シュルスとの戦いが一つの大きな区切りを迎えて。色んなことで悩みはしているものの… 気分転換をしよう、と思って…リアを食事や買い物に誘ってみることにした。 以前に一度、遊園地に出かけたこともあるせいか…誘うと言うことに抵抗は少なく。 【シルフィ】「リア――もしお暇なら少しお出かけしませんか?」と、部屋の外から声をかけてみて。 【リア】「あら。」 聞こえたノックの音。 「何だ、シルフィじゃないの。 特にリアはやることはないし、構わないわよ。」  ベッドのふちに腰掛けながら、足をぶらぶらと動かして。 【シルフィ】「ええ。それなら…一緒に食事やお茶でもいかがかな、と思いまして――どうですか?」リアのほうに目線を向けつつ、僅かに首を傾げる。普段は表に出している手を、今は薄い白の手袋に包んでいて。 【リア】「うふふ、シルフィがご馳走してくれるのかしら。 それは楽しみね。」 ドアを開けつつ、シルフィを迎え入れる。 「…ふうん…?」 何時もはしていない手袋を目敏くみつけて。 小さな声を上げる。 【シルフィ】「余り高すぎなければ、私がご馳走でもいいですよ?」リアの部屋へ一歩踏み入って、ベッドの前まで歩く。手袋に視線を注がれると少し困ったように「どうしました?」 と 【リア】「日焼け対策? うふふ、アイドルさんは気を使っているのかしら。 大変ね?」 ただにこにこと、無邪気な表情で。 それでもどこか探るように。 【シルフィ】「日焼け対策…にもなりますかね? 気を使っているわけではないんですけど――それじゃ、時間のこともありますから…行きましょう?」手を後ろ手に回し、リアに笑いかける。流石に真実はなんとも言えないなと思いつつ 【リア】「ふうん……。」 手を後ろにまわす仕草に、僅かに猫のように目を細めるも、それも一瞬。 直ぐに表情に満面の笑みを浮かべて。 「それじゃあ行きましょうか。 何処に行くの? シルフィのお勧めのお店とか、あるのかしら?」 【シルフィ】「美味しいランチのお店で…美味しい紅茶が飲めるお店を1つ知ってるんです。神殿にいたときからお世話になってる場所でもあるんですけれど…どうです?」リアの背の高さに少しかがんで…彼女に笑顔を向ける姿は姉のようにも見えて。 【リア】「あら、昔からのシルフィ御用達、というわけね。」 目を閉じて、彼女の言葉から想像できる雰囲気の良い店を想像して。 「中々素敵そうじゃない、リア、なんだか楽しくなってきたわ。」 少し、近くなったシルフィに向けてこくりと頷き、ベッドよりぴょいと立ち上がる。 【シルフィ】「ええ…それじゃ、行きましょ?」リアのすぐ横に立って、歩き出す。月奈に許可は取ってあるから時間はゆっくり取れますよ、と言いながら 【リア】「ええ。 シルフィとお出かけなんて久しぶりね。」 きゅっと、軽く腰にまとわりつくように抱きつきながら、軽い足取りで歩いていく。 「あら、それはいいわね。 のんびり過ごせるお墨付きが出たのは。」     ラインの街をしばらく歩いて、神殿の前を通り過ぎる。主に高級住宅地が並ぶ場所へと歩きながら…色々な言葉を交わす。お互いの近況についてや。シュルスのこと、メノアのこと… そうこうしていると、目的の店へ辿り着く。こじんまりとした店内は綺麗な内装で… 【シルフィ】「結構昔からあるお店なんですよ、ここ。料理もデザートも、お茶も楽しめる場所と言うことで…神殿に勤める女性には人気があったりします。結構近いですし」 【リア】「リアの想像通りね。 シルフィの好みそうな所だって、リアも思うもの。 リアも、こういうところは嫌いじゃないわね。 」 店内のあちこちに視線をやりながら、頷く。 「なんていうのかしら。 落ち着きみたいなものがある、ということかしらね。」 【シルフィ】「こういう場所な以上、ちょっとお高くついちゃいますけれどね。そのあたりは私も払えるくらいのお金はありますから」テーブルについて、メニューを受け取りつつ…リアにもみせる。確かに、二人の少女が払うにしては高めの値段ではあるものの。 【リア】「あら、モノにはそれ相応の価値があるってことぐらい、リアだって知っているわ。 材料だけでなく、雰囲気にもレディはお金を払うものなんだから。」 メニューと内装、そして料金を見くらべて、こんなものよね、などとあたりをつけながら。 「それで、シルフィのお勧めとかはあるのかしら?」 【シルフィ】「そうですね…私は来ると、いつも頼んでいるランチがあるので…それはお勧めかな? 魚も野菜も肉も…どれも楽しめるのがありますよ」前菜を一品注文し…ランチのメニューを見せてもらう。バリエーションも豊富に取り揃えており…店の質の良さ、と言うものが伺えて 【リア】「この時間なら、それが一番かしらね。 それじゃあ、リアもシルフィと同じものをいただくことにするわ。」 一通りメニューに目を通してから、同じものを注文する。 「ねえ、シルフィ。 シルフィは、待っている時間は好き?」  注文を待つ間、リアはふとそんな事を問いかける。  【シルフィ】「それじゃ、それを2つ…後、デザートはそちらのお勧め。それに食後の紅茶で」などと、オーダーをしつつ。「待っている時間ですか? …そうですね、その後に楽しいことがあるのなら、待っている時間も楽しめますよ」 いきなりの問いかけに戸惑いつつも、答えを返し 【リア】「そう、シルフィもリアと同じなのね。 リアも、待っている時間は大好き。 その後のことを考えたら、待つことだってたのしいもの。無駄なことって分かっているのに待つ時間、って言うのは嫌いだけれど。 残念ながらそういう時間のほうが、多いのは、困り者よね。」 シルフィにオーダーを任せながら、テーブルにひじをつき、軽く手の甲に顎を支えさせて。 くすくすと笑う。 【シルフィ】「そうですね…そういうことのほうが多いのは仕方ない気もしますけれどね?」軽く笑顔を見せながら、リアのほうに視線を向けたままで。「そういえば、随分色んな経験をしてる気がします…AAAに来てから」少し、思い出に浸るような表情で。手は膝の上に載せているのだろうか、テーブルには見えず 【リア】「そうね。 リアも色んなことがあったわ。 ……シルフィが一番思い出に残っている事件って、どんなのかしら? リア、少し聞いてみたいわね。」 【シルフィ】「思い出、ですか……今一番心にかかっているのは、メノアのことですけれど…取り巻く環境が変わったというのなら、あのコンテストの件でしょうか」僅かに声のトーンを落とすも、それはすぐに戻して。自分の周囲が変わった、と言うことにおいてはそれが最大限だな、と 【リア】「うふふ、アイドルコンテスト?  いまや今をときめくスリーエースの中にあるアイドルコンテスト優勝者ですものね、シルフィってば。」 再びくすくすと笑みを浮かべ。 用意された水を僅かに口に含む。 「ブロマイドやポスター。 知らない所で人気者になる気分はどうかしら?」 からかうように告げて。 【シルフィ】「あれはどうかと思いましたけれどもね…」今も思い出すと少し恥ずかしさが残る。どうしてあんな事をしてたんだろう、とも。少しだけ水を飲んで…「知らないところで、ですか…ちょっと怖かったりもしますし、光栄だと思ったりもしますね」流石に面と向って言われると恥ずかしいのか、僅かに頬が染まって 【リア】「うふふ、魔器のためとはいえね。 でもいいじゃない、人気っていうのは魅力がなければ出ないものだし。 シルフィのことを好きな人がそれだけ多いってことじゃない。評価だと思っておけばいいものよ。」 年上を年下がからかう少し奇妙な構図。  【シルフィ】「それはそうですね。AAAのことも私は気に入ってますから…有名になるのは少し嬉しいかな、と思ったりします。好いてもらえるのは嬉しいですけど…なんだか恥ずかしいのもあるんですよ?」 からかわれると、もぅ…と僅かに頬を膨らませたり。和気藹々としたなごみの空間、それはまるで姉妹のような穏やかさで 【リア】「あら、シルフィったら。 ほっぺたを膨らませるなんてちょっと子供みたい。 うふふふ。」 そんな風に言葉をつむぐリアも、どこか楽しそうで。 「そういう恥じらいを皆求めているのかもしれないわね?」 などと、いぢめるくちはちょっと止まらない。 「…だけど、有名になってきたらなって北で、面倒も起こるものよね?」  【シルフィ】「ふふ…やっぱり楽しいですね、こういう時間は」楽しそうな笑顔を見せ、笑う。「恥じらい、ですか…うーん」求められている、と言うリアの言葉には首を傾げ…「面倒ごと、ですか…確かに随分と大きな規模のものが増えてきた、と…そんな感じがしてます」 【リア】「最近だと帝国直属の部隊にならないか、なんて話もあったみたいだし。 シルフィはどうかしら、より強いものの元で力を使う、なんて事になるの、どう思う?」 笑顔のまま、姿勢は崩さない。 唯、目を細めてそんな事を尋ねてみる。 【シルフィ】「より強い力の元で力を使う、と言うことは…確かにある意味では正しいです。ですけれども…それが、本当に正しいのかどうかは、常に自問していかなければいけない、と思います――力なき者を蹂躙する力は、暴力でしかありません」目を閉じて、しばし考えたのち…はっきりと答える。 【リア】「…ふうん、なるほどね? シルフィらしい答えだと思うわ。」 目を閉じて、シルフィの言葉を受け止めて、脳内で咀嚼する。 「いいんじゃないかしら、シルフィはそれでいいと思うわ。」 【シルフィ】「そうですか…? 私らしい、のでしょうか。神官として教えられ、育てられたからゆえの答えのような気がしてならないんですけれど…」小さくため息を漏らして、リアのほうへ視線を戻す。話しているうちに、料理の前菜が運ばれてきて―― 【リア】「優しくて、穏やかで、少し恥ずかしがりやで、でも意地だって張る。 シルフィって、そうだってリアは思ってるけどね? ん…うふふ、流石に見た目も綺麗ね。 美味しいものは目でも楽しめないと駄目ね、そう思わない?」  【シルフィ】「私は聖女じゃないですし…一人の人間のつもりですもの? ええ、見た目も楽しめて…美味しくいただけるのが一番だと思います」リアの言葉に軽く笑って、食事については同じ感想を漏らす。 【リア】「それで、一人の人間のシルフィとしては、これからどうするつもりなのかしら?」 改めて聞くこともないんでしょうけど、との言葉の代わりに、一口、サラダを口にして。 【シルフィ】「メノアは…絶対に助けます。あの子は…まだ私を呼んでくれたから」目を閉じると、あの時の情景が鮮明に思い出される。フォークを持とうとした手を止め…色々な感情が混ざったような、ため息をつく。 【リア】「そう。」 短く、それだけを答えて少しの間、食事に手と口を動かし。 「あのときのシルフィは、あんまりリアにとって思い出したくないシルフィだから。 少し心配していたのよ。」 とつとつとそれだけを告げて。 無関心を装うような声音。 【シルフィ】「……取り乱していた、と言うのは事実…かな。メノアを助けられそうなのに、助けられなくて…焦りが表に出てしまっていたと思います。心配してもらえるのは…嬉しいですよ、ありがとう」手袋に包まれた手を、僅かに震わせる。まだ完全に吹っ切れてはいないのだろう 【リア】「ん。」 ありがとう、という言葉に僅かにくすぐったそうにして。  「……手、直さないの? ……おまじないみたいなものかしら。」 よほど体力が失われてしまうような怪我でもない限り、シルフィの技量で治せない例などほとんどなかろう。 視線から逸らすような先の動きや、彼女の性格を考えて、そんな事を推測して。 【シルフィ】「あ…これは――自分への戒めです。次は、必ずメノアを助けると……」そっと、傷のある場所に触れる。食事をしつつとはいえ、まだ立ち直れない部分があるのか…声のトーンは先程より落ちる。だが、取り乱していたときに比べれば大分落ち着いていて。 【リア】「ふぅん……そう。 そうね、自然治癒が終わる頃には、どの道時間もない頃だろうし。 いいのかもしれないわね。」 残りの時間が過ぎれば、神殿の介入が始まる。 それは、此方の動きが終わるというわけではないが、随分とことがやりづらくなることであり。 事実上の敗北といってもいいだろう。「じゃあ、目的を果たしたときは、リアがその手を直してもいいかしら?」 声音を、少し明るいものに変えて、そんな提案。 【シルフィ】「…ええ、結局は時間との戦いでしかないですから。でも、私は…最後の最後まで諦めません。必ずメノアを助けてみせます――」それは、小さな決意。自分ひとりではけっしてなし得ない決意。それでも、自分にとってあの子は大切な存在で。「…リアが? そうですね…それじゃ、そのときはお願いしますね」 にこり、と笑う。完全に、とは言えないが…それでも綺麗な笑顔を見せて。 【リア】「うふふ、リアに任せておいてくれればいいわ。いろんなことにおいて、ね。」 何時もの、余裕のある笑みでそう答えて。 「…ん、美味しい前菜だったわね。 メインが楽しみになってきちゃった。」 正式な作法で前菜の更を脇にやり。 【シルフィ】「ええ、頼りにさせてもらいますね?」くすり、とこちらも笑い返し…「相変わらず、美味しいです…このお料理がいつまで食べられるかな、と思います。たまに…」同じように、正しい作法で前菜の皿を脇へ。次の食事を待つ。 れーね@なんだろう、この微妙な気持ち の発言: 【リア】「んー、それは。 運命と自分次第、かしらね。」 こくりと水を口にして、内装のシャンデリアを見つめながら、そんな風に答えた。 【シルフィ】「そうね……まだ死にたいとは思わないですから」 水を飲み…リアに視線を移す「リアのことも、護れるように――」ぽつり、と小さく呟いて。  そうしているうちに、次の料理――スープ、主菜、主食と…ランチと言う割には簡単なコースのようなもので。 談笑しながら料理を食べ進めた。