23:38 シナリオタイトル:魔都桜物語 23:39 23:39 <春> 23:39 23:39 願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ(西行法師) 23:40 23:40 23:40 導入:"新宿で一番高い女"マリア 23:40 23:40 春の夜風が吹きぬける。 23:41 夜空には月が出ている。 23:42 街灯が照らす夜道を一人で歩く女の姿。 23:42 【マリア】「あはは」仕事帰り、夜風に混じる春の香りにちょっと浮かれているかのよう。 23:42 月明かりをスポットライトにクルクルと踊るように歩を進める。 23:42 /彼女の周りにまといつく月光は浮かれたように酔うようにゆらりゆらりと舞い落ちる。それはまるで夜が発情しているかのようだ。この最高のオンナに対して 23:43 しかし、彼女の仕事はこれで終わりではない。 23:44 まだ、今夜は最後の上客の仕事が残っている。 23:45 だから、マリアは自宅ではなくある場所に向っている。 23:45 【マリア】「いっけない。遅れちゃマズイんだった」言うや否やヒールを脱ぐとペタペタと駆け出す 23:46 彼女が向う先は花園神社。 23:46 /風をまくように駆け出す彼女の前を無数の桜の花びらが舞う。遅咲きの狂い咲き、されど、彼女を飾るならば本望とでもいうように 23:48 そして、エメラルドグリーンの彼女の瞳が桜の花弁の異常に気付く。 23:48 桜の花弁が……黒い。 23:48 【マリア】「あら?」急に歩を止め掌に乗った花びらを見る 23:49 【マリア】「変わった色ね」小首をかしげ、黒い花弁を眺めすがめる。 23:50 夜の帳のせいではない……確かに黒い…しかし、上客の待ち合わせの時間まで残り少ない。 23:52 【マリア】「ふぅ」空を仰ぎ見て、ため息ひとつ。 23:53 黒い花弁が舞い散り、虫に食われたような夜景が目に入る。 23:54 【マリア】「ごめんなさい、アタシも食べてかなきゃなんないのよぅ」申し訳なさそうな声を出す。 23:56 そう言ってヒールを履きなおし、襟元を整えると花園神社へと向かうマリア。 23:57 その姿は黒い花吹雪に隠されていった。 23:59 ・ 23:59 ・ 23:59 ・ 23:59 ・ 00:00 導入:真常侍泉美 00:00 00:01 その女は伝説だった。 00:02 【泉美】「何かが起こるとき私はそこにいたし、何も起こらなかったなら私はそこに居ない。ただそれだけのことさ」誰に言うでもない。ただ、それだけを虚空に言葉として解き放つ。 00:02 /同意するかのように白いコートがはためく 00:06 【??】「伝説の中にのみ存在する女か…実際にお目に掛かるとは光栄だな」 00:07 【泉美】「やぁ、お久しぶり。そして、はじめましてだよ」よく見知った友人に声をかけるように朗らかな何の緊張感も無い声をかける。 00:08 【??】「ふむ…俺はこの伝説の始まりの脇役のようだ……悲しむべきか安堵すべきか」 00:10 /【泉美】「一度終わった物語から出てきた亡霊が主役になることは珍しいよ。君のことはまだ思い出していないけど」くすりと微笑む。よく知っている近所の子供を見るような瞳で。 00:12 【名も無き亡霊】「そうか…では我主の伝言を伝えよう。黒き桜の花舞い散る時、新たな伝説が始まる」 00:14 【泉美】「なんとも贅沢な御仁だね。一体何を私に思い出させたいんだい?」くすりと笑い懐からどこでも売って居そうメーカーの紙巻煙草を取りだし、火をつける。 00:15 /紫煙が立ち昇り夜空に舞う。新たなる伝説が幕を上げようとする狼煙のように。 00:16 そして、見上げれば黒い桜の花弁。 00:18 /【泉美】「やれやれ、法師。そんなにこの世に未練があるのかい?自分が死んだ時の桜の花まで蘇らせるなんて」 00:21 願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ(西行法師) 00:21 そんな句を読む声が聞こえたような聞こえなかったような。それを確かめられるものは居ない。 00:23 【西行法師】「ふっ…我名を思い出してくれて礼を言う……では花園神社にて…」 00:23 亡霊は消え去る…いや、初めから泉美の独り言だったのか。 00:24 【泉美】「やれやれ、黄泉第二の女王まで巻き込むつもりかい?いいよ、それは伝説だ。私は出ないわけにはいかないだろうね」気づくと火をつけたはずの煙草には火はついて折らず、紫煙の後すらない。 00:27 ・ 00:27 ・ 00:27 ・ 00:27 ・ 00:27 邂逅:花園神社 00:27 00:28 花園神社は、徳川家康の江戸開府(1603)以前から新宿の総鎮守として重要な位置を占めていた神社である。 00:28 春ともなれば桜の花が咲き乱れ、神社は花見の者達で賑う。 00:29 【マリア】「慌てて来ちゃって損したわ」口を尖らせながらつぶやく 00:30 どうやら上客にキャンセルを食らったらしい。 00:31 マリアは花園神社の桜を見上げる……やはり…花弁が黒い。 00:31 【泉美】「さて、ここで講義をしよう」いつの間にか石段の上に座ってゆっくりと紙巻の煙草を吸う麗人。 00:32 【泉美】「どうだい。聞いていかないかい?美人さん」 00:33 /黒い花弁が舞い散る中、浮かび上がる白い姿は幽鬼のようであり天使のようでもある。しかしその口調は不勉強な学生に懇切丁寧に教えを伝える教師そのものだ。 00:34 その白い女を上から下まで眺め、マリアは口を開く。 00:34 【マリア】「ここ、禁煙ですよ?」生ける伝説を前に動じた様子も無い。 00:36 【泉美】「大目に見てくれるとうれしいね。煙草は私のトレードマークみたいなものだ」朗らかに笑うとすくっと立ち上がる。 00:38 /振り返るマリアの姿はそのまま絵画の中に誰もが納めたくなるような美景。月の光さえ降り注ぐのを遠慮し、しかし、闇に隠すことを恐れその周りに集まる。 00:39 【マリア】「あなた、変わった香りがするのね」しかし不躾にも鼻をクンクンと鳴らす姿はそんな美女を童女のように見せる。 00:40 【泉美】「においがする?私から?それはまた・・・不思議なこともあったものだ」笑いながら。 00:41 /【泉美】「この境内の桜は帝都のすべての死者を慰めるためにあるものでね。しってるかな?この新宿というものは帝都でもっとも死者が訪れる場所なんだよ。ここが魔都と呼ばれるはるか以前から」 00:42 /そう言って周りを見渡す白い女。彼女に見つめられた景色は「我がの出番だ」とばかりに色めきたつよう。 00:43 【マリア】「さっきから昏い匂いがすると思ったら、そんなワケなのね」泉美の言葉に納得したように何度もうなずく。 00:44 【泉美】「それと、定番の伝説をもう一つからめよう。綺麗な桜の木の下には死者いるといってね。それを慰める桜が・・・黒く染まったら・・・誰が慰めるのかな?」ふぅっと吐き出す煙がまるで髑髏のように闇夜に浮かぶ。 00:45 【マリア】「死者が桜を求めるの?それとも桜が死者を求めるのかしら?」周りの桜を見渡すマリア 00:46 【??】「ほう…今宵は黒桜の厄日ゆえ、人払の結界を張っておったが二名もの来客がおるとはな」 00:46 /【泉美】「どちらか?などということは私も知らないよ」くすくす「でも、招いたモノがいるようだね。ようこそ」 00:47 袴姿の老人が二人の所へ歩いて来る。 00:48 【マリア】「おじいさんがこの黒い桜を?」無警戒に老人に近づき問うマリア 00:49 /艶やかさの象徴であるオンナと、神職特有の澄んだ空気を放つ老人の取り合わせはいかにも奇妙だ。しかし、ここは新宿である。どれほどの不思議であろうか? 00:49 【??】「おや、失礼。そちらはマリアさんですな。あまり美しくて気が付きませんでした」 00:51 【マリア】「あら、あたしの事知ってらっしゃるの?」艶然と微笑み老人に会釈する。 00:52 【??】「ええ、知っておりますとも。貴方の上客の方からの伝言を受けております」 00:53 /老人の登場とともに黒い桜はますます咲き誇り、黒い花吹雪はその激しさを増す。 00:54 【??】「今春は会えぬ事をお詫びします」 00:56 【マリア】「『今春は』?」その言葉にいぶかしさを感じたのか、マリアの眉がしかめられる。 00:56 【??】「…内容はもっと長いのですが要点は以上の内容です」(マリアに和紙の手紙を渡す) 00:56 どうやら、恋文のようだ。 00:57 【マリア】「ご丁寧に、どうも」頭を下げて手紙を受け取る 00:57 【??】「さて…もう一人の御仁は………どこかの伝説でお会いしましたかな?」 00:58 【泉美】「さぁ、思い出せないね」いつの間にか口元の火種はどこかへと消えている。 01:00 /煙草を吸い終えたのではないことは、足元にあるはずの灰が欠片もないことから伺える。 01:00 【??】「ふむ…では貴方の口から語られた伝説の続きを私が語りましょう」 01:01 /老人の気配が変わる。話さねばならないこと、これから起こることが老人にはわかっているのだろう。だからこそ何かを覚悟したような薄い緊張感が当たりに広がる。 01:01 【??】「…桜の下の死者を慰める桜が黒く染まったら…」 01:02 【??】「それは桜に蟲が憑いているという事です!」 01:02 刹那、桜の下の地面が歪み始める。 01:02 /老人が語り終えるやいなや『伝説』が顕現する! 01:03 【??】「桜の下の死者の魂を喰らう蟲です」 01:03 /【泉美】「根の国から来る伝説か。その蟲は木に宿り、気をからし、闇色に染める。近づいてはいけない、それは根の国の食物、ひかれた千軍に食われても知らぬよ?と」 01:04 ボコ…ボコ…ボコ…地面が弾ける音がする。 01:05 地面から何かが這い出て来る。 01:05 【マリア】「ちょ、ちょっと何!?」慌てて老人の腕にしがみつくマリア 01:07 /【泉美】「辞めた方がいいな。マリア女史。彼は既に根の国住人だよ」あわてた様子も無く。コートをはためかせ振り返る。その目には老人の虚ろな眼窩が見える。 01:08 /その言葉にマリアは老人を見やる。なんということか、老人の顔があるところには髑髏があるではないか! 01:08 【??】「あなた方お二人が、あまりにも美しい魂をお持ちですので、思わず地中から這い出て来ましたよ!」 01:09 【マリア】「アタシは美味しくないわよぅ!」慌てて老人を突き放し、泉美に駆け寄ろうとする。 01:09 その髑髏の奥に蠢く黒い蟲が見える。 01:10 /足元を見る。そこには神社らしく玉砂利が敷き詰められている。玉砂利・・・?否、これは黒い甲殻をもつ無数の蟲どもではないか! 01:11 地面から這い出て来た蟲達が泉美とマリアへと群がる。 01:11 【泉美】「女の子にこの光景はきついね」腕を組んでうんうんと頷く。 01:11 白と黒。砂糖に群がる蟻のように。 01:11 /そしてすでに桜の幹は多くの節を持つ黒い何かに変貌しており、その花弁は嫌な羽音を立てる何かとなっている。 01:12 /【泉美】「君は心配する必要はないと思うよ。君・・・何か、彼らが苦手なにおいがするものでももっているんじゃないのかい?」マリアの周りには不思議と蟲が近づいてこない。 01:13 【マリア】「そんな、アタシなにも…」這うように泉美の元にたどり着くマリア 01:13 そう…彼女の手に握られた恋文だ。 01:14 まだ、蟲に憑かれる前の神主が本能的にマリアに渡してしまったものだ。 01:14 それは、蟲の油断か。恋知らぬ蟲の哀れさか。 01:14 /【泉美】「ああ、なるほど。確かにこの文をしたためられたら近づけない」くしゃりとつぶれた紙の端からある一文を読み取る>> 01:15 【泉美】「大大和 我が大王の ものならば いずくか鬼の すむべくとこなし」 01:16  それは、かつての時代に偉大なる音と言葉を使うものが読み。大和の地。すなわち帝都から鬼を駆逐した呪文だ。 01:17 /【マリア】「へ?これ?」手の端に握った恋文を見る。同時に泉美の声が響く。泉美は『思い出した』のであろうか。 01:18 /【泉美】「その上客は君のことをよっぽど心配していたんだろうね。君がそれを声に出すことで完成するはずだよ」これで終わり。とばかりに手に持っていた帽子を被りなおす。 01:19 慌てて恋文を開くマリア。 01:21 【マリア】「『あまつそらなる人を恋ふとて』…」ようよう声に出すのが精一杯 01:24 マリアの精一杯の呟き。人前で恋文を朗読するなんて…だって恥ずかしいし。 01:25 しかし、呪文は完成する。蟲には理解できぬ想いが重要なのだ。 01:26 /桜の香りがどこからか漂う。黒で埋め尽くされた境内に一陣の春の香りが。 01:27 /東から風が吹く。清らかな香と思いを載せて。魔を払う薄桃色の霞が。 01:27 見よ! 01:29 その香りが満ちる中見る見る内に、黒い幹は穏やかな樹皮となり、黒い羽虫は中を舞う花弁となっていく。 01:30 玉砂利が清潔な白い色を取り戻す。そのさまはまるでペンキををぶちまけたように境内を塗り替えていくではないか。 01:31 元の清浄な景色を取り戻したあとには、二人の女と、黒い男が残るばかり。 01:33 ジャッジメント 01:34 + 01:35 + 01:36 + 01:36 成立 01:37 黒き蝕みは消え去った。 01:38 花園神社の境内の桜は桃色の花を舞い散らせている。 01:38 神主「……ううっ………」 01:39 黒い男の影が呻き声とともに起き上がる。 01:39 【マリア】「ごめんなさい。遅くなっちゃって」柔らかに微笑み、神主の手を取る 01:39 【泉美】「おやおや、流石にすごいね。これが音に聞こえた魔魅の力か。誰も君に嫌いといわれるのはいやなようだ」一人納得したように頷く。 01:40 神主「……わしは…そうか…蟲に…何たる不覚!」 01:41 神主はマリアの手を取って立ち上がる。高齢にもかかわらず、若しくは年甲斐も無く頬に紅が差している。 01:41 神主の埃を払いながら泉美に向き直る 01:42 【マリア】「これもあなたの知る伝説?」首を傾げそう尋ねる 01:43 【泉美】「私は忘れっぽいんだ」苦笑を浮かべて懐からシガレットケースを取り出すと高そうな葉巻をくわえる。 01:44 そこへ、光り輝く桜の花弁が二人に舞い落ちる。マリアは胸元に。泉美は指先に。 01:44 /「おい、君、ここは禁煙だ…」言いかけた神主の口をマリアの唇が塞ぐ 01:45 【マリア】「大目にみましょ?ほら、桜がこんなに綺麗!」花弁を迎えるように両手を広げる。 01:46 神主「……ふむ…光桜の花弁とな…どうやら…あなた方は木花開咲耶姫命に選ばれたようです…」 01:46 /目を白黒させる老神主はひょっとすると心臓が止まったか?しかし、次の瞬間には恋心が心臓を動かしたのだろう。すぐさま二その顔が紅潮していく。 01:47 【泉美】「私は何もしていないんだけどね」くすりと笑う 01:48 【神主】「ふむ…こちらへ…」 01:48 神主は二人を境内の裏手へと案内しながら話をする。 01:49 【神主】「地上に出て来ている蟲達は仔蟲と呼ばれる蟲達です」 01:50 【マリア】「『仔』蟲って事は…」なにやら嫌な想像をしたらしく、眉をしかめる。 01:50 【神主】「仔蟲達を倒してもまたすぐに沸いて来ます」 01:51 【神主】「こんな伝説があります」 01:51 /【泉美】「地蟲、もしくはノヅチと呼ばれる古い古い昔話の子たちだよ」 01:53 【神主】「伝説の桜の苑に根を下ろす桜の大君に地蟲の王が憑きし時、地上の全ての桜は黒く染まり腐り枯れる」 01:54 【神主】「今がまさにその時」 01:54 【マリア】「まぁ、大変」あまり大変そうでもなく言う。どこまで事態を理解しているのやら。 01:55 【神主】「はははは、ではマリアさんに分かりやすく申しましょう。桜の大君は貴方の上客…恋文の方です」 01:58 【マリア】「えっと、その方に悪い蟲が憑いてるせいで、あの黒い蟲たちが?」 01:59 【神主】「そうです…今春、貴方に会えないのも地蟲の王のせいでしょう」 01:59 【マリア】「大変」顔色を変えて言った言葉には先ほどの呑気さはなかった。 02:00 そして、助けを求めるように泉美を振り返るマリア。 02:01 【泉美】「どうかしたかい?」全てを知っていて。とぼけているような意地悪な笑み。 02:03 【マリア】「なにか知らないの?こう、蟲をやっつける伝説の剣とか何とか」泉美の笑みに頬を膨らませながら。 02:04 【神主】「桜の苑は伝説の土地。桜の導き手なくしてはいけぬ場所」 02:05 /【泉美】「そんな便利なものは無いよ。あったら私が知りたいくらいだよ」笑いながら「でもね、倒す方法なら心当たりがあるね。ヒメも応援してくれているしね」 02:05 【神主】「さて……ここですが」 02:06 神主の導きで二人は境内の裏手へと到着した。 02:06 /目の前に広がるのは一面の桃色の世界。まさにはるかまでかすんで見える桜の薗。本来はありえないはずの・・・ 02:07 …がしかし、みえねども、そこに行けず。 02:07 そして、そこにはひょろひょろ奇妙な桜が一本生えている。 02:08 【神主】「さて、いるのか?」 02:09 【??】「くすくすくす」 02:09 童女の笑い声がする。 02:10 【マリア】「?」キョロキョロとあたりを見回す 02:11 【泉美】「ひーふーみーよーいーむーなーやーこー とおと足りるは鞠の音」 02:11 その桜木の下から鞠の音がする。 02:12 そして、ゆっくりと童女の姿が現れる。 02:13 【マリア】「あら、可愛らしいお嬢ちゃん」思わず笑みがこぼれ、その目も細くなる。 02:13 【泉美】「ひふみと振るうは魂を よいむと変わるは さけめ神 なやこに包まれ帰路につく 十と足りるは子供声」 02:14 【??】「こんばんは。咲耶姫さまに選ばれし討手の方々」 02:14 それは童女ではあるが人間ではない。 02:15 雪降りし夜に現れるは冬女。桜舞い散る夜に現れるは春女。 02:15 /【泉美】「やぁ、お久しぶり賽の神」境界をつかさどるものの総称だ 02:15 【マリア】「こんばんは。あたしはマリア。お嬢ちゃんは?」膝を折り童女に目線を合わせ尋ねる。 02:17 【賽の神】「御久し振り〜あのね、いきなり正体ばらさないでよ(泣」 02:19 【マリア】「神サマなの?この子?」目を丸くして泉美に尋ねる。 02:19 /【泉美】「昔馴染みということと。無いんだろう?時間が。ということで許すといいのだよ」自分が被っていた帽子を童女に被せる。 02:20 【泉美】「日本には神様が大勢いるよ。気づかないで歩けばぶつかるくらいにね」 02:20 そう、春女の長にして境界を司る神、賽の神である。 02:21 名は… 02:24 /斎という。その文字に隠された幾重もの言霊が童女の姿に様々なものを重ねる 02:25 名は斎。春女の長にして境界を司る賽の神。http://manbeast.sakura.ne.jp/ero-on-session/up/upfile/1253.jpg 02:25 /【斎】「そういうこと。おばちゃんは人間なのね、マリア」 02:26 【マリア】「おば…」絶句する"新宿一高い女" 02:28 【神主】「時間がない。さっそく、この方々を桜の苑に導いて下さい」 02:29 【斎】「はーい!」 02:29 【泉美】「ほら、手を握ろう。ここから先は経験がないと迷子になるよ?」 02:30 【斎】「では!」 02:30 【マリア】「やだ、ちょっと待って」慌てて泉美の手を握る 02:30 見よ! 02:30 春風に舞う桜の花弁。 02:30 桜吹雪に響く霊妙なる弦楽器の音色。 02:30 霞み行く姿。 02:30 霞み行く心。 02:30 全ては春の木漏れ日に揺らぐ幻か。 02:31 全ては春眠に去来する泡沫の夢か。 02:31 桜木の春女の唄に耳を傾けよ。 02:31 桜花熾盛の坂の道を往け。 02:31 浮かんでは消える懐かしき追憶の花筏の流れを渡れ。 02:31 最果ての地に辿り着く頃、その彼方の桜朧の山を見よ。 02:32 それこそが、桜の苑なり。 02:32 運切:十六夜桜花遊山の舞い 桜の苑へと導く 02:32 ジャッジメント! 02:32 + 02:32 + 02:33 + 02:33 成立 02:33 マリアと泉美の姿が霞んで消え去る。 02:36 【神主】「宜しく頼みます。討手の方々」 02:39 ・ 02:39 ・ 02:39 ・ 02:39 ・ 02:39 狂宴 02:39 02:39 そこは桜の国だった。 02:40 /中国では桃の薗という異郷がある。それは西にある王母の薗である。しかし、この国における桜とは何だろう? 02:41  それがここである。あらぶる死者の魂を慰め、死の川への道のりを安堵させる場所なのだ。 02:42 桜色に煙る彼方に、巨大な桜の木が見える。 02:44 【マリア】「綺麗な所だけど…なんか寂しい匂いがするのね」なんとは無しにしんみりとしながら。 02:46 【斎】「さて…あの巨木の桜が桜の大君様ですよ…」 02:46 【泉美】「さて、それじゃいこうか。ここにはあまり長くとどまらない方がいいよ」さくさくと歩き始める 02:47 【マリア】「長くいると、桜の木にでもなっちゃうの?」おどけながら泉美の後を追う。 02:47 【斎】「くすくす…どうかなぁ?」 02:48 【マリア】「ちょっと、脅かさないでよ」身をすくめつつ泉美に寄り添う。 02:49 【泉美】「私はそっちのけは無いんだけどね?」 02:49 そんなのんきな会話をしながら、歩を進め、やがて桜の大君の元へと辿り着く。 02:50 /【泉美】「人は異郷に長くとどまるべきじゃない。何故ならその空気を吸い続けるだけで還れなくなってしまうからね。君の上客はそれを望んでいないようだし」 02:51 【マリア】「私だって仕事じゃなけりゃ…ってこれが桜の樹?」巨大な木を見上げつつ 02:51 【斎】「そうそう。だから桜の大君様は牛車に乗ってマリアさんの世界に会いに来てたのよ」 02:53 【マリア】「そ、そうだったんだ」思わず鼻をつまみながら返答する。 02:53 【斎】「それから、イズミちゃんは知ってると思うけど、もう地蟲の王は私達に気付いてるよ」 02:54 /【泉美】「それはそうだろう?何故長話をしたと思っていたんだい。君は」笑いながら「気づいてもらわなければ呼び出せないだろう?」 02:55 突然、地響きが起こり地面を揺らす! 02:56 泉美の挑発の言葉に反応したのか、ただの偶然か。 02:57 /それは境内を揺らしたモノとは明らかに違い、まさに『世界』を揺らしている。 02:57 そして、地面に巨大な穴が生まれる。 02:57 それは、暗い暗い漆黒の暗闇。 02:59 /穴からは圧倒的な瘴気が溢れ出で、その瘴気に触れた下草は見る間に枯れ果て、黒く朽ちていく。 02:59 【泉美】「くらいなぁ。世界が・・・ここはまだアマテラスの加護があるはずなんだけどな」 03:00 瘴気の煙の中に赤く光る禍々しき眼光が見える。 03:01 【マリア】「ちょっと、ヤバいって。こんなのが"憑いてる"っていうの!?」怯えの中に確かな怒りを感じさせつつ。 03:02 /【泉美】「新宿では珍しくないよ。そろそろ腹をすえてもいいんじゃないかい?君は・・・なれているんだから。”思い出した”まえよ。マリアくん」 03:02 【斎】「来ます!」 03:03 03:03 <対話フェイズ> 03:03 /世界は”くらい”に包まれる。それは光が無いわけではない。ものが見えないわけではない。しかし。あまりにくらくしかし寒くは無い。そんな不思議な空間が薄く広がる。 03:05 【地蟲の王】「オマエラ…サクヤヒメノ…ウチテ………オロカ…オロカ…コロス!」 03:05 /そして辺りには死臭が立ち込め、あらゆる存在を穢そうと瘴気が広がっていく。 03:06 全てを蝕む暗黒の瘴気。 03:07 【泉美】「愚かだよ。人間なんて愚かに決まってるじゃないか」むしろそれを肯定するように。 03:09 【マリア】「あなたには、ここから出て行ってもらうわ!」まなじりを上げ自分を叱咤するように宣言する。 03:09 03:09 <イニシアチブフェイズ> 03:10 では、どうイニシアチブを取るか宣言して下さい。 03:11 地蟲の王 溶解粘液(攻撃) 創造+操作+蟲の王→広域放射状に溶解粘液を吐き出す(神域の+2)  03:13 泉美 領域同化 ここは伝説に語られる地(社会・種族)その世界の修復力を向上(思い出させる) 神域の+2  03:14 マリア 魔よけの香で周囲を浄化。《夜香》+共感 神域の+1 03:15 では、イニシアチィブ判定。 03:15 2d6+2 03:15 z_Izumi -> 2D6+2 = [3,5]+2 = 10 03:15 2d6+1 03:15 z_Maria -> 2D6+1 = [1,3]+1 = 5 03:15 2d6+2 03:15 z_GM -> 2D6+2 = [6,6]+2 = 14 03:16 地蟲の王 神威の14 03:17 見よ! 03:17 人間が織り成す心の錦の織物を。 03:18 死するその時まで糸と糸は紡がれて行く。 03:18 美しき織物。 03:18 醜き織物。 03:18 嬉しき織物。 03:18 悲しき織物。 03:19 全てが人間の心が纏う追憶である。 03:19 蟲は喰らう。 03:19 人が織り成す追憶を。 03:19 その牙から滴り落ちる毒液は、織物を黒く変色させ腐らせる。 03:19 絶望せよ。 03:20 マリアよ、お前の男達の追憶など喰らい尽くしてくれる! 03:20 絶望せよ。 03:21 泉美よ、お前の伝説の記憶など全て喰らい尽くしてくれる! 03:21 心の織物の無残なる斑模様の虫食いの穴。 03:21 全てが喰らい尽くされた時、そこにあるのは心無きただの肉塊である。 03:21 運切:心喰らい 心を全て喰らい尽くし廃人にする。 03:21 ジャッジメント! 03:21 + 03:22 + 03:22 * 03:22 成立 03:26 心が消えて行く…黒く蝕まれて無くなって行く。 03:27 黒い瘴気の中に意志無き肉塊が佇む。 03:29 【泉美】「なるほど。食べるという行為は非常に単純だが根源的でかつ強力だね」そこではないどこかから声がする。 03:29 【泉美】「神、いわく。光よあれ といわるるば 無明の闇に光生まれ世界を照らした・・・」 03:30 【泉美】「ならば、思い出そう。原初の最初から今までの世界の成り立ちを」 03:30 見よ! 03:30 時は逆には流れない。 03:31 しかし、記憶というものはありとあらゆるものに降り積もる。 03:31 個が消滅するとしても、それがありとあらゆるものから忘れられたのでなければ真実に消滅するということは無い。 03:32 そして、全てのものがそのものを思い出し、そこにあってほしいと。願う。 03:32 願うだけで、そのものは復活する。それが黄泉の彼方であろうとも14次元の彼方からあろうとも。 03:32 たとえ虚空の彼方からだろうとも。 03:33 この世界。そして、この世界に関連する全ての三千世界の記憶が汚され、消えたはずのそれに上書きされる。 03:33 ”世界”が思い出した。 03:33 ゆえに・・・そこに二人は何事もなかったかのように立っている。 03:33 運切:攻撃の無効化 世界のリライト 03:34 ジャッジメント 03:34 + 03:34 + 03:34 + 03:35 成立 03:35 信じられない。 03:36 そう、地蟲の王は思った。 03:36 喰らったはずなのに…何故…。 03:37 /だが、彼さえも覚えているのだ。そう「喰らう前の姿を」…それゆえに。 03:38 /【泉美】「「いいことを教えてあげよう。あらゆるものが不老不死であり不滅だと。消え去ることはない。私が私である限り」」その声は目の前のオンナと地蟲の王の腹の中から聞こえる。 03:41 見よ! 03:42 泉美とマリアにまとわりつこうとしていた瘴気、死臭がざわめく 03:43 闇の瘴気すらその香りの主を認めたのか。 03:44 妖しく漂っていた瘴気は明確な意思を持ち、地蟲の王へとその魔手を伸ばす。 03:45 いかな「王」とて死の運命からは逃れられぬとばかりに、その硬き外殻を侵し、蝕んでいく。 03:47 「香りの主」「夜香」「パフューム」王がその事に気付いたとき、すでに彼の存在は「死」に蝕まれていた。 03:47 運切:攻撃 地蟲の王の死  03:48 ジャジメント 03:48 + 03:48 + 03:48 * 03:48 成立 03:49 甘い香りが地蟲の王の身体を蝕んで行く。 03:50 それを見詰めるマリアの美影身。 03:50 【マリア】「女は常に『喰われ』続けているのよ…」妖しく、そして寂しくつぶやくマリア 03:51 【泉美】「怖いなぁ」まるで真剣みの無い声 03:51 【地蟲の王】「…フッ…フハハハハハハ…コレガ…」 03:51 【地蟲の王】「コレガ…………コイカ……サラバダ…」 03:52 地蟲の王は最期の瞬間に恋を知って滅びた。 03:53 【マリア】「ええ、さようなら」王への手向けか。瘴気は次々に桜の花びらへと姿を変え、舞い踊る。 03:54 黒い瘴気は桜の苑から完全に消え去った。 03:55 【斎】「人間なのに地蟲の王を魅了するとはびっくりですね〜」 03:55 【マリア】「これで…終わり?」ペタンとへたり込み、泉美に尋ねる。 03:56 /【泉美】「君の仕事はもう一つ残っている。それは・・・彼に答えを返してあげないとね?」と手紙を指差す。それで本当に終わりだよ。とりあえずはと片目を瞑ってみせる 03:56 【マリア】「あら、恋心に姿かたちなんて関係ないのよ?」嗜めるように斎に。 03:58 ・ 03:58 ・ 03:58 ・ 03:58 ・ 03:58 終幕 03:59 03:59 マリアと泉美は桜の大君の根元に立っている。 04:00 そこに、姿を現したのは平安貴族風の美青年だ。 04:01 【泉美】「いっておいで」 04:01 【マリア】「あなただったんですね」恥らうように頬を染めながら青年に歩み寄る。 04:02 【桜の大君】「ええ。まさか来て頂けるなんて…そして助けて頂けるとは」 04:03 【桜の大君】「何とお礼を言っていいのやら」 04:04 【マリア】「お礼だなんて!」拗ねるように背を向ける 04:06 【マリア】「でも…また綺麗な花を咲かせてもらえるなら…」ゆっくりと振りむきながら 04:06 【マリア】「それがお礼かしら」悪戯っぽく微笑む。 04:07 【桜の大君】「ええ、今宵は貴方の為だけに咲きましょう」マリアをそっと抱きしめる。 04:07 04:10 04:10 背後で二人を見詰める泉美の姿。 04:10 傍らに法師の姿が現れる。 04:11 【泉美】「さて、あとは若い二人に任せて、帰るとしよう・・か?」首をかしげる 04:11 【西行法師】「かくして桜の苑の恋文伝説は終幕じゃな」 04:12 【泉美】「いやいや。これから始まるんだよ。結構長い時間がかかると思うよ。終わるまでにはね」 04:14 【西行法師】「あの二人はもちろんそうじゃ。じゃが、わしら二人は次の伝説へと消え去る。そうじゃろ?」 04:14 【泉美】「さぁ?私はね。忘れっぽいんだよ」すぱぁっと煙を吐き出す。 04:16 【西行法師】「はっ、またワシに会ったら名前ぐらいは思い出せ。じゃあな」 04:16 【泉美】「思い出せたらね」すぅっと足元からだんだんとその姿が消えていく。 04:17 法師も姿が霞んで行く。 04:18 【誰かの声】「まぁ、一つの物語が終わったのは確かさ」 04:18 【斎】「さようなら。誰かが貴方達の事を覚えている限り、また会えるよね〜」 04:19  それに応えるものは無い。しかし、その答えは既にでているのだから、最早必要としないのかもしれない・・・ 04:19 【斎】「散った桜がまた咲くようにね!」 04:21 物語は始まり終わる…そしてまた始まる。 04:21 桜の苑の桜は満開だった。 04:21 ・ 04:21 ・ 04:22 ・ 04:22 ・ 04:22 【完】 04:22 04:22 お疲れ様でした。 04:22 お疲れ様でしたー 04:22 お疲れ様でした