21:53 (tsuku-yom) 既に陽は落ち、外界は闇に満たされ、星と月の光が瞬く。 21:54 (tsuku-yom) 誰もが、もう間も無くすれば、眠りの淵へと落ちていくだろう、そんな時間に。 21:54 (tsuku-yom) AAAのギルドハウス内を、一人闊歩する着物姿の少女が一人。 21:55 (tsuku-yom) 彼女――リンネの向かう先は、AAAギルドマスター、月奈の執務室。急ぐ訳でもなく、 しかしその足音は高く残響を上げる 21:56 (tsuku-yom) ――先日、初めて知った幾つかの疑問、未だ胸の内で燻るそれの答えを求めて、リンネは静かに、ドアを叩く。 21:57 (tsuku-yom) その扉の先に居る者が、答えを知っている事を期待しながら。 21:57 (tsuku-yom)   21:58 (tsuku-yom) 【リンネ】「――月奈、いるかしら?こんな時間に何だけど、まだ仕事中?」 21:59 (rouge) 【月奈】「………ふぅ。」  小さく息をつき、紙の束を置く。 近くに起きた事件の報告書に目を通し、 類推事項に対して探りを入れているだけで、こんな時間になってしまった。 だが、それも一区切り。 後は日課でもこなし、眠ろうか…そう思った矢先、叩かれる扉。  「いえ、大丈夫ですよ。リンネさん。」 声を、記憶の中から割り出して、直ぐに答える。 22:02 (tsuku-yom) 【リンネ】「へぇ、声だけであたし、って分かるなんて。大した記憶力ね」 声のみで自分だと看破した月奈に、純粋に感心の響きを含ませた返答をする。 「それじゃ、入るわよ――」ノブを回し、ドアを開く。 執務室の中へと身を滑り込ませ、後手でドアを閉め、デスクに座っているだろう月奈へと向き直り 22:03 (tsuku-yom) 【リンネ】「悪いわね、こんな時間に。仕事の邪魔しちゃったかしら?」 言いつつも、大して悪びれた様子も無く、歩を進める。 22:05 (rouge) 【月奈】「どうも。 多少、散らかっていますけれど…。」 少し、ばつが悪そうに、机の上に視線をやって。   大量の紙束。 事件の報告書。 様々な調査書。 他にも、ギルドの予算など、エトセトラエトセトラ。  沢山の書類が、乱雑に散らばっている。 22:08 (tsuku-yom) 【リンネ】「ま、ギルドマスターなんだし、片付ける間もないくらい多忙なのは仕方ないんじゃない?」 あちらこちらに散乱した書類や書簡の山に視線を彷徨わせながら、大して興味もなさそうに相槌を打つ。 「まあ、後片付けだの室内の美観だのはどーでもいいわ。ちょっと、聞きたい事があるのよ」 22:11 (rouge) 【月奈】「聞きたいこと、ですか。 私に答えられることであれば、可能な限りは答えましょう。」  直接、自分に尋ねてくる。 彼女には、彼女なりの思うところ、があるのだろう。  どんな事か、までかは…想像がつかない。 と言うより、幅が広すぎて、絞りきれない、と言った方が正しいのか。  当然であろう。 唯の冒険者ギルドであるはずのここが、ヴァンスターや謎の組織相手に立ち回ると言うのだから。 22:14 (tsuku-yom) 【リンネ】「ええ、聞きたい事。多分、このギルドの中じゃ、アンタが一番真相に近い位置に居ると思ってね」 言葉を切って。脳裏に浮かぶ様々な疑問、それを率直に言葉とするために、暫し瞑目して――言葉を、発する 「『病魔』、『魔器』そして、『始祖の庭園』――について。何も知らない、なんて事はないんでしょ? あの、水晶越しの女ほどでないにしても。ギルドを預かる人間として、ある程度の答えは持ってるわよね?」 22:18 (rouge) 【月奈】「……病魔、魔器、始祖の庭園、ですか。 これはまた、核心的なところを突いた問いかけですね。  …ギルドの中では、確かに私が一番把握していなければならない立場です。   とはいえ、明確なところまでは、私でも理解は出来ていません。それで宜しいのでしたら、順々にお答えしましょう。」 22:21 (tsuku-yom) 【リンネ】「構わないわ。あたしだって、一発で全ての答えを得られるなんて端から思ってないんだし…… それでも、月奈が知っている限りの全ては、残らず吐き出してもらう心算だけど」 にぃ、と唇を吊り上げて不敵に笑いながら。自分の推測が、当たっていたことに内心で喝采を上げて。 22:25 (rouge) 【月奈】「先ずは、何から話したものでしょうね……。」  どう、説明をしたものかと、天井に視線をやりながら、考え込んで。 「…どうにも、話すには散らかりすぎていますね、この部屋。  ロビーにでも出ましょうか。  今の時間なら、もうだれもいない頃でしょうし。」 部屋を見回して、場所を変えようと、立ち上がり。 22:27 (tsuku-yom) 【リンネ】「ま、それもそうね……散らかってると思うなら、後日にでも片付けに時間割いてみたら?」 肩を竦めながら、その言葉に同意して立ち上がり。先にドアを開け、月奈に向かって大仰に一礼して 「さ、お先にどうぞ、我等がギルドマスター、ミス月奈?」くつくつ、と喉奥で笑いながら。 22:30 (rouge) 【月奈】「暇をください。」 苦笑いで、それでもきっぱりと答えながら。  「それでは、そのご好意に甘えさせていただきましょう。」 会釈し、執務室の扉を潜る。  夜のギルドハウス、少し冷えるその廊下を歩きながら、ロビーへと歩を進めていく。 22:34 (tsuku-yom) 【月奈】「責任ある立場に居ると、色々と圧し掛かるものが多くて大変そうね、心中お察しするわ」 月奈の横に並んで歩きながら、その横顔を見て。 廊下に二人分の足音と、響く声を置き去りにしながら、ロビーへと続く廊下を歩き続けて。 22:34 (rouge)   22:34 (rouge)   22:36 (rouge) ギルドのロビー。  普段暇な時にギルドメンバーがだれていたり、依頼人の話を聞いたりする、そんな空間。  夜の帳も下り、食事も終わる頃となれば、そのロビーに人影は見えない。 明かりをつけ、ソファーへと歩いていく。 22:37 (rouge) 【月奈】「ん、意外とここも汚れていますね…。  本当、一度大掃除位したほうがいいかもしれません。」  部屋に対してポツリと感想を述べながら、ソファーに腰を沈め。 話をする体勢を、形作る。 22:41 (tsuku-yom) 【リンネ】「使っていけば汚れるものだから、仕方ないんでしょーけどね」 軽い口調で言いつつ、月奈の向かいに腰を下ろし。背負っていた刀――月詠をソファーの端に立てかけながら。 「さ、それじゃ…早速で、悪いけど、順に話してもらおうかしら… まず、病魔、それとセットで、魔器についても、かしら。正直、あたしはここのギルドに入る際、 『あらゆる土地へ赴き、あらゆる雑事をこなす事』が目的だとしか聞かされなかった。 その雑事の範疇に含まれるとしては――大事過ぎるわよね?」 22:43 (rouge) 【月奈】「そうですね。  …正直、私もここまでの大きな事になるとは予測していなかった。 そう言ったなら、信じてもらえますか?」 真摯に、リンネの瞳に視線を合わせながら、先ずはそう返して。 22:46 (tsuku-yom) 【リンネ】「――いいわ、信じましょ。忌憚無く言わせて貰えば、その辺はどうだっていい事だから」 一つ頷き、着物の袖口から、手品のように徳利とお猪口2つを取り出し。 「ま、お酒でも入った方が、色々口も滑りやすくなるでしょ?」悪戯っぽく言いながら、二人分の酒を注ぎいれ、 一方を月奈へと差し出して。 22:49 (rouge) 【月奈】「ああ……。 いいですね。 …お酒は、久しぶりです。 東方のものですか、この香りは。」  瞳を伏せ、口元に僅かに笑みを浮かべて、お猪口の一つを受け取る。  「…ですが。」 口をつける前に、緩んだ表情が険しくなる。 22:51 (rouge) 【月奈】「私にも、ギルドメンバーの誰もが、このような事態になる事は想定していなかったでしょう。 …ただ、ルヴィ=ティグ。 彼女だけは、当初から、スリーエースと言う組織をこのように使う事を… 考えてはいたのでしょう、ね。」 そこだけは、不快そうに。 杯を、不快そうなそのままで、くいと傾けて。 22:53 (tsuku-yom) 【リンネ】「ええ、東方の米酒よ。手に入れるのは苦労したけど…んっ――…ふぅ」 一息に呷り、吐息を付く。僅かに垣間見える不自然なほど白い肌に、程なく薄い朱が差すのは明らかだろう。 「ルヴィ=ティグ…アガートラーム捜索の前、水晶から語りかけてきた女よね?」 AAAのほぼ全員を動員した、あの作戦の前に。初めて聞いた声を思い出しながら。 22:55 (tsuku-yom) 【リンネ】「つまり、そいつは最初から、病魔だの、魔器だのの存在を知ってた上で。 あれこれ名目上のお題目を掲げてこのギルドを立ち上げた、って訳ね…… 私兵と、大して変わらないじゃない。胸糞悪いわ」 22:56 (rouge) 【月奈】「…ええ。 スリーエースの、創設者であり、最大のスポンサー。   世界全体を活動範囲とする、と言う理念に沿い、幾つもの協会がスリーエースに協力をしてくれていました。  それでも、個人でありながら、最大のスポンサーなのですよ、ルヴィは。 …その資金力は、不明ですけれどね。」 22:59 (rouge) 【月奈】「それでも、もう、スリーエースは、ギルドとして軌道に乗ってしまっている。  利用されたと感じても、逃れる事はできない。」私は、ですけどね、と、苦笑しながら付け加えて。  久しぶりに体に入ったアルコールに、吐息を一つ、はきだす。  22:59 (tsuku-yom) 【リンネ】「で、そいつは口先で上手い事協会や、その他の出資者を欺いて、このギルドを立ち上げた…… 表向きの目的は、本来の目的を遂行するのに都合が良かったから、ってとこかしら」 考え込みながら、空けたお猪口二つに酒を注ぎ。「で、ちょっと話が逸れたけど…まず、病魔、ってのは何? 魔器でなければ倒せない、ってのは理解したけど、あたしが知ってるのはそれくらいだわ」 23:03 (rouge) 【月奈】「転移装置をエリンディル中に置いて、仕事をこなせば、理念としては間違いではありませんから、ね。」  二杯目の杯も受けて、自分のほうに引き寄せながら。  「リンネさんは、アガートラームの一件で、病魔をその目で見た…のですよね。 …どう、感じましたか?」 23:07 (tsuku-yom) 【リンネ】「なんだか、嘘も方便、って気がしないでもないけど、ね」 苦笑しながら、二杯目を舐めるように飲みながら。病魔、という言葉に、その黒曜石の瞳を細め 「――ふざけた話ね、アレ、どうも3つに分かれた一部だったらしいけど……怖気が走ったわよ。 私の中にいる死の病魔が、歓喜したのを感じられるくらい……どうしようもない、ヤバさを感じたわ」 くっ、と嘲笑のような声を漏らしながら、訥々と語っていく。 23:12 (rouge) 【月奈】「……私は、実際に病魔と相対した事はありませんが、それでも、カナンの爪痕はこの目で確かめました。」 リンネの、病魔に関して感じた威圧感、その評価に対して頷きながら、次の言葉を紡ごうとして。  放たれた言葉に引っ掛かりを覚える。   「……死の、病魔? …リンネさん、あなたは、もしかして…」  今までのそれより、目を見開いて。 恐る恐ると言うべきか、静かに、問いかける。 23:18 (tsuku-yom) 【リンネ】「…実際に、相対したあたしの口から言わせてもらうなら。 あの病魔とやらは相当にやばい存在、人とはどこか相容れない、そんな感じさえしたわ…情けない話だけどね」 どこか自嘲するような言葉を吐き出し、そして、脳裏に浮かんだのは―― その病魔を相手に、むしろ歓喜に溢れていた男。《始祖の庭園》の、腕無き刺客。  「ああ、言ってなかった?あたしの中には死を齎す病魔が居るわ… それも、何百年に渡って、あたしの一族を苦しめてきた。とびっきり年季の入ったヤツがね」 事も無げに語るその様子に、悲哀や悲嘆の色は全く見られない。 23:25 (rouge) 【月奈】「呪いの類、ですか。」 聞いているほうが、聞かされたほうが胸を痛め、顔をしかめる。  このような表情を取れるくらいには、どのような心境を経てきたのだろうか、と。  足元から、身上まで。 彼女の全身を目で追って。 「…そう、ですか。」  こうまで言い切るからには、手は尽くしてあるのだろう。 九重凛音。  その呪いが、数百年と言う長い時間をかけているものだと言うならば、調べるだけは調べてみよう。  聞いてしまったものとして。 …そんな事を考え、言葉を飲み込んだ。 23:31 (tsuku-yom) 【リンネ】「ああ、単なる病気でも、呪いでもないらしいわよ。 お払いから神官の術、果ては錬金の秘術を結集した薬まで、あらゆる方法を試したけど無駄だったらしいから。 それこそ、魔器でもないとどうにもならないかもね」 23:31 (tsuku-yom) けらけらと笑い飛ばし、すぐに視線を真剣なものへと変じる。 「ま、あたしの事はどうでも良いわ…病魔、って、一体何?そして、その病魔を打倒し得る、魔器って…」 23:34 (rouge) 【月奈】「そうですね…病魔は、過去に何度かエリンディルに現れている存在である、と言う事は、確認できています。」  一つ深呼吸し、米酒を口に含んで、気持ちを切り替える。  「天空の書、そう呼ばれる古文書に病魔の記述があることからして、それは間違いないことだと思います。」 23:37 (rouge) 【月奈】「それに、アガートラームは過去に6本の魔器と、枠外の魔器を使い、病魔と戦った…と、述べました。  病魔と魔器。 病魔はエリンディルを滅ぼすものとして。 魔器は病魔を滅ぼすものとして。  そう、役割付けられては居るのでしょうね、この、火の時代の、遥か前から。」 23:38 (tsuku-yom) 【凛音】「天空の書、ね……まあ、逆に言えば今の所、それくらいしか把握できてない、って事で良いのかしら?」 ちびちびと呑んでいた米酒を一気に含み、三杯目を注ぎながら。 「で、その病魔を倒す為に生み出されたのが魔器、か……シノワールが手にしたアガートラーム然り、 フィアが持っていたオートクレイル然り、か…じゃあ、あの庭園の腕無し野郎も、魔器を持ってた、って事か」 23:39 (tsuku-yom) あの、圧倒的な存在である病魔を前に、歓喜の哄笑さえ上げていた男を思い出しながら、その名を紡ぎ出して。 23:41 (rouge) 【月奈】「腕無し、野郎…。 ジェリク=ラコッド…。」   それで思い浮かぶ人物は、唯一人しか居ない。 苦い表情を浮かべ、その容貌を頭に描く。  …描けてしまう。 自分の意識から逸れは、離れてはくれない。 …自然と、何かを睨みつけるようにしていた。 23:44 (tsuku-yom) 【リンネ】「……アイツと何か、因縁でもあるみたいね、月奈は……」 ジェリク=ラコッド。聞こえてきたその名を呟き、心の中に刻みつけながら。 表情険しい月奈の眼前に、徳利を突き出して。 「ま、その辺りも後で聞かせてもらうわ…借りもあることだし。で、魔器について知ってることはそれで全部?」 23:46 (rouge) 【月奈】「ええ。 私の知るのは、そのくらいです。  ……私の師なら、もっと突っ込んだ事を知っているのでしょうけれど…。風来坊ですから… 捕まえて話を聞くなんて事は、できないでしょう。」  自分がどんな表情をしていただろうか…。 勤めて、無表情になるように、感情を装って。  会釈と共にそそがれていく酒に視線を移すようにして、話を続ける。 23:51 (tsuku-yom) 【リンネ】「まあ、魔器と病魔に関しては、これ以上の事は魔器当人にでも聞かないと分からないんでしょーね…… 枠外、ってのが今一つ分からないけど」 注ぎ終えた徳利を手元に戻し。お猪口の中で揺らめき光る酒の水面に、瞳を細めて。 「それじゃ、色々堪えようとしてる所悪いけど――次は、黒ゴキブリや人形遣いの年増女、 それに――あの、腕無し野郎がいる、《始祖の庭園》に関して、教えてもらおうかしら?」 23:53 (rouge) 【月奈】「ああ、枠外、については、教えてもらっています。 …魔器は、源流となったものが6つある、と。 一つは、フィアさんのもつ、オートクレール。 一つは、先の作戦で手に入れた、アガートラーム。  ヴァンスター皇帝が手にしているらしい、クラウ=サラス。未発見の、マサムネ、ティルヴィング、エクスカリバー。 …それ以外の魔器を、枠外のもの、と、呼ぶらしいですね。 その形状も機能も、様々である、とか。」 23:57 (rouge) 【月奈】「例を挙げるとするなら…そうですね、このギルドの2人目の魔器使い、 意思を持つ剣シェルファの使い手であるセリカさん。  …報告によるなら、《猛火泉》…リンネさんの言う、黒ゴキブリ…アインも、 レヴァンティンと言う名の魔器を使用したそうです。」 00:00 (tsuku-yom) 【リンネ】「……マサ、ムネ…それに、ティルヴィング……」 鸚鵡返しのように言葉を呟き。前者の、マサムネは…言わずもかな、故郷である東方に伝わる伝説上の刀であり。 後者の響きは……何かが、脳裏に引っ掛かるようで。気のせい、で済ませるには大きな違和感。 だが、今は話を聞くほうが先決。その疑問を胸の内に仕舞いこみながら、月奈の言葉に耳を傾け。 「ああ、そういえばそんな名前だったわね、あの黒ゴキブリ…… フィアにどっか似た姿なのも、何かあるんだろうけれど、ね」 00:06 (rouge) 【月奈】「魔器に関しては、現在わかっているところは……こんなところ、でしょうか…ね。」  フィアに似た、というリンネの言葉には、あえて答えず、次の質問へと話を持っていく。  その関係性は、既に潔白と証明されてはいるが。 本人の居ない場で関係性について話すのは、憚られた。 00:09 (tsuku-yom) 【リンネ】「成る程、ね……ま、その辺、月奈が知らないって事は。 オートクレイルもアガートラームも、ソレに答える気がないか、それとも、 『答えられるように定義付けられていない』か、って辺りなのかしらねェ。 00:10 (tsuku-yom) そう、言葉を漏らしながら。 目線で、月奈に次を促す――恐らくは、目下最大の敵であり、そして、長く付き合うことになるであろう、 敵の事に関しての情報を、揺さぶり出す為に。 00:12 (rouge) 【月奈】「どう、でしょうね。 唯、明らかに様々な情報を有しているのは、確かだと思います。  …オートクレールも、アガートラームも。 私たちに力を貸してくれるとはいえ、 全てを託す、と言うわけではまだ無いのでしょう、ね。」 00:14 (rouge) 【月奈】「……このギルドについても、魔器についても、知る事は話しました。 次ですね。」  00:14 (rouge) その視線に、求められている言葉を感じ取り、また一口、アルコールを口に含む。  …不思議と、呑んでも、呑んでも、酔いが回ってくる事は無かった。 00:16 (rouge) 【月奈】「……始祖の庭園。 リンネさんは、何度か《始祖の庭園》の、中心人物。 《調律者》と、呼ばれる何人かと遭遇、していましたよね?」 00:21 (tsuku-yom) 【リンネ】「《調律者》ね…そんなご大層な呼び方があるなんて知らなかったけど」 苦笑交じりの言葉を返し。桜の花弁が意匠された着物の裾を翻しながら、立ち上がって。 「そうね…あたしが遭遇したのは3人。黒ゴキブリこと、《猛火泉》アイン、年増女こと《死招人形》アリア。 そして…砂鉄海岸で遭遇した腕無し野郎…《無手案山子》ジェリク=ラコッド。 あたしが知っているのはそれだけね」 00:24 (rouge) 【月奈】「…他にも、キルディアの国境付近、辺境のゼピック村で、私たちに名乗りをあげた、《鉄箭城壁》シオン。 …ギルドハウスに一度姿を現し、クリスタルバレーでも謎の行動を取った《無限鈴蘭》ルシュ。  …その、5人が、今のところ確認されていますね。」 00:27 (rouge) 【月奈】「《始祖の庭園》…正直、その規模は図りかねています。   方々を探ってみてはいますが…始祖の庭園に関する情報は、殆ど得られないのが現状です。  …まさに、後手回り、と言うやつです。」 口調にはわずかばかりの疲れを垣間見えさせ。  溜息と共に、ソファに僅かに身を沈める。 00:29 (tsuku-yom) 【リンネ】「へぇ〜、まだ二人、知らない連中が居たんだ……まあ、まだ他にも居るんでしょうけどね」 やれやれ、と大仰に肩を竦め。月奈の隣に腰掛け、新しい酒を注ぎながら、その顔を見つめる。 「結局の所、情報不足、か…魔器を狙ってるらしい、っていうのは理解したけど、 《死招人形》の年増の件を見る限り、それだけって訳でもなさそうだし…一体、何がしたいのかしらね。」 00:30 (tsuku-yom) 月奈のお猪口に、新しい酒を注ぎながら。帰ってくるかどうかも分からない問いを口にする。 00:34 (rouge) 【月奈】「……ルヴィは。」 帰ってくるのは、全く別の切り口からの言葉。  「全てを、エリンディルのため、だと言います。…始祖の庭園もまた、私たちと同じく…病魔を滅し、魔器を集める。 それを目的に…エリンディルのために動いているといいます。」  00:37 (rouge) 【月奈】「……こういうのも問題発言ですけれど、私は、ルヴィの事は…あまり信用しては居ません。  顔を見たことも、ありませんしね。」 より深く、より深く、ソファーに身を沈め、その視界は、天井へと向く。  声に混じるのは、かすかな疲労だろうか、気負いだろうか。 00:39 (tsuku-yom) 【リンネ】「…その言葉、素直に「ハイそうですか」って信じられるヤツが何人居ると思ってるのかしら」 全く、苦笑しか出てこない。アレだけの事をしでかしておいて、言うに事欠いて『エリンディルの為』だ等と。 胡散臭いにも程がある。「水晶越しにしか言葉を紡がない相手を、信用しろ、って方が無理でしょ? ……ううん、若しかしたら…『人前に姿を現せない』だけかも知れないけど、ね」 月奈に寄り添うように身体を傾けながら。 さっきの違和感の正体に思い当たる――それが、単なる偶然であることを、内心で祈りながら。 00:44 (rouge) 【月奈】「……現せない、か。 …………現せない…。」  月奈もまた、何かに引っ掛かりを覚えながら、その思考を振り払うように…。 机に置かれたお酒に手を伸ばし、お猪口に注ぐ。 一気に、口の中に流し込む。 「かぁあ…」 唸った。  …考える事は山ほどあれど、お酒は美味しかった。寄り添うリンネ、酌み交わす時間はまあ、悪くないものである。  00:48 (tsuku-yom) 【リンネ】「ま、その辺……ルヴィと話す機会があれば、是非問い詰めてやりたいところだわね。 その時は、月奈も一緒にどう?」まるで悪戯っ子の様な瞳で、月奈を唆すように軽い口調で言い放って。 空になった徳利に変わり、新たに酒の注がれた徳利を、袖口から取り出して。 「ま、庭園に関しても。現状では材料が少ない、と……多分、個人個人で目的が違う。 そんな気もするから、一枚岩、とは言い難いのかもね」 00:50 (tsuku-yom) 空いた月奈のお猪口に、新しい酒を注ぎながら。 美人と呑む酒は悪くないが、今はその横顔に睦言を囁くより、優先する事がある。 「…じゃあ、ついでに。月奈とあの腕無し野郎――ジェリク=ラコッドだっけ?その事も、教えてもらえるかしら?」 00:50 (rouge) 【月奈】「あまり睨まれると、活動予算の面で問題が出るかもしれないのが辛いところですね。」  冗談めかして、リンネの問いに答えながら。 …ルヴィに思い切り文句を言う自分を想像する。  …ああ、それは中々、いいかもしれない。 想像だけに、とどめておくべきなのだろうが。  00:51 (rouge) 【月奈】「ジェリクは………リンネさんからは、どう、見えました?」  その問い。 声のトーンを落として、逆に…リンネに問い返す。 00:54 (tsuku-yom) 【月奈】「そうね…戦っている最中も、そして、その後の、病魔を目の当たりにしたときもそうだったけど……」 口篭る。何故だろうか、あの男の在り様はこれ以上なく明白なのに、 何故か、それだけだと断定する事が、憚られるようで。そんな他愛ない思考を 頭を振って追いやりつつ、口を開く。 「……戦闘狂、そんな言葉が、一番しっくり来たわね。東方の武術に関しても、造詣が深いみたいだったけど」 傍らに立てかけた愛刀、月詠に手を伸ばす。あの男は、自らの剣技『花鳥風月』を「ここにも使い手が居た」 と評していたのを思い出して。 00:56 (rouge) 【月奈】「修羅のように猛って…辺り全てを食い尽くす魔獣、か。 …やはり。」 00:59 (rouge) 【月奈】「ジェリクも、私も……東方の方の出、なのですよ。 夕凪神無。 …同じ流れの剣を学んでいました。」 ぼう、と、中空を見つめる。 その視界に移っているのは、唯の部屋の景色ではあるまい。  過去を思い出しながら、唐突に、とつとつと、語る。 01:00 (tsuku-yom) 【リンネ】「謎に包まれた組織、《始祖の庭園》に属する、両腕無き戦士… そのフルネームを知っているんだから、もしやとは思ったけど……同門、とはね」 思わず、嘆息する。想像以上、の、その答えに。 しかし、これはきっと、あの男について知る、何よりの機会なのだろうと。静かに耳を澄ませ、月奈に寄り添って。 01:03 (rouge) 【月奈】「……同門、と言っても、それほど大きい流派ではありません。 風来坊が伝えた剣を、私たちが、学んだ。  私と、妹、そして、ジェリクが。」 01:06 (rouge) 【月奈】「…ある意味で、私たちは、家族のようなものでした。 事実、もう少し時が立てば…実際の家族にさえ、なっていたのだろうと思います。  …妹…柳乃月葉。 ジェリク=ラコッド。 二人は、想いあっていましたから。」  懐かしむように。 …脳裏に、笑う妹の姿が思い浮かんだ。  懐かしさに、小さな笑みがこぼれた。 心から笑ったかどうかは…また、別問題だとして。 01:07 (tsuku-yom) 【リンネ】「それでも、同じ師に師事した、って意味じゃ、同門なんでしょうけれど――って、妹?」 何気なく返そうとした返答。 しかし、その中に、今まで聞いたことのない事実が混ざっているのを、聞き逃しはしなかった。 「月奈の妹と、想い合ってた、って……腕が無くなる前から?それとも、後から? ……ううん、それ以前に……妹さんは、どうしてる訳?」 01:08 (tsuku-yom) 聞く必要などあるまい。想い合っていたはずのジェリクは、ああなっている。 ならば、その伴侶がどうなったかなど……聞かずとも、大体の予測は立てられる。 それでも、事実を事実として認識する為に。月奈の、それを最も良く知る者の言葉を待つのは、 果たして酷な仕打ちなのだろうか。 01:09 (rouge) 【月奈】「既に、他界しています。 先日…命日だったのですけれどね。 …帰りそびれてしまいました。」  すする様に、また、一口。  さっきまでと違って、一口一口が、自分を酩酊に誘ってくれるような気がして、少し、心地よかった。 01:12 (tsuku-yom) 【リンネ】「アインが、攻めて来た時の事、ね……」 思い出す、確かに、月奈はそんな様な事を言っていた。米酒を呷る月奈の姿に、思うところがあったのか。 また一献、と、酒を注ぎ足して。 01:13 (rouge) 【月奈】「月葉は………ジェリクが殺しました。」  なるべく、声に感情をこめないように、ただ平坦に話す。 事実を、述べるために。 01:15 (tsuku-yom) 【リンネ】「……想い合っていた、んじゃないの…? ううん、聞いても仕方がない、かしらね……」 01:16 (rouge) 【月奈】「…激情に任せて。 ジェリクの両の腕を落としたのは、私です。」  口にしながら、じっと、自分の手のひらを見つめる。  刀を握る利き手。 右の手のひらを。 …自分でも、細かく震えているのがわかって…、情けないな、と、思った。 01:19 (tsuku-yom) 【リンネ】「月奈が……そっか、それでアイツには両の腕がない訳ね」 月奈の両の手に、自らの雪のように白く、冷たい掌を覆い重ねて 「震えるのは、恥でもなんでもないわよ……それより、もう一つだけ聞かせて――」 01:21 (tsuku-yom) 【リンネ】「…あたしが遭遇した《始祖の庭園》のジェリクは、恐ろしく強かったわ…… 当時も、ジェリクはアレだけ強かったの?両の腕を、落とされるよりも前から」 ふと、鎌首を擡げた疑問を、そのまま月奈へと突きつける…… 答えるのも辛いのかも知れない、そう思いはするけれど。 01:21 (rouge) 【月奈】「これで仇はうった。 …気分さえ晴れていたような気さえ、その時はしていました。」 リンネの言葉には、答えない。 自嘲気味に、笑いながら、話を続ける。  「…でも違った。 …ジェリクは犯人では、無かった。」酒のせいか。 感情がストレートに出る。  …肩が、おかしさに、笑っている。  「…偽りの証拠に誘導されて、踊らされていたのは、私。 …私は、無実の人間を、切ったんですよ。」 01:22 (rouge) だん、と。 手にしたお猪口を、乱雑に机に置いた。 01:25 (tsuku-yom) 【リンネ】「…そっか、ごめん、ヤな事、思い出させたわね」 はじめて見た、月奈の姿に。そんな言葉しか掛けられない。 そんな月奈に対して、同情心が起こるのは止められなくて――しかし。 冷静な自分自身は、その事実を情報として認識し、客観的に事実を判断しようとしている。 それが、何故だか癪に障る。 01:27 (tsuku-yom) 【リンネ】「その後に、ジェリクは《庭園》と交わり…ああなった、って訳ね……」 月奈の手に、己の、冷たい手を重ね合わせて。 01:28 (rouge) 【月奈】「…ジェリクは、いってしまえば、凡百な剣士でした。  …資質で言うなら、自惚れや、ひいきでなく厳然たる事実として、私や、月葉のほうが上だったでしょう。」  ひやりとした手と、リンネの言葉で、少し、ここがどういう場なのかを思い出しながら。  聞こえていた、先の疑問に、言葉を返す。 01:29 (rouge) 【月奈】「ですが、《無手案山子》として、ジェリクは…修羅の道を辿りました。  …事件があってから、5年。 …変わるには、十分すぎる時間だったのでしょう、ね。  …私は、刀を握る事に恐怖を覚えるようになり。 …彼は、壁を越えた。」 01:33 (tsuku-yom) 【リンネ】「凡庸、か……きっと、あのジェリクを知ってるヤツが聞いたら、みんな声を大にして異を唱えそうね」 月奈の語る嘗てのジェリクと、《無手案山子》としてのジェリクは、余りにも違いすぎる。 あの男は、才能だの、努力だのと評することすら憚られるだけの力があったと、リンネは思う。 それでも、変わったのだとするなら……きっとそれは、ある種の執念だったのかもしれない、と。そう、思う。 01:36 (rouge) 【月奈】「……もう、既に別人。 …私は、そう考えています。  《無手案山子》と再び相対するような事があれば、倒さなければ先へは進めない。」  自らの、今の立場を考えて。 下すべき判断。 それ以外には、無い。 01:40 (tsuku-yom) 【リンネ】「別人、か……アレを見て、月奈の話を聞いた後じゃ、そう思えてくるけど……」 言葉を切り、間近にある月奈の顔を見据える。その視線は揺ぎ無く怜悧で、偽りを許さないと告げるように。 唇が触れ合いそうなほどに近い距離で、それよりも遠い心へと向ける言葉を紡ぎ。 「ギルドマスターとしてじゃない…柳乃月奈個人としては……どう、思ってるの?」 01:46 (rouge) 【月奈】「……リンネさんは、優しい人ですね。」  その瞳と、瞳が合わさって。…厳しい、顔をしていた。だけど…だからこそ、逆に今の自分は笑うことが出来た。  「…前に出たい、と、思っているんですよ。  …今の私は、殺意を前にすると震える、剣士としての出来損ないです。  …でも、それでも、前に出たい。そして…やれる限りを、試してみたくはありますね。」    それは、以前から出ている答え。このギルドと共に、歩いていくということ。 01:51 (tsuku-yom) 【リンネ】「優しい、なんて……あたしに一番似つかわしくない言葉ね」 月奈の瞳を見据えながら、苦笑が漏れるのを止められない。 自分は、優しい、などという言葉を向けられる資格等、ありはしないのだから。 「いいんじゃない?それを実現できるかどうか、よりも。そうやって思う事が出来る…… 今、大事なのはそれだと思うし。月奈が出来ないことは、皆が手を貸してくれる。 逆に、あたしらじゃ出来ないことを、月奈が補ってくれれば良い。 一緒に歩いていく、ってのは。そういう事、でしょ?」 01:54 (rouge) 【月奈】「ええ、その通りです。…そうありたいと願っています。」  こつ、と、近づいた顔同士、額を軽く合わせて。  「……まだ、お酒、ありますか?」 彼女には珍しく、少し、ねだる様な口調。 01:57 (tsuku-yom) 【リンネ】「ええ、まだあるわよ?お猪口に注ぐか、それともあたしの口移しか、どっちがお好み?」 くすくす、と愉快そうに笑いながら。月奈の肩を軽く抱いて 「――いいわ、月奈だって聞きたいことは山ほどあるんだろうし…… ジェリクのアホは、出来るだけ生け捕りにしてみるわよ。ま、期待せずお待ちください、ってトコだろうけどね」 02:02 (rouge) 【月奈】「どちらもそれはそれで、味のある飲み方ですね。」 ふふ、と、口元が綻ぶ。抱かれたなら、抱き返し。  ジェリクのことについては、無言で頷く。…信じている。 「では、リンネさん。 今夜は、付き合ってもらいますよ。 …心行くまで、飲みましょう?」だから、笑った。 02:08 (tsuku-yom) 【リンネ】「あら、これはまた割と色好い返答だわねぇ……じゃ、口移しからいきましょうか、なんてね?」 綻ぶ月奈の笑みに釣られるように、笑みを零して。 交わした約定は口だけのもの、しかし、それはリンネの中で、何よりも硬い誓約として残される。 「ええ、望むところよ。前後不覚になってみっともない姿を晒さないように、精々気をつける事ね?」 酒精を口に含み、その唇を近付けたまま、笑いあう。 今必要なのは、きっと。暗い何かを覆い尽すほどの、明るさだろうから。 02:16 (rouge) 【月奈】(…スリーエースには、本当にいい人間が集まってくれた。  困難は多いし、先行きも、見えきらない。 だけど、信じられる。 そんな気が、する。)   酔いに落ちきる前の、清浄な思考で。 月奈はこれからの事を祈り、そして。 リンネと共に思い切り、羽目を外した。 02:18 (tsuku-yom)   02:18 (tsuku-yom)   02:19 (tsuku-yom) 《病魔》、《魔器》、《始祖の庭園》……AAAの前に立ちはだかる難問は大きく、 そして一筋縄ではいかないものばかり。 02:20 (tsuku-yom) これからも、そしてこれから先も。 きっと、幾度も傷付き、そして悲嘆や絶望に面しながら。それでも、前に進んでいくのだろう。 02:22 (tsuku-yom) ――AAA創設者、ルヴィ=ティグ。 最大のスポンサーにして、奇しくも、【とある魔器】と似通った響きを持つ者。 彼女の意図が何処にあるかは、神ならぬリンネには分からない。 02:23 (tsuku-yom) しかし、その意図が、真意がどこにあろうとも。 月奈や、数多の仲間たちと共にならば、どんな困難でも乗り越えていけるだろう…… そう、信じられる事が、今は、何よりも心強い。 02:25 (tsuku-yom) それぞれが、それぞれの想いや願いを抱え、歩んでいく。 そんな彼等を、せめてこの刃で手助けできれば……そう、想いながら。 02:26 (tsuku-yom) とりあえず、今は。月奈と酌み交わし、交わり合う甘美な酒精と温もりに、浸ることにしよう――― 02:26 (tsuku-yom)   02:26 (tsuku-yom)   02:26 (tsuku-yom)