21:15 (rouge__) 【クラウ】「…………ふぅ。」 21:15 (rouge__) 束ねた長い金の髪。 …その髪は、少しほつれ、汚れていた。 21:15 (rouge__) 手入れをしていない、というより、手入れを忘れた、程度の汚れ。 21:15 (rouge__) しかし、本人の人形めいたような美貌とは、少しイメージが違うか。 21:15 (rouge__) 何時も着ているはずの白いドレスを脱いだ替わりに白衣を纏い、熱心に紙の束に目を通すことをやめない。 21:15 (rouge__)   21:15 (rouge__) 【クラウ】「………夜?」 21:15 (rouge__) 雑多なものが積み上げられた自室の窓の外を見つめる。 ……どうも見づらくなったと思えば、日が落ちていたのか。 21:15 (rouge__) 【クラウ】「……水が飲みたいわね。」 21:15 (rouge__) 呟き、彼女は小さくベルを鳴らした。 21:21 (torazou) 一人の時……心を占めるのは魔器の事……あれが正しいことなのか?今でも答えは出ない 21:22 (torazou) その考えない様にしようとしても……隙をついて表れる思考……それに引きずり込まれそうになる一瞬を打ち破るように……小さくベルの音が鳴る 21:24 (torazou) 【ユーティ】「……お呼びですか……姫様」普段なら控えてる筈の侍女は居らず、佇まいを正すとその音に答える為に、クラウの部屋のドアを開け 21:26 (rouge__) 【クラウ】「………。 あら、あなたなのユーティ。」 予想と違った人間が現れたことに、多少目を見開いて驚きながら。 「他のものは出払っているみたいね。 この状況では仕方ないでしょうけれど。」 自分の髪を撫でながら、自嘲気味に呟いて。 21:29 (torazou) 【ユーティ】「……はい、私がお傍の用を……」静かにクラウに答えながら、此処に着てから何度かはやって着た事…侍女ではないため不手際は多いので、この仕事には苦手意識が消えないのだが「……それで姫様?」 21:33 (rouge__) 【クラウ】「水を貰えるかしら……と、言おうと思っていたのだけれどね。 なんだか、それはどうでもよくなったわ。 …今、あなたは任された仕事があるのかしら?」 窓の外に視線を落としてから、自らの白衣を指で払って。 視線だけをユーティに動かして尋ねる。 21:36 (torazou) 【ユーティ】「……いいえ……姫様のお傍をお守りする以外には……」答える言葉も静かに自分の主を見る……たった一人残った主を 21:38 (rouge__) 【クラウ】「そう。 ではついてきなさい。 水を受け取りに行きます。」 物腰優雅に椅子から立ち上がり、ユーティの上から声を掛ける。 彼女の返事を聞く前に、先に歩みを進めて。 21:41 (torazou) 【ユーティ】「……!?はい、姫様ですが……それぐ……いえ、お供いたします……」クラウの言葉に異を唱えようとしては直ぐにそれを止めて、クラウの後を追う……主の言葉に異を唱える……そんな事などできる訳もなく、服装の差からか直ぐにクラウに追いついて「……それで姫様……このような時間まで何を?」 21:44 (rouge__) 【クラウ】「フィンジアスは滅んだわ……」 静々と館の廊下を歩きながら、ユーティの言葉に答えになっていないような返答を返す。 「……魔器。 あなたは、実際に試作と完成品を見たのだったわね?」 21:46 (torazou) 【ユーティ】「……っ」一瞬見透かされているのかと思える主の問いに言葉を詰まらせてから「……はい……試作は実際に使用を……完成した魔器とは……戦闘に同行しました……」 21:48 (rouge__) 【クラウ】「あれは。 素晴らしいわね。」 クラウの言葉はどこか夢見るかのよう。 前を見ながらも本当に前を見ているかは定かではなく。 疲れのせいだろうか、ふらふらとした足取りで歩いていく。 21:51 (torazou) 【ユーティ】「……素晴らしい……確かに魔器は……病魔に対して有効……でした」クラウの言葉……そこに戦士としての自分は同意する、だからなるべく客観的に事実だけを述べて「……姫様…足元に御気を付けを……」ふらふらと歩くクラウを何か有ればとっさに支えれる位置に動きなおして 21:54 (rouge__) 【クラウ】「足元? ……ああ、ええ、そうね。」 足元を眺めて、ふ、と笑う。 「何をしていたか、というのであれば。 魔器の研究と実戦での効果をまとめたものをアルハより貰ったの。」 21:59 (torazou) 【ユーティ】「……魔器の……研究と効果……」それは確かに主に…良くあったものであろう「……姫様…姫様も魔器を御創りになろうとして居られるのでしょうか?」知らずの内に少しの恐怖が言葉の端に上がって 22:05 (rouge__) 【クラウ】「そうね。 この手で作り出せれば、どんなに良いかと思うけれど。」 そして、自分の手を眺めて… 「自らの手で魔器を生み出し、王家を、国を奪った病魔に鉄槌を下す。 確かに、それが出来たらとても胸のすく思いでしょうね。」 声に、暗い響きを滲ませながら、ユーティに言葉を返す。 「ですが私には無理。 それは、資料を読んでハッキリと分かりましたよ。」 22:12 (torazou) 【ユーティ】「……姫様……」主の…その言葉の伝わってくる重さに掛ける言葉が見つからずに言葉を濁す、そう…その願いを叶えるには最短の一手と思える魔器…だがそれを受け入れられない自分は何処か壊れてしまったのだろうかと思いながら「……姫様が出来ずとも……アルハ=ラズ=エリンディルが……いるではありませんか……」主に形の上だとしても味方を手に掛けて欲しくないと願いつつ 22:17 (rouge__) 【クラウ】「そう、ね。 私がやらずとも、アルハ=ラズ=エリンディルが上に立ち、病魔との闘いを導いてくれる。 …しかし、私はそれでは納得できない。 一つの歯車となるのに屈辱を感じるわけではありません。 ただ、フィンジアスの意思として、より多くの病魔を屠りたい。 傲慢かしらね。」 表情の色は見せない。 ただ訥々と、感情も見せずに話を続ける。 22:22 (torazou) 【ユーティ】「いいえ……姫様が願われるなら御心のままに……その為に……力不足ですが……私も居ます」今は一人だけの主……それを護る為、その願いを叶える為ならば……自分の命は当然の様に差し出すべきなのだと思い直し……当然の事なのに思い直さねばならない僅かなズレに心の中で首を傾げて 22:26 (rouge__) 【クラウ】「………。」 唐突に、ユーティのほうを振り向き、その姿をじっと見る。 「……フィンジアスは滅んだ。 しかし、あなたは共にある。」 22:31 (torazou) 【ユーティ】「……はい……姫様付きでなければ……国と共に落としていた命ですから……」それが幸運か不運か…いや主が居る以上幸運以外の何者でも無いのだろうと、答え「……最早、私に主と呼べる方は……姫様しか居られません」 22:36 (rouge__) 【クラウ】「そう…。 もはや、私しかいない。 私が消えれば、フィンジアスという血筋は、滅ぶ。」 ユーティの言葉に、一つ、頷きながら。  「……この世界。 こんな世界。 消えた王家の血筋を語り継いでくれる人がいるかしら。」そう言って見せる表所は、どこか寂しげなもの、だった。 22:40 (torazou) 【ユーティ】「……させません……姫様が消えるなど……私が……」クラウが消える…それは自分が消えるにも等しい事、それを考えるだけで頭に鈍痛が走り…途切れ途切れに…今までよりも感情の篭もった声で答え 22:46 (rouge__) 【クラウ】「真なる魔器の完成には、適正なる人間の協力が必要ということがわかったわ。人の存在、それそのものを必要とする。」 先の資料に書かれていた事実。 アルハが手渡ししたその資料の内容を思い出しながら、ゆっくりと告げる。「……適正は、私にもあった。 アルハが、そう告げました。」 ユーティの返事、それに僅かに笑みを返した。 平坦に、言葉を続ける。 22:51 (torazou) 【ユーティ】「……それは知ってます……私は…それを知っていて……姫様それはっ!?」止める事も促す事もどちらもせずに…ただ見ているしか出来なかった自分…だから…クラウの……その言葉の意味は罰なのだ…と頭の隅が考える「……姫様…まさか……それをお受けしたわけでは……?」 22:56 (rouge__) 【クラウ】「消えていったものたちに報いるのであれば、自らを力に変えてでも、病魔と闘うのが道。 しかし、私はフィンジアス王家の最後の一人でもある。」 いつの間にか、給仕室には着いていた。 しかし、中には入ろうとせず、底で歩みを止めて、言葉もまた、止める。 22:59 (torazou) 【ユーティ】「……はい。姫様無くして……フィンジアスの名は残りません……」だからその言葉の続きが否定であることを願い……同じ様に、立ち止まる… 23:05 (rouge__) 【クラウ】「………一日で答えられる言葉ではなかった。 ……ユーティは、フィンジアスの名は、どのような意味を持っていると思う? 既に滅んだ王家の名。 繁栄を極めた王家の名。」 23:09 (torazou) 【ユーティ】「……私には……それが全てです……それ以外には…何も…残りません……」だから、選んで欲しくないと言うかのように…無意識に…クラウを引き止めるように、袖に何時の間にか手を当て 23:15 (rouge__) 【クラウ】「…………そう。」 ふと、腕にかかる重み。 ユーティのつかんだ袖に目をやって。 「……誰かの記憶に残る限り、フィンジアスは絶えない。 それも一つの考えでもある。 …選ぶことが出来る。 二つの未来を。」 23:21 (torazou) 【ユーティ】「……それは……ですが魔器は……今度…私の知る誰かがなるならば……今度は……引き止めたいと……」悔恨からか…親に棄てられる子供のような気分からか、そう答えて 23:25 (rouge__) 【クラウ】「…あなたに、それは止められること?」 小さく、低く、声を上げた。 「彼女は、私に強制はしなかった。 そういうことよ。」 23:27 (torazou) 【ユーティ】「………」それを…主から言われてしまえば押し黙るしかなく、下を向いたまま固まったように動けずに、只無言で 23:31 (rouge__) 【クラウ】「…………。 もし、私が魔器となったなら。」 無言に鳴っているユーティに背を向けて。 「…あなたが、フィンジアスを語り継ぎなさい。 フィンジアスの最高の騎士として。」 23:36 (torazou) 【ユーティ】「……それが姫様のお望みでしたら……」魔術の枷か…カラッポを埋める一片か……逆らえぬ言葉に絞り出すような低い声で返して騎士の礼を取り「……ですが、姫様……その日が来る事がなきよう祈る自由をお許しください……」そう頭を垂れて 23:40 (rouge__) 【クラウ】「………。 あなたは騎士としては、戦うものとしては…優しすぎるわね。」 そのまま、給仕室の中へと歩を進める。 此れで話は終わりだといわんばかりに。 「…でも、ありがとう。」 23:45 (torazou) その言葉に少しだけ目線を上げる…目に写る背は近寄りがたく……動く事すら間々なら無い… 23:46 (torazou) 優しすぎる…クラウのその言葉が、とても重くて… 23:47 (torazou) 自分はきっと……そんな物ではなく……とても……ずるいのだと…… 23:47 (torazou)   23:47 (torazou)   23:47 (torazou)   23:47 (torazou)