この島に来て以来良くも悪くも色々な変化が起き、之からもそれは続いて行くのだろう 最近の尤も大きな出来事といえば異世界からの客人で、完全に同じ立場、同じ姿の人物が居ると言う事には流石に驚かされた ならば…あちらの世界にも自分は居るのだろうか…そして彼女も… そんな取りとめも無い事を考えつつ、ジークの部屋のドアをノックする 【ルフト】「ジーク、居ますか?」何時も通りのんびりとした口調で中へと声をかけて 【ジーク】「ルフト様…? はい、いかがなさいましたか?」部屋の中から聞こえるのは、いつもどおりの彼女の声。ドアに近づいてくる足音が止まり、開いて―― 【ルフト】「ええ、また少しばかり忙しくなってきたので…少しゆっくりと話でもしたいと思いまして」開いたドアから覗く顔に向って微笑むみながら答えて「それとも今忙しいでしょうか?」無論尋ねるからにはある程度の予定は知っているのだがそう尋ね 【ルフト】「ええ、また少しばかり忙しくなってきたので…少しゆっくりと話でもしたいと思いまして」開いたドアから覗く顔に向って微笑みながら答えて「それとも今忙しいでしょうか?」無論尋ねるからにはある程度の予定は知っているのだがそう尋ね 【ジーク】「いいえ、今日はもう予定はありません。ギルドとしてのお仕事は終わらせましたし――ルフト様のほうにご用事が無ければ…部屋で休んでいようかと思いました」笑みを返して、主に答える。 【ルフト】「そうですか、それは良かった。最近は少し外が危険ですからね…あと少しの時間でカタが付けば良いのですが、怪我などはしていませんか?」とジークの笑みを見ながら尋ね 【ジーク】「そうですね…病魔、でしたか。多少の怪我はありますが…治癒は出来ますし。やらなければいけないことならば、力を惜しむつもりはありませんから」扉の傍に立てかけてある刀に目線を移して、主に返し 【ルフト】「そうですか…ですが惜しむべき所では惜しむべきでしょう、相手は得体が知れませんからねまだまだ何が起こるかと考えると…」ふぅ、とこの前の事を思い出して溜息を吐いて「まさかあの状態から又動くとは思っていませんでしたが」 【ジーク】「そうですね……海賊たちとの決着ももうすぐ、と言うところでしたが……ルフト様、紅茶でよろしいですか?」主の傍を離れ…キッチンへと姿を消しながら 【ルフト】「ええ、お願いします。それ以外というのも試して見たい所ですが、ジークが折角お茶を入れてくれるのなら紅茶がよいですね」その後ろ背を見送りながら部屋の椅子に座って 【ジーク】「いえ、紅茶は私も好きなので……もうしばらくお待ち下さいませ」慣れた手つきでカップを、茶葉を準備していく 【ルフト】「こう言うのを小さな幸せとでもいうのでしょうか?」その背に尋ねるように言葉を放ち 【ルフト】「ええ、待っている時間というのも楽しいものですから」頷きその様子を見て 【ジーク】「……私にはそのお答えを返せませんけど――そうなのかもしれませんね。普段余りこうゆっくりすることがありませんから」お湯をポットに注ぎ、茶葉が開くのを待つ。時間を目を閉じて計りながら… 【ルフト】「いや…ゆっくりするのがではなく、ジークがお茶を入れてくれているのをのんびり見るのがですけどね。こればかりは一人では出来ません」と少し考えるように間を空けて「では、幸せと思っておくことにしましょう、その方が得した気分になります」 【ジーク】「…私が、ですか?」2つのカップとポット、砂糖とミルクをお盆に載せて…テーブルに戻り「どうぞ、そろそろ丁度いい時間になっていると思いますから――」カップに琥珀色の液体を注いで、主へ差し出し 【ルフト】「そうですよ、ジーク。今の僕の幸せと言うのはジークが傍に居る事それが一番ですから、それ以上は一寸思いつきません」ありがとうと微笑んで礼をいいながら受取って 【ジーク】「…ええ、それは私も一緒です。ルフト様のお傍に居て…居られることが、私にとっては…」カップに口をつけ、一口飲んで 【ルフト】「ええ、ですがジークの口で言われるのはやはり光栄です」片手を取って甲に口付けてから「では頂きます」風味を味わいながらゆっくりと紅茶を飲み 【ジーク】「ありがとうございます…その言葉、私にとっても凄く嬉しいことですわ」笑顔を浮かべて…言葉を返す。この時間、自分にとってはとても温かくて…大事なもので。 【ルフト】「ん、やはり美味しいですね。」それは何時も飲み慣れ親しんだものではあるが、それ故に心地よく身体に染み渡り 【ジーク】「…でも、私…本当にこうなれるということが、今でも信じられなくて。ルフト様の傍に居られるってことが…」胸元に手をあて、ほぅ…と息を吐く。 【ルフト】「頬でもつねって見ますか?夢だと痛まないそうですよ…どちらかと言うと今はジークが傍らに居ない事の方が夢だと思います、とても悪い」神妙な顔で頷きつつ「だからふと思うのですよ、彼等の来た世界の僕らは何をしてるのかなと。もっとも居るとは限りませんが、あちらのエリーシア様の様子だと家は存在するようですが…」 【ジーク】「そうですね…あちらの世界の私は――また、あちらの世界のルフト様にお仕えしているのでしょうか。それとも…別の道を歩んでいるのでしょうか」 遠いあちらの世界に向かって想いを馳せる。あちらの世界の自分は、何をしているのか―― 【ルフト】「ジークが子供の頃何かしたかったものでも?もしかしたらそんな為りたかったものになってるかも知れませんね」 【ジーク】「私が子供のころ、ですか…? 物心ついたころには侍女としての心構えを教わっていたような記憶がありますし――そうだとしたら、やはりルフト様にお仕えしているかもしれませんね」その言葉にくすりと笑って 【ルフト】「それならばやはり恵まれてるのでしょうね、ジークの様な侍女など居るとは思いませんし」微笑んでその言葉に答えてから少しだけ表情を暗くし「もしそんな二人があちらの世界に居るのなら…あの時だけは僕らと同じで無ければ良いですが」と昔の傷のある当たりに触れて 【ジーク】「あ、はい――」あの時、という言葉…ずきりと心の奥が痛む。「…あの時だけは…私もルフト様も無事で居てほしいと思います、あちらの世界の…」ぎゅ、と胸の前で手を組んで…祈るかのように 【ルフト】「ええ、その事でジークからは多くのものを奪ってしまいました…それでも一緒に居てくれるのはやっぱり嬉しかったですよ…」その様子を目を細めて見て…「ですから、ジークから奪った分だけこれからも僕のものを分かちあえれれば良いとね。」 【ジーク】「いえ……それが私の勤めだと思っていましたし。今もそれは変わらないと思っています――例え、いつ消えるかわからぬ命だとしても…」祈りをやめ、ルフトのほうに視線を移し。「…私は、たくさんの物を分かち合わせて頂きました。私にとっては、あのときの言葉だけで充分です」 【ルフト】「消させませんよ、その事が理由で有るならば絶対に僕がどうにかしてみせます。それに、それ以外の事でもです」確たる根拠など無くともそれだけはと願いにも似た言葉を紡ぎ「貴女が充分でもです。これからも一緒ならば過去の言葉だけでなく、これから先に手に入れれるもの感じるものもです」そう言って手を取ってジークを見つめて 【ジーク】「……あ――」取られ、重ねられた手。その言葉。僅かに下を向いて、俯き…「はい…ルフト様がそうおっしゃってくださるならば…私も、一緒に――」ぎゅ、と手を握り…「生きさせてくださいませ、ルフト様――」 【ルフト】「物惜しみする性分ですからね、こんなに大事な相手を手放すなんて考えれません…」握る手の暖かさを失いたくは無いと心の奥底より思いながら「ですから、言葉より重いとは思いません…そして軽いとも思いません、ですが時には形として表す事も大事でしょう…その約束の証として…」と一度握った手を開かせて 【ルフト】「受取ってもらえますか?今度は前のように御守り代わりと言うわけでは有りませんから、よく考えて下さい」と部屋の明かりに銀色に光る指輪をその掌に渡して「ああでも、ある意味呪いかもしれませんね」と笑い 【ジーク】「……いいえ、呪いなどではありません。ありがとうございます――」そっと手の中にそれを収め…大事そうに抱える。 【ルフト】「ふう…流石に少しほっとしました。」息を吐いてその様子を見て「礼を言うならそれはきっと僕のほうですよ、うけとってくれて有り難うとね」 【ジーク】「いえ……私のほうです、それは。私の想いを受け取ってくださって…そして、過ごさせていただいて――」とさりと身体の重心をルフトのほうへ向け…寄りかかる。こうしていたい…抱きしめて欲しい、と僅かな願いを込めて 【ルフト】「僕がそうしたいからそうしてるんです…ジークの為だけじゃありません…敢えて言うならば僕等の為ですね、一緒に過してるんですから」と自分とジークの暖かさを交換するように寄り掛かかられた体を抱きしめながら口付けて「今だってこうして抱きしめてキスして…ジークを独り占めできて」そうやって居たいのも自分の思いと口に乗せ 【ジーク】「…はい――」くちづけられ、口付けを自分からも返し…「…私は、こうさせてもらえる限り…頑張れそうです。ルフト様の傍で…」 【ジーク】「私の想いは…ルフト様と共に――」ぎゅ、と腕を背中に回して。 【ルフト】「ええ、これから先も共に居る為に…このぬくもりを無くさない為に」優しく抱きしめ返して手放してはならぬものと心に刻み直し 【ジーク】「……はい――」その言葉にもう一度、しっかりと頷く。絶対に、この温かさを失いたくないと…心に刻む。 【ルフト】「ジーク、愛してますよ」抱きしめたままその短くとも心地よい返事に頷き 【ジーク】「……私もです、ルフト様――」その思いに返そうと…声を出して   あの時、全てを失ったと思った――でも、繋げてくれた人がいた。 そして今、私はその人と共に在ることができる。その人の力になることができている。 いつか、私が…消えてしまうとしても。消えるその瞬間まで、彼の傍に在ろう―― いや…消えずに、居られたら。自分にある枷が…なくなれば、と――