道の試練も終わり、ネメシアがベースに訪れる等小さい変化が身の回りに起こった。そして仕事をしているうちにふと思い出したことが一つ 【シフォン】「あ…そうだ。これ、そろそろ返さないと…。さて、と」と書類業務を終わらせ席を立ち、その足を訓練場に向ける おそらく、今頃の時間は訓練場辺りか、図書館か。まずは訓練場にしようとそこに辿り着き、きょろきょろと見回す 【シフォン】「居るかな…」と、ネメシアの姿を探す 【ネメシア】「ハアッ!!」掛け声と共に放たれる裂帛の気合が訓練場に響く 【シフォン】「ん?」その掛け声を聞きふと視線をそちらに向け「居た居た。ネメシアー」居るのを確認し、声をかける その声と共に放たれた剣の一撃は地面に立てられていた幾本かの剣を容赦なく圧し折って再び鞘へと収められる 【ネメシア】「ん…ああシフォン貴君か、どうかしたのか?」息を吐いてからシフォンへと目を向ける 【シフォン】「何というか、それでほとんどの力封印してる、てのも凄い話しだね」その剣筋を見てふと漏らし「ん、ちょっと返すものがあったのを思い出してね」 そのまま歩いて近づき 【ネメシア】「動いてない相手なら斬るのは容易いと思うぞ…うん?」 【シフォン】「これの事」懐から試練の途中に渡された一振りの鞘に納まった短剣を取り出す 【ネメシア】「…ああそれの事か」すっかり忘れていた顔つきで短剣を見やり 【シフォン】「試練も終わったし、返しておこうと思ってね…って忘れてたのね…」ちょっと呆れ気味に 【ネメシア】「それはその…うむ、元々私には扱い難い物であったからな」 【ネメシア】「シフォン、貴君の役には立たなかったか?」 【シフォン】「まぁ、そうだろうけど。とは言えコレはネメシアが渡された物だしね。それに、ボク自身にも過ぎた代物な気がするし」 【シフォン】「いや、コレには幾度か助けられたし、役に立った。」役に立たなかったか?という問いには微笑んでこう答える 【ネメシア】「そうか…だがシフォンそれなら尚更の事コレは貴君に持っていて欲しい」シフォンの方に短剣を押しやると「私はシフォンに色んなものを貰ったし、これから迷惑を掛けると思う。だからせめてそれは受取って欲しいのだが…駄目か?」そうやって顔を覗き込むように 【シフォン】「駄目って事は無いけど…」その仕草に少し頬を掻いて「何か渡したような記憶はないんだけど」はて、と 【ネメシア】「名前を貰ったし此処に来るように誘ってもらった……私にとっては大事な事だったのだぞ」そのシフォンの問いに少しだけ子供のように拗ねて 【シフォン】「お節介かな、とも少し思ってたけど…そう、それならボクとしても嬉しいよ」その拗ねた様子を見てふ、と微笑み 【ネメシア】「そうか…。うむ、ならば受取って貰えるな?」その言葉に機嫌を直してシフォンの短剣を持った手に手を重ね 【シフォン】「ん、わかった。受け取るよ」目をつぶり、その手と短剣を感じ微笑を浮かべて受け取る。しっかりと 【シフォン】「ありがと」 【ネメシア】「礼を言うべきは私のほうだと思うのだがな。」受取ってもらえて満足そうに頷いて 【シフォン】「言いたかったんだから、気にしないの」 【シフォン】「あ、そうだ。そういえば試練の結末だけど、結局要因…たしか聖血だっけ?アレはどうなったの?」 【ネメシア】「聖血か、後でリティーシャに会いに行けばよいと思うぞ。リーシュは良い選択をした」 【シフォン】「良い選択、ね。それはリーシュヴァルなら間違った選択はしないだろうしね」 【シフォン】「心配事は全部考えすぎですんでよかったかな。まったく」ふ、と微笑んで肩をすくめ 【ネメシア】「うむ、リーシュもフェリィもお互いを思いやる素晴らしい関係だと思う、あのような関係は羨むべきなのだろうな」 【シフォン】「………(ちょっと悩んで)……いや、うん、そうだね」 【ネメシア】「うん?うむ、シフォンもそう思うであろう」悩みなどには気が付かずに 【シフォン】「ま、万事解決でよかった。ところで、ほんとに聖血って引き受けられなかったの?」以前一度聞いた問い。あの時は疑問にも思わなかったが、塵の時の会話を思い出し、あの時からそういうのを避けようとしていたのでは、と思い 【ネメシア】「私を信じるが良いシフォン。私は貴君等に対して嘘など吐いては居らぬぞ」少々憮然としながらその問いに答える 【シフォン】「ん、おっけ。ハッキリと言えるなら信じるよ」 【ネメシア】「そうか、信じてくれるならそれは嬉しい言葉なのだぞ。ありがとうシフォン」 【シフォン】「礼を言われるほどじゃないとは思うけど」でも嬉しいならそれでいいか。と微笑み「今の生活はどうかな?少しは慣れた?」 【ネメシア】「ああうむ、その件について大事な話が有るのだが…」 【シフォン】「ん?」 【ネメシア】「私は家事という分野についてシフォン達より大きな可能性を残して居ると思うのだ…うむ、実は今日本を読んで知ったのだが食事するものは料理しなけれ行けないらしい…それが此処は当番と聞及んだのだが」 【シフォン】「……ああ、つまり…やった事が無いからどうすればいいのか、って事?」 【ネメシア】「完結に言えばそうなる。つまりシフォン貴君に料理の手解きを受けたいのだ」無論料理など出来る訳でもなく…少し途方に暮れた顔でシフォンを見やりながら 【シフォン】「おっけ、そう言う事ならちゃんと教えるよ」安心させるように微笑んで 【ネメシア】「うむ、快い承諾に再び礼を言う。ありがとうシフォン」俯いた顔を上げるとぎこちなく笑って礼を言い 【シフォン】「ちゃんと教えるって最初に言ったからね」 【シフォン】「もうすぐご飯時だし、今日の当番の人の手伝いついでに教えようか」 【ネメシア】「……ああ、うむ承知した今からだな。良い、決め事は直ぐに行う方が決心が付くであろうからな」そう頷きながら 【シフォン】「そんなに肩に力は入れなくて大丈夫。んじゃ、行こうか。ネメシア」 【ネメシア】「よろしく頼む…それでシフォン何処に向うのだ?」行こうの言葉に首をかしげ 【シフォン】「食堂…の前に一回汗流したほうがいいかな」ふと、言ってから考え 【ネメシア】「うん?料理とは湯浴みを行ってからのほうが良いものなのか」 【シフォン】「そういうわけではないけど、訓練で汗を流したら、一回お風呂に行ってさっぱりした方がいいって事」 【シフォン】「多分、ナマグサな人間以外は大抵そうしてると思うよ」 【ネメシア】「理解した、では湯浴みからだなシフォンも入るのか?」 【シフォン】「あー、うん。そうだね。ボクもついでにさっぱりしとくかな」 書類業務を長くしてたせいかちょっと疲れてるのでさっぱりしておこうかな、と思い 【ネメシア】「うむ、では一緒だな」一緒という言葉が何故だか嬉しく声が響き 【シフォン】「ん?まぁ、そうだね。それじゃいこっか」何か機嫌良くなる様な事今言ったっけかな。と思いながらも声をかけ 【ネメシア】「うむ。善は急げというしな、急ぐ事にしよう」 シフォンと居ると何故だか少し心が温かくなる…良く判らない感情 だがそれが心地よくて、足取り軽く後を追う それも道の試練で起こした小さな変化……… 新しい知識を得ると言う行為は中々に楽しい が書物の知識と言うのは中々に偏っているらしく シフォンに尋ねて知識の修正を行う、日課と言うほどでもないが、それは何となく… 【ネメシア】「うむ、では次だ。このベースの所属する国家の現皇帝の収集癖と言うのは…」 【シフォン】「どんな物の収集癖?」収集とはいっても色んな物がある。どういう物をかが気になり 【ネメシア】「うむ、この本によると力ある武具や異能に類する物とされているな」とページを捲り 【シフォン】「んー…単純に趣味なのか。もしくは強い物、異能の力。そういうのを一箇所に集めたいって所なのかな」 【ネメシア】「ふむ…そう言うものか。では事実であると言う可能性があるのだな。ならばリーシュヴァルの決断は正しいと言わざる終えないな。シフォン達も何れこの島より戻るのであろう?」 【シフォン】「少しは残るかもしれないけど、ずっとこの島に居るって事は無いね…って、リーシュヴァルの決断って?」 決断ってなんだろう、そんな疑問が浮かぶ 【ネメシア】「うむ…それは…」少しだけ考えてから「使わぬ、見付からぬ事を選んだのだ、地位あるものがアレを使うと巻き込まれるものの規模が違であろうからな」 【シフォン】「なるほど、確かにそれが一番だろうね」リーシュらしい。そういう思いも出て小さく笑みを浮かべ 【シフォン】「ボクが同じ立場だったとしても同じようにするし」 【ネメシア】「そうか、ならばシフォンも賢明の輩であるな…」こくりと頷きながらソレに答え「所でシフォン、前々から一度尋ねようと思ったが貴君はこの島にどうして来たのだ?」 【シフォン】「ん?この島に来た理由。というか船に乗った理由か…別に大した事じゃないよ」 【シフォン】「特にする事も、居場所があったわけじゃないからね。単純に仕事って所」ほんとにたいしたことの無い事ゆえに少し苦笑し 【ネメシア】「ふむ、目的も無くと言うならば別の意思によってその考えは簡単に覆されるであろうから、私にとってはそれは幸運な事であるな。」 【シフォン】「ん?幸運って?」 【ネメシア】「簡単だ、此処で今シフォンと話す事も無かったであろう?」 【ネメシア】「故に私にとっては幸運に類する範囲であろう。シフォンにとっては如何であったかは解らぬが」 【シフォン】「なるほど。ま、ボクもこの島に流されたのはある意味幸運だったね。信用に足る人も出来たし、ネメシアやリルカに会えたのももちろん。ね」笑みを浮かべ 【ネメシア】「そうか、うむそうであるならば私も嬉しい」とまだ硬いが小さな笑みを浮べ 【シフォン】「前は、この依頼が終わったらまた何も考えないで世界を放浪してようって思ってた。でも…帰ったらしたいこともできたし」 ふと上を見上げ 【ネメシア】「ふむ?シフォンのやりたい事か……この島で何か目的を得たというのであればそれは良い事だ、祝福させてもらう」とシフォンの視線を追う様に上を見て 【シフォン】「ありがと。…ネメシアはこの島から出たらどうする?」 【ネメシア】「うん?シフォンに付いて行っては駄目なのか?」何を今更と言った風情でその問いかけに問いかけで返し 【シフォン】「んー、何かしたい事とかはあるのかな。ってね、先にそっちに付き合おうかなって思っただけ」付いて来て貰う事自体は問題ない、けどネメシアにしたい事があったら先にそちらを優先したい気持ちもあり 【ネメシア】「うむ、シフォンと一緒に居るのが良いな。何故だか知らぬがシフォンと一緒に居ると心地よくてな」したい事はと問われて幼子のように答え 【シフォン】「そっか。そう言ってもらえるとボクも連れ出した甲斐はあったって感じかな」 【ネメシア】「リルカにこの話をすると何故だか応援されたが…ふむ、シフォンにとっても悪くない答えなのであるな」気配だけは嬉しそうに答え 【シフォン】「まぁね。あそこから出た事を後悔されたら意味あまり無かったし。でも、心地よく感じるなら、それは嬉しいよ」 【ネメシア】「そうか、うむ…良い」シフォンの言葉に少し火照る顔を冷ますように頷き答え「それで…シフォンの目的とはなんであろう?」 【シフォン】「戻ったら、少し用事済ませたら孤児院でも建てようかな。と思ってね」穏やかに笑みを浮かべ 【ネメシア】「孤児院?」聞きなれぬ単語に首を傾げてて尋ね返す 【シフォン】「簡単に言えば、親に捨てられた子とか、両親が居なくなった子を保護する家って所かな」 【シフォン】「子供の成長を見るのも良いかなってね。ボク自身、無駄に寿命長いし」 【ネメシア】「ふむ…両親…生物学的な祖の事だなつまり立場のまだ未熟なものを庇護するといった所であろうか?それは私にも手伝えるような事なのか?」 【シフォン】「人手はもちろんあった方がいいかな。一人二人の保護じゃすまないし」 【シフォン】「それに、保護した後。少しは鍛えるつもりもあるしね。初級の冒険者くらいには」出てた茶を手に取り一口飲んで 【ネメシア】「そうかでは鍛えるのは私に任せるが良い。身を鍛えると言う事に置いては並み以上で有ると言う自負があるぞ」うむと頷きながらその言葉に返し 【シフォン】「ん、頼りにさせてもらうよ…それと、ボクも此処出た後辺りからは多少鍛えるつもり。」 【ネメシア】「ふむ?体術は兎も角として魔術の腕はなかなかのものだと思うが」 【シフォン】「体術に関してもって事。ベース上では外に単独とかそういうのは無いから魔術を極めた方が貢献できるからそっち優先にするけど」 【シフォン】「此処から出たら、場合によっては。一人で行動しないといけない事もあるだろうからね」 【ネメシア】「シフォン少なくとも私が居るのだぞ。それでは駄目か?」シフォンの袖を取ってじーっと見つめ 【シフォン】「ネメシアの事を信用してないわけじゃないよ。孤児院の外に用事が出来た時、子供達を守ってもらう人も欲しいって事」そんなネメシアの様子に安心させるように微笑み 【ネメシア】「ああ…うむ…任せるが良い」至近で見た微笑に又顔が熱くなる…シフォンの笑顔を見るのは嬉しいが、何故であろうと眉を顰め 【シフォン】「ん。お願いする」小さく笑みを浮かべうなずき 【シフォン】「まぁ、まずは此処から出れるようにしないとね。」目標がハッキリしてるゆえか。最近の忙しさも感じさせず、現在の目的も忘れず 【ネメシア】「もしや何かの業病で有ろうか?」と軽く自問するもその言葉に「良い、では私の剣を証としてシフォンの命が尽きるまで共に有る事を此処に誓う」 【ネメシア】「いや今はシフォンの剣か」 【シフォン】「そこまで大げさに誓わなくても」軽く肩をすくめ「……ん?顔赤いけど、何かあった?」 【シフォン】「まともに扱えないけどね」若干苦笑>シフォンの剣 【ネメシア】「うむ、先ほどから動悸と熱があるようでな、何か病やも知れぬが…。それはそうだ私とてアレを最初か扱えたわけでは無いぞ」 【シフォン】「(額に手を当てて)熱ってわけではなさそうだけど…後で誰かに見てもらった方がいいのかな」測り終えたら手を戻し 【シフォン】「最初から扱える方が変なのが普通だったね」考えてみれば当たり前の事 【ネメシア】「ふ……む、ではそうする事にしよう、誓いをすぐさま破るような事が有ってはならぬからな」離れる手を名残惜しげに見 【シフォン】「体調管理はしっかりね。倒れられると心配になるし…ベース上、無茶する人が多いのもあって時々ハラハラするしね。中々気が休まらないというか」後半は半分冗談、でも半分は本当のことで 【ネメシア】「病等には掛からぬ筈なのだが…世は広いな。」と自分でも不思議そうに答え「うむ、それでシフォンが無茶をするのは私の本意とする所でも無いからな、二回目のような申し出はするのでは無いぞ」と尋ねて来た時の事を思い出して 【シフォン】「それなら、あの時の申し出が必要にならないようにして欲しいかな。」ある意味脅しに近いような事を、必要を迫られれば、そういう行動は取らないという約束はできるかどうかはわからない。分からない事は勢いで絶対を約束できる物でもなく だが、必要に迫られなければ。そういう行動は取る必要が無いわけで 【ネメシア】「いや、うむそうだな愚問であった。だがその答えはとてもシフォンらしくて嫌いでは無いぞ」そう言い何度も尋ねて来たからこそ、今自分も此処に居るのだからと思い 【シフォン】「ボクらしい。って、まぁ、勢いで何でも約束はできないからね」頬を少し掻いて 勢いで何でも約束するわけではない。それは逆に約束をする時は本気という事の裏返し 【ネメシア】「いや、そのような時に躊躇うのはシフォンらしく無いと思っただけだ。それに護れる約束のみ結ぶのは悪い事ではないと思う」 【ネメシア】「だが先ほど誓いを護るためにシフォンの身を案じるのは良いであろう?」 【シフォン】「ん、そうだね。心配されるっていうのもむず痒い感じもするけど」拒否するような気配は無く、それはそれで悪くないという雰囲気で応え 【シフォン】「っと、そろそろ夕飯の時間に近いかな」と、外の暗さを見て 【ネメシア】「そうか、ならば心配されるが良い。シフォン、貴君には私に心配される権利が有るのだからな。うむ、随分と時間が立ってしまったようだ…リルカが今頃食堂で騒いでいる事であろう」 【シフォン】「権利って」ネメシアらしい言い方だな。と少し苦笑し「そうだね。余り騒がせておいても周りに迷惑だし、行こっかネメシア」柔らかい表情を浮かべ、立ち上がり静かに歩き出す 【ネメシア】「うむ、シフォン」その言葉に頷くと立ち上がり、シフォンと並び歩き