00:45 (emethMac)   00:45 (emethMac) その日、ドゥールが部屋に戻ってきたとき 00:45 (emethMac) なぜかランプもともさず、うーるは椅子に座っていた 00:46 (emethMac) その背中が妙に小さくて、消えてしまいそうで 00:46 (Kinaco) 【ドゥール】「……何か、あったのか?」 タダならぬ気配を感じる 00:47 (emethMac) 【うーる】「あっ、あなた、おかえりなさいっ」あわてて何かを隠してにっこりほほえみます 00:47 (emethMac) 【うーる】「あら、こんな時間ですの! お夕飯の準備忘れてしまってました!」 00:47 (Kinaco) 【ドゥール】「ああ、ただいま………うーる」 ただ、静かに穏やかに 00:47 (emethMac) あわててエプロンを着けて台所にぱたぱた走ってゆくうーる 00:48 (emethMac) 料理を一生懸命作っている後ろ姿は、いつもと何も変わりません 00:48 (Kinaco) 【ドゥール】「(気のせい………では、ないな)」 一瞬、気のせいであったと思おうとするが…いまだ点されていないランプに目をやり 00:49 (emethMac) そして夕食 00:49 (emethMac) 【うーる】「あなた、大切なお話をしたいんです」 00:50 (Kinaco) 【ドゥール】「…なんだ? (先ほどの、件か?)」 ぴた、と 00:51 (emethMac) 【うーる】「あなたはエリスちゃんのマスターなんだから、エリスちゃんもこの部屋で一緒に暮らした方がいいんじゃないかって思うの」 00:51 *kon-dekin quit ("TakIRC") 00:52 (Kinaco) 【ドゥール】「俺としては願ったりかなった(げふげふげふ)…い、いいのか?」 気を取り直し、拍子抜けなのを感じながら 00:52 (emethMac) 【うーる】「あ、私には気を遣わなくていいの。私、前に言ったけど、エリスちゃんに赤ちゃんを産ませちゃったことあるし、全然気にならないからっ」 00:52 (Kinaco) その様子に、微かに違和感を感じるのです 00:52 (emethMac) 【うーる】「私に気を遣って、エリスちゃんとか初花ちゃんをなおざりにしちゃ、よくないです!」 00:53 (Kinaco) 【ドゥール】「(…何を、言っているんだ?)」 その、目の前の妻の様子に……違和感が膨らみ、嫌な予感を 00:54 (emethMac) 【うーる】「私がいなくなっても、そばに愛する人がいるならっ……」 00:54 (Kinaco) 【ドゥール】「………何か、あったのか?」 呟くように、しかし通る声で 00:55 (emethMac) 【うーる】「なにもないです。なにも……」と、エプロンのポケットから封筒が一枚 00:55 (emethMac) はらりと墜ちます 00:55 (Kinaco) 【ドゥール】「…ん?」 不意に、拾ってしまうのですよ 00:56 (emethMac) 病院のものです 00:56 (emethMac) 【うーる】「あっ、みちゃだめっ!」 00:57 (Kinaco) 見るな、という頭の中の声と…見ておくべき。という声がぶつかり…うーるの声を聞きながら、恐る恐る中を見る 00:57 (emethMac) 診断書 00:58 (emethMac) 病名:若年性進行性生命漏出症 00:59 (emethMac) あなたに残された余命は5年ほどです。残りの人生、悔いのないように過ごして下さい。 00:59 (Kinaco) ソレを見て、静かに席を立つのです 00:59 (Kinaco) 顔に、うーるに見せた事のない…憤怒をはりつかせて 00:59 (Kinaco) 【ドゥール】「どこの、ヤブ医者だっ……!!」 ぎりりぃ、と 00:59 (emethMac) 【うーる】「あなた、なにするのっ?」怒りの表情をみてあわてながら 01:00 (emethMac) 【うーる】「神殿……。全然藪じゃないの」 01:00 (Kinaco) 【ドゥール】「………な、でも…うーる。お前今もこうやって元気だろ…?」 自分で見てしまった、残酷な現実を否定したく 01:00 (emethMac) 【うーる】「最初別のところでこの診断になって、信じられなくて神殿に行って……でも結果は変わらなくて」 01:01 (emethMac) 【うーる】「死の直前まで、身体はそれほど衰えないらしいの」 01:02 (emethMac) 【うーる】「でも、発病したら、もう……」 01:02 (Kinaco) 【ドゥール】「そんな、病気が…………(だから、さっきあんな事を…)」 01:03 (Kinaco) 【ドゥール】「な、なんとか回避する手段はないのか? ほ、ほら…伝承で聞いただけだけど、ユニコーンの角って万病に効くとか言われてるじゃないか!」 01:03 (emethMac) 【うーる】「だから、私が死んだ後のためにもエリスちゃんとか初花ちゃんをお願いしたいのっ」 01:03 (Kinaco) 【ドゥール】「し、死んだ後って…じゃあ、うーるはどうするつもりなんだよ…?」 01:04 (emethMac) 【うーる】「この病気、悪い菌が入ってなったんじゃなくて、生まれつきなんだって」 01:04 (emethMac) 【うーる】「この子を大きくなるまで育ててくれればそれでいい」おなかをさすりながら 01:05 (Kinaco) その言葉を聞き、無言でうーるに近づきます 01:05 (emethMac) 【うーる】「初花ちゃんや、エリスちゃんを私の分も……」 01:06 (Kinaco) 無言で、抱きしめます。痛いかもしれないくらいに 01:06 (emethMac) 【うーる】「あっ……」 01:07 (Kinaco) 【ドゥール】「……俺は、バカだから…利口じゃないから……こんな時、なんて言えばいいかわかんねぇ…」 抱きしめたまま 01:08 (Kinaco) 【ドゥール】「だからっ……こんな事しか言えないけど………!」 不甲斐ない自分への怒りに、歯をぎりっと鳴らしながら 01:08 (emethMac) 【うーる】「うん……」ドゥールの胸にすがりついて涙があふれてきます 01:08 (Kinaco) 【ドゥール】「幸せにするから……逝く時も、笑いながら逝けるくらい……幸せにするからっ………!」 気が付けば、その琥珀色の瞳からは涙が 01:09 (emethMac) 【うーる】「私、すっごくしあわせです」 01:10 (Kinaco) 【ドゥール】「だから…そんな、事を…いわないでくれっ…!」<死んだ後、それでいい 01:10 (emethMac) 【うーる】「こんなに、深く愛してもらえてるんですもの」無理して笑って見せます 01:10 (emethMac) 【うーる】「だって! あなたには死んだ後も幸せになってほしいのにっ!」 01:11 (Kinaco) 【ドゥール】「ソレじゃぁ…お前の気持ちはどうなるんだよ……」 ぎゅ、と 01:11 (emethMac) 【うーる】「私の幸せはあなたのしあわせ」 01:11 (emethMac) 【うーる】「エリスちゃんが好きなんでしょう?」 01:12 (Kinaco) 【ドゥール】「…ああ」 抱きしめたまま 01:13 (emethMac) 【うーる】「それなら、一緒に暮らしましょう。あの子にはマスターであるあなたが必要だと思うの」 01:14 (Kinaco) 【ドゥール】「…ああ、ああ……わかった…だから……」 手の中の温もりがいずれ消える事が、とても恐ろしく感じて 01:14 (emethMac) 【うーる】「私がいなくなっても、きっとエリスちゃんとかが支えてくれますからっ」 01:14 (Kinaco) 【ドゥール】「そんな。さびしそうに…笑わないでくれ……!」 01:15 (emethMac) 【うーる】「うっく、うっ……」 01:15 (emethMac) 【うーる】「やだよぉ、死にたくないよぉ」 01:15 (Kinaco) 【ドゥール】「俺も…失いたくない…っ!」 01:16 (emethMac) ドゥールの腕の中で泣きじゃくります 01:16 (Kinaco) ドゥールも、微かに嗚咽を漏らし…瞳から涙を流しながら、うーるを抱きしめる 01:18 (emethMac) 【うーる】「ひっく、ひっく」ドゥールの腕の中で、嗚咽をあげることしかできません 01:18 (emethMac) 【うーる】「おばあちゃんになるまで、あなたの隣にいたかった」 01:18 (emethMac) 【うーる】「子どもが独り立ちするまで、ずっと育ててあげたかった」 01:19 (emethMac) 【うーる】「あなたの妻であると、みんなに祝福されたかった」 01:19 (emethMac) 【うーる】「もっと、生きたい……生きたいのに……」 01:20 (Kinaco) 【ドゥール】「もっとだ…もっと、幸せにするから…だから……」 うーるの頭撫でながら、自らの涙を抑える事も。できない 01:21 (emethMac) 病気を知って、それから 01:22 (emethMac) 二人の、ゴールのある生活が始まった 01:22 (emethMac) ーーうーるの余命あと4年と364日