぎはお互い様よ。 前は…悪かったわね、今の段階で言うべき事でもなかったわ」 …妙な沈黙を経て……嘆息。軽く深呼吸を兼ねた吐息を零し、煩わしく絡みつく髪を背後へと跳ね除けた 「―――判らないわ。私は“ウィザード”でしかないもの。 生憎、私と尚也は…違うわ。この世界に居場所を感じる貴方とは―――違って当然。私は楽しいかどうかなんてどうでもいいもの」 23:44 rouge >【尚也】「いや…。別にさ、良かったんだよ。 聞いてくれたって。 ……正直今だってぐるぐるしてる。  吐き出したい気分が無いわけじゃないのさ。女々しいんだよ、僕は。」  そのまま背を倒して、仰向けになる。 病室の天井は、白い。シミ一つ無い。  「僕がこの世界に居場所を感じてる…か。…うん、そうだな…今は、そうだ。」 確認するように、自分にさえ、確認するように呟いて。  「どうでもいい…か。 でも、それは…」  燐から聞こえた言葉を、小さく繰り返す。 23:47 hikami >【燐】「―――聞く資格があるとは思わないわ。 少なくとも、私がさっき言い淀んだ事を尚也が聞こう、って思うぐらいでもなければ、ね。 …フェアじゃないでしょ、興味で片方だけが探られる、なんての」 言葉にして…尚、欺瞞と思える台詞。だからこそ皮肉げに唇を歪めた。 ―――…自分の側はそれを相手に伝えられるか、なんて…そもそも判らないのだ。 ―――親も、名前も、素性も―――嘘だ、という事実 「―――如何でも良いわ。私はウィザードであって、世界の守護者の下僕だわ。…その程度の存在に“この世界の娯楽”は必要ない。 そもそも―――私は出たいのよ。“外”があるなら、そこに」 23:55 rouge >【尚也】「……でもさ。何かに興味を持つってのは、楽しくありたいってことじゃないのか?  確かに、僕は異世界にいってきたよ。いろんなことがあった。違うものも見た。 でも、結局何処だって本当は変わらないんだ。人がいて、いろんな繋がりがある。 …唯それだけさ。どんな背景があろうと、人にゃ変わりない。 人に興味を持つってのは、どうでもいいなんて思ってない、そういう事なんじゃないかな。」 何故か、青色の少女の、エルシアの顔が鮮明に思い出された。 自分でも信じられないくらいに落ち着いて、言葉を返す。 23:59 hikami >【燐】「興味を持ったのは尚也に対して、だわ。それも…尚也を通しての“外の世界”だわ。 ……―――興味の対象である尚也もウィザード、日常的な趣味趣向に興味を持ったわけじゃ―――……」 言い…詰まる。そう、ではない。実際…なんらウィザードに寄らぬ、私事の色事へ揶揄を飛ばした事もあるではないか。 ―――おかしい、調子が狂う。 「―――………判らないわよ、私は……“ウィザードである事”にのみ価値を求められた。今更よ、それこそ。 ここまで来てぬるま湯に浸かる気分になんてなれないわ。」 00:05 rouge >【尚也】「……そ、はっきりと燐は、興味だって言った。」 けして届かない天井に、手を伸ばしながら。 ただ、感じた事実だけを述べる。  「ぬるま湯に浸かれ、なんては言ってないよ。  それに、燐の深いところを知ってる僕が言えた台詞でもないかもしれないけどさ、 僕は燐がウィザードでなくても、一華燐といるの、楽しいぞ。 色々いじめられたりもするけど、さ。」 00:12 hikami >【燐】「―――…………変わり者よ、尚也は、やっぱり」 返すのは…嘆息。調子が狂うのも…そろそろ慣れてきた、 そんな風に思う事こそが妥協であり…―――己の誇示する、ウィザードから外れた行為であるなんて事の自覚の無いままに 「でも、生憎ね。私はうそつきよ。尚也の見ている私は―――私じゃないかもしれないわ。 偽りの存在が……楽しい、なんての、馬鹿らしいと思うけれど。それでも、そうね……」 深呼吸と、ゆっくりと話す空気、それが生んだ……妥協 「―――悪くないかもしれないわ、暇潰し、なら」 00:18 rouge >【尚也】「『嘘つきじゃない女の子なんていない。』…エルシアがさ、僕に言ったんだ。 だから、そんなのは100も承知さ。  でも、それでもいいんだよ。 さっきより、燐の表情、マトモになったように見えるからさ。」  言い終わると共に、再び上体を起こす。  00:20 hikami >【燐】「―――嘘吐き相手でもいいなんて、やっぱり趣味が悪いわね、尚也は」 向けられた言葉に返すのは漸く、何時もの調子。まともに、なんて言葉には憮然とした様子を見せて 「……失敗した時ぐらい、しおらしくしたってバチ当たらないわよ。その言い方だと私が酷い顔していたみたいじゃない」 00:24 rouge >【尚也】「…今から考えてみれば、かわいげがあったかもしれない。」  冗談めかして、調子のいい発言をする。  「てゆか、趣味が悪いって、今までそんな風に思われていたのか…」  かく、と、肩を落とす。 00:26 hikami >【燐】「事実じゃない、そうじゃなかったらロリコンよ、私みたいなのと居て楽しいだなんて。」 可愛げ、なんて言葉にも憮然とした表情を見せる。常の如く腕を組み、皮肉げな笑みを浮かべて見せた 「―――ま、その様子じゃ本当に大丈夫そうね。……少しは気楽になったわ」 00:30 rouge >【尚也】「ん…少なくとも、あの任務での後遺症なんてこれっぽっちもないってことさ。  だから、ありがとう、だ。礼を言うのは、燐にだけじゃなくて、美鐘や、綾にもだけどさ。」  身体を伸ばして、再び立ち上がる。  「考えなきゃならんことは、まだまだ山ほど残ってるのが因果なお話だけどね。 それも、命あって、さ。」 00:34 hikami >【燐】「だから礼はいらないわよ、尚也が生き残ってくれた事に私が言うコトはあっても、ね。義務の範囲だもの、その程度」 ふい、と、そっぽを向く形に視線を反らす。先刻までの会話もあってなのだろう…少し、気まずい。 「―――………嗚呼……不満を言うタイミング、逃したわねそう言えば……―――ま、考え事こそ尚也向けの用事じゃないわ。 状況のややこしさはそろそろ私でもキツいぐらいだもの」 00:39 rouge >【尚也】「酷いな。 そこまで清々しく頭脳労働に向かないといわれると。」 この位が、丁度いい、だなんて思いながら。  「まあでも、適材適所って言葉もあるし、今後ともよろしく、ってーことで。 …ん、不満?」  よせばいいのに、聞く辺り、性なのか。 00:41 hikami >【燐】「―――その通り、適材適所ね。生憎肉体労働はこの体じゃ向かない所だし、そもそも―――」 …不満、と、直結する内容。問われたのをいいことに――― 「―――………私に、イノセント相手の聞き込みなんてやらせるんじゃないわよ。 それも、一人で。その間に一人であの“魔王の巣”のウィザードと逢ってたって言うんだから余計に頭にくるわ。 ―――なんで呼ばないのよ、そんな状況で。」 00:47 rouge >【尚也】「……結果おーらい、ちゃんと聞けてたじゃないか。」  苦手を、不満として訴えかけてくる姿は、なんだかこれまでと違って、少し少女らしいものに見えたような気がした。  だが、今する話は、真面目なそれだ。感じたにやけを、頭から追い出す。  「あんまりにも突然だったってのが、先ず一つ。  一度交戦した相手だった、僕一人じゃ相性の悪い相手ってことで下手に動けなかったってのが一つ。  最後は……僕を勧誘してきたのが、一つ。 勿論、考えるまでもなく断りはしたけどさ。」 00:49 hikami >【燐】「―――そうとは限らないわよ、さっさと切り上げて来たし。」 此方も…そんな不平をあっさり口にできたコトに若干の驚きがないでもない。 それでも…先刻までの憂いよりはまし、そんな思考に至る辺り―――慣れ、か。 「―――………勧誘?そう言えばさっきもそんなコト言ってたわよね。 牙を剥いたってのに今度はナンパ?随分趣味の悪いのに目ぇつけられたわね」 00:53 rouge >【尚也】「後でちゃんと光さんにも言うつもりだったんだけどさ。 …あいつらが言うに、僕は魔王の巣の仲間になる資格があるらしいよ。 …僕が、この我妻市で生まれたウィザードだから、ってさ。 あなたたちもそうなのか、って問いには、大体はそうだ、って返された。  …確かに、この土地にうまれるのは、少ないとか無いって聞くよ。 …でも、どういうことなんだろうな。」 霧崎との会話を思い出しながら。 自分でも、納得のいく説明が一通りも思い浮かばない其れに、首をかしげる。  01:01 hikami >【燐】「資格?―――この地でウィザードが産まれ辛い理由は確か………」 報告書の端、微かに見覚えがある。それがなんであったかはうろ覚えであり、暫し…記憶を探る様に言葉を途切れさせた 「―――確か…この街の過去に何かがあった、はずなのよね。 それが何だったかまでは覚えてないけれど…―――報告書をもう一度洗い出す必要、ありそうね。 それにしても…“この街の産まれ”にこだわるってのも変よね。 地元意識なんての、私には理解できないけれどそんな妙な連帯感ってだけでもないでしょうし。 ―――にしても、だったら尚更よ。良い?今度そういうコトがあったらちゃんと、連絡すること。 早めに、ね、ポケットに隠した携帯で1コールでも良いわ、作戦行動中ならそれだけでも“何か”を構えるコトぐらいできるもの」 01:06 rouge >【尚也】「その辺りは、資料を当たるしかなさそうだね…頭脳労働向きじゃない、っていってる場合じゃないのかもしれん。」 そこで、一旦言葉を切って。  「僕だって、連絡したくなかったわけじゃない。唯、上手い連絡手段が思いつかなかっただけさ。」  少し憮然として、言われるがままに。 「でも、ワンコールはいいな。 覚えとく、今度使わせてもらうよ、その手段は。」  頷き、携帯電話を取り出して隠し場所の検討などはじめた。…………しているうちに、何故か笑いがこみ上げてきた。 01:08 hikami >【燐】「―――別に、適材適所って言ったじゃない。私が調べて判ったコトならちゃんと教えるわよ」 途切れた言葉、その合間に此方も返し、次ぐ内容には矢張り…すこし、不機嫌か 「ええ、そうして。きちんと伝わる伝わらないに限らず何かの構えが取れるのは状況を考えると良い事だもの―――……何、笑ってるのよ」 01:11 rouge >【尚也】「いや、なんつーか…」  漸く、何時もっぽい。 と、思ったら、笑えて来た。 そんな次第である。いうとまた、怒られそうだけれど。  「なんでもない、なんでもない。 さて、と。  体力も回復したし、腹に何かいれてから帰ろうと思うんだけど、燐もどう? こっからだとまた何時ものファミレスになるだろーが。」 01:16 hikami >【燐】「―――…何よ」 何となく…不本意な気がして拗ねた響きとなる。 「―――………食欲があるなら本当、大丈夫そうね。 良いわ、一緒に行きましょ、もう少しであのファミレスのデザート、制覇できそうだから丁度良いわ」 01:21 rouge >【尚也】(…制覇、か。 なんだ。 何だかんだ言って、ちゃんとこだわり、持ってるじゃないか。)  不思議な少女。 ウィザードの少女、何があって、今に至るのかは、気になる所かもしれない。 それでも、放って置けないような気はした。最も、それは向こうも同じなのかもしれないけれど。  そこに踏み込んでいいのかどうか、いまだ迷う距離感ではあるけれど。  「よし、そんじゃ、行きましょか。 今の時間なら、そんな混んでもないだろうしな。」  立ち上がり、病室を後にする。 身体は先ほどよりも、軽かった。 01:24 hikami >【燐】「―――そうね、随分ゆっくりだもの。いっそ深夜料金に被るかどうか悩み所かもしれないわね」 このままのんびりと食事、なんてコトになれば危うい程度だろう。 常のまま、くるりと背を向けると先んじ、歩を進める。扉を無造作に開き、潜り抜ける。 向う先は―――そろそろ常連になってきたファミレス。道中、微妙に口数が少ないのは―――矢張り距離感に迷う所為か。 その辺りの機微には…疎いのだから 01:28 rouge >【シェルファ】(なんつーか、こういうのがあるから、楽しいのよね。人間ってさ。)  そんなやり取りを眺めていたシェルファが何を思ったか、笑みを浮かべた。