22:07 山の空は、まだ暗く。稜線にようやく、光が差し始めている 22:07 だが、そんな事はまぁ、どうでもいい。大事なのは、汲んだばかりの水が、身を切るほどに冷たい事 22:08 【メーヴェ】「うぅ〜、ちべたい」 22:08 指先を入れては戻す事、数分 22:09 【メーヴェ】「よしっ」気合を入れて、その水で顔を洗う。いや、むしろ濡らす 22:10 【メーヴェ】「みっしょんこんぷりーとっ」その、所要時間は、わずか5秒だった 22:10 (どうぞ 22:11 >torazou< 【クロエ】「メーヴェ、ほらもう一寸ちゃんと洗わないと可愛い顔が台無しよ」 22:12 【メーヴェ】「ぎくっ」ぎぎぎと、錆びたドアのような奇怪な動きで、ゆっくりと、振り向く 22:13 >torazou< 一寸困った顔で、妹を見ながらタオルを用意して 22:13 >torazou< 【クロエ】「ほらちゃんと洗って、寒いからって身嗜みぐらいきちんとしなさい」 22:14 >torazou< 振り返った頭を撫でながら 22:15 【メーヴェ】「はぁ〜い」渋々ながらも、冷たい水に、手を浸し。冷たさに小さい悲鳴を上げながら、顔を洗う 22:15 もちろん、隣の洗面器に、取って置きの冷たい水を注いであげる事も忘れない。うん、これは復讐じゃないぞ 22:16 >torazou< 【クロエ】「じゃあ御褒美、朝は取って置きの苺のジャムを使って良いって」その様子を笑いながら洗面器水を掬い… 22:18 >torazou< 【クロエ】「冷っ…もーメーヴェっ!!」軽く怒ったような仕草で妹の方を振り返る 22:18 【メーヴェ】「お姉ちゃんの誕生日も終わったばっかだってのに、剛毅だねぇ。こりゃ、雪でも降るかな?……アレ?」と、切り抜いただけの、窓の外を見上げる 22:19 【メーヴェ】「私だって冷たかったんだから。イーだっ!」ささやかな復讐に気付かれ。何を見たかも忘れ、舌を出して戦術的撤退 22:20 山で、煙が見えたような気がしたけど。きっと誰かが、あそこで朝食を摂る羽目になったんだろう。寒いのに御苦労な事だ 22:22 >torazou< 【クロエ】「待ちなさいっ!・・・まったくっ、お母さん私も手伝う」結局はご飯を食べに戻ってくるのだ、がっかりしない様に準備しておいてやろうと思って朝食の準備手伝いに台所に向かう 22:24 【お母さん】「はいはい。ここまで聞こえたわよ?」くすくすと笑いながら、芋を剥く母の後ろ姿 22:25 クロエが幼かった頃は、料理も失敗だらけだったのに。今ではすっかり、台所仕事が板についていて 22:27 >torazou< 【クロエ】「今日は昨日のシチューと・・・・?」母親の用意してる材料を見ながら鍋を掻き混ぜる役を変わりつつ 22:29 【お母さん】「あら、ありがとう。それにしても、残念ね。昨日の服、似合っていたのに」と、おたまを受け渡しつつ、いつもの服装を見やり残念そうに呟く 22:30 もっとも、街では普段着だったかもしれないが。行商人しか来ないここでは、布も貴重品だ。 22:31 あんな服を着て作業なんて、到底できはしない 22:31 >torazou< 【クロエ】「だって、あれは取って置きにするんだもん。それにメーヴェが羨ましがっちゃうし」母親の台詞に笑顔で答えて 22:34 【お母さん】「それはまぁ、自慢のお姉ちゃんですもの。顔だけは、あの人に似ないで良かったと思うわ」と、さらりと。父が聞けば顔を顰めるような台詞を、楽しそうに呟き 22:35 >torazou< 【クロエ】「お母さん、お父さんが怒るよー。」あははははと笑いながら 22:38 【お母さん】「怒らせとけばいいのよ。ずっと傍に居ろ、だなんて言って。年の半分は、村に居もしないんだから。今は、クロエたちが居ますけどね」と、怒った振りをしつつ。朝食を仕上げ 22:41 >torazou< 【クロエ】「うん、それじゃあ私メーヴェを探して来るねっ!」出来上がりを見て、台所を後にする。山野を駆けて育ったからかその足取りは妹と同じ位には元気で 22:44 【お母さん】「ええ、お願いね。私では追いつけないから」先に作り置いたパンに、もう一度、軽く火をあてながら 22:45 >torazou< 【クロエ】「だいたいお母さん、お父さん大好きなのに意地張っちゃ駄目だよ。帰って来たらうんと甘えちゃえっ!」出掛けにそう囃し立てて 22:47 こらっと、背後から聞こえるも。追いかけてくる気配はない。冬が終わり、春の兆しが、もうしばらくしたら、土を割る 22:48 いつ、帰ってくるかは定かではないが。出稼ぎに出ていた父が戻るのも、そう、遠い事ではないだろう。いや、今にもひょっこり、顔を出すのかもしれない 22:48 >torazou< 【クロエ】「早く春が来ないかな…」そうすればお父さんも暫くは家に居てくれるのにと待ち如何しそうに呟いて 22:51 >torazou< 【クロエ】「さて…と。」きょろきょろと辺りを見回す 22:51 >torazou< 隠れてる気配はない 22:58 それは、隣の家からかすかに聞こえる。だが、この寝息は、間違いない 22:59 >torazou< 【クロエ】「・・・・・・・」その気配の元を探ろうと野山で動物と遊ぶ為に培った忍び足でそーっと窓から中を覗く 23:01 庭の向こう、張り出した縁側に。座り、茶をすする老婆と。その膝に頭を乗せ眠る、猫のように丸まる、妹の姿 23:06 >torazou< 【クロエ】「・・・・・・・・」そーっとそーっと忍び寄り 23:07 >torazou< 途中眼があった老婆には軽く悪戯っぽく微笑み、人差し指を口元に当てる 23:08 【老婆】「……」心得たとばかりにこくりと頷き、傍観の体を示す。知らぬは、妹ばかりなり 23:09 >torazou< そーっと兎でも抱き抱えるかのように腕を広げて 23:12 【メーヴェ】「おねえちゃん……そっちはタコ入り……」どのような夢を見ているのか、よだれをたらしつつ 23:13 >torazou< 【クロエ】「捕まえっっ!」ぎゅーっと抱き締めるようにし捕まえようとした寸前に寝言で手が止まる……あれは寒気しかしない食べ物だった・・・今度買って来たらお父さんは絶対家に上げてあげないと誓っても良い位 23:16 【メーヴェ】「むにゅ?……お姉ちゃんだ〜……くー」掛け声に起き上がり、抱きつき、即寝の三段コンボを決めて 23:17 【老婆】「くっくっく」老婆は、そんな二人の様子を肴に、笑いをかみ殺して 23:17 >torazou< 【クロエ】「・・・・まあいっか、おはようございます。」抱き抱えながら老婆に挨拶し 23:19 【老婆】「おはよう、クロエの嬢ちゃん。いやいや、良い物を見させてもらったよ、長生きはするもんだねぇ」と、また笑い 23:20 >torazou< 【クロエ】「もーそんなに笑わないで下さい、あれは本当に酷い食べ物だったんですよ」 23:21 >torazou< 恥しげに笑いつつ 23:22 【老婆】「そうかね? そんなに悪くない食べ物だったと記憶しとるが。まぁ、山じゃそうそう、口にできるものでもないし、良かったじゃないか」 23:24 と、記憶を探るように、宙を眺めつつ、宥めるように 23:25 >torazou< 【クロエ】「そんな事ないです、蕁麻疹やら吐き気やらで……いいですよ私だけ仲間外れで。」一寸不貞腐れて 23:26 >torazou< 【クロエ】「もし今度お父さんが買って来たらお婆さんにお裾分けに来ちゃいます」ぐっと握りこぶしで決意し 23:27 【老婆】「だから、そうそう食卓に上らなくて良かったじゃないか。何なら、そっちのかわいらしいメーヴェの嬢ちゃんの皿に、そっと」と、箸でつまんで、隣に移すようなしぐさをして 23:29 【老婆】「そいつは楽しみなこった。もっとも、娘の嫌がる物を何度も買ってくるような子じゃないと思うがねぇ」と、頷いて湯飲みを啜ろうとするが。もう、飲み切っていたらしく 23:30 >torazou< 【クロエ】「真似しちゃうから駄目です。でもお母さんとメーヴェには好評だったし、何よりお父さん忘れっぽいから」むーっと困った顔で 23:30 【老婆】「クロエの嬢ちゃんも、飲んで行くかね?」億劫そうに立ち上がり、台所へ向かう最中、振り返り 23:31 >torazou< 【クロエ】「お母さんが待ってるから、又今度」その問いに笑顔で反して 23:33 【老婆】「そうかい、それじゃあ、また後でね」と、家の奥へ姿を消す。残されたのは、2人の少女だけ 23:37 >torazou< 【クロエ】「はい、ありがとうお婆さん。さっ…朝ご飯、起きないとメーヴェの分も食べちゃうぞっ!」メーヴェを抱え直してそんな事を言いつつ家に戻る 23:38 【メーヴェ】「ん……この歯応えがなんとも……まったりとしてしつこくて……うよ?」と、ぱちくり目を開け、きょときょとと周囲を確認し 23:42 >torazou< 【クロエ】「ふふふふ…罰として、苺ジャムはお預けー♪」からかう様に朗らかな声で妹に意地悪を言い 23:43 【メーヴェ】「え〜と……あぁ〜っ!? あんまりだよ、お代官様〜」しくしくと、泣き真似をしつつリビングに入り 23:44 >torazou< 【クロエ】「嘘嘘、お母さんただいまーー」 23:45 【お母さん】「遅かったわね。少し冷めちゃったけれど、それでもいいかしら? お帰りなさい」と、待っていた茶葉を、ポットに投入し 23:46 【メーヴェ】「だぶ〜るしょっく」と、言いつつも。すとんと席に埋まり 23:47 >torazou< 【クロエ】「大丈夫だよ、お母さんの作ったご飯美味しいもの」自分もメーヴェの隣に座り 23:48 【お母さん】「それでは頂きましょう。ダナンよ、アエマよ。本日も、その恵みに感謝致します」と、手を合わせ 23:49 >torazou< 【クロエ】「ダナンよ、アエマよ。本日も、その恵みに感謝致します」と母親と同じように手を合わせる 23:49 【メーヴェ】「だなんよあえまよ以下略いただきま〜っす」すちゃっと、パンに手を伸ばし 23:51 >torazou< 【クロエ】「はい、付け過ぎたら駄目だよ」妹にジャムの器とスプーンを持たせてやり 23:53 【メーヴェ】「あれ? ……お姉ちゃんだ〜い好きっ!」ジャムの器と、スプーンを握ったまま、隣のクロエに抱きついて 23:54 【お母さん】「あらあら、仲のいい事。妬けてしまいそう」笑いながら、サラダをとりわけ 23:55 >torazou< 【クロエ】「こら現金だぞ、メーヴェ」それでも妹の喜ぶ姿が嬉しくて、その声はあくまで優しげで 23:57 いつまでも続くと思っていた、幸せな日常。それがまさか、今日終わるとは、誰も思っていなかった 23:58 ましてや、この3人の2人までもが、人生を終わらせてしまう、などとは誰も 23:58 いや。残りの一人の人生も。この日、終わってしまったのかも知れない 23:59   23:59   00:40 【老婆】「おや?」縁側に、茶を持って戻ると。ふと、日が翳った気がする 00:40 だが、空に雲はない 00:41 湯飲みを置いて、空を仰ぎ見る 00:41 何の事はない、翼が、太陽を遮っていただけだ 00:42 翼? そう、翼だ。その背に、人が乗れるほど、大きな鳥の。 00:42 だが、その背に人は乗ってはいない。乗っているのは、妖魔なのだから。 00:43 飛び降りたそれが、片手の剣を振るう。それすら、認識せぬままに。灰色の鞠が、大きく跳ねた 00:43   00:43   00:44 ごとり 00:44 窓から、何か丸いものが飛び込んできて、食卓に転がる 00:45 転々と、顔に、何かの飛沫が飛んだ 00:45 テーブルに飛んだそれは、紅い色をしていた。鉄の臭いをしていた 00:46 それは、先程見た顔であった。胴体が無いが 00:46 (どうぞ 00:47 >torazou< 【クロエ】「…………え?」現実味を帯びないものが眼に入る……ソレガナンデアルカを理解する事を拒否する様な緩慢な声 00:49 【メーヴェ】「おばあちゃん? 何、ちょっと。誰のいたずら? ケン?」子供の悪戯で、こんな精巧なおもちゃが作れるはずも無い 00:50 >torazou< 【クロエ】「ぁぁぁ………」ごろり……転がった顔の最早光もないガラス細工のような眼と自分の目が合う……それの名前が何であったか忘れた様に引き攣った声 00:50 そんな事は、誰もが分かっていた。これは、本物だ、と 00:51 >torazou< 【クロエ】「おっおかっおかあっ!」口をパクパク開けて助けを求めるように母親を見る 00:51 【お母さん】「山賊? クロエ! メーヴェ!」全てを無視して、子供の手を取り、引く 00:52 知識など無いが。こんな所に、2人を置いてはいけないと思った。 00:53 【メーヴェ】「お母さん? 痛い、痛いって!」あまりの力に、妹は涙目になっている 00:54 >torazou< 【クロエ】「えっあっおかっ…メーヴェっお母さんに付いて行って」その声に我を取り戻す… 00:55 >torazou< 妹の背を押す様に母の後を追う… 00:55 お母さんは、怖い顔をして。玄関に向かって、歩を進める 00:56 窓から入ってきた災いに、追い立てられるように 00:56 でも。災いが、どこからどこまであるのか。誰も、把握なんてしていなかった 00:57 靴を履き、娘達を待って、扉を開ける 00:58 それが、彼女の人生の終わりだった 00:59 >torazou< 【クロエ】「お母さんっ!!」ドアの向うのモノが眼に入り母親に警告の悲鳴を上げる 01:00 【フォモール】「ビ・ン・ゴ・☆ じゃ、俺はここ担当な」へらへら笑いながら、突き出された剣は。意外なほどさっくりと、母の腹に突き刺さった 01:01 >torazou< 【クロエ】「駄目っ!・・・・・ぁっぁあああああ」咄嗟に母親を突き飛ばそうとした手は間に合わず 01:02 【お母さん】「クロ……エ……?」振り向きかけたまま。その表情は、呆けたような物に変わり、苦悶へと流転する 01:05 >torazou< 【クロエ】「やっやだっお母さんっ」血を流す母親……イヤダイヤダイヤダイヤダ……その視界に入る全てを否定するかのように抱き付く 01:06 【お母さん】「逃げ……な……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」それでも、辛うじて。2人の娘に指示をしようとするも 01:07 【フォモール】「馬鹿言ってんじゃねぇよ。せっかくの上玉じゃん? 誰が逃すかってぇの」剣を捻り、傷口に空気を送り込む 01:09 【メーヴェ】「お母さん? 何で、おなか、そんなに……?」姉の背に隠れ、母を刺した男を見上げ 01:10 >torazou< 【クロエ】「いっ嫌だお母さんっ!!メーヴェ・・・」その光景足が竦み…母親の声に動けず居た所で背の温もりに気が付く…… 01:12 【フォモール】「へぇ、クロエにメーヴェって言うんだ。かわいこちゃんのお名前ゲット?」と、軽薄な口調で語りかけながら。母の腹から、剣を引き抜く。 01:13 >torazou< 【クロエ】「早く、奥へっ!」先ほど三人で駆けた狭く短い廊下…最早手を引いてくれる母を失い妹を必死の形相で家の奥に連れて戻る 01:13 母は、もう、呻き声も上げず、ぴくりとも、動かない 01:14 >torazou< 訂正:【クロエ】「早く、奥へっ!」先ほど三人で駆けた狭く短い廊下…最早手を引いてくれる母を失い妹を必死の形相で家の奥に連れて戻ろうとして 01:15 【メーヴェ】「奥? うん、お姉ちゃん!」何が起こっているか、把握していないわけではない。ただ、認めたくなかっただけ 01:15 >torazou< ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ 何度も何度も心の中で母親に謝る 01:15 姉の邪魔にならないよう。むしろ、全力で奥を目指し、駆け出しながら 01:16 >torazou< 【クロエ】「早く部屋にっ!」妹の腕を引く手は…母親の血でべったりで… 01:17 【フォモール】「お人形遊びの次は、追いかけっこか。じゃ、捕まったらお兄さんのお願い、聞いてもらおうかね」ゆっくりと。しかし、大股で。足を高く上げずに、2人を追い、舌なめずりをし 01:19 【メーヴェ】「奥のお部屋に行けばいいのね?」普段の、天邪鬼ぶりは、なりを潜め。ぬるりとした、熱を失いつつある物に恐怖を喚起されながらも 01:20 まだ、伸びきってない足を、懸命に動かして。追いかけてくる男と、母の死から逃れようとするかのように 01:21 >torazou< 【クロエ】「そっそう早くっ!」何時もは一瞬で辿り着ける子供部屋が今日は無限の距離に感じ 01:22 【フォモール】「ほらほら、早くしないと追いついちまうぜ?」声は、息を切らせもせず。そして、遠ざかりもしない。追って、きているのだ 01:23 >torazou< 【クロエ】「はっいってっ!早くっ!」それでも辿り付いた扉を慌てて開き…メーヴェを先に部屋に入れるとドンっと勢いよく扉を閉める 01:24 >torazou< 奥歯はガチガチと震え… 01:25 【メーヴェ】「はあっ……はあっ……もう、大丈夫?」板一枚だけの仕切り。それでも、相手の姿が見えなくなったためか。僅かに気を緩め、お姉ちゃんを見上げ 01:26 >torazou< 【クロエ】「だっだめ、メーヴェ隠れてっ!!かくれんぼは得意でしょっ!!」椅子やら粗末なベッドやらを扉に押し付けようと 01:28 【メーヴェ】「うん……お姉ちゃんは?」ベッドのマットレスを持ち上げ、ベッドとの隙間に潜り込みながら、姉を振り返り 01:30 【フォモール】「さぁ〜て、何発耐えられるかなぁ〜?」どんっと、ドアが軋む悲鳴を上げる 01:31 >torazou< 【クロエ】「私は大丈夫だからっ!!」鬼気迫る形相でその振り返った顔を追い払う…少しでもちゃんと隠れよと態度で追い立て 01:33 >torazou< 【クロエ】「きゃうっっ!」家具越しの軋みそれでも少女の心に恐怖を染み込ませるには充分で 01:39 【メーヴェ】「お姉ちゃんまで……死んじゃったら嫌だからね?」そう言って、今まで見つかった事の無い隠れ場所に、潜り込む 01:41 >torazou< 【クロエ】「大丈夫、大丈夫だからっ!」それは自分にか妹にか…言い聞かせる様に繰り返し 01:41 【フォモール】「には〜つ、さんぱ〜つ」口調は、軽い調子で、恐らくは、本気ではないのだろう。だが、それでも、その衝撃は軽くは無くて 01:42 >torazou< 【クロエ】「帰ってっ!!帰ってよっ!!」 01:44 【フォモール】「いやだって、今日から俺らここ住むし? 人間に追い立てられて、おいら達今ホームレスなのよ」けらけら笑う声 01:44 >torazou< 衝撃の度に家具が軋む……それに背を押し付け……いやいやをする様に頭を振り 01:46 【フォモール】「ちっ、埒があかねぇな。しょ〜が無い、道具取ってくるから、大人しく震えてろよ?」と、駆け足の足音が、遠ざかり 01:47 >torazou< 【クロエ】「此処はお父さんとお母さんと私たちの……あ……」その足音に気が付き一瞬気が緩み 01:48 >torazou< 【クロエ】「だっだれか今の内に助けを呼ばなきゃ……」ふらふらと立ち上がって扉の向うに耳を澄ます 01:48 ずる ずる ずる 01:49 残念ながら、何か重い物を引きずるような音が。近付いて来ている 01:49 >torazou< 【クロエ】「な…に…この音…?」 01:50 【メーヴェ】「何か、あったの?」困惑が伝わったのか。ベッドの中から、問いを発し 01:51 >torazou< 【クロエ】「静かにしてて、お願いメーヴェ、一生のお願いだから」何の音かは判らないが帰って来たことだけを理解し再び扉を内側から支え 01:52 【フォモール】「クロエちゃ〜ん、メーヴェちゃ〜ん。いい子にしてたか〜い?」やがて、耳を澄まさなくても聞こえるようになったその音は、扉の前で止まる 01:53 >torazou< 【クロエ】「…………」その声には答えず息を殺して再度の衝撃に備えて 01:54 【フォモール】「ちょうどいい道具が落ちてたんで、あんまり、お待たせしなかったぜ。空けてくれよ子山羊ちゃん」と、扉をノックして 01:56 >torazou< 【クロエ】「………………」その声が余計に恐怖を掻き立て噛み合わぬ奥歯をガチガチと打ち鳴らし竦み上がった身体は岩の様で 01:56 【フォモール】「嫌か〜、それじゃあ、しょうがねぇな〜。しょうがねぇよなぁ?」扉の外の気配、意識が完全にこちらに、向けられ 01:57 そして、今までに倍する衝撃が、扉を叩いた 01:58 べちゃり、と。半瞬遅れて。何か湿ったような音がする 02:00 >torazou< 【クロエ】「ひぐっ!」怖くてそんな事に気を回す余裕など無いはずなのに……今の音が嫌に…耳の奥に…残った… 02:00 しかも、それが一度ではない。二度、三度、四度。道具を使っているせいか、何の呵責も無く、連続で、それが叩きつけられていく 02:00 べきり 02:01 そんな音も、時折混じる。男は、構わず叩きつける 02:03 >torazou< 【クロエ】「いっ一体何を?」扉を壊す道具と言うには余りにも不可解音に…思わずその質問が口に付き 02:04 【フォモール】「冷たいよな〜? お母さんがノックしてるってのに、子供達が締め出すんだぜ? かわいそうでちゅね〜」 02:05 叩きつけられる扉の下に、紅いしみが、拡がってゆく 02:05 >torazou< 【クロエ】「お……か…あ…さん?」 02:06 >torazou< 先程までの音とその色に…理解したくもないその言葉の意味が頭の中を蹂躙し 02:07 >torazou< 【クロエ】「いっいや、お母さんっ!!お母さんっ!!」 02:08 【フォモール】「そ。ママ、マミー、マイマザー、ムッター、母上、好きな呼び方で呼んでいいのよぉ? そーかそーか、お母さんは悲しいぞぉ」叩きつけられるそれがぐしゃりと何かを床に落とす音 02:08 >torazou< 泣き叫びながら自分が今まで封じ続けていた扉を 02:09 >torazou< 緩めてしまう…その音だけで心砕かれて 02:10 >torazou< 【クロエ】「やっ・・・やめて」 02:11 【フォモール】「おやおや、片手もげちまったか。ま、抱きしめるだけなら片手で十分だよな。あ、2人居たっけ〜?」親しげに、それに話しかけながら。その話し相手を、扉に叩きつけ 02:12 そこに、容赦など、全く無く。原形すら、とどめているのか、もはや分からない 02:14 >torazou< 【クロエ】「やめて、お母さんを帰してっ!!」泣き叫び何処か心の箍が外れ自分から部屋の外に出ようと 02:16 【フォモール】「こんなモンが欲しいの? 変わってるねぇ」放り投げられる、人間代の、紅い物 02:17 圧力に、頭は胡桃のように砕け、眼球も、もっとも硬い骨に守られた灰色の固まりも、隙間からはみ出し 02:18 床には、肩から千切れた、左腕。洗い物のときにも外さない、小さな指輪が、鈍く光る 02:20 柄にされたであろう、脚だけが、妙に綺麗で 02:20 >torazou< 【クロエ】「ひっ…あ……」その変わり果てた姿にぺたりと座り込み……それでもまだ母と判る母の手を握ろうと 02:20 それだけが、朝食の時と、変わっていない物だった 02:23 【フォモール】「感動のご対め〜ん。俺っちのプレゼント、気に入ってくれた?」無遠慮に、母の手を取り上げ。二の腕を持って、握手をするように差し出し 02:23 >torazou< 【クロエ】「お…か…あ…さん?」精神の均衡を失い何処か場違いなほど惚けた声で母を呼び握らされた手の指輪に触る… 02:25 【フォモール】「そう、お母さん。クロエが開けてくれなくって寂しかったわ。寂しくて寂しくて、胸が張り裂けそうで、ついでに頭まで裂けちゃった♪」 02:26 操り人形のように、母だった物を背後から抱いて。ポーズを取らせて勝手に母を騙り 02:28 >torazou< 【クロエ】「あっあああァァァァッッっっっっっっっっっっっっっっっ」母を取り返そうとフォモールに掴みかかる 02:31 【フォモール】「おお、そんなに求めてくれるのね、いとしいシト。ベッドの用意までできてるなんて完璧過ぎ」掴み掛られるままに、任せ。母と共に、子供部屋に押し入り 02:35 【フォモール】「さぁ〜て、もう一人居た筈だよな?」と、部屋の中を見回し 02:37 >torazou< 【クロエ】「やっ…」押し込んで来たフォモールの台詞に蒼白になって押し出そうとするも 02:40 >torazou< 押し返す力は弱弱しく 02:40 【フォモール】「もう、お母さんは返してあげたんだから、次はこっちが貰う番。わがままばっかり言ってると、お尻ぺんぺんしちゃいますよ? お母さんで」と、強引に押し入り 02:42 【フォモール】「追いかけっこ、押し競饅頭ときて、最後はかくれんぼか。俺様たる〜い」中に、メーヴェの姿が見えないのを、見て取ると 02:42 >torazou< 【クロエ】「妹は逃げたわよっ……」 02:43 そのまま、クロエの細い首に、手を伸ばす 02:43 >torazou< 【クロエ】「ひっぁっ」 02:44 【フォモール】「逃げたか〜、逃げちゃったか〜。それじゃあ、しょうがないよなぁ。俺、この玩具が壊れるまで遊んじゃお。どれくらいで、壊れるかなぁ?」そのまま、片手で、首を握ったまま持ち上げて 02:46 >torazou< 【クロエ】「くっ…ぁっ…いっ痛いっ!」逆らうような力は…元々逆らえるような力はないのだが…全て使い果たした身体は面白いように楽に持ち上げられ 02:46 【フォモール】「なぁ、クロエちゃん。人間って、窒息すると何秒で死ぬか知ってるぅ〜?」ゆっくりと、持ち上げる五指に、力を込めていき 02:47 >torazou< 【クロエ】「ぎっ…ぐっ…くる……」喉を絞められバタバタと乱雑に手足を動かして 02:48 【メーヴェ】「……!」息を、呑む。姉の悲鳴。そして、男の声。何をされているかは、明白 02:48 お姉ちゃんは、じっと隠れていろって言ってた。でも 02:49 【メーヴェ】「その手を、離せーっ!!」そんなの、できるわけが無かった。マットレスを跳ね上げ、姉を持ち上げている腕に噛り付く 02:52 >torazou< 【クロエ】「だっ…め…っっっ…にっげっ…」メーヴェの姿を見止め、母親と同じように逃げろと伝えようとするも締め付けられた喉では満足に声は出ず 02:53 【フォモール】「これで、王手飛車取りっと」指を開いて、獲物を落とす。開いた右腕で、まだ憤り、噛み付こうとする獲物を、摘み上げ 02:55 【フォモール】「クロエちゃんも、メーヴェちゃんも。逃げ出そうとすれば、残った方がどうなるか、分かるよな?」そう言って、獲物を追い詰めた猛獣のように、歯を剥いて笑った 02:58 >torazou< 【クロエ】「おっお願い…メーヴェだけでも……逃がして」懇願する様に声を絞り…フォモールに 03:00 【フォモール】「逃すのはできないねぇ。人間に、根城の事がばれたら困るもんよ。ま、その他は、心掛け次第かねぇ?」均整の取れた身体に、舐めるように視線を這わせ 03:01 【メーヴェ】「こんなやつの言う事聞くこと無いんだからっ! わたがふっ!?」 03:03 【フォモール】「もちろん、心掛けが悪ければ、こうなるわけだけども」襟首を掴んでいた手を放し。床に落ちた背中を踏んづけて 03:03 >torazou< 【クロエ】「何でもする、何でもするから…妹に酷い事をしないでっ…止めてっ!!」 03:05 【フォモール】「うんうん、良かったね。妹思いのお姉ちゃんでさ」と、足を退け、メーヴェを助け起こす 03:07 これから先、この狭いアジトで。この姉妹を使って、どう、自分の立場を強化し。楽しく過ごしていけるか考えながら 03:07 >torazou< 【クロエ】「よかった……大丈夫、私は大丈夫だから」自分がどんな事をされるかなどは頭に無くせめて妹が無事であればと願って…息を吐く