それは何もない昼下がり。ベースは取り立てて何の異変も無く、大半は探索に出払っている所為か彼女の姿を見つけるのは容易で 何時もと同じように声を掛ける…… 【ルフト】「ジーク、仕事が終わったのなら一緒に涼みませんか?」よくよく考えるのなら……あのような告白をしたのだから、もう少し気の効いた事でも言えばよかったかと僅かばかり苦笑して…彼女を見る 【ジーク】「あ、はい。私のほうの仕事は一段楽していますから…ルフト様?」その小さな苦笑に気づき、小さく首を傾げる。 【ルフト】「いえ、初めてのデートのお誘いですからもう少し気の聞く場所と言葉でも考えればよかったのですが……我ながら冴えませんね」のほほんと笑い直し思った事を口にする 【ジーク】「…え、あ…デートですか――? いえ…ルフト様のご随意に。勝手に外に出てしまうわけにも行きませんから」うっすらと頬を染め、俯きながら… 【ルフト】「ええ、デートです。不躾なお誘いをお受けいただいて感謝します」少し芝居ががった口調でジークの手を取り 【ジーク】「…ルフト様――いいえ、お誘いいただき有難うございます」その手を握り、主のほうへ微笑む 【ルフト】「では参りましょうか、小川近くの木陰なら二人で涼むには充分です」軽く掌に口付けてから準備して置いたバスケットを揺らす 【ジーク】「はい、ルフト様――バスケットはお持ちします」と、ルフトの手からバスケットを預かり、そのまますぐ傍に並んで 【ルフト】「手の甲へのキスは忠誠の、掌へのそれは永遠の愛の証だそうですよ……ええ、宜しくお願いしますジーク」此の侭歩くだけでも十分そうな顔で 【ジーク】「…永遠の愛、ですか…」恥ずかしそうに照れた表情。いつもの冷静な表情とは違い…嬉しさや恥ずかしさが綯交ぜになっていて「…はい、畏まりました」 【ルフト】「少し気障だったでしょうか?」くすくすくと珍しく声を出して笑い「でも嘘ではないと誓えますよ?」 【ルフト】「しかし随分と勿体無い事をしたのかもしれません…」 【ルフト】「ジークがこんなに表情豊かで可愛らしい女性だったとは」 【ジーク】「…いえ、あの――そのような言葉、恥ずかしいです――」目を伏せながらも、そのまま傍を歩き。「私は、ルフト様の傍に居られれば…それで嬉しいのですから」 【ルフト】「ええ、傍に居て下さい。僕も傍に居ますから」とジークの手を握り直し軽く力を込める、失わない為の決意からか失う事への恐怖からか僅かに 【ジーク】「…はい、ルフト様――」握り直された手。こちらからも微かに力を込める…ただ、離れたくないと。これからも…そばにあろうと、心の中で誓い。 【ルフト】「ありがとうジーク」微かに込められた力に気がつき礼を言う…多分自分がまだ人間だと言えるのは彼女のお陰だと思い 【ジーク】「ルフト様…はい――」ただ、それだけを返す。主の想いに…これからも答えられるべきでありたいと、願う。 【ルフト】「……さて、立ち話だけと言うのはあんまりです……そろそろ座りましょうか」気分を変えるように浮いた本心を隠すようにジークに笑顔を向けながら 【ジーク】「…はい、今日はあまり陽も強くないので…こういう木陰は居心地が良いですね」笑顔で返しつつ…服を調え、草の生えた地面に座る。 【ルフト】「今日は程よく風の涼しい日ですからね……幸運でした」その言葉に頷き樹に背を預けるように座り 【ルフト】「二人だけでのんびりするのは悪くないですね……」 【ジーク】「そうですね――はい、二人で…」主のすぐ横に座り、樹に背を預け…流れる風のざわめきを感じつつ 【ルフト】「こうして居れるだけで充分僕は幸せなのでしょうが……」のんびりとジークと同じように風のざわめきに耳を澄ます 【ジーク】「ルフト様…」そっと、主と手を繋ぐ。それだけで、自分も充分に幸せで… 【ルフト】「ジーク…」名前を呼びながら横に座る彼女の顔にそっと自分の顔を近づけ 【ジーク】「はい…ルフト様――? っ…」告げられた名前に、主のほうを向く。近づいてきた顔に気づき…かぁ、と頬を染めて… 【ルフト】「愛してますよ」その染まる頬にもう片方の手を当てながら以前よりしっかりと唇を貪る 【ジーク】「ん…んぅっ――」重なる唇。身体に入っていたはずの力が抜け……その行為を受け入れる。自分の鼓動がとても高くなっているのに気づいて… 【ルフト】「ん…ジーク…」頬に当てていた手を離し力の抜けた身体を抱き締め……啄ばみ貪り代わる代わるに唇を交わらせつつ 【ジーク】「んっ…ぁん――ん、ふ…」崩れそうになる身体を抱き締められ…さらに唇を貪られていく。目を閉じ、ルフトにされるがまま… 【ルフト】「ふっ…うんっ…」ジークの上げる声に自信の鼓動も高鳴り……何時しか唇を貪るだけでは飽き足らず割る様に舌を侵入させて行き 【ジーク】「ん、ぅっ…ルフト、様…ん――」自分の口内に進入してくるルフトの舌。それに合わせるように、自らも舌を絡めていく。少しずつ、ルフトのほうへ身体がしなだれかかって。 【ルフト】「んっ…ドキドキしてまね…僕もジークも……」何度も舌同士を絡めたり歯茎の並びをなぞる様にしながら……早鐘打つ自分の胸にジークの手を当てる 【ジーク】「は、い…ルフト様――私も、すごく…」早鐘を打つ様に鳴る自分の心臓。ルフトの胸からも、同じような鼓動を感じ…微かに笑う。「…ぁ、ん――」再度、舌を絡められ…微かな声が上がる。 【ルフト】「ジークだから……こうなります…んんっ…」自分の腕の中で千変の表情を見せるジークに微笑みかけて 【ジーク】「…ルフト様――嬉しい、です」離れた唇。笑顔で笑い返して…ルフトの方へ身体を寄せる。 【ルフト】「……僕は安心します、こうしていると特に」寄せられた身を抱き締めながらジークの頭を撫で…… 【ルフト】「何が有っても護れそうですから」寄せられた身から伝わる鼓動は心地よく身に染み込み 【ジーク】「私もです…ルフト様――私も、お守り致します――」目を閉じ、ルフトに寄り添ったまま。「盾でもなく、剣としてでもなく…傍にある者として…ルフト様を――」 【ルフト】「ジーク…様では無くルフトと呼んでくれても良いんですよ?」その閉じた瞼に口付けながら 【ジーク】「あ、う…ルフト様――ですが、そのようなことは…」瞳を開いて、俯き…頬を染めて 【ルフト】「無理にとは言いませんが……二人の時ぐらいはそう呼んでくれると嬉しいです」その頬に頬を寄せながら抱き締め 【ジーク】「…はい、えっと――ルフト、様…あ」今までの癖で、つい…様、がついてしまう。呼んでしまってから、小さく笑って…「まだ、時間はかかりそうですけれど…そうしてみますね」 【ルフト】「ええ…今までだって随分ゆっくりとしたものだったのですから……ゆっくりと…」 【ルフト】「ジークの歩調で良いですよ、今度は僕がそれに合せます」やさしく笑い 【ジーク】「はい…有難うございます――ルフト…」心からの笑顔で、返して… 【ルフト】「はい……機会が有るなら今度はジークのお願いが聞いてみたいですね、僕のお願いだけでは不公平ですから」様が無いだけでずいぶんとくすぐったくその呼び方が心に染み 【ジーク】「お願い、ですか…? 私の願いは――ルフト様の傍に…居られることです。それだけで、私の願いはかなっているようなものですから――」こつり、と自らの額をルフトの肩に預け…