孫一: と、言うわけで孫一の部屋です。孫一はベッドに座って注射打ってます。ちなみに結衣は登場可とします。 樹里: こんこんっ…扉が叩かれる。 【孫一】「開いてるぜ」 【樹里】「ん。いる?」 樹里: 扉をぎい、と開く。そして、中に入り込んできて。 孫一: どろり、とした緑色の液体が入った注射器を首に打ってるよ 孫一: モカ 【樹里】「……何?それ。」 【孫一】「樹里か。……丁度良い、こいつの説明も含めて、話しておきたいことがある」 孫一: うっ、と軽く呻くと注射を終えて 【樹里】「………わかった。聞く。…大丈夫?」さっ、と近づくと横に座って。少しばかり心配そうな顔で首筋を見やる。 【孫一】「ああ。定期的に薬を打っている間は、な。尤も……50までは生きられんだろうが」 【樹里】「………病、気? それとも…何かの、古傷、とか…?」 【孫一】「……改造の代償だ」 【樹里】「…改造……」 【孫一】「それについても後で話す。まずは順番に、な。長くなるが、良いか?」 【樹里】「構わない。夕食はすませてきた。」 【孫一】「ん。まずは俺の生まれからなんだが……俺はアザディスタンと言う小国の生まれでな」 【孫一】「宗教上の理由で『盗むな』『殺すな』と教わって育ったんだが、俺の国は貧しくてな。教えを守っていた奴から死んで行った」 【樹里】「…だから、傭兵に?」 【孫一】「結局、俺を育ててくれた宗教指導者の爺さんも……過激派に殺されたよ」 【樹里】「……」 【孫一】「まあ、選択肢は無かった。奴らの一味になるか、殺されるか、だからな」 【樹里】「…そっか。」 【孫一】「で、まあ十四、五まで山岳ゲリラをやってたんだが……機甲猟兵ってのはわかるか?」 【樹里】「なんとなく、予想はつく。…けど、説明してくれると嬉しい。」 【孫一】「生身に対MSライフル一丁で機動兵器の相手をする連中だ。俺はそれとパイロットの兼業でな。……まあ、人間爆弾にされた連中よりは運が良かったんだが」 【樹里】「…それは。……よく、生き延びれたね。」 【孫一】「俺は、連中に言わせると一種の『天才』だったらしいな。おかしな能力なしにあれだけ乗りこなせる奴はいなかったらしい」 【樹里】「そっか………その後、どうしたの?」 【孫一】「ある日、連邦軍の特殊部隊……OZって奴らが来てな。そこのNT部隊に、一緒にいた奴らは皆殺しにされた」 【樹里】「……OZ… 【樹里】「…孫一は?」 【孫一】「俺は何とか生き延びてな。5機撃墜が認められた、らしい。奴らの捕虜になった」 【樹里】「……改造は、そのとき?」 【孫一】「まあ、そう急かすなよ。俺は、連中にNT研究所って所に放り込まれてな。捕虜と言う名目の、モルモットさ」 【樹里】「…ん。」 【孫一】「どうも連中は俺を、対NT用のNT……超兵とか言う奴に改造しようとしてたらしいんだが」 【樹里】「……それは……、…」 【孫一】「同情はいらねぇぜ?下手すりゃあのときに死んでたんだから」 【樹里】「…そっか。…ごめん。」 【孫一】「だから、謝るなって。お陰で俺は生き延びられたんだし、お前みたいな良い女にも会えたんだから」 【樹里】「……ん。ありがと……うん、続けて。」 【孫一】「その時に、おかしな機械を脳に埋め込まれてな。脳量子波がどうこう……とか言うんだが、NTに苦痛を与えるらしい」 【樹里】「…対NTに対するNTが孫一。……孫一にも苦痛を与える機械?」 【孫一】「ああ。俺の機体……後で見せても良いが、コクピットにはシールドがしてあってな。こっちは無事なようになってる」 【孫一】「続けても、良いか?」 【樹里】「…うん。」 【孫一】「その代償、と言うわけじゃないんだが。定期的な服薬を続けないと、俺は死ぬ。殺人をするとドーパミンが過剰分泌されて快感を得るのも、この時の機械のせいだ」 【樹里】「……なるほど。…、……そっか。」 【孫一】「まあ、それ以前から殺しは覚えてたし、女好きなのも金に汚いのも自己責任、って奴だがな」 【樹里】「……ん。」 【孫一】「……まあ、そんな訳で俺は対NT用の処理をされてるんだが……同時OZでは、対NT用の機体を開発していてな」 【樹里】「対NT……それは、すごいね。」 【孫一】「その名を……ガンダムと言う」 【樹里】「…ぇ?」 【孫一】「今知られている『ガンダム』はみんな、そいつの派生系か、あるいは外見の恐怖を利用したものだ。本来、ガンダムと呼ばれる機体は一種。五人のガンダム開発者が開発した機体だ」 【樹里】「……続けて。」 【孫一】「その名はゼロ。ゼロフレーム。……俺の機体は、そのフレームにGN−Xの外装を貼り付けたものだ」 【樹里】「……それは…」 【樹里】「……どういう件で、手に入れたの?」 【孫一】「聞いたことはあるか?オペレーション・メテオ。本来はコロニー側の作戦だが、連邦本部はこれを察知し、五人に同じ機体を作らせてたのさ」 【孫一】「俺はそのテストパイロットだ」 【樹里】「……それを、今も乗り回してるって訳。」 【孫一】「……正確には、奪取できたのがアレだけだったからな。俺は結局『失敗作』、カテゴリーFとして処分されるところだったし」 【樹里】「なるほど……」 【孫一】「だから俺には、フラッシュシステム……今で言うサイコミュは使えない」 【樹里】「そっか…」 【孫一】「……機体を隠すために偽装を施し、PMCに入り、GN−Xに見せかけ……人殺しを続けて来たってわけさ。全ては生き延びるためだ」 【樹里】「…そっか。……結衣は、知ってるの?」 【孫一】「いや。大佐はまだ知らない。そして俺は……大佐に再強化を依頼した。だから、今の内に、お前にだけは話しておきたかった」 【樹里】「……再、強化?」 【孫一】「ゼロの真の力……ゼロシステムを使うには、それが必要だ。さもなければ、俺は死ぬ事になる」 【樹里】「…使わないことは、できないの?」いつもの無表情が崩れ、どこか…懇願するかのような、悲しそうな顔に。 【孫一】「……EXAM。ゼロのデッドコピーを見た。あいつらを殺すには、ゼロシステムが必要だ」 【樹里】「……その為に、戦うの? 無事ですまない可能性が高くても、それでも?」 【孫一】「……俺の機体は未完成でな。ゼロにはついている自爆装置が付いていない。そして、あの機体の正体がバレたら、俺はただではすまねぇだろう」 【孫一】「最悪、連邦全てが敵に回る」 【樹里】「……そっか。」 【孫一】「だから、廃人になる前にお前に会えて、良かった」 【樹里】「……勝算は、…あるの? 人として、戻ってこれる、?」どこか。潤んだ瞳、顔を歪ませて。 【孫一】「ばぁか。勝算の無い賭けなんぞするかよ」頭をくしゃくしゃと撫でてやりながら 【樹里】「……・・うん、ん。・・・そう、だよね。…」顔を隠すように頭をうつむけて。 【孫一】「俺は必ず生き延びる。死ぬ時は女の胸の中、って決めてるんでな」 【樹里】「……ん。…わかった。……なら、私は、何も、言わない、から。…ついていって、助けることくらいはさせて。…相棒として。」ぽふん…孫一の胸元に頭を軽く押し付けて。 【孫一】「すまねぇな。薬をやってから二時間は、たたねぇんだ」 【樹里】「…今は、そんなのは、いい。……少しでも、今の貴方を、感じさせてほしい。…だけ。」 【孫一】「……最初にも言ったが。遊びで終わらせておかねぇと、お前まで死ぬぞ」 【樹里】「……前に、言ったこと、覚えてる?」 【孫一】「FOXHOUNDに入った時の事か?」 【樹里】「…何故、入ったのか、そう聞かれたあのとき。…王様ゲームの時。」 【樹里】「覚えてる?」 【孫一】「……ああ。だが俺はYESと言わなかった。いや、言えなかった」 【樹里】「……」 【孫一】「未練……なんだろうがな」 【樹里】「……それでも。」 【孫一】「なら……付いて来い、いや、盾になれ」 【孫一】「背中は、守ってやる」 【樹里】「……ん。……うん。…了解。……元より。…この身、誰か、唯一人の為に尽くし尽き果てるが、私の冥利だから。……頼りにしてる。 樹里: 」 【孫一】「くくっ。相手がよりによって俺とは……ツイてねぇな、お前も」優しく抱きしめる 【樹里】「それもまた運命。…こうなった以上は、ただ、思うが侭にするだけ。」 【孫一】「……二つ、約束してくれ」 【樹里】「…ん。」 【孫一】「まず、俺と戦場に出るときは五分だ。五分で引き上げろ。おそらく……俺が正気を保てるのはそこまでだ」 【樹里】「…ん。もう一つは?」 【孫一】「前にも言ったな。……俺より先に死ぬな」 【樹里】「……孫一を待っとかなきゃいけないから、ね。」 【樹里】「……だから、死なない。約束する。…それに、今は、死ねない。…」 【孫一】「俺は……向こうに待たせてる奴が多すぎるんでな」 【樹里】「……そっか。」 【孫一】「長くなってすまなかったな。まあ、そう言う事だ」 【樹里】「わかった。」 【樹里】「…今日は、これからどうするの?」 【孫一】「そうだな……脳がやられてるし、少し休みたい気分だ」 【樹里】「…そっか。…一緒にいたら、邪魔?」 【孫一】「いや。ありがたいが……さっきも言ったとおり、今夜は抱いてやれねぇぞ?」 【樹里】「構わない。…"相棒だから"、ね。…たまには、そういうのも、いい。」 【孫一】「じゃあ、頼む。一人で眠るのは……苦手だ」 【樹里】「……ん。おやすみ、孫一。」くすり、微笑みながら頭に手を伸ばして。くしゃ、と撫で 孫一: では、ゆっくりと目を瞑って腕枕します 【樹里】「………相棒、か。……」つぶやきながら添い寝して 【孫一】「……頼りに、してるぜ」そのまま、樹里が寝付くまで目を閉じてじっとしている 【樹里】「……ん。…おやすみ。」瞳を閉じて。