21:29 (tsuku-yom)   21:29 (tsuku-yom) コツコツ、と。軽く小さな足音を響かせ、廊下を歩く。 21:29 (tsuku-yom) 足音はなるべく立てず、背筋は真っ直ぐ、黒ローブの裾をゆっくりと翻して歩くのが流儀。 21:29 (tsuku-yom) 目的は最初からただ一つ。ソコへ向かって真っ直ぐに、ただ一直線に進んでいく。 21:29 (tsuku-yom) ……もっとも、静かでゆっくりとした歩調とは裏腹に、その表情はあまり余裕があるようには見えない。 21:29 (tsuku-yom) 丁度、未知なる領域へ挑もうとする果敢な少年少女がいるとしたら、丁度こんな面持ちだろうか。 21:29 (tsuku-yom) やがて、その足音が唐突に途切れる。一つのドアを前にして、ごくり、と息を呑む。 21:29 (tsuku-yom)   21:29 (tsuku-yom) 【ミスティ】「ユーティ、いるかな……はぅあぅ、ま、まずは落ち着いて、しんこきゅーして、失礼しますからだよね…」 21:29 (tsuku-yom)   21:29 (tsuku-yom) やがて、恐る恐る伸ばされた小さな手が、目の前のドアを…ユーティの部屋のドアを、コンコンコン、と小さくノックする。 21:29 (tsuku-yom)   21:29 (tsuku-yom) 【ミスティ】「あ、あのあの、ゆ、ユーティはいますか? ミスティでひゅむっ!?」 21:30 (tsuku-yom)   21:30 (tsuku-yom) ……慌てすぎて、舌を噛んだらしい。 大丈夫なのだろうか……。 21:30 (tsuku-yom)   21:30 (tsuku-yom) (きゅ〜) 21:39 (torazou_) ノックとドア外からの呼び声に気が付いて本を閉じる……きっと今まで何度と無く読んだ本を 21:41 (torazou_) 姫様と姫様の従者以外に人が尋ねて来る…という事に少し驚いて、来客を迎える為に椅子から立つ 21:43 (tsuku-yom) 【ミスティ】「い、いひゃい……」舌を噛んでちょっぴり涙目になりつつも、もう一度コンコンコン、と規則正しく3回の等間隔なノックの音を響かせる。「あのー…ユーティ、いませんかー?ミスティですけれど……」 21:43 (torazou_) 【ユーティ】「……ミスティ……ミスティ=ルティーナ?」確認するように呟くと姿の見えぬ相手の為にドアを開き 21:46 (torazou_) 【ユーティ】「……なにか用?」相変わらずに表情は動かないが若干不思議そうな音色が声に篭もって 21:46 (tsuku-yom) 【ミスティ】「あ…こ、こんにちは、ユーティ」ドアが開き、その中から覗いた顔にほっとした様子で。両サイドのお下げを揺らしながらぺこり、と軽くお辞儀をする。「こんにちは、突然オジャマしちゃってごめんなさい……良かったら、一緒にお茶とお菓子でもどうかな、って」そういうと、黒いローブに隠れていた片腕には、布の被せられたバスケット。カチャカチャと、陶器が軽く音を立てていて。「もし、オジャマじゃなかった、ですけど…いいですか?」 21:47 (tsuku-yom) (訂正:オジャマじゃなかったら、ですけど) 21:49 (torazou_) 【ユーティ】「……御茶と御菓子……」平服に帯剣した姿でとミスティの言葉に応じてはそのバスケットを見る言葉通りの持ち物、それを認めてから「……いいけど……私は余り話し相手に……向いてないと思う」それでも良いのと言いたげにミスティを見て尋ね 21:53 (tsuku-yom) 【ミスティ】「いえ、いいんです。私がユーティさんと一緒に食べたいなーって思っただけですから」パタパタと軽く手を横に振りながら、小さく微笑みを浮かべる。そして、若干落ち着かなさそうな様子で爪先を床にグリグリとしながら、「そ、それじゃあ…あの、お部屋。 お邪魔してもいい、ですか?」 21:54 (torazou_) 【ユーティ】「……どう…」 21:54 (torazou_) (マチガイ 21:56 (torazou_) 【ユーティ】「……どう…」少し考えて。どうぞ…と言おうとして言葉を止めて「……少し待って」と部屋の中に戻りベッドの上の縫い包みを幾つか仕舞うと改めて戸口に戻る「……お待たせ……入っていい」 22:00 (tsuku-yom) 【ミスティ】「は、はい…それじゃあ、お邪魔します」ユーティの許可が下りてからたっぷり10秒ほど、すうはあ、と深呼吸を整え、妙に硬い表情でドアを潜り、部屋の中へ。 22:00 (tsuku-yom) …手と足が同時に出ているように見えるのは、きっと気のせいであろう。 22:02 (torazou_) 【ユーティ】「……ミスティ=ルティーナ……貴女の呼吸はまるで新兵が戦いに赴く時のような感じがする……」何故だろうと思いつつ小首をかしげ「……椅子に、私はこちらに座るから……」と先ほどまで掛けていた机と椅子をミスティに薦めて 22:06 (tsuku-yom) 【ミスティ】「え? そそ、そんな事はないですよっ?た、ただちょっと…他の人のお部屋にお邪魔するのは、初めてなもので……あ、これはご丁寧に」目深に被ったローブの奥から、部屋のあっちこっちに視線を彷徨わせ。しかしすぐに無作法だと思いなおし、薦められた椅子に腰掛け「あ、テーブルはありませんか?お茶とお菓子、広げちゃいますから」 22:10 (torazou_) 【ユーティ】「……そう……私も姫様や姫様の従者以外を部屋に入れるのは初めて……机以外にテーブルは……」自分の部屋を見回すと確かにテーブルは有る……だがそのテーブルは複数の縫い包みの台として使われていて「……あれくらいしか無い」 22:14 (tsuku-yom) 【ミスティ】「それじゃあ、ちょこっとだけスペースを使わせてもらいますね……でもこれ、ぬいぐるみでも作っているんですか?」縫い包みをそっと横に除け、僅かばかりのスペースを作り、そこにバスケットを置き。中から既に紅茶の入ったティーポットに、カップを二つ。そして焼きたてクッキーを取り出し二人分を用意。「はい、どうぞ……ちょっとだけ、安心しました」そんな事を言いながら、ユーティに紅茶とクッキーを渡す。 22:19 (torazou_) 【ユーティ】「……うん……好きだから……」ミスティの言葉にうっかり素直に頷いて…しまったと言い直す「……嘘嘘……これは貰い物……。……良い匂いだと思う……ありがとう、ミスティ=ルティーナ」と僅かに慌てたように付け加えて話を逸らそうと礼を言う 22:22 (tsuku-yom) 【ミスティ】「こんなに一杯、つくりかけの縫いぐるみの貰い物、ですか……ふふ、分かりました。 でもぬいぐるみ、ふかふかでふわふわで可愛いですよね」ユーティに慌て様に、くすくすと微笑み浮かべながら。「いえいえ、お礼なんていいですよ。さっきも言いましたけど、ユーティと一緒したくて押しかけたんですから…それに、ひょっとしてお部屋でまたむつかしい顔して、うんうん唸って考え込んでるんじゃないか、って心配もしてたりしましたし…」 22:27 (torazou_) 【ユーティ】「……でも貰い物……」そう繰り返してじーっとミスティを見る事によってその意見を押し通そうとして「……可愛いと思う……私よりミスティの方が似合いそう……」可愛いという言葉には同意を示す「……もしかして……あの時の事を心配してくれてた?」 22:32 (tsuku-yom) 【ミスティ】「はい、貰い物なんですよね。 でも、可愛いからいいじゃないですか。女の子のお部屋ですから、ぬいぐるみくらいあっても全然不思議じゃないです」うんうん、と何度も頷き。「生憎、私の部屋はぬいぐるみにはあんまり似合わない環境でして…」とちょっぴり苦笑い。「きっと、ユーティは私達が知らないことを知っちゃって、それで悩んでるのかなって…勝手な想像ですけど、だったらひょっとして、今もまだ悩んでるんじゃないかなって思ったんです 22:32 (tsuku-yom) 」 22:36 (torazou_) 【ユーティ】「……うん」その言葉に少しだけ頬を染めて頷き「……ミスティ=ルティーナ、貴女の部屋はこう言う部屋じゃないの?」この施設内なら対して変わらないのではないかと首を傾げて尋ねる「……うん……それは……」少し悩んで口にする「……多分今も悩んでる……そして、もし病魔と戦いが終っても悩んでると思う……」 22:41 (tsuku-yom) 【ミスティ】「私の部屋は、その……間取りは一緒なんですけど。部屋中魔術書とかで埋まって足の踏み場も……掃除しなきゃ、って思ってるんですけど。掃除するとかえってどこになにがあるのか分かんなくなっちゃいそうなので」事実、部屋そのものはどこもそう大した変化はないだろう。 ただ、部屋の中身がどうなっているのかは人それぞれである…そして、ミスティの部屋は非常に混沌としているらしかった。「…魔器は、やっと見つかった病魔に対する対抗手段 22:41 (tsuku-yom) 。それ自体は迎合すべきものでも……その由来を知ってしまったら……」脳裏に浮かぶのはあの日、オートクレールとアガートラームを手に現れたアルハに、掴み掛かったアストの姿。 22:46 (torazou_) 【ユーティ】「……そう。私は余り物を持ってないから……」縫い包みと僅かな家具、そして本が数冊有るだけの部屋を見て「……あれが始まる前に声を掛けられなかったのは……そう言う事だから……それに……私は多分見ただけで終った最初の出来事の方が……砕けたシェルファを見てるのに……止められなかった……」2つ…いや二人の魔器と…砕けて終った最初の魔器を思い出して 22:54 (tsuku-yom) 【ミスティ】「…私の部屋も、これくらいこざっぱりとしてればいいんですけど…捨てていいものまで大事にとっておくのも考え物ですよね」はふ、と溜息。今度こそキチンと部屋を隅々まで掃除しよう、と心に誓う。 …ちなみに、今まで事あることにそう誓って、実行された試しは未だ一度も無いが。「シェルファ……ギャルバを倒した時、初めて作られた魔器で…砕けてしまった魔器、ですね」ぽつり、と呟く。人が死に、そして魔器となり。魔器となって、最後には 22:54 (tsuku-yom) 砕け散って。 それを見ているしか出来なかったユーティの苦悩はどれほどのものだったのか。推し量ることなどできず…「それでも…砕けて終わってしまったけれど、無駄ではなかった。病魔を倒せるという、希望を繋げた。 …そう、考えてしまう私は、きっと、冷たい人間なんでしょう、ね」 23:01 (torazou_) 【ユーティ】「……そう、あれが人だった……そして砕ける可能性が有る……と知っていた……」それは自分だけが掴み自分だけで手離した可能性……尤もそれを手離さなければ病魔に対抗できる手段など現在は無く……それが「……きっとどちらを選んでも後悔はしたと思う……」そしてミスティの手を取っては見つめ「でも……ミスティ=ルティーナ……貴女はこうして私を心配してきてくれた……それは冷たい人間のする事じゃないと思う」 23:11 (tsuku-yom) 【ミスティ】「後悔のない選択、っていうのは、難しいものですから。 ましてや、それが…誰かの命に関わることなら、尚更ですよ。 ユーティさんの立場に私が居たら、きっとさっさと割り切っていたと思います……そうしないと、覚悟、鈍っちゃいそうですから」ぽつり、と呟き。紅茶を一口口に含んで「は、はわっ…だ、だってほら、ユーティは…大事な、仲間で、お友達ですから…お友達っていうのは、私が思ってるだけかもしれませんけど」 23:16 (torazou_) 【ユーティ】「……そうかもしれない……そうだと思う……」それでもやはり後悔するのだろうと思いながらミスティの言葉に相槌を打つ、正しい理解しても…それも一年経たずに忘れてしまう自分……今は自分のそれが少し憎くく「……友達?」意外な言葉に僅かに驚いたような声を上げて 23:21 (tsuku-yom) 【ミスティ】「後悔のない選択はとても難しい。でも、私は自分の選んだ道を嘆いたり、振り返ったりはしません。 でないと、その選択を選ぶために、斬り捨ててしまったものの意味が無くなっちゃいますから…だからせめて、その分も背負って、前に進むって。決めたんです」それは、故郷が病魔に滅ぼされ、一族の死山血河の上に誓った事。我知らず、カップを掴む手に力がこもり、カタカタと揺れて。「はい、お友達、です……迷惑じゃなければですけど…ダメ、で 23:21 (tsuku-yom) すか?」あわあわと黒フードを目深に、その奥から恥ずかしそうにユーティを見て。 23:26 (torazou_) 【ユーティ】「……ミスティ=ルティーナ……そう言える貴女は強いと思う……」振り返らないと振り返れない……その差は有るのかと考えながら答え「……迷惑ではないけど……でも……きっと失望させると思う……私は友達を持って良い人間じゃないから……それでもいいの?」目を伏せて答える…ミスティの言葉はとても嬉しいのだとは思いながら…… 23:33 (tsuku-yom) 【ミスティ】「そんな事、ないです。私は強くなんてないですよ……がんばって、精一杯背伸びして、強がってるフリをしてるだけです。 でも、そんな事は言ってられませんから……頑張らなくちゃ、です」既に立ち止まる場所はない、振り返るべき過去も、場所もない。ただ、前に向かって進んでいくだけだから…それは、何ももたないが故の、歪な強さ。脆く儚く、強く毅く、そうあるようにと自身を定めた、不安定な刃。「私こそ……ひょっとしたら、一杯迷惑とか 23:33 (tsuku-yom) 掛けちゃうかもしれませんけど…それでも良かったら、お友達になって、くれませんか?」…そんな自分でも、誰かと手を取り合ってみたいと思う。それは余計なものであり、同時に、何よりも大切なものだと思う。 23:40 (torazou_) 【ユーティ】「……ふりが出来るというのも多分強さ」そう言うとミスティの手を取って「……なら…いい。……友達になろう……ミスティ=ルティーナ……貴女が望まぬその時まで」それはこの記憶にある一年で初めて自分が望んだ繋がりで 23:46 (tsuku-yom) 【ミスティ】「だと、いいですけど。 それに、ユーティだって強いと思います。 ううん、ユーティだけじゃない、ここにいるみんなは、きっとそれぞれの強さを持って居る、って。そう思います」力だけが強さでは無い、力以上の強さがある…ユーティが1人、自身の裡で悩み苦しみ、決断したように。それもまた、強さだと思うから。「こ、ここ、こちらこそ!ずっとずーっと、お友達で居ましょう!」ぎゅ、っと、その手を握り返す。思えば、故郷を滅ぼされてから 23:46 (tsuku-yom) 初めて出来た友達……付け加えるなら、女の子の友達は、これが始めて。若干、握る手もちょっぴり硬く、ぎこちない。 23:51 (torazou_) 【ユーティ】「……よろしく、ミスティ=ルティーナ」握った手を包みながら自分よりは小さな手…そしてあの時自分を励ましてくれた暖かい手をその温もりは心地良く「……友達ならミスティとだけ呼んだほうが良い?」ずーっとと言う言葉に若干後ろめたい気分を覚えつつそう尋ねて 23:54 (tsuku-yom) 【ミスティ】「はい、是非名前で呼んでください。それにほら、私なんて最初からユーティ、って呼び捨てですし。これで御相子ですよう?」にこにこ笑顔で、握った手を上下に、ぶんぶん。 誰かと手を繋ぐ事、縁を結ぶ事。復讐しか考えられなかった頃と違って、今はソレがとても嬉しい。 23:59 (torazou_) 【ユーティ】「……御相子…そうかもしれない。」真面目そうに頷きながらそう答え「……ミスティ……ではその、よろしく……」にこにことした笑み、自分では出来ぬその表情を持つ友達に改めてよろしくと言葉を預け 00:05 (tsuku-yom) 【ミスティ】「はい、宜しくユーティ」ふわふわに微笑む。友達になって、名前で呼んでもらえる。こんな何気ないことの嬉しさを噛み締めながら「それじゃあ、クッキーと紅茶、これ以上冷めちゃう前に、食べちゃいましょう。折角美味しく焼いたんですから、勿体無いです」 00:10 (torazou_) 【ユーティ】「……頂きます」と律儀に言葉にしてからクッキーを口に入れる「……うん、美味しい……」甘い御菓子…そこには友達と言う隠し味で普段より甘く感じられ「……ミスティお返しに」とぽんと小さなうさぎのぬいぐるみを渡し 00:13 (tsuku-yom) 【ミスティ】「お口に合って良かったです、うんうん」ドキドキものであったが、どうやら好評らしくほっと一息。渡されたウサギのぬいぐるみを、きゅっと抱きしめて「わぁ…ありがとうユーティ。この子、大事にするね」腕の中にしっかりと抱きしめながら、今日一番の笑顔を見せて。 00:14 (tsuku-yom)   00:14 (tsuku-yom)   00:15 (tsuku-yom) ここに結ばれた、小さな友情。  00:15 (tsuku-yom) けれど、それはとても大切な絆。 暫くの間、ユーティの部屋からは、歓談の声が途切れることはなく。 00:16 (tsuku-yom) 後日、上機嫌でうさぎのぬいぐるみを抱いて歩くミスティの姿がちらほら見られたという。 00:16 (tsuku-yom)   00:16 (tsuku-yom)