●月×日・・・・・・・・今日の仕事は・・・ 【アズマ】「……うーん……でもこれって如何考えても恥しいだけだよね」 ギルドのリビングで日記を書こうとして手を止める……昨日の出来事は記憶から消してしまいたい位で日記には数行で何も書けずに手を止め その日記帳の横では先ほど入れたココアが湯気と甘い香りで存在を主張してる…だが元気の出るお呪いも効果が無いようで…… アズマ】「はぁ……記憶から消したい…」 既に何度目か数えるのも嫌な言葉を口にする……まったく自分でも良くないとは思うんだけど止まらない 窓から見える外の景色は暖かそうで、室内でうじうじしてる自分がに改めて溜息が出る… 【アズマ】「何処か行こうかなぁ……」窓を眺めながらココアを口にしてそう呟き (たっち 【リア】「〜♪」(巷で流行っている歌を、軽く口ずさみながらリビングへとやってくる。 何時ものゴシックロリータ調のドレスに、すました表情。 とはいえ、その表情は何時ものそれと比べてみれば、若干ゆるいのかもしれない。 口元に僅かな笑みを浮かべながら、部屋の扉を開ける。 【リア】「あら、アズマじゃない。 ごきげんよう。 いい陽気ね。」 先客を見つければ、ドレススカートの端をつまみ、気取って礼などしてみせる。 【アズマ】「ふぇ?あっあうっりっリアさん何時から其処にっ?」考えことは忍んでも無い気配さえ気が付かせずに唐突に現れたリアに驚きの声を上げる……そして気が付いたように慌てながら日記をポケットに 【アズマ】「ふわわわわっ!?」入れようとした矢先にドサと床に滑り落ちて慌ててしゃがみ込む 【リア】「うふふ、如何したのかしら、そんなに慌てちゃって。 今隠したのは何かしら?」 慌てれば慌てるほど、大きくなるその挙動には興味を惹かれないはずがない。 楽しそうな事は歓迎しようとばかりに、楽しそうだったその表情を、少し意地悪なものに変えて、一歩足を踏み出す。 【アズマ】「ええっ!?これはそのあの日記っ、日記だよ、だからそのそんなに気にするような物じゃないよっ!?」踏み出された足に驚いて折角拾い上げた日記を再度取り落とし「そっそんな事よりリアさんは今日は何処にも行かないの?皆殆どの人が出かけてると思うけど」だからこそリビングでなぞ日記を書いていた訳で 【リア】「へえ、日記。 アズマって、結構こまめな人なのね。」落ちた日記をすかさず拾い上げ、表紙をじっと視界に納める。 「はい、アズマ。」 ひらひらと、日記帳を振りながらアズマに向けて差し出す。  「ちょっと中身が見たい気がするけれど、リアもそこまで無粋じゃないわ。」 【アズマ】「あっうん、ありがとう……えっとあとその御免なさい、一寸見られちゃうかと思って焦っちゃった」そう言ってリアにぺこりと頭を下げつつ日記を今度こそ仕舞いこみ 【リア】「うふふ、見せてもらえる分には構わないのよ? アズマみたいな男の子がどういうことを書いているかなんていうのは、気になるもの。」 仕舞われていく日記を少し視線で追いながら、少し口元を歪めて。 「リアはさっき、月奈にお仕事のお金を貰っていたのよ。だから、休日はこれからかしら。」  【アズマ】「えっと…そんなにたいした物じゃないと思うよ、習慣で付けてるだけだから」はははははと力なく笑いつつ「そっそうなの…?ええと、じゃあ僕と一緒だね、僕も出かけようかなぁって思ってた所だから」何と無くほっとして言葉を繋ぎ 【リア】「そういう日記をつけていたら、色々と記憶が色あせないものなのかしら?」 リビングのソファーに腰掛けつつ。 身体を伸ばして、少しリラックスしながら呟いて。 「ふうん、アズマ、外に出かけるつもりだったんだ?」 【アズマ】「ええと………忘れないんじゃなくて、憶えていて欲しいからかもしれないけどね」少しだけこの前の温泉で見た賢者の日記を思い出しながら「うん、この前のお仕事でお金に余裕が出来たから気晴らしに何処かに買い物でも行こうかなぁって…」尤もその気晴らしの原因こそがその仕事では有るが 【リア】「覚えていて欲しい…。 自分以外の誰かに…ふうん、そういう考え方もあるのかしら。」 アズマの言葉に、小さく言葉をつぶやいて。 少しだけ、遠くを。 壁の方を見つめる。 「買い物。 アズマが買い物、ね。 どんなものを買うつもりなの?」 【アズマ】「えっと、服とかなぁ…武器も新調しようかと思ったけど今のが使い慣れてるし、あと何か珍しいものでも有れば買おうかなと」 【リア】「アズマの服、ね。 面白そうね。 リアも見立ててあげましょうか? 身嗜みを整えれば、ジニーももっと振り向いてくれるかもしれないしね。」 にやりと、意地悪な笑顔を浮かべながら、アズマに同行を申し入れる。 なんと言うか、なんと言うか。  それは、獲物を目の前にしたネコのように見えなくもない。 【アズマ】「見立てて?ああ、僕こっちの服には馴染みが無いからそうして貰えると……」と途中まで普通対応してた所にジニーの名前が出て顔色を変える「ふぇっ!?なっ何んでかなっ!?どうしてそこでジニーさんの名前がでるのかなっ!?」獲物の素質は十分で顔を真っ赤にして否定しようとする 【リア】「そう? それじゃあ、リアに任せてもらっていいわ。 ちゃんとアズマをコーディネイトしてあげる。」 表情を変えたアズマにすました笑顔で答え、なんでもないことのように言葉を続ける。 「あら、リアはアズマの同年代の女の子の一例でジニーの名前を出しただけよ? そんなにリア、おかしい事をいった?」 くすくすと笑う。 真っ赤になるアズマの表情を改めて見る。 …面白い。 …この子悪魔子猫は、そんな事を思った。 【アズマ】「えっそっそうなの?でもリアさんだってそんなに年が違う訳じゃないんだし」てっきりバレて居るのかと思ったので目に見えてほっーっと息を吐く、その態度は余人には目に見えて判り易く「あの、それじゃあよろしくリアさん」握手をしようと片手を差し出して 【リア】「ええ、よろしく。 いい買い物にしましょう?」 小さな手を差し出し、手を握り返す。 「うふふ、でも、リアはアズマより歳が下ですもの。 だから、よろしくお願いするわね、アズマお兄さん?」 【アズマ】「おっお兄さん?・・・・えっとうん、よろしくリアさん」言われ慣れない単語に赤く為りそっとその手を握って返し「…それで何処に行こうか?服とか売ってる所って余り良く知らないんだけど」 【リア】「駄目ねアズマったら。 ラインにすんで結構長いのに。 お気に入りの服が置いてあるお店の一つくらいはちゃんと見つけておかないと。」 人指し指を立てて、ちっちっ、とばかりにと指を振る。 「それじゃあ、リアが案内してあげる。 それとも、アズマのお勧めのところがあったりとかしたら、教えてくれるのかしら?」 【アズマ】「ああ、うん。頑丈でちゃんと着れたら良いかなぁで買ってるからそう言うのはあんまり……あとお気に入りの所って言っても骨董品置いてる所ぐらいだし、服には関係ないからリアさんのお勧めで良いかと思うんだ」 【リア】「判ったわ、それじゃあ行きましょうか。 リアのほうの準備は出来ているけれど、アズマの準備はいいのかしら?」 ソファーから立ち上がり、ぱたぱたと埃を落としながらアズマのほうを見やって。 「けれど、アズマって骨董品がすきなんだ? なんだか意外ね。」 【アズマ】「大丈夫、これを片付けたら直ぐに行けるよ」と言ってマグカップをシンクに沈めててててと戻り「えっあう、変かな?遺跡から出た変わったものとかってとっても面白いと思よ、あっあと綺麗な模様の小物とか」 【リア】「後半は同意するけれど。 前半に同意する人はあんまりいないかもね?」 肩をすくめながらそう返して、アズマの準備が終わり、追いついてくるのを部屋のドアの前まで歩き、待つ。 【アズマ】「…えぅ、結構面白いのに…誰がどんな目的で造ったのかとか考えると」リアの答えにしょんぼりしながらカップを洗って「お待たせ。それじゃあ行こうか、リアさん」     ラインの大通りにある小洒落た外装の洋品店。 リアは迷うことなくその店へと入っていく。  中を見れば、男性用や女性用など、広めの店内に中々豊富な種類の衣服が展示され、並べられている。 【リア】「はい、先ずは到着、と。 アズマは、この中で何かぐっと来るようなものはあるかしら?」 店内を見回しながら、アズマのほうを振り返って。 【アズマ】「えっえっと……」異世界異文化の服装を一度に集めた様な其処に興味深そうに目を向けて「それじゃあアレかな…あのジャケットとか頑丈そうで通気性も良さそうだし」 【リア】「もう、アズマってば。 直ぐに頑丈そうとか言い出すんだから。 それも大事だけれど、やっぱり、見た目に拘ってみたら?」 そういうと、一枚手に取り、アズマに差し出してみる。 あまり作りは頑丈や頑健といった風ではないが、上質の布と、装飾の施されたもの。 【アズマ】「ああうん御免…」リアの言葉に謝り差し出されたものを受取る、選んだものと見比べるとたしかに選んだ方はやぼったく見えて「でもこういうの…僕に似合うかな…?」中身が負けるんじゃないかと思って尋ね 【リア】「でも、着てみないと判らないものじゃない?」 アズマの問いに、なんでもないかのように答えて。 「それとも、アズマお兄さんは試す事もなく似合わないって判るのかしら?」 【アズマ】「そうだね、折角選んでくれたんだし…」リアの言葉にこくりと素直に頷き「それじゃあ一寸着てみて来るね…えっと試着室は……」きょろきょろと店内を見回し 【アズマ】「…あっあった、それじゃあ一寸行ってくるよ」 【リア】「あそこが空いてるわね。 リア、ここでアズマが戻ってくるのを待っているわ。 いいコーディネイトである事を期待してね。」 【アズマ】「あっうん、ありがとう」リアに少し微笑んでから試着室に向う 【リア】「……あ。」 手を振ってその姿を見送りながら。  自分は少し、何時も自分がきるようなドレスのコーナーに目を向ける。 ……そして、アズマが今入っている試着室の方に目を向ける。 口元が邪悪な形に歪んだ。 「…うふふふ」 【アズマ】「……うーん、やっぱり似合う似合わないは別として…落ち着かない気がするなぁ…」数分後、リアの選んだ服を着終わって試着室の中の鏡で自分の姿を確認して「あっ、リアさんにも見せた方が良いよね」少し気恥ずかしさも有るが自分の言葉に頷いて試着室を出ようとカーテンに手を掛けて 【リア】「あら、アズマ。 お帰りなさい。」 試着室の直ぐ傍に、その少女は移動してきていた。 顔を出した東を、笑顔で迎える。 【アズマ】「あっあれ、リアさん?」試着室の傍らまで移動して居る事に驚いた声を上げて「えっと……選んでもらったの着てみしたけど…どうかな?」意を決して見せる為にカーテンを開けて 【リア】「ふうん……あ、アズマ、後ろ向いてみて?」 などといいながら、様々な方向からアズマの姿をチェックして。 「うん、リアはいいとおもうわよ、そういうの。これならジニーも気にいるんじゃないかしら。」 自分で思った以上に、その服とアズマの適合はいいようだった。 自分も嬉しくなる。 【アズマ】「あう、うん、着心地は良いですよこの服…それにわりと動き易いし」言われた様に動きながらリアに答えるジニーの名前が出ると少し動きがぎこちなくなるがリアの方を向いて「えっと、選んでもらったし折角だからこの服買おうと思います」褒められたのが嬉しくて表情が緩んで 【リア】「うん。 リアもいいと思うわ。」 緩んだ表情。 笑みを浮かべながら、言葉を返す。 しかしその笑みは、小悪魔のそれというのが相応しいのだろうか。 形容するなら、彼女には間違いなく悪魔の尻尾が生えていただろう。 「…ねえ、アズマ。 人生って、潤いが必要だと思わない?」 その表情のまま、くきり、と首を傾げて、問いかける。 【アズマ】「それじゃあ選んでもらった御礼しなくちゃ……ふぇ?」突然の問いかけに小首を傾げてる、潤い?……このタイミングで若干妙な単語だとは思うが「ええと、忙しいばかりじゃ息が詰まっちゃうからそれは有った方が良いと思うけど、それが如何したのかな?」首をかしげたままその問いに答え 【リア】「はい、じゃあこれ、アズマにね。」 そういって手渡したのは、何時もリアが着ているような、ゴシックロリータ調のドレス。 丁度、アズマの身体のサイズにぴったりの逸品である。  【アズマ】「…えっええっ!?あの…リアさん?」勢いに押されて受取った物を見て固まりながら意図を問うように視線を向けて「あっあのこれ女物だと思うんだけどっ!?」 【リア】「リアね、思うの。 アズマって、中々可愛い系の顔立ちをしているでしょう? こういった一芸を身につけるの、損じゃないと思うわ。」 そういいながら、差し出す手を、一つ前に。 じりじりと、アズマを試着室の中へと戻さんがように。 【アズマ】「げっ芸って言われてもこう言うのはっ何か違うと思うんだけどっ!?」先日の悪夢が頭を過ぎる…何と言ってもショックだったのは審査員が誰も男だと思わなかった事実で……勢いに押される様に逃げ場の無い試着室へと追い込まれ 【リア】「アズマ、あまり駄々をこねてはいけないわ。 世の中って理不尽なものなんだから。」 強引に、ドレスを渡してカーテンを閉める。 試着室の前に立ち、入り口を塞ぐ。 【アズマ】「…ええっええっ!?」閉じられた入り口とドレスを見比べながら悲鳴を上げで 10分後 【リア】「うふふ…さてさて。 アズマは如何するかしら?」 出入り口は塞いだが、別段服まで奪ったわけではない。 本当に嫌ならそのまま出てくるだろう。 なんにせよ、服を渡しただけでもあの反応だ。 …面白い少年だと思った。 さらに5分後 【アズマ】「……あううううううう。」何やら呻き声と共にカーテンを開く… 渡されたドレスは見立て通りサイズはピッタリと誂えたように合い 【エスト】「リアさん…えっと恥しいから早く見て終って下さいよー」それなりに見栄えの良い少女?が試着室より出てくる 【リア】「…うん。 リアが思ったとおり、よく似合うわ、アズマ。 うふふふふ。」 冗談で言ったつもりだったが、想像以上によく似合う。 感嘆の吐息を漏らしながら、見物する。 うめく姿も、随分とさまになっている。 【リア】「ね、アズマ。 お金も丁度入ったことだし、リアがそのお洋服、買ってあげるわね。 そしてアズマにプレゼントしてあげる。」 【エスト】「さっきと違って嬉しくないですよー」しくしくと泣き崩れて「ええっ買うってリアさん買って貰ってももう着ませんよっ!?」慌てたように声を上げて 【リア】「でも、もっていたらもっていたで着る機会があるかもしれないじゃない。 色々な自体に備えておくの、悪い事じゃないと思うわ。」 すました表情で、アズマを眺めて。 もう一度にこやかに微笑む。 【アズマ】「無くていいですよー、その上何か使い方が間違ってる気がしますーーーー」 その笑みとは逆に追い詰められた小動物のような表情で悲鳴を上げて 【リア】「ほら、アズマ。 服を脱いで。 お店の人へもって行きましょう?  …あ、脱ぎたくないのならそのままでもいいのよ? くすくす。 似合っているから、リアは脱がないでもいいとおもうんだけれど。」 【アズマ】「ふあっ!?ぬっ脱ぎます、直ぐ脱ぎますっ!!」我に返ると慌てた様に試着室に戻る 【アズマ】「さっさあリアさん、買って次の所に行きましょうっ!!」慌てたように服を着替えて 【リア】「あら、残念。 折角可愛かったのに。 誰も知らなかったら、女の子で通っちゃうくらいに。」 リアは、アイドル事件の顛末を知らないはずだが、その言葉はアズマの心に刺さるかもしれない。 【アズマ】「さっさあリアさん、買って次の所に行きましょうっ!!」慌てたように服を着替えて出るとリアを急かす様に「ええっそんな事無いですよ、僕ちゃんと男ですから」 【リア】「そうね、次はどこへ行こうかしら?  アズマは行きたいところがある? リアはあんまり気に入るお洋服は今日はなかったから、買わなくていいんだけれど。」 【アズマ】「そっそうですね、ご飯でも食べてから適当に色々見て回るといいと思いますよ、だから支払い済ませて早く出ましょうよ」一刻でも早く出たいのかリアの言葉に口早に返して 【リア】「もう、アズマったら慌てなくていいのに。」 誰がさっきの自分を見ていたのか気恥ずかしいのだろうな、という事を理解しながらも、わざとのんびりと歩き。 ゆったりと会計を済ませて、店を後にする。 【アズマ】「あうぅっ、あのお店周りもう行けないですよ…」少しでも早く出たくてリアの手を引くように店を出て 【リア】「あら、強引なのね、アズマってば。」 ころころと笑いながら、アズマに引っ張られていく。 その力には抵抗せずに。 「でも、まだまだ時間はあるわね。 今日一日は、アズマに付き合ってもらおうかしら。 以外と、このラインという街は広いしね。」 【アズマ】「…リアさん今の楽しんでませんか?」少しだけじと目で見ながらも、今日はそれなりに楽しそうだと思い「さっき見たいなのは無しですからね、それじゃあ次ぎは何処に行きましょうか?」と頷き返し 【リア】「そういえば、そろそろお昼の時間ね。 今からギルドハウスに戻ってもあまりたいしたものは食べられないだろうし、何か食べに行きましょうか。 アズマは、いい店を知っている? 今はリアがお店を教えたのだから、次はアズマに教えてもらいたいところね。」 もう、慣れてきたともいえるラインの街。それでも、変化し続ける流れる人に視線をやりながら歩く。 人ごみの中を少年と少女は歩く。 昼下がりの街は、今日も活気に溢れている。 急ぐ人、伸びやかに過ごす人、怒りを覚える人、悲しみにくれた人。 様々な人がそこでは暮らしている。 これは、そんな街の光景の一部分。 ごく平和に戯れる、少年と少女の光景。 今日も、ラインの街は動き続けている。