初めての行為。お互いの気持ちを確かめ合いつつ…出来た行為。その次の日の目覚めは、とても心地のよいものだった。       主であり、自らの愛する人のそばで眠れるのが、これだけ心を安らかにしてくれるとは、思わず。眠ったままの主を起こさぬよう、そっとベッドから降り…服を身に纏っていく。 【ジーク】 「これで、よし。後は…紅茶の準備でもしておきましょうか」       紅茶の匂いに誘われて眼が覚める…… 天井の材木の模様が何時もと違う…ベッドも何処か柔らかい香りがする…       ぼーっと疲れていた脳がゆっくりと活動を開始して…昨日の事が思い出される       その出来事が夢では無いと証明するように…腕には少しだけ心地良いダルさが残り 【ルフト】 「おはよう、ジーク」既に起きている彼女の名前を呼びややあって妙な照れくささと供に赤面する 【ルフト】 「ええと昨日は……」割りと不甲斐なかった自分の事を思い出して 【ルフト】 「大丈夫でしたか?」心配そうに尋ねる 【ジーク】 「おはようございます、ルフト様。紅茶の準備はしておきましたので…いえ、あの。昨日の事は……ええ、平気です」うっすらと頬を染め、笑顔で笑い返す。晴れやかな笑顔のまま、心配の声には、大丈夫と返し 【ルフト】 「そうですか」その答えにほっとして「ええ頂きます、ジークの入れてくれた紅茶はとても美味しいですから、飲まないなんて勿体無い事は出来ませんよ」少し業とらしい台詞を口に出して微笑む 【ルフト】 「何だか何時もより綺麗に見えると言うのは贔屓目なんでしょうね」その晴れやかな笑顔に眼を細めて 【ジーク】 「はい、僭越ですが…隣、失礼します」ルフトの隣の椅子を引いて、座り。次の言葉に恥ずかしそうに俯く。「そう、でしょうか? 普段とは変わらないつもりですが…」 【ルフト】 「ええと…そうですね」座ったジークの手に手を重ね「とても笑顔が華やいで見えますよ」それが自分の事の様に嬉しそうに笑って 【ジーク】 「…あ」座ったところで自らの手を取られ…重ねられる。その手の暖かさに、目を細め…ルフトのほうを見て「ルフト様も、嬉しそうにお笑いになっています…から、ですよ」 【ルフト】 「…では二人一緒に居るからと言う事ですね……こんなに暖かな気持に為れるとは思っても見ませんでした」ジークの手から伝わる暖かさが染みこむ様で 【ジーク】 「私もです。伝えることに怯えていましたけれども…伝えてよかったと、本当に思います」少しだけ椅子を寄せ…ルフトの身体に寄り添う。繋いだ腕に、身体を寄せ…腕を絡める 【ルフト】 「そうですね。逆だったら僕には出来なかったでしょうから……ジークはとても凄いなと思いますよ」自分も少しだけ寄り掛かる…絡められた腕が絆のように思えて、そこに少し力を入れる 【ジーク】 「…そうでしょう、か? ルフト様も…出来ないことはない、と思います」力を込めてくれるのが嬉しくて、もう少しだけ身体を預けて行く。 【ルフト】 「いいえ傍観者ですからね…遠くで笑ってるだけでけして人に踏み込まない、臆病者なんですよ僕は」それが時たま寂しくてそれでも笑うしかない自分…それを自嘲しながら 【ジーク】 「ルフト様、それならば…私がお手伝いします。私も、お手伝いしますから…一緒に、頑張りましょう――」自嘲の笑みに気づき、言葉を返す。ルフトの思いも分かる、けど…自分としてはやはり…ルフトと共に在りたいから。 【ルフト】 「柄にも無い弱音を言いました」心配げなジークに笑いかけて「傍に居て笑ってくれるだけで充分です…それに物惜しみする性分ですからね、一度手に入れたものは手離したくは有りません」 【ジーク】 「…弱音は、二人で超えましょう。その方が…きっと、楽ですわ」目を閉じて、ルフトに自らの体温を伝えるかのように…寄り添ったまま「はい、私も…ルフト様の傍から居なくなるつもりはありません…から」 【ルフト】 「そうですね……そうできたらとても素晴らしいのかもしれません」寄り添うジークを抱き締めて「ええ、その言葉を信じます、居なくなっては嫌ですよ」 【ルフト】 まるで子供のように心の底からそう願い 【ジーク】 「…ぁ、温かいです、ルフト様」抱きしめられる心地よさ、温かさ。このまま時が止まってしまえばいいのにとも、思って…「ええ、私も…一緒に居たいですもの。ルフトと…時を、過ごしたいから」 【ルフト】 「本当に…困ったものです、一緒に居ると欲ばかり増えて来てしまいそうです」 【ジーク】 「私も、そう強くはない人間です…ですから、二人で歩んで行きましょう…?」少しだけ見上げるような感じのまま、ルフトに視線を合わせる。 【ルフト】 「いいえ僕にとっては眩しい位です……望んでくれるなら、何時までも」見つめながら頷いて視線を絡めるように近づいて行き 【ジーク】 「…はい、望みます。それが…今の私の願いです、心の底からの――」近づいてくる顔。避けることなく受け止め… 【ルフト】 「んっ…やはり愛しいですね…変える者の無いぐらいに」そのまま口付けて… 【ジーク】 「んっ…ん――」重なる唇…身体に熱が篭り、頬が染まって行く。 【ルフト】 「愛してますよ…ジーク」何度も重ねても飽きたりない唇……それが自分だけのものかと思うと身体は火照り 【ジーク】 「私もです、ルフト様――愛しています…」口付けを、幾度となく交わしていく。離したくない、と…心の全てで、願う。 【ジーク】 「ルフト様…は、ぁ…」微かに唾液の橋を残し、唇を離す。少しだけ熱を持った頬、潤んだ瞳で見上げ…笑う「紅茶が冷めてしまいます、そして…もうすぐ朝食の時間ですから」とはいうものの、寄り添ったままで。 【ルフト】 「……んんっ。そうですね…このまま一緒に居たくは有りますが。自制無く振舞うのは優雅では有りませんし…皆さんにもご迷惑を掛けますからね」名残惜しそうに唇を離して、ジークの言葉に頷く 【ルフト】 「もう少しだけこのまま居たら…一緒に食べに行きましょう。きっと今日の朝食はとても美味しい気がしますよ」寄り添いその温度を確かめながら 【ジーク】 「はい、分かりました――」少しだけ腕を離し、自分で淹れた紅茶を一口。何も入れていないそれでも、今はなぜか…美味しく感じられて 【ルフト】 「では…そろそろ行きましょうか?」その様子を見てくすりと笑い自分も紅茶に口を付ける…多分この甘さはどんな砂糖も敵わないそんな美味しさで 【ジーク】 「…はい、参りましょう。これからのここでの生活が、もっと…幸せであると嬉しいのですけれど…」穏やかな微笑を浮かべたまま、ルフトの方を見て 【ルフト】 「大丈夫です、さっきジークも言ったでは有りませんか、二人で歩いていこうと……ならきっと幸せです」 【ルフト】 笑みを浮かべて立ち上がりエスコートするように手を差し出す 【ジーク】 「…ええ、そうですね――きっと、そうです」そっと、差し出されたその手を取り。 【ルフト】 「ではジーク僭越ですが朝食に招待したいと思います、返事ははいしか聞きませんのであしからず」仰々しく一礼して 【ジーク】 「…ええ、私もいいえと言うつもりはありませんから」くすり、と笑い。傍に立って歩き出す       寄り添い重なる二つの足音は何処か幸せそうな響き       その幸せが出来る限り続きますようにと願って……