23:02:18(rapunzel_)   23:02:19(rapunzel_)   23:02:19(rapunzel_)   23:02:28(rapunzel_) ED02-EX 雪人&行奈 23:03:50(rapunzel_) 雪人は、行奈の黒髪に、指を絡める。 23:04:01(rapunzel_) 右回り。右回り。左回り。右回り。 23:04:54(rapunzel_) 既に、陽は暮れて。 23:05:03(seduki ) 眠っているかの様な、安らかな顔…僅かに睫が動く。 23:05:06(rapunzel_) ――綺麗な月が、浮かんでいる。 23:05:57(rapunzel_) 窓から差す月光が、まるでスポットライトのように、2人を照らす。 23:06:17(seduki ) 月明かりが、二人の白い肌を、さらに青白くさせ。 23:08:27(seduki ) ゆっくりと、ゆっくりと、瞼が上がり… 23:09:01(rapunzel_) 雪人は、ミラーシェードを外し、脇に置く。陽の光が沈んだ以上、瞳の保護は必要ない。 23:09:28(seduki ) 最初に目に入ったのは、何処だか思い出せないが、来た事がある部屋の、その天井。 23:10:42(seduki ) 次に彼女の目に入ったのは、ミラーシェイドを置いて、こちらに向き直った雪人。 23:11:44(rapunzel_) 【雪人】「……お目覚めか、眠り姫」  23:12:18(seduki ) 【行奈】「――え?」声に気付き、改めて、自分が何故此処に居るのかを思い出す。 23:13:02(seduki ) 壊れた人形を追い詰め、ビルまで入って行き…人形を目の前にして何かしらの会話を交わし… 23:13:07(seduki ) そこから先が、思い出せない。 23:13:28(rapunzel_) 【雪人】「俺が、わかるか?」 その瞳は、優しい。優しすぎる程に。 23:14:13(seduki ) 【行奈】「…ええ」頷く。ハンドルネームも、名前も、何回交わしたかすらも。 23:14:53(seduki ) なのに、つい先程何があったのかが、思い出せない。…いや、そもそも、あれからどれぐらいの時間が経っているのかすら分からない。 23:16:06(rapunzel_) 【雪人】「そうか。……"今"は、行奈か」 そっと、手を伸ばす。髪に触れる。 23:16:32(seduki ) 【行奈】「今…どういう意味です?」触れられるままに。 23:18:49(rapunzel_) 【雪人】「自己防衛で生まれた人格なのか、それとも……エリナと同じなのか。まだ、判別は難しい」 右回り。左回り。 23:19:17(rapunzel_) 【雪人】「……いや、違うか。前者なら……俺を認識できる」 23:19:27(rapunzel_) 【雪人】「ならば後者か」 23:19:33(seduki ) 【行奈】「何の話です? あの…」 23:21:19(seduki ) 本当に、分からないといった面持ち。 23:24:29(rapunzel_) 【雪人】「……行奈。お前はあの後、お前ではない"何か"になってしまった。まず、そこから始めるとしよう」 23:24:59(seduki ) 【行奈】「…つまり、私もエリナと同じ?」 23:28:08(rapunzel_) 【雪人】「そうかもしれない、そうでないかもしれない」 23:28:36(seduki ) 【行奈】「それで…どうすれば…?」 23:29:01(seduki ) まさか、自分もエリナの様に別人格を持っているかも知れないとは思う筈も無く。 23:29:29(seduki ) 不安そうに俯き、顔を背け、窓の外の月を見上げる。 23:30:45(rapunzel_) 【雪人】「行奈。言いたく無ければ、言わないでいい。 ――以前に、レイプされたことはないか」 23:31:05(seduki ) 【行奈】「…え…」 23:31:22(seduki ) 2秒よりも長い沈黙。10分にも似た様な、長い時間。 23:31:34(seduki ) そして…口を開く。 23:32:12(seduki ) 【行奈】「無い…筈です。ただ、私の記憶は、3年前から前の記憶が無いので、その間に何も無かったかというと…正直、分かりません」 23:33:15(seduki ) 記憶が無い事への不安。自分が誰だったのかすらも分からない不安。 23:33:22(seduki ) それが、時折、こうやって襲い掛かる。 23:33:34(rapunzel_) 【雪人】「検事の道をお前が歩む真の理由。……あるのだろう?」 23:35:29(seduki ) 【行奈】「理由…無い訳では、ありません。本当は、弁護士になりたかった。でも、一度、自分が事件に巻き込まれ、身を以って被害者の気持ちを感じた…だから検事に転向した…」 23:35:50(seduki ) 少しずつ、思い出していく。たった3年の記憶ですらあやふやになりかけている。 23:36:15(rapunzel_) 【雪人】「"事件"、か。それは何年前の話だ?」 23:36:48(rapunzel_) 【雪人】「"5年前"?それとも"10年前"か?」 23:37:05(seduki ) 【行奈】「だいたい1年前、まだ私が司法研修生だった頃です。稲垣機関に、自分がアヤカシであるという情報を握られ、それで…」 23:37:24(seduki ) 頭を押さえる。 23:37:27(rapunzel_) 3年前より以前の記憶が無い、と言った行奈に、雪人はそんな事を言う。 23:38:28(seduki ) 【行奈】「でも…でも…そういえば、そもそもどうして弁護士になりたかったのか…思い出せないんです」 23:38:46(rapunzel_) 雪人は、笑む。それは優しい笑みではない。 23:39:58(seduki ) 【行奈】「地上に降りた際に、すでに法学部への進学が決まっていて…シャトルの発着場から、新しい自宅に通されて、次の日に入学式があって…」 23:40:19(rapunzel_) 【雪人】「根本的な部分が抜けている」 23:40:45(rapunzel_) 【雪人】「では、何故……"降りてきた"のだろうな?」 雪人は、行奈の上に覆い被さるように。  23:41:17(seduki ) 【行奈】「っな…何を…」光が遮られる。逆光で雪人の顔が見えない。 23:43:53(rapunzel_) 【雪人】「植え付けられている。全ては後付けか。それとも、そうなるように心理誘導でもカマされたか」 雪人の指が、行奈の頬を撫でる。 23:44:46(seduki ) 【行奈】「今日の貴方は…何処かおかしい…分からない、分からない…一体何を導き出そうとしているのです…?」 23:45:11(seduki ) 撫で上げるその指先が、何故か冷たく感じられた。 23:46:51(rapunzel_) 【雪人】「わからないのはお前の方だ、行奈」 言うやいなや。雪人の手が、行奈の首を掴む。 23:47:59(seduki ) 【行奈】「ぐ…」逆に手を伸ばして肩を押そうとするが、遅かった。血が回らない。だから、脳からの命令が届くはずの手に、力が入らない。 23:51:43(seduki ) 指先が空を切る。仰ぐ。視線が、徐々に定まらなくなっていき。 23:52:07(rapunzel_) 【雪人】「出てこい。そんなところに隠れていないで」 23:52:47(seduki ) 次に彼女が瞳を閉じ、開いた瞬間… 23:53:37(seduki ) 【  】「やめて…痛いじゃない…」苦痛を訴えてはいるが、別の“誰か”が表層化した。 23:53:43(rapunzel_) 【雪人】「聞かせて貰おうか。"行奈"」 23:53:52(rapunzel_) 雪人は、力を緩める。 23:54:17(seduki ) 【  】「…ゆきな? それ、誰…?」 23:54:41(seduki ) 再び血が巡り始めた脳で、答えを返す。 23:55:03(rapunzel_) 【雪人】「……名前は?」 23:55:35(seduki ) 【  】「あたしは、りりす。うん、りりすがいい」 23:56:57(rapunzel_) 【雪人】「リリスか。良かろう」 そっと、手を離す。 23:57:31(seduki ) 【  】「それで、何でもう一回引き摺り出したりなんかしたの?」 23:57:57(seduki ) 上体を起こし、好奇に満ちた目で男を見る。 23:58:15(rapunzel_) 【雪人】「お前は誰だ?アヤカシか?」  23:59:19(seduki ) 【リリス】「…そうでもないし、そうかもしれないし。分からない」 00:01:50(rapunzel_) 【雪人】「……リリス。俺の名前は雪人。幾つか聞きたいことがある」 00:02:12(seduki ) 【リリス】「いいけど、何?」 00:02:35(rapunzel_) 【雪人】「歳は、幾つだ?」 00:02:59(seduki ) 【リリス】「…分からない。年って、何? 数えるもの?」 00:06:50(rapunzel_) 【雪人】「そうか。お前が生まれた場所は寒かったか?常春だったか?」 00:07:55(seduki ) 【リリス】「うーん…いつも夜だった。部屋の中に居た。白い服を着た人がたくさん居て、あたしの身体を弄ってるの。たくさん酷い事をされて…あいつら、次に会ったらぐちゃぐちゃにするんだから」 00:08:32(seduki ) 思い出しながらも、その作業が彼女にとっては楽しそうでもある。 00:09:54(rapunzel_) 【雪人】「……そうか。"悪いヤツ"に、酷い事をされたのだな?」 00:11:13(seduki ) 【リリス】「うん、そう。あいつら、ひどいの。人を作っておきながら、勝手に失敗作だとか何とかって。だから、最初は気持ちよかったけど、もう、嫌になったら途端に痛くなって、暴れに暴れてやったら、小さい檻の中に閉じ込められちゃったの、あたし。」 00:16:08(rapunzel_) 雪人は、行奈……いや、リリスの脇に手を差し込み、半身だけ起きあがらせ……優しく、抱きしめる。 00:16:35(rapunzel_) 【雪人】「リリス。お前は、泣いていい」 00:16:53(seduki ) 【リリス】「泣く? それは何?」 00:17:10(rapunzel_) 【雪人】「お前がずっと我慢していたことさ」 00:17:24(seduki ) いつもの“行奈”なら、その背に手を伸ばして、きっと泣くだろう。しかし、彼女にはそれが分からない。 00:17:44(rapunzel_) 【雪人】「泣き方すら、忘れたか。それとも、それすら……わからぬか」 00:18:13(seduki ) 【リリス】「泣くって、よく分からない。あたし、ぐちゃぐちゃにする事しか、知らないもん」 00:19:20(seduki ) 【リリス】「子供も、みんな、死んじゃうし、あたしも、本当の“リリス”じゃないから、要らないんだって、白い服の人がみんな言ってたの」 00:19:32(rapunzel_) 【雪人】「……そうか。愛情を受けることすら無かったのだな」 抱きしめたまま、優しく頭を撫でる。 00:20:18(seduki ) 【リリス】「だから、毎日、一人ずつ、ぐちゃぐちゃにしてたの。凄く面白かったの。その時だけ、みんなびっくりしてて、面白かったの」 00:21:01(seduki ) 褒めて貰いたい子供が、褒められる事をされないとどうなるのか。…その体現が、彼女なのかも知れない。 00:24:21(rapunzel_) 【雪人】(行奈の全ては、その反動か……リリスを引き出すべきではなかったのか? 否。違うな、引き出さねばならなかったのだ) 00:25:58(rapunzel_) 【雪人】「……リリス。お前が知らなければならないことが、少なくとも1つ、ある」 00:26:12(seduki ) 【リリス】「うん? 何? 面白い事?」 00:26:53(rapunzel_) 【雪人】「どうだろうな。服の脱ぎ方はわかるか?」 00:27:16(seduki ) 【リリス】「この服?」身体を見るが… 00:29:33(rapunzel_) 【雪人】「……そう。その服だ。手伝ってやろう」 00:30:05(rapunzel_) まるでそれは、子供が服を脱ぐのを手伝う親のようだ。 00:30:08(seduki ) 【リリス】「これ…何だかぼろぼろ。千切っていい?」 00:30:36(rapunzel_) 【雪人】「ダメだ。直せるからな。……ほら、手を挙げて」 00:30:56(seduki ) 【リリス】「…」言われるがままに、手を上げる。 00:31:34(rapunzel_) 雪人は、リリスが……行奈が着ている衣服を、器用に脱がしていく。 00:32:14(seduki ) 【リリス】「…ねえ、これから、何、するの? 実験?」 00:32:35(rapunzel_) 【雪人】「千切らずに、そのまま全部脱いでみろ」  00:32:46(rapunzel_) 言いながら、雪人は、自分も服を脱いでいく。 00:32:56(seduki ) 【リリス】「いい、けど…ねえ、何するの? ねえ?」 00:33:15(seduki ) 煩いぐらいに問い掛けてくるが、とりあえず手は動かされている。 00:34:05(rapunzel_) 【雪人】「実験ではない。……そうだな、"授業"だ」 00:34:35(seduki ) 【リリス】「じゅぎょう? ねえ、貴方、どうしてそんなにいろんな言葉を知ってるの?」 00:35:44(rapunzel_) ――やがて、2人の裸体が、露わになる。 00:36:01(rapunzel_) 月の光に照らされて、それは。……とても、美しかった。 00:37:00(seduki ) 【リリス】「ねえ、ねえ。あたし、男の人が服を脱いだところ、初めて見たの。本当に胸が無いのね」 00:37:48(seduki ) 驚いた様に、雪人の胸板に手で触れる。幾度と無く触れた筈の手が、今は他人の其れの様だった。 00:37:52(rapunzel_) 雪人は、やがて。リリスを抱きしめ、そのままベッドに横になり、形ばかりに毛布をかける。部屋の空調は効いているが、念のためだ。 00:38:30(rapunzel_) 【雪人】「そんなに俺の胸が面白いか」 やれやれ、と言った風に。決して嫌がってはいない。 00:39:11(seduki ) 【リリス】「だって、硬いんだもの。それに、何だかあったかいの。不思議」 00:41:01(rapunzel_) 【雪人】「……お前にこれから、1つのことを教える。それはとても大事なことだ。特にこの街では」 00:41:30(seduki ) 【リリス】「うん、何? また面白い事?」 00:44:08(rapunzel_) 【雪人】「"安心して眠ることの出来る夜"。これを安眠と呼ぶ。言ってみろ。あ、ん、み、ん」 00:44:24(seduki ) 【リリス】「あんみん?」 00:44:32(rapunzel_) まるで。……まるで、本当に。大人と子供。先生と生徒。 00:44:45(rapunzel_) 大人の男女は、抱き合って。 00:45:04(rapunzel_) 【雪人】「そうだ、安眠だ。……寝るぞ、リリス」 00:45:08(seduki ) 何も知らない他人が見たら、特に、女を不自然だと見るかも知れないが。 00:45:27(seduki ) 【リリス】「…えー? 寝ちゃうの? もっと面白い話、して?」 00:46:12(seduki ) 雪人の腕を抱き、ねだる。その様は、最早、親と子にすら見える。 00:46:20(rapunzel_) 雪人は、人差し指をそっと、リリスの唇に当てる。 00:46:29(rapunzel_) 【雪人】「寝るんだ。いいね、リリス?」 00:46:57(seduki ) 【リリス】「…分かったってば」 00:47:26(seduki ) 諦めたのか、目を閉じるが、寝返りをうって、雪人に背を向けた。 00:48:15(rapunzel_) 【雪人】「……おやすみ」 耳元でそう囁くと、雪人はリリスの頬に、軽く口づけをした。 00:48:44(seduki ) 【リリス】「っきゃ!?」余程くすぐったかったのか、大きな声が漏れた。 00:48:51(rapunzel_) 背を向けたリリスを抱きしめたまま…… 00:49:50(rapunzel_) 雪人は、もう一度だけ、小声でおやすみ、と言うと。 00:50:12(rapunzel_) 余程疲れていたのだろう。リリスを抱きしめたまま、寝息を立て始めた。 00:50:22(seduki ) 【リリス】「貴方、本当に面白い人。でも、もしいつか、壊しちゃったら、ごめんね…」 00:50:52(seduki ) 聞こえるか聞こえないか、それぐらいの小さな声で、呟いた。 00:51:18(seduki ) そして彼女もまた、身体の力を抜く。眠りに、身を委ねて。 00:52:51(rapunzel_) やがて……室内に、2つの寝息が重なる。 00:53:04(rapunzel_) 月光だけがただ、2人を照らす。 00:53:26(rapunzel_) 夜はただ、ふけていく。 00:53:56(rapunzel_) 闇の帳は、優しく2人を包んで―― 00:53:57(rapunzel_)   00:53:57(rapunzel_)   00:53:57(rapunzel_)   00:54:01(rapunzel_)   00:54:05(rapunzel_) 終わりだこんちくしょい 00:54:06(seduki ) 相変わらず綺麗に切るのう