21:25 rouge__ >【理夢】「……んー………」 21:25 rouge__ >とある休日の朝だった。  足元がおぼつかない様子で、妹が階段を下りてくるのが見える。 21:25 rouge__ >「んきゃうっ!?」 短い悲鳴と共に、何かが転がり落ちるような音。 21:25 rouge__ >……見れば、階段から転げ落ちているのは理夢だった。 21:25 rouge__ >慌てて助け起こし、何をやっているのだと叱り付ける。 21:25 rouge__ >  21:25 rouge__ >【理夢】「……寝不足かなぁ……なんか、夢見よくないんだよね…」 21:25 rouge__ >怪我こそ無かったようだが、弱々しい笑顔で答える。 21:25 rouge__ >【理夢】「……同じ夢ばっかり見るんだ。 なんか、ここ数日。 ……なんか、痴女みたいのに痛めつけられる夢しか見ないんだよね…。」 21:25 rouge__ >  21:25 rouge__ >…そりゃ欲求不満だ、きっと。 何てごまかしておいた。 蹴っ飛ばされた。 …表面上はとても元気なのは、間違いない。 21:26 rouge__ >だが、理由は直ぐにわかった。 21:26 rouge__ >……彼女は数日前、エミュレイターに襲われている。 何も覚えてはいない、検診ではそんな結果だった。 21:26 rouge__ >しかし、どこかに残っているのだ。 意識のどこかに、襲われた恐怖が。 21:26 rouge__ >  21:26 rouge__ >救急箱を渡してやりながら、今できることを考えてみた。 21:26 rouge__ >  21:26 rouge__ >【尚也】「ああ……燐、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…ロイヤルガード、出てこれないかな? 休日に悪い。」 21:26 rouge__ >そんな電話をかけてみた。 21:26 rouge__ >  21:31 hikami >―――掛かってきた電話はいっそ唐突なもの、であった。 21:31 hikami >が、現在の状況が状況であり…騒動の渦中、レイセニア絡みの案件ならば先日も連絡が来た事も、ある。 21:31 hikami >元々休日とは言えどほぼ資料室と休憩室に入り浸る生活でもあり、電話を受けたのもまた、RGの資料室での事、であったのだ。 21:31 hikami >今度もそんな用事だろう、なんて早合点からあっさりと了承し、休憩室を合流地点に設定し…今に、至る 21:31 hikami >【燐「―――で、頼みたい事って何かしら。資料は漁ってるけど、これといって新しい情報、無いわよ?」 此処に至るも、思い当たる用件は“仕事”の事であり…そうだろう、なんて先入観による確定もあっての言葉。 開口一番、切り替えしたのは己が今や習慣化している資料漁りについて、であった。 21:36 rouge__ >【尚也】「ああ、それはいいんだ。 別に、今必要なのは資料じゃないしさ。  九州のほうで目撃例こそあったものの、アレからまた影も形も見えなくなっちまったしさ、レイセニアのほうは。あ、ほい、土産。」 あがつまや、で購入してきたシュークリームの入った紙箱などを近くの机において。  「えー…とさ、その。 燐って、その、夢使いでいいんだよな? なんか、今更な質問で悪いんだけど、どういうことが出来るんだ?」 21:41 hikami >【燐】「ああ、やっぱりそうであってたのね。私の方も尚也から連絡貰って調べてみたけどさっぱり ―――まぁ、相変わらず変な所で犠牲者は増えているみたいだし、何とかしなきゃ、ではあるけれど―――……」 などと並べようとした所、見えた、箱。…見覚えはあり、だからこそ怪訝。 何故、と言う思いが先立ってか言葉は途切れ、暫し紙箱と尚也の様子を伺う事となっていた 「―――そうよ。より正確に言えば“夢使い”と言う風に区分可能なウィザード、だけれど。私の場合は羽とか色々、妙な所で異質だったりするもの。 最も、基本性能としてはそう代わりが無いわ、言ってしまえば結界弄り… どういう、と言われても端的に言えば“世界結界を歪めたり直したりして夢と現実を弄る” ―――…ていう、曖昧な質問、と言うわけじゃあないのよね?」 箱の意味は矢張り、悟れない。挙句、今更と言えば本当に今更であり―――思えば、 きちんと同じ戦場に立った事がない、という事実に至り―――結果、思い出した河童の一件により表情が曇ることとなる。 21:48 rouge__ >【尚也】「ま、ね。 不謹慎極まりない発言するんなら、被害者30人目の大台突破おめでとうって所だしさ。」  時間を置けば置くほど、増えていく犠牲者。  ……それを厭わない選択肢を選んだときから覚悟していたことではあるが、 徐々に増えていくカウントを聞かされるのは、正直心が痛む以上のものがある。  「ああ…甘いもの、嫌いじゃなかったろ? 食べてくれりゃいいから、シュークリーム。」  箱を僅かに燐の方へと押しやって。  「ん、ごめん、そこまで深い事を聞きたいんじゃないな。 質問変えるよ。  夢使いって言うからには、その……夢見を良くしたり、すっきりした目覚めにするっていうようなことって、出来るか?」 僅かに曇ったその表情、その真意までは悟れず。 ただ、こういった頼みごとをするのを申し訳なくおもい。 21:55 hikami >【燐】「―――本当、斃す前にお仕置きでもしないと癪よね。やってることなんかは微妙に私の領分―――夢を扱うこと、なのだし」 相応以上の力で悪用すればああなる、のだろう。実際…手法程度は享受されたコトはある。最も…実際に行使など出来なかったのだけれども 「…そりゃ、そうだけど。いった、唐突に何よ。今までそんなコトもなかったでしょう?」 それが怪訝の理由でもあり、だったら、と…結局はクリームの誘惑に乗るコトにして紙箱からシュークリームを一つ、摘み出す。 「…定義が若干、違うわ」 はむ、とでも擬音のしそうな思い切りの良さでシュークリームを一齧り。何を言い出すのか、と、怪訝に眉を潜めた 「この世界を包む世界結界。これが、カミサマノユメだ、っていう話は―――知ってたかしら。 ようは、そういう事。この“夢”を使うのが本職よ。 最も、現実と夢を操るのも夢使いの性分ではあるし、実際に文字通りの夢の中に潜り込めるウィザードもいるわ」 22:02 rouge__ >【尚也】「じゃあ、人の精神に根付くような、そういうことでも、対応できたりする場合もあるんだな。」  お土産のチョイスはそれ程的が外れていなかったか等と多少安堵しつつ。  「燐がそういうことを出来るっていうんなら、お願いしたいんだ。 夢使い、って聞いて思い当たるのが一人しかいなかったからさ。」 正直、藁にもすがるような勢いである。 自分には、何も出来ないのが歯がゆく、出来る誰かに頼るしかない。 そんな状況、なのだから。 22:07 hikami >【燐】「ああ、勿論イノセントなら、っていう前提はつくわね。 レイセニアみたいにウィザードの思考を抜き出して、なんてのはあんなのでも一応魔王、と認めなきゃいけない能力だわ? だからこそ厄介、だからこそ不快なんだけれど―――ウィザードはその世界のユメから抜け落ちるように月衣で自分の存在を覆うもの。 ソレを突き抜けて改変―――なんて、そもそも言ってしまえば相手の月衣を奪う様なものだもの。そこまでは無理、ね。」 あむ、と、またも、一口。指に付着しかけたクリームはこっそり噛み付くついでに拭い、平静を装って居たが。…ちょっと、べたつく。 「“そういう事”が、ユメに潜れ、と言う事なら残念ながら無理ね。手法は知っているけれども技能として身に着けては居ないわ。 逆に、起きている相手の認識をずらすコトなら身に着けているけれど、こっちはどちらかといえば記憶の改変ね。 ただ、イノセントだけ―――尚也の夢見を如何こうする役には、たたないわ」 それを悪びれる様子も、悔いる様子もなく……平然と、流す。 最後の一口を口内へと放り込み、ぺろり、と、無意識、指先の砂糖を舐めとり、紙ナプキンで拭う 22:13 rouge__ >【尚也】「ああ、ごめん、ちょっと言葉足らずだったな。」  苦い笑みを浮かべ自分の言葉足らずさをごまかすように、頭を掻いて。  「僕のことをどうにかしてほしいっていうわけじゃ、ないんだ。夢見が悪いのも、寝起きが酷いのも今更過ぎてどうこうする気も起きない。」 燐がシュークリームを堪能する姿を見れば、後で自分の家にも土産としてかって言ってやるか、なんて思考の隅で考えながら。  どうも、理夢のことを考えているせいか、家全体にも気を使ってしまう。  「何とかしてほしいのは、僕じゃない。 僕の、妹のほうなんだ。」 22:17 hikami >【燐】「―――……………妹、っていうと、先刻の襲撃事件の犠牲者…だったかしら。襲撃後にロイヤルガードでケアした、って聞いていたけれど?」 記憶の消去も含むと思っていたのだ。実際…レイセニアが“ユメ”から仕掛けている以上、あまり楽観できるものでもない、だろうけれど…… 「―――生憎、私は一般の機微には興味、無いわ。 ウィザードがウィザードとして接する対話なら兎も角、イノセントと馴れ合うツモリはないし… そういうカウンセリングなら、それこそ春奈の得手だと思うわ。それ以外、夢使いのチカラ、と言う意味ならそうね―――…」 次いで、二個目。珍しく逡巡したのは…己の能力による“勝算”を探るが故、出したのは… 「―――記憶の改変、ならできるわ。ユメに潜るのは今すぐは、無理ね。 必要ともなればカリキュラムをアンブラに頼むけれど、それも2〜3日の話しじゃ無理だと思うわ」 22:29 rouge__ >【尚也】「ああ……その辺も、聞いてたか、燐も。」  この件に関しては、流石に情報が早い。 なんて考えてから、思い直す。  …学園に魔人が潜入、生徒の一人を襲撃なんていうことが、大事にならないはずも無かった。  「妹、三崎理夢。 ……ああ、実際の所は、何も覚えてない。 本人は、貧血出倒れたくらいにしか思ってないよ。  …だけど、どっかに襲われた恐怖とか、残ってるんだと思う。 毎晩…夢とか見たり、うなされたりする形で、出てきてる。」  椅子の背もたれに、思い切り身を預けながら、物憂げに天井に視線をやる。  「……こういうの、誰に頼んでいいものかわかんなかったからさ。 …正直、藁にだってすがりたい。  そりゃ、一度はどうでもいい、位の扱いしといて何なんだよって話だけどさ。…出来ることなら、何でもしてやりたいからさ。  夢、って言うんで、安直にここまできちまったけどさ。 もし良かったら、一度見てやってほしいんだ。」 22:35 hikami >【燐】「そりゃ、ね。レイセニアに関しては結構癪な所が多いもの、 それに―――私は、敵陣にウィザードが居る、と言うのを“知らされていなかった”時点で資料は自分で探すようにしたもの。 報告書にさえ載っていれば一番早くて確実な情報だわ?指名手配犯が暴れたようなもの、だもの。」 当然、とばかり。さして感慨があるでもない事実の列記、常の語調を崩す事無く―――それでも対象の存在に残る懸念 「―――ロイヤルガードは、記憶の操作まではしなかったの?」 結局はそこ、である。操作の結果まだ、ともなれば…もっと深刻だろうし、と。 「………嗚呼、つまり……それがあったから、ね。」 今更、とばかり。二つ目も終盤に差し掛かったシュークリームへと視線を落とす。それで、合点が行った 「―――…正直、イノセント相手のカウンセリングは分野外、だわ。 ウィザードとしての私の力、と言うだけなら…それこそ直裁なやり方になるわね。 問うにしても下手な地雷は踏めない、難しい判断になると思うけれど?」 拒否、ではない。…改善不能の可能性、それが大きい、と言うだけの示唆である。 …代金先渡し、みたいな状況なのだ、無碍にするわけにもいくまい、と…諦めていた 22:46 rouge__ >【尚也】「燐のそういう所、見習うべきだよな、ホント。」  不明瞭なことは、敢然と調べる。 自らで納得できる状態に心を持っていくというのは、大切ではあるが、中々難しいことだ。  …特に、流される属性の強い自分にとって見てみれば、中々目の前の少女のあり方が羨ましくもあり。  「ロイヤルガードの検査は受けたんだ。 …一応、その時は記憶にかんしては残ってない、そんな診断だったんだけどさ。  …正直、人の心のこととかになるとわかんなくてさ。 まだ残ってるじゃねえか、何て責めるわけにもいかんし。」  足を伸ばして、椅子を不安定にぐらぐらと揺らし。  「…これだって、僕のせいみたいなもんだしな。 立場ないよ、ホント。」 22:54 hikami >【燐】「別に、趣味だもの、こんなの。見習うにしたって習慣化しないと無理だわ?それを理解する、という所まで習慣化するとなると ―――まあ、尚也向け、とは言いがたいわね」 そこまで迂遠な事を習慣にしだしたらそれこそ何事か、とでも思う所だろう…それも今更、矢張りなんの気もない言葉となっていた 「…つまりショックによる自然消滅、との診断だったわけ、ね。となると―――……」 可能性あり、か。実際、どういう処理班体制なのかまでは把握しておらず、する気もない。 …後方支援まで考えていては身が持たない。とは言え――― 「……ま、それに関しては否定しないわ。実際―――……私だって幾つか、聞きたい事を聞かないで置いているのだもの。 それどころじゃないだろうし、そもそも―――……」 踏み込むか、踏み込まないか、そんな瀬戸際、でもある。 …件の時を思い返すと自分らしくない、なんて評をせざるを得なかった、と言うのもある。 ―――それを蒸し返すのも業腹ものであることだし 23:03 rouge__ >【尚也】「はっは…やっぱ、燐からみても僕はマメそうには見えないよな。ま、知能労働は僕よりシェル姉に任せることにするさ。」  ガタン、と、椅子を元の位置へと戻し。 任せんな、と、悪態をつく声が聞こえる。 何時ものことだ。  「そう聞いた。 余りにも非現実めいたことが起こったので、本人も理解することが出来なかった。  怪我も負わされてたみたいだしな、ショックは、計り知れないと思うよ。」  苛立たしげに頭を抑え、溜息をついた。  「………うん?聞きたい事…? それは、誰にって意味だ?」 23:10 hikami >【燐】「―――……めがねだけで知性派判断する程短絡じゃないもの。実際、身体を使うほうが得意、でしょう?」 実際、判断はその通りでもあり、否定するつもりなど更々無い。評価を改める事にも―――まだ、遭遇していないことだし 「―――…一時的な記憶の欠落、ね。そういうのはトラウマにも残りやすいし、あまり良い傾向じゃ、ないわね。 それこそ―――妹、だったかしら。彼氏でも居れば慰めてもらうのを勧めるわね。 疵を負った直後なのだもの、下手に―――ウィザードとしての刺激、には悩むところよね」 藪を突いてしまえば蛇が出る、己がウィザードの力を使えば少なくとも…その瞬間、結界は歪むのだから、と            「―――言っても良いけれど。その場合、聞くわよ、この場で」 それこそが答えにでもなるだろう返答、である。…拒否権を与える為に、と直裁なまま、引いた問いとして返す。 無論…視線は半眼のまま、相手の瞳を覗き込んでいるのだが 23:20 rouge__ >【尚也】「ま、この時代眼鏡なんて幾らでもいるもんな。 此れで知性派に見えるんなら幾らでもメガネかけるっての。」 そこは、突っ込むように、あえて明るく話すも…直ぐに語尾はしぼんで行く。  「……希君、か。 希君にも話通さなきゃならないな、そこんとこは。 正直、一発二発殴られても仕方ないとは思うけどさ。」  早く終わるほうを選べば、このような事態は起こっていないのだから。 そんな負い目。   「どっちにしろ、理夢をどうこうするかには難しい時期だ、って事か…。」  何故か、妹のことが鮮明に思い出せた。 普段は、気にも留めないことが多いが。  「…ってことは、それは僕に対する問いかけ、って事か。 …僕、大体のことは聞かれりゃ答えてるはずだけどな。 何かあるか?」  …それは嘘だ。 しかし…彼女が何を聞きたいのか。 何に興味を示しているのかまでは、見当がつかず。  …自分の普段を、まるで意識していないため。 23:30 hikami >【燐】「そういうこと。ゲームやら漫画やらで幾らでも悪くできるもの。ファクターには、弱いわ。 イメージ、と言う意味でなら演出道具にはなるし―――…自己暗示的にかける事は、あるけれど」 実際、以前自分のめがねも見せた事があったか、と思い返しての言葉。もっとも…装飾により過ぎており、 実用性という意味では謎なもの、ではあったが。 「―――逆を言えば今がチャンス、でもあるけれど。与えられた記憶が定着する前に殺ぎ取ってしまえば操作する範囲は少なく済むわ。 どっちか、なんて判断は今私に出来るものじゃないけれど」 ―――言うも、次ぐ、言葉。明確な嘆息を漏らす結果となる……こうなれば、引くに引けない、のだから。 ―――丁度良い、か。その視線のまま、頬杖へと移行した 「……だって、聞いてないもの。“昔の事”ね。―――河童の時もそう、尚也が……周りの事を気に“しすぎる”のがひっかかってたのよ。 予想ぐらいできるわ?その予想の、答え合わせ。―――聞かれたくないこと、でしょう。隠すぐらいだもの」 23:39 rouge__ >【尚也】「……どっちともいえない、か。」  今処理をするか、ゆっくりと癒していくか。 どちらが最善手かは、自分にも分からない。  「…ま、ここで言っていても、決着がつかない話ではあるか。 一応、でも、燐も専門家の一人として、今度見てやってくれないか? どう処理するのがいいかは、後にしても。…今の僕には、そんな決断しか下せないな。」 そこまで言って、嘆息。 続けられる燐の言葉に、眼鏡を外してレンズをふく。 目を閉じて言葉の意味を考えて 23:39 rouge__ >。 「僕が、回りのことを気にしすぎる…か。 …どうだろ、そんないい人間じゃないつもりだけど。 …何が、聞きたいのさ? …ある程度、話したつもり、ではあるけどな。」 …彼女が聞きたがっているのは、それ以上のことなのだろう、と、理解しながら。 23:44 hikami >【燐】「―――良いわ、でも、私も得手じゃないって事は理解しておいて欲しいわね。イノセント相手なだけで―――面倒だもの」 面倒、とは、この場合苦手、を意味するのだろう。 不快そうにゆがめた眉根がその証左でもあり、指に残る唾液と砂糖の残りを纏めて紙ナプキンで拭い、とりあえず指先は綺麗になった 「―――……エルシア」 ここはもう、カン、である。それなりの根拠は、ある―――が、確定するカードが足りない。 だからこそ…単語として、一言。それだけを言葉にした 23:49 rouge__ >【尚也】「そっか、助かる。」  頬を掻き、笑顔を向けかけた所で……紡がれた単語。 ……向けていた表情が凍りつくのが、自分でも分かる。  「………燐に、その話したことあったっけ。 …いや、結構あの時僕も錯乱してたからな。 いらないこと、結構言ったか。」 春奈に、悠人に、風華に、そして燐に言葉をかけてもらったときのことを思い出す。 随分と…むき出しの感情で叫んだ記憶。  「…エルシア=レイビークが、どうしたって…?」 23:57 hikami >【燐】「ええ、ただ…………“ウィザードとして”振舞う可能性があるわ?出来れば妹と尚也と……それだけ、が望ましいわね。 春奈にせよなんにせよ、他の“ウィザード”なら問題ないけれど。…複数のイノセントは、この場合弊害でしかないもの」 元々…イノセントとの関わりを望んでいるわけでもなく、寧ろ…避けたいぐらい、なのだからと。 それは告げぬものの……少なくとも無碍には出来ぬ邂逅の約束、憂鬱な心境ながらも飲む事となった 「―――無いわね。最も、尚也の今までの反応から“向こうで何かがあった”のは確か、それも―――……死に関する何かが、ね」 そこで一端、言葉を、区切る。得られた、フルネーム……凍った表情が己の予測が、恐らく…正解である証拠、か 「……あの時、尚也はその名前だけを一回、区切ったわ。他の名前はきちんと列記していたのに、ね。 ―――尚也の未練……じゃ、無いわね。“向こうであった、何か”に関わっている、そのぐらいの予想でしか、ないわね。 ――――――気にならないわけじゃ、無いもの。私は尚也のいた世界に興味があるし、今回の件は“その世界”に関係している。 ……聞いても、いいのかしら?」 体の良い、言い訳だ。説明のつけづらい焦燥に無理やりこじつけた説明…だからこそ、強気には出ずに、問う形になっていた 00:05 rouge__ >【尚也】「ん、それでいい。近いうちに、頼むことにする。」  燐の言葉に、ぐるぐると物事を考えながら、それでも、その言葉だけは、今日来た意味だけは、しっかりと果たす。  そしてまた、思考の海に落ちていって。 「何だ。 ……すっげえ、洞察力じゃん。 春奈だって、気付かなかったのにな。」 机に肘を突き、手の甲に額を乗せながら。 「……聞いたって、面白い話にゃ、なりえないことは保障する。 美味しくシュークリームを食べれなくなるような話だし。」 00:14 hikami >【燐】「―――まあ、カン、だけれど。だからこそ名前だけ、出したんだもの?―――それに、河童事件の時のアレ。 ……あれで“何も無いけどただなんとなく”なんて日和だって判断してたら、引くはずないじゃない? 面倒だし、そんな所で戦意喪失された剣を前においての戦闘に意味を見出せなかったから、だもの。 ……少なくとも“何かあった”のは、もう随分前から気になってたわ?それが“エルシア”と言う名前とイコールかどうか、は ―――……今、判ったけれどね」 カンを用いる為、ためしに口に出した結果、である。…そんなコトを隠そうともせず、いっそ悠然と―――ただ、構えるコトもないままの、言葉 「―――尚也にとってはそう、でしょうね。少なくとも口に出したい類の話じゃない、と言うのは予想できるもの。 ―――で、それを軽々しく聞けるほど、踏み込んでいるつもりもなかったから、聞かなかった。 気にはなるけれど、致命にならなければ問題ない―――… その可能性が出てきたのは確か、だけれど。別に、シュークリームはもう2個食べたし、私は、構わないわ?」 00:21 rouge__ >【尚也】「………ふ、う。」  これ以上、目の前で誰かが死ぬ。 …それは、絶対にあってはならない光景。  あの魔王との戦いは、その可能性を隆起させるしかなかった。 …だから、止めた。  …自らの本分にたとえかけ離れていたとしても。 …故の、違和感を周囲に感じさせる結果となった。  「踏み込んでない、って言うには…燐、こっちのこと結構観察してる気がするけどな。 よく見てるよ。  …そこまで自分がわかりやすい人間だってのは、なんかよく分かってきた。ちょっと、くすぐったい気はするけどさ。」  所在なさげに、自分の髪を弄り。 00:27 hikami >【燐】「―――処世術よ」 言う言葉は…少し、自虐の響きが混ざる。観察―――少し、苦い思い、でもあるのか、一言。それだけで何を言うでも、なかった 「…それなりに話をしていれば、何となくでも違和感を感じるわよ、尚也の場合は特に、ね。 ……異世界の話、私は興味を持って聞いてるわ?興味はあるし、気にも、する。 そのときの尚也の風体に違和感があることも当然、だけれど。 …それに加えて何回かあった死への忌避、それも…いっそ、固執ね、判りやすいぐらい。 ―――結び付けて連想するぐらい、できるわよ。でも、それをはっきりと聞く程、という事ね。 ―――どうせ、致命的な部分だろう、て予想ぐらい、ついてるもの」 00:33 rouge__ >【尚也】「……致命的。 …致命的……ね。」  口の中で、言葉を転がして。  「…燐は、どうしてそこを聞きたい? 単なる興味か、それとも、心配の一環か、それとも状況改善のための布石か。」  何とはなしに、月衣からシェルファを引き出し、机に立てかける。 鞘を、抜き放つ。 蒼い刀身が、部屋の明かりに照らされる。 00:40 hikami >【燐】「―――何とも、言いがたい質問ね」 改めて問われてみると……明確な答えを返しづらい。珍しい、なんて…己の内心を計れども探り出せるものは――― 「……シェルファに聞く、と言うのも考えたけれど。―――さっきも言ったように“致命的”なコトだと、思ったわ。私なら―――」 そこで、一拍。向ける視線は… 「―――尚也に、聞かれたい話では、無いわ」 シェルファへ向けて、である。…以前、油断から愚痴ったこと、それも…いっそ、負い目なのだ。 そう考えれば後は単純な話。肩口に垂れ下がった髪を一房、背の側へと跳ね退け、常の平静な視線を尚也へと飛ばす 「―――“今は”聞かないわ。“興味”で聞く程野暮な性質、してないもの」 00:50 rouge__ >【尚也】「………僕はさ。 今の自分が、どうしようもない袋小路に嵌ってるのは、分かってるんだ。  …一歩も踏み出せない状況。 でも、それでもいいとも思ってもいる。」  刀身に視線を走らせながら、誰にとも無く、燐にか、それとも空気にか、語る。  「僕もさ、どうしていいか分からないんだ。 …辛いんだよ。 …でも、しまっておきたい。 誰かに慰めてほしい。  自分の中でとどめて、自分の心の材料にしておきたい。 …自分でも、これに関してどうしたいのか、分かってないのさ。」  今は聞かない、といった燐の言葉に…こう、答えた。 00:59 hikami >【燐】「―――………愚痴なら、聞くわよ。それこそ、今更、だもの」 言いつつ…それでも少女は腰を浮かせ、立ち上がる。わざとらしくならぬよう、悠然と、ゆっくりと ……そんな事を自覚する程度には、此方も迷いがあるのだろう。口に出したのは―――興味が先走ったから、でもあるのだから 「……生憎、私は尚也を甘えさせる気は、無いわ。それを知って慰める、なんて事も恐らく。 ―――事実として把握して、理解して……対処するわ。それによって“ウィザードとして”役立つ何かや避けられる危険があるのなら、ね。 私はウィザードだわ?…感傷以前、任務と義務を選ぶ」 淡々と、常と変らぬ平静な口調、それでもわざわざ口に出す辺りは焦り、か。 …それに気づき、不機嫌にでもなったか。憤然と腕を組み、見やる 「―――“踏み込まない”と言ったのはそういう事。聞くべく理由が思いついたら、私から聞くかもしれない。 ―――話したくなったら、それでも聞かない、なんて意地を張るつもりも無いけれど。それと」 …これも逃げ、か。苛立ちの原因が―――自分である、そのことが…不快 「―――…どちらにせよ、私は約束は、破らないわ。“口外するな”と言われれば、しない、と。…約束してあげる」 01:10 rouge__ >【尚也】「はは…確かに燐は、慰めるってーよりは…一喝入れるほうが、性に合ってるな。」  静かに、立ち上がる燐を視界の端にやって。  「…甘えさせてもらうと、一気に駄目になる人間だからさ、僕は。 敷かれたり、世話焼いたり、守ってるほうが性に合うんだよ、きっと。」  自分もまた、立ち上がる。 歩きたいわけでもなかったが、唯なんとなく、座っていられなくて。  「僕自身……どうしていいか分からないことだから。 今も、整理がつかないことだし、さ。…結構、燐、ずるいよな。  ……今は妹の事とか、レイセニアのこととかあって、誰かに色々ぶちまけて優しくしてもらいたい気分なのに、 そういう逃げ道、ぶっちぎっちまうんだから…って、それじゃ、僕はまるっきり駄目人間か。」 01:15 hikami >【燐】「―――……釈然としないわね、その評価も」 自覚は、ある。そうであろうという予測もまた、ある。―――それでも指摘されれば若干、不愉快でもある 「―――別に、逃げ道は、あげたわ?話したければ、聞く。ただ……――― 私から、その状態で“興味”で聞く内容じゃない、って事ぐらいの予測はつく、と言うだけよ」 言葉にすればする程…虚飾じみて行くその内容、それに…内心、自嘲気味の吐息を吐く 「それに、自分でも言ったじゃない。私は慰め役に向かないわ、そもそも―――………ま、いいわ。 変な事言ったお詫びにきちんと、妹の件は善処するわ。…ただ、先刻の条件、人払いだけは尚也の仕事。 予定の付きそうな時になったら、連絡頂戴。任務以外はほぼ、基地に居るわ」 01:20 rouge__ >【尚也】「………ああ、分かった。 なんにせよ、見てもらわないと始まらないもんな。 早いうちに、都合あわせて連絡入れる。」  気分を切り替え、…切り替えようと努力して、本来の目的の達成された事項について、語る。 出口を目指して、歩き始める。 01:23 hikami >【燐】「ええ、そうして頂戴」 ―――今となっては、欺瞞、か。藪を突いたか―――己の気の持ちようもだが、相手の事も―――気に、かかる。 だから、と言うわけでもない、此方も歩み、ただ、歩調はずらし…背後になる、位置。そこで、止まった 「―――迂闊、だったわね。放置するのが一番だとは思ったけれど、やっぱり―――気になってたのね」 視線、合わせないで済む位置でそんな、言葉。 ―――それだけで…今度は逆、追い抜くような歩調へと変え出口へ、いつもの定位置たる資料室へと、向う心算 01:29 rouge__ >【尚也】「………」 僅かに目を見開いて、立ち止まる。 言葉は発さずに、先を歩いていく燐の背中を唯追うだけ。  その姿が見えなくなるまで、その場で立ち尽くして。  「…引っ張るようなことかよ。 一番大切なひとが、何も出来ないうちに殺されて、居心地悪いからこの世界に返ってきたようなことがさ。」  毒づくように、呟いた。 ……胸が痛んだ。 ……唯それだけだった。 …とてつもない痛みではあった、が。 01:35 hikami >【燐】「―――……迂闊」 先んじ、距離を離して漸く…呟く。イノセントの存在、なんてモノに―――示唆だけで躊躇い、揺れた。 その状態のままでつい、問いに乗ってしまった迂闊。そんな場合でも時期でもない、なんて―――判っていた筈なのに。 焦燥と、逡巡と―――何なんだ、コレは。苛立ちの正体、結局はつかめず、ただ―――自滅、そんな結果に一人、歯噛みするコトとなっていた