21:11 rouge >結局、こんな所にきてしまった。 21:11 rouge >……本当はそんなことはないのだろうけれど、どの場所にもい辛い気がする。 21:11 rouge >家にいれば、一年家を空けていた僕をまだ心配する両親。 21:11 rouge >学校は言わずもがな。 ……そして、暫くぶりに再会した幼馴染。 21:11 rouge >……気付けば自分の考えを……いや、考えというよりは…激情に近いそれか。 21:11 rouge >そんなものを叩きつけてしまって、そこにすら居辛くなる。 21:11 rouge >  21:12 rouge >…分かってる、全部被害妄想だ。 別段、何が変わったわけでもないんだろうと思う。 21:12 rouge >ただ、自分自身に対して苛立ってしょうがないから。 ……こんなくだらない事を考えてしまうんだろう。 21:12 rouge >  21:12 rouge >【尚也】「………なぁ、シェル姉」 21:12 rouge >…返事はない。 …春奈の病室を出たあたりで、勝手に何処かへ行ってしまったらしい。 21:12 rouge >……呼び戻そうと思えば出来る…が、そんな気には、なぜかならなかった。 21:12 rouge >  21:12 rouge >【尚也】「………ひっさしぶりに、一人だなぁ」 21:12 rouge >夜も更けたロイヤルガード内の休憩室、項垂れながらそんな事を呟いた。 21:12 rouge >  21:15 hikami >【燐】「―――……人?」 常ならば帰宅していて可笑しくない時間、なのだ。 既に新学期、寮生活もスタートしており、門限と言う二文字も無論存在する。 任務ならば兎も角の事、私事での無断遅刻は…面倒、の二文字に置き換えられる内容であり、 少し遅れるも盛大に遅れるも変りはない、故に……休憩、あまり満足の行く品揃えではないものの、 売店にでも、なんて思考で訪れたのだが 「何、尚也だったのね。こんばんわ?珍しい……って言う程でもないわね、最近そんなに見かけなかったと思ったから」 21:18 rouge >【尚也】「…ん………あ、ああ?」  気配にやや過剰なまでに反応してそちらを振り向く。  「こんばんは…なのか? …ああ、こんばんは、だな、燐。」   手元の時計に目をやり、時間を確認する。 改めて確認した時計の針は、予想以上に進んでおり。自分でも僅かに驚きながら。 21:21 hikami >【燐】「―――……何、寝惚けてる?」 肩にかかった金糸を後後部へと払い除け、常の如く不機嫌に細められた視線。 コツ、コツ、と、年齢に見合わぬ厚い底の靴で床を叩き、軽妙な音を響かせ傍へと向かう 21:24 rouge >【尚也】「わかんないな。 寝てたのかもしれない……気がついたら時間たってたし。 でもまあ、寝てたんなら疲れが取れててもいいよな。」  はぁ、と、一つ大きめなため息。 疲れたような視線で天井を見上げ、肩を回す。  「…まあ、多分寝てたわけではないと思う。 崇高な考え事をしてたんだろう、多分、うん、きっと。」  少し冗談めかして、そんな事を言う。 表情はあまり笑ってはいなかったが。 21:28 hikami >【燐】「ふぅん?崇高、ね」 無論本気にはしておらず、視線、と言うよりも高さを合わせる為になのだろう、此方は座る事なく正面に陣取り右手を腰に。 それで漸く此方の視線の方が高い位置 「―――どうせ、この間惨敗したメンバーの事でも考えていたんじゃない?別に入院ぐらいするでしょう? “戦って”いるのだもの、それとも…」 そこで、ふ、と、唇が笑みの形に吊上がる。無論… 「―――勇者様は、誰一人傷つけないで戦った、なんて武勇伝あるはずないんでしょう?」 ―――楽しげなものではなく。 21:33 rouge >【尚也】「…。」  また一つため息。 額を抱え、視線を地に落とす。  「いやなんつーか…燐はそういうの鋭いよなぁ。」  少し肩を震わせて、虚勢の笑い声のようなものを上げて。 ひとしきり肩を震わせた後、顔を上げて正面に立つ燐をわずかに見上げて。 「…それに燐、なんていうか、僕を見てれば分かるだろ? その、完璧な勇者って言うのに僕がどれだけほど遠い人物かってのはさ。」 自分の頬をつつき、自分で悲しくなるような台詞を口に。 21:40 hikami >【燐】「鋭いわけじゃないわ、尚也が判り易いだけじゃない。―――寝惚けた顔に“お姉さま”もつれないでぼーっとしてて、 それで“何も無い”なんて思う筈無いわ?そうね、風羽にだってわかるんじゃないかしら?」 予想通りに過ぎてなのだろう、正解らしき応えにも漏らすは溜息。無論、無い胸を張りながらであるので脱力、という訳ではなく 「ふぅん?―――ねえ、勇者様?」 完璧、の、言葉。何が面白かったのか、こんどはくす、と、少し楽しげな響きの笑みを零し 「“完璧”って、どういう存在かしら。ね?“勇者様”?―――ねえ、尚也。前回のミッション、貴方、行った訳じゃあないんでしょう?」 21:47 rouge >【尚也】「…ははは。」  シェルファが居ない、とぼけた顔。 自分が何時もの状態でないことをあっさりと見破られ。 乾いた笑い声を上げる。 「風羽散乃…だっけ。 名前は聞いたことがあるけど、そういう引き合いに出されるってことは…運、ここで口にはしないほうがよさそだな。」  そこまで口にして、しばし黙り込む。 時計の針をしばし眺めて…。  「……完璧、か。 そうだな…ちょっと考えたけど、上手く説明できないな。  失敗だらけの僕からすりゃ、ありえねー…って存在ではあるんだろうね。 少し憧れるかな。」 21:52 hikami >【燐】「逢ってみれば判るわ、多分1〜2往復の言葉のやり取りでね?」 そのぐらいの余力はあるのだろう、推察に及ぶ答え…わかりやすい引き合い、ではあるものの一応の満足、頷き―――が、沈黙は、きちんと待つ。 「元々尚也に上手い説明だなんて要求してないわ?直感的な性格だってのも判ってるし、そうじゃなくって…」 そこで言葉を、切る、珍しく…言葉を捜し、視線が反れた、結果 「―――貴方は“勇者”だった。その事実で、それが完璧かどうかなんて自分で決める?それこそ驕りね。 偉いんだって権力を振りかざす政治屋と大差ない、自分の過ちも功績も見分けをつけないでふんぞりかえる俗物ね。 ―――何を悩んでるのだかしらないけど、重傷者が出たのは着任したウィザードの失態でしょう? 生きてるのだし、対策はきっちり報告書が出れば幾らでも取れるじゃない。それとも―――現場から、怖くて、逃げてでもきたって言うわけ?」 22:00 rouge >【尚也】「………一々言葉が痛いな、燐は。 まあ、当たってるとも言えなくはないかな。 直感的ってのは。」  苦い笑いを浮かべるしかない。 言葉を取られれば、そんな風に感じる子もいるか、などと、素直に感心しながら。 傲慢なつもりはなかったが、確かに、自分で決められることでもない。  「…そりゃ、僕は現場に行ったわけでも、逃げて帰ってきたわけでもないよ。昔は、逃げてかえってきたこともあったりするけど。  ま、それは今関係はないな。 悩んでる…悩んでるのかな…そこは自分でも分からない、が。」  そして、今始めて口にして思い当たる、悩みという言葉。 自分は、何かを悩んでいるのか? と。  「…悩んでるように見える…か? 僕。」 22:06 hikami >【燐】「事実しか言ってないもの。嘘は言ってないんだし、良いじゃない、別に」 無論悪びれた様子も無く、轟然と胸を反らしたままでの言葉。視線は先刻と比べれば幾分か柔らかいものの、 睨んでいるように見える程度には目つきが悪い 「陶酔、とでも言って欲しい?悩んでいる、と言う言葉にも出来るわ、でもね?」 伸ばした小さな、小さな―――少女の手。それが指差しの形に変えられ 「―――考え込んでいるには違いないわね、何をそんなに気にしてるのかはしらないけれど、そんなんじゃ―――」 つん、と、割と強い勢いで尚也の額を突く 「―――死ぬわ、間違いなくね。悪夢を好む人間は悪夢しか見れない、最も、夢を拒む権利が無いのが癪だけれど。 ……私が気にしてるのは1点、この間の惨敗ミッション、何か知ってる、って事?それとも“傷”を悔いているだけ?」 22:15 rouge >【尚也】「………む…。」  額に走ったゆるい衝撃に小さな声を上げる。  「……死ぬ、か。」  俯き、小さくその言葉を呟いた。  「死ぬんだよなぁ……戦ってると。」  これも、また小さな言葉。 目の前に燐が居るというのに、彼女に向けたものではないような言葉。  「…って、あ、心配は、してくれてるのか。 それは、ありがたいよな。 うん。」  何度か彼女の言葉を脳内で反芻して、そんな結論に思い至ったり。 少し、表情を和らげる。 22:20 hikami >【燐】「ええ、死ぬわね?」 半眼、今度こそ全うに睨む、と言うが相応しい視線を注ぎ、突いた指をそのまま外し――― 「っ―――だ、誰がっ!」 ―――その予定も、撤回。追撃の指差し攻撃をまたも額に決め、憮然と腕を組んだ 「別に、陶酔してる尚也が居たから話しかけただけ、それと、剣も持たずに―――って、まあ、この中ならそう面倒もないのだろうけど、 ヤル気ある?って事、それに―――……癪、なのよね。報告書がろくにない、重傷者だけがいる。ヒーラーも随行しての事…… それでも破滅的な月匣があったって話も聞かないわ、寧ろそんな状況だった、ってのなら私がこうしている理由がわからない。 アンブラの方も何もなし―――知ってそうな顔されたら気にかかって当然でしょう?」 22:26 rouge >【尚也】「う。」  先程よりも少し強い衝撃、勿論脳が揺らされるようなものではないが、少し頭を前後させて。  「…はは、燐がそういう反応をしたのは、始めてみた。貴重だ。」  目を閉じて、何か悦に浸って見せる。 悪い所で調子に乗る悪い癖。  ある種致命的なそれではあるのだろうが、本人はそれには気付かない。 ……だが、言葉を続けて耳にしていくたびに、表情が曇る。  「…そのさ、僕は…さっき、そのヒーラーの病室にいってきたんだよ、な。」 22:31 hikami >【燐】「煩いわね、本当―――ああ、もう―――ちょっと優しくしてあげればそれ?全く―――」 ぶつぶつと、文句が続く。それでも実力行使は二発のみであり、 その文句の一部に向けられた反応、ある種の予想外にはた、と、言葉が詰まった 「―――成程?ふぅん……重傷者を目の前にして怖気づいたわけ?“勇者様”が。護りきれなかったから? その場に居もしなかったのに。それこそ欺瞞ね。私も同じ治療役だから、という訳でも無いけれど、 ヒーラーなんてものは傷を負って当然、それで尚“死なせない”事が仕事―――自己犠牲も良い所よね、この言い草。 それぐらいの覚悟を持て、って教練ぐらい受けるわ。攻手の気にする事じゃないわ」 22:40 rouge >【尚也】「………幼馴染、だったんだ。 彼女。」  彼女の口からつむがれる様々な言葉。 それには何一つ答えずただ、それのみを一言返す。  「…小さい頃は、大きな休みになったら隣町のその子の家にいったりさ。  割とそういうなじみって、大きくなってくると疎遠になりそうなもんだけど……僕には妹が居たからさ、 二人が仲いいから僕もなんだかんだで付き合い続けててさ。 なんつーか、そんな相手、なんだ。」  気付けば、そんな事を喋っていた。 自分と彼女…天宮春奈との関係を、つい先日知り合ったばかりの少女に向けて並べていく。  心に靄がかかったような今の状態を、何とかしたい。 なんて無意識に思っていた…のかもしれない。 22:45 hikami >【燐】「―――へえ?」 またも、予想外。ぴたり、と、呟く様な由無し事は止み、幼馴染、への反応を返す。口元は…皮肉に歪み、告げられ行く“幸せ”を 「―――だから、悔しい?だから、情けない?それこそ侮辱ね、貴方」 一蹴、ふん、と、振り払うような嘆息を零し口元を歪める 「ねえ、勇者様?―――“向こう”では一人で戦ったの?―――違うでしょう?」 挙句、斜め上。幼馴染、へ触れる事なく向かうは―――幻想。ユメの外の話し。 22:52 rouge >【尚也】「悔しい……。 情けない……。 どうなんだろう、どっちも違う…かな、多分。」  本当に、自分でも何故ここまで動揺しているのか分からない……いや、本当はわかっていて… ただ認識したくないだけなのかもしれないが。口は…そう動いた。  「そう、だね。 僕が一人だったら、あっという間に魔物の餌だったろうさ。 4人……いや、シェル姉も含めると、5人。  僕には…かけがえのない仲間が居たよ。」  瞼を閉じ、もはや交わることのない…だが、けして色あせないであろう記憶を呼び起こして。 22:59 hikami >【燐】「へぇ、じゃあ……“かわいそう”?それとも―――“腹が立つ”かしら。 スキなオンナノコが傷ついたらオトコノコとしては悔しかったりするのかしら?」 なんて、揶揄の響きと共に落とす。次いで 「“尚也一人だったら”魔物の餌。じゃあ、振るい手の居ない剣はどう?剣士の居ない癒し手でも、護られない術師でも良いわ。 ―――そのどれもが役立たずだわ。その子、なんていうのか知らないけど…貴方の幼馴染は少なとも“誰も殺さなかった” ―――ちゃんと褒めてあげたでしょうね?」 23:07 rouge >【尚也】「…………は、は。」  力なく、椅子に沈み込む。 その言葉を受けて、がん、と、頭を殴られたような、そんな衝撃。 春奈は確かに、傷ついて倒れた。  しかし…その役割は、皆を守り命を護る癒してとしての役目は…12分に果たしていた。……そうなのだ。  春奈は、自分の意思で戦うことを望んでいるし、力も十分にある。 …だが。 「…分かってるんだよな、そんなこと。 多分分かってたんだ…でも…言ってやれなかったな。 ……そういう奴だよ、僕は。」  椅子に沈み込み、自嘲を込めた言葉が漏れる。 23:15 hikami >【燐】「―――戦わせたくない?護りたい?傷つけたくない?ふん、さっきも言ったけれどそんなものはただの自己満足で、私達への侮辱よ」 それがヒーラーとしての矜持、腕を組み、轟然と身を反らし、不快そうにゆがめた口元から漏れるのは嘆息 「戦わせたくないのならば世界を捨てさせるしかないわ、とうに私達は“ヤサシイセカイ”なんてものからは零れ落ちているのだもの、 世界が騙す欺瞞を見抜ける眼と、その優しい嘘を否定できる力を手に入れているの。貴方が“勇者”で“不完全”と認めるのなら―――」 そこで言葉を区切り、探る様な沈黙、コツ、と、歩を一歩、さらに相手へと向け 「―――遠慮なく頼れば良い、その分頼らせて貰うわ?貴方が傷つくことをその幼馴染の子が望む、 なんて面白い事はないでしょうし、だったらお互い様でしょう?」 23:25 rouge >【尚也】「……戦おう、って自分で決めた奴に、戦うな、やめちまえ…って言うのが相手の決意を全く考えてない話だってのは、よく分かってるんだ。  僕もそうだったから…分かる。 そんな決断をするのは…生半可なことで出来ることじゃないんだ。  そんなことは分かってるんだ…自分だって散々悩んで決めた記憶があるんだ…分かるよ…。  僕と春奈は、同じ舞台に立ってる、同じウィザードだってのは…」  静かに、ただ静かに言葉をつむいでいく。 頭では理解していること。  春奈の意志を、力を持った彼女が選んだ選択を他人が歪めることなどできないということ。 だが、それでも。  「……無理だったんだ。 言わずに、いられなかったんだ。」  23:32 hikami >【燐】「ふぅん……春奈、って言うのね……」 ぽつり、と、零れる小さな呟き。恐らくは幼馴染、の名前だろう響き…反芻の独り言が零れた 「―――甘いわね、尚也。本当……なんで貴方みたいなのがユメから抜けれたのか…それとも、貴方みたいなのだから? ふん、まぁいいわ、どっちにしたって―――貴方もそのハルナって子も逃れられないんだもの、悪夢はまだ続くわ? 逃げるつもりなら抱きかかえて行く事ね、最も、そんなコトしたら嫌われるでしょうけれど?」  クッ、と、零れる笑みは皮肉、挙句…… 「―――失望させないで欲しいわね“勇者様”?貴方の望む完全は世界を掌握する神ぐらいだわ、―――私の、敵の、ね。」 23:44 rouge >【尚也】「ほんと、僕みたいな奴が何で…ってのは今でも思うな。」  そこだけは、苦い笑みを見せた。  「……戦いはこれからも続く。 エミュレイターもいれば、ウィザードもいる。  僕くらいなんだろうな、ウィザードなんて沢山いるから、誰かに任せときゃいいんだよ、なんて考えてるのはさ。」  一度落ちるところまで落としてしてしまえば、思考が驚くほど明快になったような気がした。  「…それで、誰も死んで欲しくないって思ってる当たり、本当…重症だ。」 23:52 hikami >【燐】「でも事実、超えた例は尚也だ、と言うのは確かだわ?貴方の剣も同じくね。なんで、が判れば手っ取り早いのだけれどね」 此方もつまらなそうに嘆息するのみ、組んだ腕を解き、またも腰へと添えた 「―――重症ね、本当。でもそういう意味では良かったじゃない?尚也の幼馴染がヒーラーで。 ふふ―――“彼女”を護れば少なくとも死人は増えないわ?自身が重症を負って尚、死人を出さないヒーラー、 アンブラで受けた講義で言えば合格点、頼もしいじゃない、“勇者様?”貴方の幼馴染は添え星足りえる意思を持っているみたいよ? ―――死なせたくないなら殺しなさい、遍く敵を侵魔も冥魔も、その敵を全て。でも残念、それだと争いは無くならないわね? 人任せにしてたら任せた人が死ぬかもしれないし、それを護ろうとしたハルナって子が死ぬかもしれない。 ―――なんていうと、戦う気になるかしら?」 00:00 rouge >【尚也】「……て、いうか。その微妙な強調は何だ。」  ごほん、と、僅かに頬を赤らめて咳払い。  「別に、僕と春奈はそういう関係じゃないからな。 今までだってそういう事はなかったし、これからだって多分ないだろ。」  あんなふうなことを言ったしな、なんて事をぼうっと考えながら弁解する。  「…結局、戦ったら誰か死ぬかもしれない。 そういう事なんだよな。 それを、人任せにするかどうするかって話なんだろうな。」  結局自分は、アンゼロットにこんな世界があると教えられて、戦うことになっている。  僕がこの世界で戦わなければならない理由が、戦おうとする理由は…まだ思いつかない。  これまで戦っていたから、なら、やるか。 …結局は、そんな程度だ。 00:06 hikami >【燐】「なんだ、違うの?つまんないわね―――何、スキじゃないの?可愛そうに」 くすくすと、からかいのネタを見つけた楽しさから子供っぽい笑みを零し、それでも――― 「そうね、貴方が切った侵魔も冥魔も“死ぬ”し、“向こう”でもどれだけ死んでるか―――でしょう? ふふ、だったらせめてこうしてあげれば良いんじゃない?」 そこで一度言葉を区切る、そっと、常の攻撃じみたものではなく、手を、伸ばした 「―――死んだ人の為に死なない。そのために戦えば良いんじゃない?貴方の手は血に濡れているのは変らないわ? 勿論私も、アンブラの教導で何度も実践訓練なんてやらされたし。だったらその血を踏み躙らないで生きれば良い。 それに―――死ぬのが怖いのなら、私が生かしてあげるわ?無論、“彼女”もそういうんじゃない? ―――それが、ヒーラーの矜持だわ。戦場に一度でも身を置いたのだもの、逃げ道を用意するのは欺瞞でしかない、 どころか―――尚也?そんなコトをしたら“貴方が彼女を殺すわよ”?」 00:19 rouge >【尚也】「………ま、ね。」  自分の手のひらを眺める。 剣を握った感触を、思い出す。 自分がはじめて戦った魔物を。  激戦を繰り広げた異界の魔王、そしてその四天王、そして八鬼衆。  どれも踏み越えて、切り裂いて、世界を……大事だと思ったここではない世界を護った。  「…死んだ人の為に……か。」   思い出されるのは、青い髪の少女。  「どうせ帰ってしまうんでしょ、全部終わったら。」なんていう彼女に、 「…いや、僕は、帰らないよ。…ここにいる。…決めたんだ。」 なんて返した。  ………だけど、自分の手の届かない場所で冷たい肉になった彼女。  その体を抱いたときに、…いろんなものが壊れた気がした。そのまま、今に至って。  「………僕は…。」  燐の言葉に、口ごもる。 どう返していいのか…答えられない。 自分がやるべきことについて。 00:23 hikami >【燐】「―――…だから私は逃がしてあげないわ、尚也。戦いなさい?貴方の剣の為にも、貴方の腕で死んだモノの為にも、ね? 嗚呼―――貴方を“勇者”と呼んでいた人の為、でも良いわ。逃げ道なんてとうにない、そんな場所にいるのだもの?」 伸ばした手はそのまま相手の頬。触れるわけでもなく、脇へと伸び―――ぺちり、と、軽く叩く 「―――悩むなとは言わない、でも逃がさない。考えが纏まらないのなら、話ぐらいなら聞いてあげるわ? 最も――……ふふ“こうしている”と“彼女”に誤解されるかしら、浮気だ、ってね?」 ぺちり、と、肌が音を鳴らすのを黙って眺めている。 少し、驚いたように。 【尚也】「……そうだな。 僕らの歩んでる世界は……そういう世界だ。」  立ち上がり……立ち上がると、流石に体格差。 みあげる形から、みおろす形へと。  「………誤解、か。 誤解されて、怒られて。 殴られて叩かれて燃やされて。  ……でも、そんな風にされるのは…今思えば、楽しかったかもしれない、な。」  燐は、春奈について言葉をかけたのだろう。 しかし、尚也の脳裏にあったのは異世界の少女のこと。 見当違いの言葉を返す。 00:37 hikami >【燐】「―――本当にヒーラー?まあ、私もあまりヒトの事言えないけれど」燃やす、の辺りに零れた感想はそんなもの、 無論…春奈の事、と受け取っていた。ともあれこれで視線の位置は逆転、半歩身を引き距離を取り、伸ばしていた手も引っ込めた 「―――さて、流石に今からじゃあ病院は無理、か―――良かったわね?まだ考え事、出来るわよ? 最も、きちんと褒めてあげられるぐらいにはなりなさい?貴方も、春奈って子も逃げられないユメなんだから。―――さ、行くわよ?」 何を唐突に、でもあろう。くるりと背を、向けた 「―――呆けて居たのはどのぐらい?」 00:44 rouge >【尚也】「え、病院って……燐、病院にいく用事でもあるのか?」  そんな白昼夢からさめて、燐の放った病院という単語にびくりと反応して。  「………およそ半日…ってとこだろね。」  改めて時計を見やる。 春奈の病室を後にした時から、それくらいの時間が流れていることに気がついた。 00:47 hikami >【燐】「―――何を言ってるの、尚也が、に決まってるじゃない。私も興味はあるけれど? 尚也が知らないのなら、丁度良い、その春奈って子に聞けば済む話だって判ったもの」 名前が判れば問題は無い、先刻までの戯れにて乱れた髪をかき上げ…元通り、常の、不遜な笑みを浮かべた 「なら決まりね。ついてきなさい?お腹減ったわ。外のレストラン、まだ空いてるでしょうし」 無論、冠言葉にファミリー、のつくもの、である。 00:54 rouge >【尚也】「…そだな。 ……もう一回、だな。」  燐の言葉は重いものではあったが、正しかった。  自分の感情が何処に向かうかはともかくとしても…春奈にもう一度合わなければならない、とは思った。  それを踏まえて、咳払い。 声の調子を変える。  「んじゃ、今夜はお兄さんに任せとけ。何でも好きなのを注文するといいぞ。」   燐の体格上、そこまで負担って事もないだろうなんて打算もちょっとあるあたり、微妙に小物チックではあるが。 00:59 hikami >【燐】「―――そう言う事、ああ、安心して良いわ?ちゃんと行く時間を言ってくれればその時間は外してあげる。 私が用事あるのは貴方達の痴話喧嘩ではなく、重症になった“理由”だけだもの」 背を向けたまま、告げる。歩む足取りにあわせてふわふわと髪が揺れ――― 「―――そう、じゃあ遠慮なく御馳走になろうかしら。」 言う言葉も平素と変らぬ響き、それでも先行しすぎるでもなく、歩調は幾分緩やか、である。―――最も 「嗚呼、それと。……階段では先に歩いて貰うから」 01:03 rouge >【尚也】「………燐、君は僕のことをどーうおもってるんだ。 幾らなんでもそんな最低な行動はしないぞ。」  先に歩く…の意味をしばし考える。 ……燐の服装をちらと眺めてから、ようやく合点がいって…そして更に脱力する。  「いやそれで気が済むんならそうするけどさあ!」 01:08 hikami >【燐】「―――どうだか、ちゃんと聞いているのよ?ロリコン疑惑な上に覗き見までする、なんてね」 言うもののそれなりに楽しげな口調なのはからかって居るが故、長い裾は容易く捲れるはずもなく、 段差程度で中身が覗ける程短いわけでもないが 「気が済む、と言うより、自衛ね。そう簡単に見せるつもりないもの」 次いで身を翻し、先んじて歩む――――――そのまま向かうは本当に、ファミレス。 もっとも、そこで眼にするのは―――偏食、なのだがそれはそれ、小食、と言う予測は正解であり、 食事代は一人分以下―――デザート2品、さえなければ、だが―――… 01:15 rouge >【尚也】「…………その疑惑についてはちょっと出所を詳しく聞きたいところだ。 身に覚えがな……」 …春奈の白、雪緒の青、美鐘のくまを思い出した。  …ああ僕ってすげー記憶力がいいなぁ、なんてそんなことに無駄な感心をしつつ、ぶんぶんと首を振る。  「…みみみ身に覚えがないことを言われるのは心外だからさ!」   そんな騒がしい問答。 誰が騒がしいかといえば、片方だけではあるが。 そんな会話の途切れ目に、低い声で短くつげる。 「…今日はさ、なんてか…。ありがとな。」 01:19 hikami >【燐】「―――へぇ?」 慌てるのを見て、向けるは半眼。挙句に追撃の無い、ただの一言―――慌てる有様へも冷めた視線を送り、その道中聞こえた言葉は聴かないフリ。 とはいえ、冷えた視線はそこで途切れ、そっぽを向いた辺り―――聞こえて、はいたのだろうけれども。 01:26 rouge >【尚也】(僕たちは、もうもどれやしない。 ………でも、僕はさ。 怖いんだ。  また、エルシアみたいに失ってしまうのが。 多分、戦うのが怖いんじゃない。  手が届かないのが怖いんだ…世界は広いんだ…広すぎて…僕なんかじゃ、どんなに頑張っても…届きゃしない。  今回だってそうだ…何時も本当に大事な所で僕の手は、届かない。  ……それを思い知らされるのが、怖いんだ。 このままこの世界で戦い続ければ…きっとそれを思い知らされる。 …だから僕は……)  01:26 rouge > 歩きながら、燐との会話を続けながら、さっきまでの会話を反芻する。 春奈へのことは、少し踏ん切りがついた…と思う。  だけど……まだ。 あの日から心にかかる靄は、晴れない。