この世界に来て一番驚いたのは魔法… そしてこの世界は神様がいてその神を奉った神殿がそれなりの権力を持っている、元の世界とはまったく違う事 元の世界の科学で模造したカミサマに似た力…それに似た…いやそれ以上の力を振るう神官と呼ばれる人たち だからその人たち話を聞いてみればもう少しは強くなれるかもしれない…と思って興味が湧いて この前一緒に冒険に出たシルフィさんが元々神殿の人だと聞いて、話を聞いてみたくなり彼女の姿を探す 【アズマ】「ええっと…月奈さんは図書館に居るって……」普段来ない場所は何処か落ち着かなくてキョロキョロと辺りを見回し (たっち 図書館、というよりは書庫といった方が正しい場所に彼女の姿はあった。窓から差し込む日光を受けながら、テーブルの上にある本のページをめくる。 元から、本を読むことは好きで。神殿を出て冒険者となった後もこれが日課になっていて。少し休憩しようと思い、一度本に栞を挟んで閉じ…伸びをする 【シルフィ】「ん……あら?」伸びをした後、辺りを軽く見回す。見たことのある彼の姿を見つけ―― 【シルフィ】「珍しいですね、アズマさん。どうなさいましたか?」と、本を片手に声をかける 【アズマ】「あっえっとこんにちはシルフィさん…えっと」思いのほか早く見付かって安堵の息を吐いて 【シルフィ】「こんにちは、アズマさんも読書ですか?」会釈を返し、一度立ち上がる。本を棚に戻すために一度席を離れて 【アズマ】「いえっ違うんです。今日はシルフィさんに聞きたい事が有って…」 【シルフィ】「聞きたいこと、ですか? えっと、それは…?」もう一度椅子に座りなおし、アズマの方を向きながら…聞きたいこと、というのを考え 【アズマ】「シルフィさんって神官さんだったんですよね。それでそのおかしな事を聞くかもしれませんが、シルフィさんにとって神様ってどんなものかなって聞きたくて」話を聞いてみようと思ったときから考えていた台詞を一気に 【シルフィ】「私にとって神様とは、ですか…? ですが、アズマさんも同じアコライトでは? その質問は…意味が判りかねますけど」アズマもアコライトだったのは、記憶にある。それなのに、どうしてそんな質問を、と。 【アズマ】「ああうん、えっと…僕は……シルフィさんのような人と違ってちゃんとした信仰は教わって無いので。」知識技術としてのなら知って居るがそれはとても信じるというものには至らなくて 【シルフィ】「そうでしたか。私にとっての神様ですか――力の拠る所ではありますけど。神様が全て正しい、全て信じなきゃいけないというわけではないと思いますし…心の拠り所ではありますけど、それが無くても人は生きていけるものだと思っています。神官らしくないですかね?」ちょっと苦笑を浮かべて、アズマの問いに答える。 【アズマ】「町の神官さんに聞いたらやっぱり嫌な顔されそうで……えっとシルフィさんは前はなした時に…優しそうだったから…えっと、御免なさいやっぱり変な質問ですよね」と言い訳を考えている間に答えを返されて「全て信じても無いのに拠り所になるんですか?見たことも無いのに」 【シルフィ】「そうですね…では、お尋ね返しますけど…信じるということは、全てを投げ出すことではないですよね? 見たことがあってもなくても、信じるのは自分の心次第だと思いませんか?」言葉を一旦切って、笑顔を見せて――「私の使う癒しの力も、守護の力も神に祈ることで使えるものではありますし。私は神を信じてはいます。が…神様は全知全能というわけではないとも、思いますしね」 【アズマ】「えっとあの僕にカミサマを教えてくれた人は学問と同じで信じるなんて馬鹿げてる理解すれば良いって教えてくれたんです」その笑顔に一息つくようにほっとして「だから全知全能じゃないって言うのは分かります」シルフィの言葉に頷いて 【シルフィ】「理解も、難しいことだと思いますけれどね……少なくとも、神を信じて心の拠り所としている人はこの世界には多く居ます。でも、神様が居なかったとしても…それならそれで、生きていけると思いますよ。父は根っからの神官で、そういう考えには反対なんですが…母親が冒険者をしていたので、そういう風に教わりましたし」少し昔を思い出しながら、答えて 【アズマ】「だったらあの…今まで通りでも…大丈夫なのかな?信仰が強い方が力が強くなるんじゃないかなって思ってたんですけど」シルフィさんの言葉に 【アズマ】「シルフィさんのお母さんが冒険者だったんですか…じゃあシルフィさんが冒険者なったのもそれが原因とか?」 【シルフィ】「そんなことは無いと思いますよ。信仰が強くても力の出せない方はいますし――そうですね、その影響もあるかもしれません。選んだのは私ですけど」 【シルフィ】「最終的に、力を発揮できるかどうかは自分自身の力だと思います。少なくとも、私はそう思っていますから」にこり、と微笑み返して 【アズマ】「そうなんですか?てっきりお母さんに憧れてとかかと思っちゃいましたけど……自分自身の力…シルフィさんて優しそうなだけじゃなくとても強いんですね」その微笑がとても力強いものに見えて眩しそうに 【シルフィ】「そうでしょうか、私は大して強いとは思いませんよ。このギルドにはもっと強い方はたくさんおられるかと思います――」目を閉じて、自らの胸元に片手を当てながら…「私は、背負う大きな物がありませんから。もっと、大きなものを背負っている方は…いると思いますしね」 【アズマ】「そっそんな事無いですよ、そう言えるシルフィさんはとっても強いと思います」 【アズマ】「それに背負うものが無いって言うなら僕なんて本当に何もなくて…」と溜息を付き 【シルフィ】「私も、ないんですよね。家を飛び出してきちゃったようなものですし…でも、今はありますよ? このギルドのみなの助けになる、ということです」ため息をつくアズマの方を見ながら、言葉を続ける。「背負うものって……自分で決めればいいんだと思います。私はそうしましたけど」 【アズマ】「ほら…シルフィさんやっぱり強いですよ」その言葉に此方も微笑んで「えっとはい、それは頑張ろうとは思ってるんです。だからこんな変な質問もしちゃいましたし」 【アズマ】「そうですね…自分で決めれたら言いなってそう思います…今まで流さればかりでしたし」 【シルフィ】「そう思っているなら、出来るようになりますよ。何事も、まず思わなければ始まりませんもの」 【アズマ】「本当にそうだったら……えっといや、頑張るって決めたんだからここで曲がってちゃ駄目か」パチパチと自分の頬を叩いて 【アズマ】「あの、有難うございました。えっと…聞いたことは考えてたことと違ったけど…とっても参考に成りました」微笑みながら感謝の言葉を延べて 【シルフィ】「心に決めたことがあるなら、頑張りましょう? って、私が言ってもあまり説得力は無いですよね。年もあまり違いませんし」くすりと笑って 【アズマ】「そんな事無いですっ!シルフィさんお姉さんみたいでとっても相談しやすかったですよ」慌てたように 【シルフィ】「お姉さん、ですか? あんまりそういう柄でもないと思いますけど――どういう答えが返ってくると考えてました?」 【アズマ】「えう?どういう答えって?」 【シルフィ】「聞いてたことは、考えてたことと違うって言ったじゃないですか。そこですよ」笑いながら、アズマの方を見なおして 【アズマ】「ああっえっと、その信心が薄いのを感心されないかなって思ってただけで、シルフィさんの答えのように明確には考えてませんでした」自分の浅はかさに赤くなって俯きながら答えて 【シルフィ】「同じ神殿の人にも、信心深い人とそこまで深くない人は居ますしね。信仰が篤い薄いも、その人次第だと思っていますもの」 【アズマ】「えっと…やっぱり、そう言う風に言ってもらえるなら…シルフィさんを見込んで聞いた甲斐が有ったと思います…」ほっとしたように 【シルフィ】「そうですか? それなら良かったです――相談した甲斐があった、って言ってもらえるのは嬉しいことですし」 【アズマ】「本当にありがとうございました…あの、それじゃあ又何か有ったら相談に乗ってもらっても良いですか?」 【シルフィ】「はい、こちらこそ――ええ、その時はまたお話をしていただければ」 【アズマ】「あっうん、それじゃあ、色々ありがとうございました」席を立って再度お辞儀をして 【シルフィ】「はい、それではまた。こちらこそありがとうございました――」同じ様に席を立ち、頭をアズマに下げ その後も何度か頭を下げてから部屋を出る アコライトと言う触れ込みな以上不審に思う質問にちゃっと答えてくれたシルフィさんに感謝しながら 自分の道は立ってる場所さえ不確かかもしれないけど…その道を固めてくれるような言葉だと思えて そう思うと足元を見るばかりの目が少しだけ空を向けられる その変化がきっとよい方向に迎えるようになる様にと願いつつ